ジョン・ハートの作品一覧
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ユーザーレビュー
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アメリカの作家「ジョン・ハート」の長篇ミステリ作品『ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉(原題:The Last Child)』を読みました。
『川は静かに流れ』に続き、「ジョン・ハート」の作品です。
-----story-------------
早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。
...続きを読むアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞最優秀賞スリラー賞受賞。
〈上〉
少年「ジョニー」の人生はある事件を境に一変した。
優しい両親と瓜二つのふたごの妹「アリッサ」と平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。
その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように……。
少年の家族は完全に崩壊した。
だが彼はくじけない。ただひたすら家族の再生を信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける。
〈下〉
「あの子を見つけた」大怪我を負った男は「ジョニー」に告げた。
「やつが戻ってくる。逃げろ」少年は全速力で駆けた。
男の正体は分からない。
だがきっと妹を発見したのだ。
「アリッサ」は生きているのだ。
「ジョニー」はそう確信する。
一方、刑事「ハント」は事件への関与が疑われる巨体の脱獄囚を追っていた。
この巨人の周辺からは、数々の死体が……。
ミステリ界の新帝王が放つ傑作長篇。
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2009年(平成21年)に発表された「ジョン・ハート」の第3作で、同年の英国推理作家協会賞(イアン・フレミング・スチール・ダガー賞)や翌年のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長篇賞を受賞した作品です。
13歳の少年「ジョニー・メリモン」は、犯罪歴のある近隣の住人たちを日々監視していた… 彼は、一年前に誘拐された双子の妹「アリッサ」の行方を探しているのだ、、、
美しい少女だった「アリッサ」は何者かに連れ去られたが、警察はいまだ何の手がかりも発見できずにいた… 「ジョニー」の父親も、「アリッサ」が誘拐されてまもなく謎の失踪を遂げていた。
母「キャサリン」は、土地の有力者「ホロウェイ」の愛人になり薬物に溺れ薬漬けの毎日を送っており、「ジョニー」の家族は完全に崩壊していた… 「ジョニー」は学校を頻繁にさぼり、友だちの「ジャック」の手を借りつつ昼夜を問わない危険な調査にのめり込んだ… ただひたすら、妹の無事と家族の再生を願って――。
「キャサリン」に好意を抱き、「ジョニー」を気遣う刑事の「ハント」は、事件への関与が疑われる巨体の脱獄囚「リーヴァイ・フリーマントル」を追っていたが、この巨人の周辺からは、数々の死体が……。
面白かった! 久しぶりの感動作です… ひとつの事件ではなく、異なる複数の事件が絡んだ意外な真相が待ち受けているミステリとしても愉しめ、崩壊した家族を再生させようとする少年の成長を描いたヒューマンドラマとしても愉しめる作品でした、、、
誘拐された妹を果敢に探しながら、愛する母親を愛人と薬から取り返そうと、懸命に行動する「ジョニー」に気持ちをシンクロしながら読みました… 少年モノには弱いんですよねー
決してハッピーエンドではなく、主人公の「ジョニー」にも、刑事の「ハント」にも、過酷な現実が突き付けられる結末でしたが… それでも、救済や赦しが得られ、未来への灯を感じさせられ、家族の再生を期待できる深い余韻の残るエンディング、一度は友情が決裂した「ジョニー」と「ジャック」が仲直りする清々しい展開も良かった、、、
そして、「ジョニー」と「リーヴァイ・フリーマントル」との出会い、「メリモン家」と「フリーマントル家」の先々代の関係等、奇蹟的・運命的な出会いも巧く織り込んでありましたね… リアルな部分と神がかり的なファンタジックな部分のバランスが絶妙だったのも印象的でした。
700ページを超えるボリュームには感じられないくらい集中して一気に読みました… 今年イチバンの作品かな。
Posted by ブクログ
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アメリカの作家「ジョン・ハート」の長篇ミステリ作品『ラスト・チャイルド〈上〉〈下〉(原題:The Last Child)』を読みました。
『川は静かに流れ』に続き、「ジョン・ハート」の作品です。
-----story-------------
早川書房創立65周年&ハヤカワ文庫40周年記念作品。
...続きを読むアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞&英国推理作家協会賞最優秀賞スリラー賞受賞。
〈上〉
少年「ジョニー」の人生はある事件を境に一変した。
優しい両親と瓜二つのふたごの妹「アリッサ」と平穏に暮らす幸福の日々が、妹の誘拐によって突如失われたのだ。
その後まもなく父が謎の失踪を遂げ、母は薬物に溺れるように……。
少年の家族は完全に崩壊した。
だが彼はくじけない。ただひたすら家族の再生を信じ、親友と共に妹の行方を探し続ける。
〈下〉
「あの子を見つけた」大怪我を負った男は「ジョニー」に告げた。
「やつが戻ってくる。逃げろ」少年は全速力で駆けた。
男の正体は分からない。
だがきっと妹を発見したのだ。
「アリッサ」は生きているのだ。
