あらすじ
第11回高校生直木賞&第4回加賀乙彦顕彰特別文学賞 受賞。
第170回直木賞&第40回織田作之助賞ノミネート。
1977年、エストニアに生まれたラウリ・クースク。コンピューター・プログラミングの稀有な才能があった彼は、ソ連の研究者として活躍する道を目指す。だがソ連は崩壊し……。時代に翻弄された人物を描き出す、かけがえのない物語。《解説・マライ・メントライン》
絶賛の声続々のロングセラーがついに文庫化
書評掲載一覧
■「ダ・ヴィンチ」今月の絶対はずさない!プラチナ本(2023年10月6日発売、11月号)
■「女性自身」書評(2023年10月3日発売号)
■毎日新聞「エンタメ小説 今月の推し!」評者・内藤麻里子さん
(2023年10月1日掲載)
■「朝日新聞」書評 評者・澤田瞳子さん
■「読書人」書評 評者・八木寧子さん(2023年9月29日発行号)
■「朝日中高生新聞」書評 書店員・江藤宏樹さん(2023年9月24日発行号)
■ 「小説現代」10月号(2023年9月22日発売) 評者・三宅香帆さん
■「好書好日」書評 「日出る処のニューヒット」(第6回)
評者・杉江松恋さん(2023年9月21日掲載)
■「週刊文春」書評 評者・米光一成さん(2023年9月21日発売号)
■「産経新聞」書評 評者・ホラン千秋さん(2023年9月9日掲載)
■「日経新聞」書評(2023年9月9日掲載)
■「週刊新潮」書評 評者・石井千湖さん(2023年9月9日発売号)
■Youtube『松井・杉江の「エンタメ丼」2023年9月号・その3』
杉江松恋さん紹介
■「週刊ポスト」書評(2023年9月4日発売号)
■「毎日新聞」文芸月評 評者・渡辺祐真さん(2023年8月30日掲載)
■「共同通信」文芸月評 評者・渡邊英理さん(2023年8月28日配信)
■「読売新聞」書評 評者・小川哲さん(2023年8月27日配信)
■「週刊現代」書評 評者・木澤佐登志さん(2023年8月21日発売号)
■「毎日新聞」文芸月評 評者・大澤聡さん(2023年7月26日掲載)
■「読売新聞」文芸月評 記者・武田裕芸さん(2023年6月27日掲載)
インタビュー掲載一覧
■「an・an」 聞き手・瀧井朝世さん(2023年9月13日発売号)
■「AERA」 ライター・古谷ゆう子(9月14日発売号)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
小説というのは純粋に中身を楽しむものもあれば、その中身に自分の人生に類似ている部分を見つけて、同じ状況ながら違う選択をしたり、もしくは未選択な今の状況の選択後のシミュレーションを見せつけられるような内容もあると思う。自分にとってはまさに本書は後者であり、単行本が出たときにも読んだが、今回文庫化されてもまだ同じ状況の自分にとって今回こそは行動を起こさねばと思うのです。
本書のラウリ・クースクというのはエストニア人。どうやら本書の語り手はかつてラウリを知っていた人物であり、今必死で探していることがわかる。ラウリとはある時点で別れたのだが、ラウリの知り合った人物を訪ね歩き、ラウリがいつの時点でどうしていたのかを知っていくという構成。そんな構成ながら、あれ、この語り手は?という部分が結構ミステリ的だったりもしてそんな点も面白い。
ともあれ、私も高校時代の友人とかつて18年前に偶然再会し、そんな奇跡的な出来事があったのに連絡先を失くして以降、どうしているんだろうとほとんど毎日のように心のなかで問いかけている。実家住所は知っているので手紙を書こうと思うのだけど、果たして彼はどう思ってくれるのか。でもこの本を読み返したし、今度こそ手紙を書いてみようと思う。ありがとう、宮内悠介さん。
Posted by ブクログ
石田衣良さんのラジオで良い作品として話題にあがっていたのでチェックしていましたが全く見つけられず… 文庫化されているのを発見して即買いしました。
自分が抱えている悩みや苦しみが、この時代・この国で生きた人と比べるとスケールが違い過ぎて情け無くなります。 ジュブナイル的な章と今の彼らの再会する章がエモ過ぎて堪らない作品でした。
ラウリ、イヴァンはそこに居るんだよ。まさか会わないなんて事ないよね?とハラハラしました。とても楽しかったです。
Posted by ブクログ
第11回高校生直木賞、第4回加賀乙彦顕彰特別文学賞受賞。第170回直木賞候補作。
エストニアの小さな村に生まれた一人の男性が辿った人生の道のりを描くことで、旧ソ連の崩壊と国家の独立、ナショナルなアイデンティティの確立と「記憶の戦争」のただ中で生きることを余儀なくされた人々の生が書き込まれた小説。物語の最終盤で叙述トリックが仕掛けられていて、「ラウリ・クースク」を探していた語り手が、少年時代の彼の唯一の親友・イヴァンだったことが明かされる。
