【感想・ネタバレ】盤上の夜のレビュー

あらすじ

「相田と由宇は、出会わないほうがいい二人だったのではないか」――由宇は四肢を失い、囲碁盤を感覚器とするようになった。若き天才女流棋士の栄光をつづり、第1回創元SF短編賞で山田正紀賞を贈られた表題作をはじめ、同じジャーナリストを語り手に紡がれる、盤上遊戯、卓上遊戯をめぐる6つの奇蹟。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋……対局の果てに人知を超えたものが現出する。デビュー作品集ながら第147回直木賞候補となり、第33回日本SF大賞を受賞した、2010年代を牽引する新しい波。解説=冲方丁

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Posted by ブクログ

SFに分類されてはいるがなかなか異質な作品。現実と虚構のバランスがよく惹き込まれる。超人的でありながら人間味がある登場人物が魅力的だった。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

面白かったです。おそらく今年読んだ本の中で1番面白い一冊になると思います。
SFは初めて読みましたが、とても楽しめました。6編からなる短編集で、一気に読みたいところです。
特に2本目は実在する人物が主題の話になっており、虚構と現実の境を曖昧にする仕掛けが秀逸です。5年後にもう一度読み返したい本です。

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2023年10月24日

Posted by ブクログ

盤上遊戯が、世界を、歴史を、人を変える。見たことない世界を見せてもらった。
個人的ベストは「人間の王」
半世紀の間無敗のチェッカー王者、ティンズリーは機械に敗れたとき、そしてチェッカーが滅ぶとき、何を思うのか。
次いで「象を飛ばした王子」、「千年の虚空」などなど。前作とも素晴らしかった。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

読み終わった。いつ買ったんだろ。一年くらい前な気がする。
かなり好きな話だった。囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋。盤上遊戯をベースに話が進む。一見してSF感はないのだけれど、チェッカーの終盤から察するに…。という匂わせ程度のSF感は逆に好き。
ボードゲームという「抽象」を極める先には。。という軸だと理解した。一つ一つの話しに参考文献があり、地に足が着いた歴史ノンフィクションの要素もありつつ、その実抽象のその先まで跳んでいきそれを描こうという哲学的な跳躍は、あまり読んだことのない読書体験。
扱う論点が多少ばらついて見えるところが少し追い付くのが大変だったかな。著者的にはベクトルは同じで太い流れができているのだろうけど、点を追いかける読者としては分散がきつかったというか。
古代チェスの話が一番好きだったな。

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2020年08月26日

Posted by ブクログ

これも、SFのカテゴリーなのか?とは思いつつ、非常に面白く読みました。特に興味深かったのは「人間の王」。AIが人間にゲームで実際に勝ち、さらには完全解がもしも見つかったら、人はそれでもゲームをするのだろうか?人にとってゲームとはなんだろうか?と、現実にAIが人間に勝つ現代に一層、考えさせられました。

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2020年01月20日

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たかがゲーム、されどゲーム。
現実を侵食するほどの中毒性がある。
深く潜り、あるいは高くどこまでも登り、行き着く果ては何か?
新たな世界か、世界の真実が暴かれるのか?
6編の物語が語ります。

