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――沙漠の国で奇跡が起きる――
第157回直木賞候補作にして、第49回星雲賞受賞作!
受賞歴多数、最注目の新鋭・宮内悠介が描く、爽快すぎる冒険譚!
沙漠の小国家、アラルスタン。日本人少女ナツキは紛争で両親を失い、国の教育機関“後宮”に引き取られることに。
同じ境遇の仲間と気楽な日々を過ごしていたが、大統領が暗殺され情勢は一変。
国の中枢のほとんどが逃亡、反政府軍が襲来する絶体絶命の危機に陥ってしまった!
ナツキは仲間の立ち上げた臨時政府に参加し、自分たちの居場所を守るために奮闘するが……。
どんな困難も笑い飛ばして明日に進む、乙女たちの青春冒険ストーリー!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
この本の良さは、文庫版の辻村深月さんの解説に語り尽くされている気がする。以下、恐縮ながら抜粋:
「架空ーーではあるものの、その設定におけるリアリティの厚みにまずは驚愕する。」
「中央アジアのシビアな現実の緊張感と、彼女たちの関係性からいずる青春小説さながらの楽しさの緩急に、ページをめくる手が止まらなくなる。そして期待は裏切られない」
「この軽さが意図的でないはずがない。」
「…いつ沈むとも砂に呑まれるともわからないギリギリの場所で踏みとどまる彼女たちの歌劇と青春がこんなにも愛おしい。私はこれを、宮内悠介のフィクションの勝利だと思う。著者がフィクションの力を信じていなければ、この物語は絶対生まれなかった。」
「自分と同時代に宮内悠介のような作家がいて、私はとても幸せだ、と。」
フィクションをこよなく愛する人に、お薦めです。
Posted by ブクログ
――
この国の名は、アラルスタン。かつて、アラル海とよばれた場所だ。
移住してきた多民族による新興国。油田とイスラム系反政府組織を内部に抱え、隣接する国々とその向こうの大国とが利権を争う小国。
独立記念日に大統領が演説中に暗殺され、議会がまるごと逃げ出した爆発物みたいなその国で、大統領直下の特殊教育機関“後宮《ハレム》”に属する少女たちは、自分たちの場所を守るために国家の運営に乗り出す。
……なにこのあらすじ(笑
この物語はフィクションです、って何処へ向けてるか解らない注意書きとはまるで違う、これぞフィクションだ! と胸を張っているかのような強度と速度。
立ち向かうものは大き過ぎて、根深過ぎて、
それでいて、いやそれだからこそ?
少女たちの物語は、軽やかに進む。
読み終わって、この物語が内包する(というか、この物語が成立するための要素であるところの)中央アジア情勢、議会政治の堕落、国家・民族間の確執、大人と子供…などなど、そのどれに方が付くわけでもないし、何か大いなる教訓が得られるわけでもない。
それでも、前を向いて考えて歩いてりゃ、悪いことばっかりじゃねぇし、悪い奴ばかりでもないんだよなぁ、という、
本当に恥ずかしいんだけど、そんな感想がいちばん大きい。
あるいは民族的、宗教的問題の中で、ナツキという日本人はある種浮いた存在に見えかねないのだけれど、
個人的にはそれもプラスの要素に感じられました。
ナツキみたいな日本人こそが、本当に旅人になれるのかもしれない。
ちょっと言い過ぎか? まぁ影響力無いからいいだろ←
そもそもナツキも日本育ちってわけじゃないしね…なんていうか、ニュートラルな存在?