バルト三国の中でもエストニアは、ロシア系住民とエストニア独立派との歴史認識をめぐる対立が先鋭化した土地だったことは、知識としては知っていた。しかし、第二次大戦後の反ソ連派(作中では「森の人々」と語られる)の評価・位置づけを含む、根深い葛藤と対立が伏在していたことに改めて気づかされた。
巻末のマライ・メントラインによる解説も秀逸で、ラウリとイヴァンとカーテヤとの再会をハッピーエンドとして終わらせないことで、「わかりやすい物語」として消費されることを拒む作者の姿勢を的確に捉えている。人間はそんなにドラマティックな人生を生きないし、一度起きてしまった対立や葛藤はそんなに簡単に「和解」などできない。本作の淡々とした語りの展開は、安易な物語=ナラティヴだけには流れない、という静かな決意に支えられている。
Posted by ブクログ
ソ連の崩壊とバルト三国の行く末に翻弄された3人の少年少女。いつしか大人になり3人は何を得て何を失ったのかを追うような物語だった。
ソ連やエストニアについて深く知らなくとも、ソ連が昔崩壊したんだったよなぁというくらいの知識でも読めるし、歴史の複雑さや詳細がテーマではなく、友情が根底にあったからこそ高校生直木賞にも入ったのだろう。
もう一つのテーマとしてはその時代に翻弄された市民の一人の物語であり、個人の苦しみ、葛藤が身近な存在として感じられることにある。
輝かしい時代もあり、燻るような時代もある。それらを経た後、去来する想いに心を馳せることのできる作品で、読み終えた時、一抹の哀しさと共に清々しい気持ちになった。
生きていこう、どんな時代が訪れても興味関心を持って自分ができることをしていこうと感じた。
Posted by ブクログ
1977年、ソ連統治下のエストニアに生まれたラウリ・クースク。
幼い頃より数字に強い興味を持っていた彼は、次第にプログラミングの才能を発揮していく。
周りに同レベルでプログラミングについて話せる人もおらず、孤独感を抱える中で、もう一人の才能・イヴァンとの運命的な出逢いが訪れ、まさに切磋琢磨の関係で、互いにプログラミングの能力を磨いていく。
やがて新しい友人・カーテャを加え、3人で充実した時間を過ごす。
が、ソ連からの独立を求める機運、その後のソ連崩壊という時代の流れに翻弄される形で、3人の運命は別々の方向へ動き出し…
ラウリの人生を追う記者の取材(現在)と、ラウリ目線のエピソード(過去)が順番に綴られ、立体的に話が展開していく。
過去のしがらみや後悔を一部は自分なりに乗り越え、一部はどこかで引きずり、激動の時代をなんとか生き抜いていく姿に、いろんな感情が揺さぶられる。
ラストは温かい気持ちで読み終わることができた。
最初思っていたより遥かに深みのある素晴らしい作品だった。
Posted by ブクログ
超IT先進国であるエストニア。その黎明期を舞台とした青春小説。
まずエストニアの歴史をあまり知らなかったのでその点興味深かった。
ちょうど歴史の転換点で、翻弄され、悪い方へ流されてゆく主人公ラウリの半生はなかなか読んでいて辛いものがあったけど、終盤の展開は胸が熱くなるものがありました。友情っていいなと心から思える一冊です。
Posted by ブクログ
単行本で読んで好きだったので文庫化されて再読。エストニアについて知れるし、歴史的なうねりの中で、ラウリとイヴァンが再会するシーンにはジーンときました
Posted by ブクログ
SFかと思ったら違っていた。
歴史に名を残す偉業を成し遂げた訳ではない、でも着実に実績を作った人の人生を追いかけるようなお話。
エストニアがIT大国とは知らなかったなぁ…
自分もウクライナの戦争が始まってきちんと調べたんですが、モスクワって西側諸国に非常に近い場所に位置していると知り、なるほどだからNATO加盟が脅威なのかと改めて思った記憶があります。
ゴルバチョフやエリツィンという名前も、ペレストロイカもなんとなく記憶にはありますがきちんと調べてみようかと思いました。
ラウリの板挟み間が非常によくわかる。争いたくないだけで、どうしたいという強い意志が無い、というような。好きな学問を好きな人と追及したいだけなのに、それがうまくいかない。やっぱり平和って大事だなぁと思います。戦争は始めてしまうと終わらせるのが本当に難しいんだな、ということも昨今の事情を思うとうんざりします、本当に…
色々な立場や考え方が違っても、一緒に共存できる場があるといいのになぁと切実に思います。