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2019年12月08日

Posted by ブクログ

囲碁、チェッカー、麻雀、将棋などの遊戯を中心に、それに関わる人間の生き様や人智を越えたものを炙り出すSF短編集。全編通してドキュメンタリータッチの記述形式で描かれ、それぞれの視点から奇妙な物語が浮かび上がってくる。どれも個人の物語から世界を越え、盤上遊戯が抱える命題まで拡散していくが、物語としての骨子がしっかりしているため、非常に読みやすい。扱われている遊戯に馴染みがなくても楽しめるのはやはり土台がしっかりしているからだろう。四肢欠損の代わりに囲碁盤を感覚器に代替し、神の領域に近づく少女を描いた表題作『盤上の夜』は異形ながらも美しく、どこか物悲しい。チェッカーというコンピュータによって完全解が出された遊戯、それに対して挑む男の姿を極限まで掘り下げた『人間の王』は個人的には一番面白かった。滅びゆく二人零和完全確定情報ゲームという題材は、未来に近づくにつれ滅んでいくSFと重なるものがある。それでいて、ゲームを終わらせる機械の存在理由や、いずれくる敗北を予期しつつも挑まざるを得ない人間の王になった男の物語など、掘り下げがとにかく素晴らしかった。将棋の電王戦に対して興味があったり、その行為に疑問を抱いた人なら楽しめるだろう。魔術としか呼べない打ち筋をする現代のシャーマン、代打ちを営む闇のプロ、天才と称されるサヴァンの少年。シャーマンの女に恋い焦がれ狂気に身を落とした凡人の医者、それらが対局する『清められた卓』はバトルロイヤル的な面白さもさることながら、魔術に対抗するための様々な作戦や心理戦、麻雀を魔術で翻弄する女の秘密に迫るというミステリ的な読解の楽しみなどもある。最後その謎が明かされつつ、それでいて亡国の遊戯と言われた麻雀の本質にまで迫る様は読んでいて震えを感じるほどで、とても贅沢な作品だった。他の短編も傑作であり、人間の飽くなき探究心や真理に迫った素晴らしい短編集である。

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2019年05月27日

Posted by ブクログ

私にもっとゲームの知識があれば…と悔やんだ作品。
単なる盤上ゲームを扱った作品ではなく、ゲームそのものの抽象的意味を投げかけるような哲学的な話であったり、そこに掛ける人間の精神性であったりを描いていて、とても読み応えがあった。
正直言って難解な内容。起承転結も掴みにくく、ゲームのルールが理解できないと、本書の魅力は半減すると思う。
それでも静謐たる文章が心地よく、また実在するようにすら感じる人物たち、SFらしい驚きと新鮮さに引き込まれた。


個人的には「人間の王」と、「象を飛ばした王子」が好き。これはどちらもゲームがよくわかっていなくても面白いから、というのもあるけれど。
短編だけど、実は連作小説的にわずかな繋がりもあるお話で、それぞれ独立しているようで、全てがゲームとは何かということに繋がる小説。
深く、そしてあまりにも多様な世界観で、とてもよい読書体験だった。
こんなことを書いたが、内容の10%も理解していないかもしれない。
ゲームのルール以前に、どのようにゲームが動いているのか、なぜその手を打ったのか、そうしたプレイヤー目線ができるようになるには、自分自身も対局を読む力が必要だから…。
盤上ゲームを理解した上で、もう一度挑戦したい。

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2024年12月25日

Posted by ブクログ

チェッカー、囲碁、麻雀は基礎知識としていれておいたほうが読みやすいです。
これがまさかフィクションだなんて信じられません。

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2024年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

碁、将棋、麻雀、チェス、ボードゲームを題材にした短編集。ゲームを巡る人間の執念や狂気がおもしろい。


■盤上の夜
囲碁の話。四肢を失った女流棋士が研ぎ澄まされた感覚と純粋な勝負心から連勝を重ねるが、より感覚を研ぎ澄ますために取り組んだのが外国語という点が面白い。一つの事象や感情も言語によって表現の仕方は多様で、宇宙にも例えられる囲碁の魅力とのつながりがオカルトちっくでありSFっぽくもある。

■人間の王
チェッカーの話。半世紀負け知らずの人間と機械の闘い、そして数学による完全解が証明されてしまったゲームにおいて、人間の王者は何を見たのか。
計算上は完全解明されたゲームであっても、人間がプレイするときには考える楽しさや負けたくないという思いは変わらないのだな。

■清められた卓
麻雀の話。麻雀は運の要素が非常に強く、プロであっても交通事故のような負けに遭ってしまう。何かを賭ければ必然と狂気じみたものになる。
オカルトと数理と度胸がぶつかり合う勝負が面白い。

■象を飛ばした王子
チェスや将棋のルーツとも言われる古代インドのチャトランガの話。教えは易しく、時とともに変遷し、底知れなさがあることで伝承されるという一説に納得。