国籍や民族で性格が定まるとは思わないけれど、
民族的な遺恨や禍根、してきたこと、されたこと。
そこから離れて、それを深く理解しながら、けれど問題は個人のものとして捉えられるニュートラルさ、というか。
そこにいる、ということを受け容れて、そこにあるものを繋いでいける強さ、というか。
何かが欠けている、から、そこを埋めることができるんじゃないか。
そんな、希望というにはあまりにも手前勝手な、
でも輝いて見える、何かが、あります。
あらゆるひとに、読んでほしい一冊。☆4.6
Posted by ブクログ
『Another side of 辻村深月』で辻村深月先生が解説を書くならば、その物語をきちんと読まなくては、という心持から手に取った本。
タイトルから、純和風な舞台を想像していましたが完全に裏切られました。
架空の中東の国が舞台ですが、独特の固有名詞や後宮の仕組みなど設定が練られているので薄っぺらいということはないです。
まるで獣の奏者を読んだときのような気持ち。異世界に触れるような。
舞台は架空の国かもしれないけれど、そこで描かれる政治的かつ外交問題なんかは現代の世界でもどこか通ずるものがあると思うので他人事とは思えない。
悲しいかな、議会の男が逃げそうなのは今の日本では想像つくけれどうら若き乙女が政を取り仕切るのは想像できない。でも、だとしても、自分がこの国を、と思えるくらいにまじめに考えるのもアリなのではないか?と思った。
自分が、ではなく、読者それぞれが。
小難しい言葉が出てくるラノベ(ラノベ読んだことないのですが)というような気持ちになったのは、ご都合主義的なハッピーエンドだからかもしれないですが、一生懸命行動する人が報われたり、運が向くのは希望が湧きます。
あーこの人死ななくて良かった、というのがあって、読後感もすっきりできて良かったです。
Posted by ブクログ
ありそうでなさそうな、なさそうででもこういう事も起こりそうなお話。とはいえ10代、20代の女の子に大の男(しかも軍人)がホイホイ従ってくれるかなぁ?という辺りでは大分ファンタジーですが…
現職大統領が暗殺され、権力者が逃げ出した後でその場に残った女性陣が踏ん張る、というとても現実になったらいいなぁというお話です。まぁ女性じゃなくても本気でその国の未来を憂いている人なら男性でも良いんですけどね。
面白かったんですが、個人的に主人公の一人に日本人を入れなくても良かったんじゃ…と思ったり。5歳にして両親を亡くしても取り乱さないとか、ちょっと変だし。その割に学生になったら普通の子みたいになっていて違和感を覚えました。どういう設定なんだろうか?
とはいえ日本人が居ないとファンタジー世界みたいになっちゃうかのかなぁ。大分ファンタジーではあるのだけれども。面白おかしいエンタメ作品のような、キナ臭い今の世界に起こっても不思議ではないような、その辺りの調整が上手だなぁと思いながら読み終えました。
ママチャリ君は最後までモブで終わったのでちょっとほっとしました。彼が政権の中枢なんかに入ってきたらそっと本を閉じるところでした。
それにしてもバイクの彼が運命の人だったのは設定盛り過ぎてる気もしないでもないですが…
Posted by ブクログ
宮内悠介作品の中ではお気に入りの一冊なのです。
単行本も持ってますが、文庫もあらためて購入して再読しましたー。
中央アジアに位置する、架空の砂漠国家アラルスタン。
他国との紛争で居場所を失った少女ナツキが拾われたのは「後宮」。そこは、単なる大統領の側室コミュニティではなく、まさに大学級の教育機関として機能していた。
個人的にはね、アラブを舞台としながら「後宮」を特務機関にしちゃう、この発想が好きなんです……。
ナツキが、アイシャが、ジャミラが、流行ファッションや美味しいご飯を取り巻いてキャッキャと語らう一方で、国を守るための戦略を練り、AIM(アラルスタン・イスラム運動)という反政府組織とも対バン張っちゃうという。
アラルスタンの大統領暗殺という大きな事件の中で、国の力を弱めず存続の道をどうにか体現していこうというテーマ。
そこに絡んでくる「雨」のキーワードも印象的なのですよねー。
砂漠地帯にとっては恵みの象徴、でもチェルノブイリを経験した人々からすると災厄の象徴。
アラブ地域は今なお、力のある国家によって翻弄され続けている。こうしたキーワードから、考えの違いを浮き彫りにすることで相容れなさをうまく表しているようにも思うのでした。
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小説・文芸
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