武藤浩史の一覧
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ユーザーレビュー
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NOWHERE↔EREWHON。どこでもない場所をイメージされた題名なのだと思いますが、どこでもない場所の反対語はどこか特定の場所でもあり、その特定の場所として2021年現在の世界が重なりあうことに驚きます。そしてNOWHEREがユートピアさとしたら、その反対はディストピアであり、それは今の社会なの
...続きを読むか…1872年出版の本が2020年に翻訳出版されたのは翻訳者の今、再び読まれるべき本としての熱い想いがあったからなのかもしれません。あとがき、ではなく解題、として翻訳者自ら補助線をひいて解き明かすシンギュラリティ、格差社会、宗教の位置づけ、子どもの教育、という現代的テーマの150年前の予言も、このタイミングだからこそ自分事化できるような気がしました。さらに、たぶん本書の刊行予定の際は見えてなかったwith coronaの世界がさらに、それを加速しています。なんとなくCOVID-19によって世界は産業革命ぐらい、変わるのではないか、と感じていましたが、まさに産業革命の後の変化の時代に書かれたSF(?)が、こんなにシンクロするなんて。ニューノーマルって、まだまだ分からないけど激動なのかもしれませんね。そして本書、そして「資本論」(1867年)「種の起源」(1859年)「夢判断」(1900年)のように世界を変えるコンテンツが、ここ10年ぐらいで生まれてくる予感。
Posted by ブクログ
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未開の地を求めて探索を始めた青年が辿り着いた国家での体験記を描いた作品。国家の滅茶苦茶な論理ができる成り立ちを知った途端、戸惑いを隠せなかった。時代を超えた警告に我が身を正さざるを得なかった。
Posted by ブクログ
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ディストピア小説の源流とされる本の新訳版が出版されたので読んでみた。
ものすごく興味深い本だった。
1872年(明治5年)に書かれた本書は後の多くのユートピア、ディストピア小説の元となった。
オルダス・ハクスリーは、自身のディストピア小説『すばらしい新世界』がこの『エレホン』の影響を受けていること
...続きを読むを公式に認めているという。『すばらしき新世界』は 1932年に出版だ。
ちなみにディストピア小説の傑作のひとつであるジョージ・オーウェルの『1984年』は1949年に刊行である。
本書『エレホン』が出版された1872年といえば、この前年の1871年にドストエフスキーの5大傑作長編の一つ『悪霊』が出版された年である。
著書のバトラーとドストエフスキーはほぼ同時期の作家といえる。
この事実を踏まえて改めて本書の内容を考えると、本書に描かれた世界観はまさに驚愕の一言に尽きる。
本書の中で、著者のバトラーは今のAI時代やシンギュラリティの到来を予想しているのである。
本書の内容であるが、あるイギリスの若者が旅をし、旅の果てに他の地域と隔絶された「エレホン国」を発見、そこでの生活を記録していくという話であり、オリバー・スウィフトの『ガリバー旅行記』を彷彿させる。
この「エレホン国」は他の文明とは隔絶されているものそこに暮らす人々の外見や生活様式は他のヨーロッパ諸国とあまり変らない。
しかし、最もほかのヨーロッパ諸国と違うのは、人々の価値観である。
エレホン国では、
「外見の美しさがすべてに勝る」
と考えられており、「病気」は最悪の罪なのである。
もしエレホン国で病気になれば、その者は刑務所に投獄され、治療ではなく刑罰(最悪は死刑)を受けるのである。
また逆に詐欺や泥棒のような「犯罪」は我々でいうところの「病気」のように扱われ、詐欺や泥棒を犯した「犯罪者」は人々から慰められる。
そして、機械を持つことは重罪なのである。
主人公は懐中時計を持っていたために投獄されたが、主人公の外見が金髪でハンサムであったために裁判で許される。
ここが本書の真の価値というべきところであるが、エレホン国で機械を禁止しているのは理由が、我々今の現代人にとっては驚愕すべき理由なのである。
それは、
機械が今後意思を持って人間を支配するようになるのを防ぐ為
ということなのである。
エレホン国の人々は、以前は自由に機械を使っていた。まさに蒸気機関車などを利用していたのである。
しかし、あるとき彼らはこう考えてしまった。
地球は、太古は植物が支配し、何万年もかけて植物は進化していった。しかし人間が地球に誕生して数千年で非常に進化し、地球を支配してしまった。さらに機械が生まれ、蒸気機関車が誕生するまでに数十年、あるいは100年弱しかかからなかった。
では、あと1000年後、あるいは1万年後には何が起こっているだろうか?
機械の進化のスピードは人間の進化のスピードよりも格段に速い、いずれ機械が意思を持ち、地球を支配するようになるのは当然の帰結であると・・・。
まさに、今の現代で起こっていることをエレホン国の人々は予言しているのである。
こういった物語が本書のなかでは淡々と繰り広げられていく。機械の件だけでなく、出産は悪と考えられているが、出産を防ぐことはできないので、その言い訳だとか、いろいろと笑ってしまうようなエピソードも満載である。
非常に考えさせられた小説である。ディストピア小説が好きな方はぜひ読んでみてもらいたい。
Posted by ブクログ
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エレホンはどこにもない国。
主人公は金儲けのために旅をする。
現代社会とかけ離れたような価値観がつぎつぎにでてくるけど、比喩って考えれないこともない。
発想がいろいろ考えさせられるSFなんかな?
Posted by ブクログ
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全く古さを感じさせない。翻訳は定期的にやり直すべきと改めて感じる。どこか藤子不二雄的な的なSF感があり面白い
Posted by ブクログ
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