■千年の虚空
将棋の話。実務派の兄のAIと天才派の弟の頭脳の対決、その間にいるのは魔性の女。データ処理で歴史を正しい一本の道にする量子歴史学というエセ学問に魅力を感じた。

■原爆の局
囲碁の話。他の話のスピンオフのようにもなっている。
碁とは何か、五割の抽象と五割の具体か、九割の意志と一割の天命か。

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2023年09月18日

Posted by ブクログ

囲碁、将棋、チェス、麻雀などのボードゲームを題材にしたSF短編集なのですが、史実に基づいた描写も多く、いわゆる「SF要素」が薄めな作品も多いです。

ただこの「史実」と「フィクション」の織り交ぜ方や、独自の解釈が非常に読ませる作者さんで、ゲームのルーツや歴史についても飽きずに読めます。

人間プレイヤーVSコンピューターの視点はやはり、現代の観点からボードゲームを見るに当たっては、避けられない話題なのでしょうか。

麻雀を題材にした「清められた卓」なんかは麻雀のルールを知らずとも引き込まれてしまったし、「三角関係」という表現では生ぬるい、倒錯した性関係・愛情関係がもつれる「千年の虚空」も良かったです。

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2023年01月15日

Posted by ブクログ

囲碁、麻雀、将棋などのボードーゲームを題材にした短編集。

特殊な過去や設定を持つ登場人物達のストーリーにワクワクしたし、共通のテーマである「なぜそのゲームをプレイするのか」という部分もそれぞれ違っていて面白かった。

架空の話に現実の事件や歴史を混ぜてあるのも上手い。

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2022年12月28日

Posted by ブクログ

盤上ゲームをテーマにした短編集

収録は6編
・盤上の夜(囲碁)
・人間の王(チェッカー)
・清められた卓(麻雀)
・象を飛ばした王子(チャトランガ)
・千年の虚空(将棋)
・原爆の局(囲碁)

四肢を失った女性
生涯ほぼ負けなしのマリオン・ティンズリー。
宗教団体教祖の女性、プロ雀士、サヴァン症候群の少年、一人の女性を追いかける医師
父親に捨てられた王子
将棋で現実世界に影響を与えようとする弟、ゲームを殺すゲームを作ろうとする兄、二人の人生に大きく関わる女性
広島に原爆が投下されるまで打たれていた一局


・盤上の夜
四肢を失う経緯がちょっと……
ただ、解説でも書かれてある通り、不幸そうではないというギャップが物語の雰囲気を魅惑的なものにしている
棋譜と自身の感覚器と言語を結びつける発想はとてもユニーク

ま、言葉が先にあるのか、物事が先にあるのかというのは物によるんじゃなかろうか
基本的には現象が先ですけど、先に言葉が存在する社会では順番が逆になるケースもありますからね

将棋の読みは、マンガではハチワンダイバー、3月のライオンのように「潜る」と表現される事が多いけど、氷壁を登るという比喩もなかなかしっくりくる
登るルートは複数ある中で正解を探すという行為を極限状態の中で繰り返す行為のようですものね

ちなみに、私の囲碁に関しての知識は「ヒカルの碁」に影響されて基本的なルールを知ってるくらい
当時は将棋人気を抑えた盛り上がりをみせたものですけど、あれ以来ぱっとしないですね


・人間の王
読んでいくうちに、「架空のキャラじゃなくね?」という思いと「この勝率は非現実的過ぎだろ」というツッコミを入れたくなったものの
後で調べてみたら作中の設定は勝率も含めてほぼ実話
この人、マジで最適解が見えていた人なんじゃねーの?と思ってしまう

ちなみにチェッカーはなんとなくのルールを知ってて、これを読んだ後にちゃんと調べてみた
確かに他の二人零和有限確定完全情報ゲームよりはプレイヤーの選択肢は多くはないけどさ
だからといって人がそこまで読み切れるものなのか?


