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Posted by ブクログ
失踪した音楽家の父を探すため、アメリカの難関音楽大学を受験した主人公の脩。
型破りな試験が行われる中、会場でアメリカ最初の実験と謎のメッセージが残された殺人事件が発生。
やがて、第二、第三と連鎖し...
音楽に身を捧げる若者たちの青春冒険譚と思いきや、どういうジャンルに分けて良いのか分からない。アメリカそのものに対するアンチテーゼなのか。音楽とは何か。主たる軸はそこなのだろうが。
ピタゴラスによって音律が作り出されたのが、紀元前六世紀。そこから音を重ねあわせる和声や調性が発見されるまでには、およそ1500年の歳月が費やされた。元は呪術や田畑の豊穣を祈るものであったものが、やがて芸術へと昇華する。
アメリカとは常に実験国家である。最後の市場の形は何か。
17世紀、ピルグリムファーザー達は信仰の自由を求め、英国を流れてメイフラワー号で北アメリカへ移住した。ピューリタンであった彼らは厳格な性の抑圧を掲げ、地上に楽園を作ることを夢見ていた。
そして、侵略戦争が始まった。
そこには土着の音楽もあったはずだ。しかし、この船に詰め込まれてやってきた奴隷達が黒人霊歌を持ち込みやがてジャズが生まれ、ブルース、ロックが生まれ、ブレイクビーツ、ヒップホップ、R&Bへと。
一冊の中に、音楽を通じてではあるがアメリカという国が孕む二律背反の闇を描いてるように感じました。
Posted by ブクログ
少し複雑な構成の話。
主人公・脩の<グレッグ音楽院>の受験と、そこに集まる受験生たちの話。
脩の父親探しと、父が残した<パンドラ>という楽器の話。
二次試験直前に起きた殺人事件と、そこから連鎖する数々の事件の話。
それぞれの話の中で語られる登場人物の出自と境遇が3つの話をリンクして、全体として語られるのは音楽の存在とその意義について。
読み終わってみて整理して見えてきた構図だが、読んでいる時は話がどんどん飛んでいくのでついて行くのが少々大変だった。
音楽院の風変わりな試験に集まるピアニストたちの交情の話だけで十分楽しめるのだが、色々話を繋ぎ合わせて盛り上げていくのは、まあ、これもジャズみたいなものかも。
作者が意図したところを十分に汲めたとは思えないが、最後の事件現場でホールを振るわせた歌声には訳もなく心を打たれた。
Posted by ブクログ
最近ハマりつつある作家さん。
こんな話も書くんだなあ、とちょっと意外。
(一緒に須賀しのぶの文庫新刊も買ったので、てっきり須賀さんのピアノものだと思って読んでいた節もあり、あれ⁈ってなりました。)
アメリカの難関(かつクレイジーな)音楽学校を受験する脩。
そこでライバル兼良き仲間と出会い、父の後を追うのだが、というストーリー自体は裏側でありながらも、王道な展開。
アメリカという国の行き着く先を「仮想実験」するという部分も、面白い。
ただ、脩にあんまり感情移入が出来なかったからか、(なんだよ、アンリミテッドブレイドワークスの使い手め)と、分かる人には分かるだろうツッコミを入れて終わってしまった私なのでした。
「同じ曲を、日本のテーマパークで耳にしたことがある。
父がいなくなったあと、新たにできたガールフレンドと足を運んだ場所だった。作りものの空間のなか、子供たちを模した人形が、人間の壁を越えて手を取りあうアトラクションだ。いわば、アメリカの一つの潰えた夢。アトラクションを観ながら、脩はこんなことを思った。」
「イッツアスモールワールド」には二種類の歌詞が存在すること(ちなみに、私は、おとぎーばーなしのようなーから始まるバージョンで覚えていた)を初めて知ったのだけど。
ディズニーランドにあって、あのアトラクションの意味って何なんだろう、と思ったことをふと思い出した。
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