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Posted by ブクログ
愛衣が小中高と大人になる過程を一緒に追える作品。他人が嘘をついているのが匂いで分かってしまうせいで、友人と本物の関係を模索しすぎて空回りしていた。私たちは普段、友達や家族の本音を知りたいと思うが、本音や嘘が全て分かってしまったら、他人と関係なんて築けないのだろう。隠しておいた方が良いこと、嘘をつかなければいけないこと、それがあることを大人になる過程で学んでいく愛衣だった。吉乃の自分を自分だと主張できるところに憧れを抱き、少しでも吉乃に近づきたいと思う。憧れの人だからこそ、タバコを吸う吉乃が見られたことは嬉しいが、そうやって理想の人も何かと裏があり、自己を保っているということを知る。憧れとは程遠く、友達を作ることに精一杯になり、関係を拗らせてしまう。なりたい自己との乖離はなかなか埋められないものであり、ときに自分を苦しめるものになる。大人になっても周りの人との関係は続き、誰もが誰かと関わらなければ生きていけないのだと思った。愛衣の子どもの優里が私の幼少期にそっくりで、私の親もこんなこと思っていたのかなと思った。
Posted by ブクログ
人が嘘をつくと、匂いで敏感に察知してしまい、距離を置いてしまう。
そんな特質をもつ愛衣の、小学生時代から大人、そして母親になるまでの物語。
仲良くなりたくて嘘をついたこと。
デザインじゃなくてブランドを重視するようになること。
独りが嫌で”友人ごっこ”をすること。
友達になりたいけどなれない、遠い存在で憧れの女の子のこと。
ショッピングモールは「なかなかいけない夢の楽しい場所」から「遊ぶにはダサい場所」になること。
「学校以外の場所で会う友だち」という、宝石のような存在。
それぞれの世代での女の子の友情の「あるある」が描かれていて、それぞれに共感した。
「本物の友だち」を、幼い頃の私もずっと切望していた。
いや、大人になったはずの今もなお、求めている。
流行やニュースから、各時代がわかって、あの曲だとかあの事件のことだとかピンとくるのも楽しかった。
短編の中では、「ブラックシープの手触り」が好きだった。
この作者のほかの著書も読んでみたい。
Posted by ブクログ
同世代だなぁーって。そうそう、消しゴムの交換とか、ウサギのお世話とか、SPEEDとか酒鬼薔薇聖斗とか、三木道三とか全部同じ時代に生きたので思わず唸るほど懐かしい。そして現代のポケモンGO。。わたしもハマったから、ここに飛んだかって。
本当に思ったよりも友達って選べない。いつの間にか友達になってるしなくなってる。失う方が多かったような気もするし、意外なあの人とまだ繋がってるってことも多い。
ウソの香り、さぞかし香ばしいんだろな。しんどいだろうな。
人付き合いの難しさをすごく丁寧に描いていて読んでいて苦しくなりながらもわたしは大好きでした。
Posted by ブクログ
奥田亜希子さんの新刊に飛びつく。
ややネタバレ含むので、注意。
小学生時代から、章を追う毎に大人になってゆく愛衣は、他人が嘘をつくと、匂いで分かってしまう不思議な感覚を持っている。
そして、そんな感覚があるからこそ、友達という関係性に怯えてしまう。
小学生の愛衣が、憧れの女の子に合わせるために、嘘をついて、自ら匂いを発してしまうシーンは、読んでいて本当に辛くなった。
結局、その女の子には嘘がばれてしまい、そんな子とは友達になれない、とハッキリ断られてしまう。
愛衣のこの体験は、中学生になっても尾を引く。
でも、愛衣がしたことは、すごくよく分かる。
この頃、誰かと一緒にいるという事実は、とても貴重な意味を持っていたように思う。
今なら、そっと距離を置いたり、はたまた表面的に付き合っていけただろうという友達も、当時は従って離れないようにするしかない存在だった。
それは、クラスとか近所っていう、狭いコミュニティしか知らない頃だったからかもしれない。
同じクラスの数十人、家が近い数人、その中で確実な友達を見つけるなんて、今思えば無謀だよなー。
高校、大学になって愛衣の領域は広がっていく。
と同時にこの作品の年代設定も、ケータイの登場、ブログの普及、スマトラ沖大震災、ポケモンGOと平成の初めから終わりに向けて進んでいく。
母親になった愛衣が、娘に対して、友達について言葉にするラストシーンは、中学の時から随分成長していて、すごく良い。
友達になることばかり、慎重に試みてきた彼女が、友達であることに目を向けたんだなと思う。
レビューにすると、ストーリーを追ってしまっただけのように思うのだけど、描写がすごく上手い。
読んでいて、誰かとのズレを感じたときの、ザラっとした感じとか。ひゅうと温度が下がる感じとか。そういう、自分が味わってきた、あの距離感を、すごく的確に表している。
「テスト用紙のドッグイア」なんて秀逸な章タイトル、忘れられないわー。
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