コンピュータによるゲームの解析と、人との対戦という意味ではチェスでカスパロフがディープブルーに負けたあたりが一つの転換期でしたね
チェスに限らず将棋にしても、評価値の精度が上がったので知識のない観戦者でも容易にどちらが優勢かを知ることができるようになったのは良いことだと思う
加藤一二三が言っていたように、人のサポートとしてのコンピュータとしてプロが研究に使えるようになったのも面白い
また、コンピュータ同士でも1年前のソフトでは勝率が落ちるという、今でも完全解明には至っていないというあたりにもまだ人の入り込む余地がある気がする


・清められた卓
他の話に対して、麻雀だけが運の要素がルールの時点で含まれている
そして手札が明らかにされない事により、心理的な読み合いも含めて描けるのは創作の題材としてはやりやすいでしょうね
実際、麻雀マンガって面白いですしね

ランダムなものでも、むしろ完全にランダムなものだからこそ「流れ」に相当する連続で同じ目が出続ける現象は起こる事は証明されているわけで
ツキというものもあるのはわかる
ただ、それは連続の試行の末、結果的に「ここかそうだったんだね」と言えるものなわけで、今その流れになっているかどうかは現在進行系ではわからないんですけどね
その偶然性にストーリーをもたせる手腕は評価したい


・象を飛ばした王子
チャトランガというチェスや将棋の起源とされるゲームの架空の発祥のお話

ブッダの息子、ラーフラ
「聖☆おにいさん」のイメージが強く思い出されてしまって、物語に没入できなかった(笑)


・千年の虚空
壮絶な生い立ちの三人
兄はゲームを終わらせるゲームで世界を変えようとし
弟は将棋で現実に影響を与えようとする

歴史研究の新たな方法の設定が面白かった
ただ、実際にやろうとしても、統計的な観点から数の暴力で結果がブレる気がする
結局、事実は一つでも真実は人それぞれですからねぇ


・原爆の局
戦時中、戦後の囲碁の歴史の一部
厳しい情勢下でも続けた人たちがいるからこその現在なんだと思う

果たして、囲碁は二人零和有限確定完全情報ゲームなのか?
打った石が生きるかどうかは理論上は可能だとしてもそれを計算できるわけではないので、現実問題として運の要素はあるのかもね

そして最後のセリフがとてもよい





総括として、それぞれの話に直接の繋がりはないが、全て合わせて一つの流れになっていると思った
人の可能性、コンピュータの存在意義、ゲームの神秘性、ゲームによる現実への影響力など、他の話と複合的なものが描かれている

あと、「失ったものと得たもの」というのもテーマにあるかも
ゲームの一手にしても、何かを失うながらも何かを得るという選択の積み重ねの上に成り立っているという事なんじゃないかとも思った

ってか、解説で冲方丁が語っている以上の事は言えないかな
あの解説で十分なんじゃなかろうか?

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2022年02月11日

Posted by ブクログ

最初は衒学的な表現が鼻につくなぁと思ったけど、「飛び抜けた異能」を本当に実在するみたいに描こうとする意思に心を打たれた。はじめと終わりがイマイチで、間の話はどれも面白かったな。

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2021年02月18日

Posted by ブクログ

碁・将棋等のボードゲームを題材とした連作。
盤を通して肉体が拡張され、神と対話し、時間を超えて過去に未来につながり、そしてまた、現実世界へと広がっていく。
初読では、麻雀の専門用語がわからず雰囲気で読んだけど、再読では深く読みこめてより面白かった。

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2021年02月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんだこれはいきなり都市伝説が出てきたぞそんな話か…? と悪い意味で意表を突かれた書き出しだったが、物語が進み始めるとその第一印象もどこかに飛んでしまうほどで、やっぱり上手かった。
「それでも、二人の棋士は、氷壁で出会うんだよ」という由宇の言葉に、読み手は相田とともに涙する。
他の収録作も、それぞれ盤上遊戯において異能を持つ者たちの尋常でない世界を巧みに彫り上げていると感じた。
が、表題作のエピローグ的な一面も持つ、最後に収められた書き下ろしの「原爆の局」については、あるいは若干の蛇足だったかも…「盤上の夜」のラストが美しかっただけに。

