宮内悠介の作品一覧
「宮内悠介」の「本格王」「創元日本SFアンソロジー」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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Posted by ブクログ
小説というのは純粋に中身を楽しむものもあれば、その中身に自分の人生に類似ている部分を見つけて、同じ状況ながら違う選択をしたり、もしくは未選択な今の状況の選択後のシミュレーションを見せつけられるような内容もあると思う。自分にとってはまさに本書は後者であり、単行本が出たときにも読んだが、今回文庫化されてもまだ同じ状況の自分にとって今回こそは行動を起こさねばと思うのです。
本書のラウリ・クースクというのはエストニア人。どうやら本書の語り手はかつてラウリを知っていた人物であり、今必死で探していることがわかる。ラウリとはある時点で別れたのだが、ラウリの知り合った人物を訪ね歩き、ラウリがいつの時点でどうし
Posted by ブクログ
第11回高校生直木賞、第4回加賀乙彦顕彰特別文学賞受賞。第170回直木賞候補作。
エストニアの小さな村に生まれた一人の男性が辿った人生の道のりを描くことで、旧ソ連の崩壊と国家の独立、ナショナルなアイデンティティの確立と「記憶の戦争」のただ中で生きることを余儀なくされた人々の生が書き込まれた小説。物語の最終盤で叙述トリックが仕掛けられていて、「ラウリ・クースク」を探していた語り手が、少年時代の彼の唯一の親友・イヴァンだったことが明かされる。
バルト三国の中でもエストニアは、ロシア系住民とエストニア独立派との歴史認識をめぐる対立が先鋭化した土地だったことは、知識としては知っていた。しかし、第
Posted by ブクログ
ソ連の崩壊とバルト三国の行く末に翻弄された3人の少年少女。いつしか大人になり3人は何を得て何を失ったのかを追うような物語だった。
ソ連やエストニアについて深く知らなくとも、ソ連が昔崩壊したんだったよなぁというくらいの知識でも読めるし、歴史の複雑さや詳細がテーマではなく、友情が根底にあったからこそ高校生直木賞にも入ったのだろう。
もう一つのテーマとしてはその時代に翻弄された市民の一人の物語であり、個人の苦しみ、葛藤が身近な存在として感じられることにある。
輝かしい時代もあり、燻るような時代もある。それらを経た後、去来する想いに心を馳せることのできる作品で、読み終えた時、一抹の哀しさと共に清々し
Posted by ブクログ
「日本スゴイ」系の番組を作らされることに心底飽き飽きした硬派(で、不器用かつナイーブな)40代のテレビディレクターが一念発起して、フィリピンで戦死した詩人・竹内浩三の幻のノート(「第三のノート」)を捜し求めて旅に出るところから物語が動き始める。「フィリピン」を決して定型化された紋切り型で語らず、ミンダナオのイスラム系の人々、国家の政治と経済を牛耳る財閥、資本による無軌道な開発に抗う地域の人々など、一筋縄ではいかない社会のありようを描きだそうとする姿勢からは、題材と主題に対する深い敬意を感じさせる。
複雑であるがゆえに複数の「縛り」が意識されて身動きがとれなくなってしまう男たちの心身を解きほ