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2020年09月12日

Posted by ブクログ

すごいものを読んだ、と思う。
いったいどこに連れていかれるのか全く予測できない、短編とは思えない密度の濃いお話ばかり。

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2019年10月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFは、科学技術の革新による人々の思考や社会制度の変化を見るのが好きだけど、こういう「個人」と囲碁・チェッカー・麻雀、チャトランガ、将棋といった組み合わせから、思いがけないSF要素が切り取られるのも面白いなぁ。

囲碁の触覚と肢体が繋がり、表現は架空の口腔の植物相の言語、人は老いる、人はAIに負ける、人を作ったのもチェッカーのプログラムを作ったのも神、ティンズリーは虚無と戦う、狂気が重なり合う麻雀と共振動、、、

ゲームとSFを通して、人間の根源的な一面を垣間見られるようだった。ほぼ数ページに一度以上、心を揺さぶってくるフレーズが出てくるので、すごい。

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2019年09月18日

Posted by ブクログ

間違いなく面白い。
作者は、今回に限ってはだが、盤上のゲームという角度から
世界を描く。
間違いなく、文筆家、小説家としての力量がすごい。

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2019年05月10日

Posted by ブクログ

ゲームにまつわる(連作気味)短編集。著者の文体、ほんと好き。
『盤上の夜』5…囲碁。四肢のない女流棋士。
『人間の王』5…チェッカー。無敵のチャンピオン対コンピュータ。
『清められた卓』5…麻雀。新興宗教の教祖の秘技。
『象を飛ばした王子』4…チャトランガ(古代チェス)。ブッダの息子がゲームを発明。
『千年の虚空』4…将棋。政治家の兄と棋士の弟と共依存の女の共同生活。ゲームを終わらすゲーム。
『原爆の局』4…第一話の登場人物らが再登場。

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2019年03月08日

Posted by ブクログ

一度読んでみたかった作家の、デビュー作にして話題作。SF寄りの文学作品って言っても差し支えないくらい、洗練された筆致で描かれる。将棋はルールが分かるってくらいのレベルで、麻雀や囲碁はそれすら危うい自分だけど、そんなこと知らなくても関係なく楽しめる内容。ゲームそのものに対して疑義を投げかけるっていうか、根っこから改革するってのが根本的なテーマに据えられているから、ルールなんか関係ない、ってのはまあ、当然っちゃ当然なんだけど。ただ個人的にはちょっと取っ付きにくく感じられたことも確かで、大のお気に入りとまではいかなかったんだな。

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2019年02月20日

Posted by ブクログ

出て来るゲームについてほとんど知らない、かろうじて将棋の駒の動かし方がわかるくらい、なのに囲碁や麻雀の話に比べて将棋の話は一番将棋知らんでも関係ないというね。インドの話もゲームできるかどうか関係ないか。
どこがどうと言われると困るんやけど、読後感としては小林恭二の「ゼウスガーデン衰亡史」。何やろな、連作短編やねんけど、一冊トータルとしてスケールがデカい。

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2019年01月31日

Posted by ブクログ

第147回直木賞候補、第33回日本SF大賞受賞作品。

囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋をテーマに、そのプレイヤーたちにとってゲームとは何かを一人のジャーナリスト目線で描く連作短編6篇。

表題作の主人公灰原由宇の凄みに引き込まれ、そのラストシーンの美しさにやられた。
そして彼女は最後の短編「原爆の局」にも再登場し、成長した姿を見せる。
原爆投下の後も対局を続けたという本因坊戦のエピソーと、「棋士は、いつも内なる火と闘っている。外の火など、いかほどでもない」という相田の言葉に、昨年の名人戦で震度4の揺れをものともせず、集中を切らさなかった藤井名人の姿を思い出した。

闘う者たちの姿を側から客観的に見つめるジャーナリストの「わたし」の位置付け。冲方丁の解説を読んでなるほどと感じ入った。
そして、闘うものの傍で一人負い目や孤独感を味わう「わたし」に対し、自らの万年筆を与えた相田の優しさ。

今まで好んで読んできた将棋小説とは異なり、なかなか哲学的な表現もあって難しくもあったけど、読後はとても良かった。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

あまりハマらず
それぞれのゲームに打ち込んでいれば、読み方は違ったかもしれない
麻雀の回はおもしろかった

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2024年12月31日

Posted by ブクログ

ボードゲームを題材とした短編集。
どの短編も面白いのだが、自分はチェッカーと麻雀を題材とした短編2本が特に面白かった。
チェッカーの絶対的王者がいたのは別作品で知っていたが、それを使ってこんな短編に仕上がるのかと。ボードゲームにコンピューターを組み込むのは現在珍しい事では無くなっているが、なるほどそう来るかと。
また、麻雀の短編では全くこのゲームを知らない人に比べると少しでも知っている方が段違いに面白かったと思う。私は面白く読めました。参考文献に亜空間でぽんを見かけた時にはフフッと。
しかし、全く知らない物でも単語くらいしか知らない囲碁の話でも面白く読めたから大丈夫かな。
どの短編でもゲームを通して人と人ならざるものとの関係を思わされて面白かった。
もしかしてどの分野でもトッププレイヤーになるとその境地に達するのかな。
そしてどの作品もフィクションでありながらノンフィクションかのように読ませるのも面白かった。部分的にノンフィクションをちりばめられているから余計にそう読まされるのでしょうがこの点も面白かったです。

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2024年11月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ボードゲームを題材とした話の構成に、おっ!と思わされました。個々のエピソードそれぞれについては、ちょっとトンデモ?な感じも含めて、しっかり読ませてくれてよかったのだけれど、最後のエピソードが若干蛇足 or 物足りない感じ。ここが、これまでのエピソードを集大成して、振り切った最高潮の盛り上がりを見せてくれたなら、忘れられない本になったのかもしれないのだけれど…。

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2024年02月12日

Posted by ブクログ

2012年の第33回SF大賞受賞作品ではあるが、内容は一般的なSFとは少し異質な印象。このような作品でもジャンルの作品として受け入れ、評価できるのがSFの強み。

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2023年05月07日

Posted by ブクログ

一冊の本で、こんなにも満たされるとは思いもしませんでした。
6つの話で構成されているのですが、どの話も違った魅力があって最後まで夢中で読むことができました。
ルールや用語がわからないものばかりだったのですが、それでも読んでいて惹き込まれ、盤上の美しさにうっとりしました。 滅多に出会うことのできない素晴らしい作品に出会えたことが嬉しいです。

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2021年09月16日

Posted by ブクログ

全体的な短編の完成度はかなり高かった。
現実から離れた設定だけど、安っぽいラノベと違ってたしかな筆力で読ませてくれた。人物造形もしっかりしてるし、語り手から見える世界に読者の自分は魅了された。
二編目のシェーファーの話が素晴らしくて、一種の歴史小説に近いと思う。こういう徹底さには勝てないなと思う。
でも、それ以上に麻雀の話があまりにもおざなりすぎて、評価が一気に地の底に落ちた。ほかの短編のゲームに精通していない自分にはわからなかったけど、囲碁やってる人でも最初の短編すんなり読めると思うんだよね。ただ、麻雀はさすがに雑すぎ。マジで舐めすぎ。作者もともと麻雀プロだったっていうけど、さすがに傲慢すぎる。突飛な設定自体にあーだこーだ言いたいわけじゃなくて、作品に対して誠実じゃなさすぎ。アイデアを切って張ってるのが見え見えすぎるし、そのアイデアがあまりに稚拙。将棋でいったら「相手の二歩を狙っていた」みたいなそんなレベルに近いと思うわ。
ちょっと重い文だけど、作品自体は好きだからほかのは見ていくけど、この人が麻雀にかかわる作品は自分の中で総じて見る価値ない。

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2021年03月29日

Posted by ブクログ

ボードゲーム。SF。
SFではあるのだろうが、ハッキリとしたSF要素は薄い。人間の隠された能力というか、進化の可能性のようなものは感じた。
SF要素が強いのは既読の「人間の王」。人工知能。
一作だけ異様な世界観の「象を飛ばした王子」。
狂気を感じる「千年の虚空」。
以上3作が印象的。

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2024年04月18日

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