「ジョニー」はそう確信する。
一方、刑事「ハント」は事件への関与が疑われる巨体の脱獄囚を追っていた。
この巨人の周辺からは、数々の死体が……。
ミステリ界の新帝王が放つ傑作長篇。
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2009年(平成21年)に発表された「ジョン・ハート」の第3作で、同年の英国推理作家協会賞(イアン・フレミング・スチール・ダガー賞)や翌年のアメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀長篇賞を受賞した作品です。
13歳の少年「ジョニー・メリモン」は、犯罪歴のある近隣の住人たちを日々監視していた… 彼は、一年前に誘拐された双子の妹「アリッサ」の行方を探しているのだ、、、
美しい少女だった「アリッサ」は何者かに連れ去られたが、警察はいまだ何の手がかりも発見できずにいた… 「ジョニー」の父親も、「アリッサ」が誘拐されてまもなく謎の失踪を遂げていた。
母「キャサリン」は、土地の有力者「ホロウェイ」の愛人になり薬物に溺れ薬漬けの毎日を送っており、「ジョニー」の家族は完全に崩壊していた… 「ジョニー」は学校を頻繁にさぼり、友だちの「ジャック」の手を借りつつ昼夜を問わない危険な調査にのめり込んだ… ただひたすら、妹の無事と家族の再生を願って――。
「キャサリン」に好意を抱き、「ジョニー」を気遣う刑事の「ハント」は、事件への関与が疑われる巨体の脱獄囚「リーヴァイ・フリーマントル」を追っていたが、この巨人の周辺からは、数々の死体が……。
面白かった! 久しぶりの感動作です… ひとつの事件ではなく、異なる複数の事件が絡んだ意外な真相が待ち受けているミステリとしても愉しめ、崩壊した家族を再生させようとする少年の成長を描いたヒューマンドラマとしても愉しめる作品でした、、、
誘拐された妹を果敢に探しながら、愛する母親を愛人と薬から取り返そうと、懸命に行動する「ジョニー」に気持ちをシンクロしながら読みました… 少年モノには弱いんですよねー
決してハッピーエンドではなく、主人公の「ジョニー」にも、刑事の「ハント」にも、過酷な現実が突き付けられる結末でしたが… それでも、救済や赦しが得られ、未来への灯を感じさせられ、家族の再生を期待できる深い余韻の残るエンディング、一度は友情が決裂した「ジョニー」と「ジャック」が仲直りする清々しい展開も良かった、、、
そして、「ジョニー」と「リーヴァイ・フリーマントル」との出会い、「メリモン家」と「フリーマントル家」の先々代の関係等、奇蹟的・運命的な出会いも巧く織り込んでありましたね… リアルな部分と神がかり的なファンタジックな部分のバランスが絶妙だったのも印象的でした。
700ページを超えるボリュームには感じられないくらい集中して一気に読みました… 今年イチバンの作品かな。
Posted by ブクログ
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久々ジョン・ハートの新作がよーやく回ってきた。
質量ともに読み応えバッチリ!軽く読み流す小説ではないけど、それなりに時間をかけてじっくり読む読書は最高の至福、その贅沢な時間を与えてくれる作品って意外と少なく、安定して供給してくれる作家はさらに少ない。
ジョンハートは貴重なその一人だということ。
...続きを読む主人公ギビーが少年から大人に変わる儀式の飛び込みシーンとその兄ジェイソンが刑務所から出所するシーンから物語は始まる。2人の兄ロバートはベトナム戦争で戦死、その影響で母はギビーを異常なまでの過保護に扱い、反抗的なジェイソンは毛嫌いされる。そんな家族にバランスを取ろうと苦心する父。
ギビーの青春譜が描かれていくのかと思いきや、ジェイソンに関わる不審な動きが徐々に物語に入り込み、刑務所にひそかに暮らす悪の大御所、変態シリアルキラー弁護士、出世欲にくらむ警察官などが絡み、ベトナム戦争終焉当時の病み混乱したアメリカの病みの部分を照らし出す。
それでも、さすがはジョンハート、少々残虐なシーンやこんなのも書くんか?と驚きのアクションシーンも経つつ、物語の落としどころは少年が大人になりゆく成長譚と家族愛の物語。涙を流して感動するような荒っぽさではなく、ジワジワシミジミ効いてくる感動が良い。
色々感動的な場面はあるが、ジェイソンの名前を聞いて即座に敬礼を返す兵士のシーン、主人公の親友の母が晩御飯を一緒に食べるよう促すシーン、最後あの岸壁から高飛び込むを決めるシーン(飛ぶはまさかの)は良かった。
次の翻訳が待ちきれない!ジョンハート、最高である。
Posted by ブクログ
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1972年。舞台はノース・カロライナ。ヴェトナム帰還兵とその一家の物語。作者のジョン・ハートは1965年生まれだから、本書の背景の時代は、実は作家7歳の幼年期ということになる。翻って、読者のぼくはこの年、16歳。反戦のフォークソング、悲劇的で衝撃的なアメリカン・ニュー・シネマのショッキングなエンデ
...続きを読むィングに、もろに曝されて育ったあの多感な時代。
だからこそ、というだけではないにせよ、この物語の時代背景を記憶に蘇らせながら、そこを通り抜けたアメリカの青春群像を生き生きと、現代に読み返し、想い出してゆくという読書行為は、何とも心にうずくものを抱えているような、妙に懐かしくも心の痛む、不安と緊張に満ちたものであった。
本書の主人公であるギビー(18歳)もまた、多感この上ない青年である。殺人課刑事の父の息子である彼のもとに、戦死した兄ロバートの双子の弟・ジェイソンが帰郷した。戦地で29人殺したという伝説を携えて。収容所での不審な収容期を終えて。
ジェイソンが帰還後、現地民虐殺の疑いで放り込まれていた州立刑務所には、一方でXという途方もない怪物がいて、事実上刑務所を支配しているという構図である。劇画的誇張が過ぎるようにも見受けられるが、刑務所幹部たち含め、彼の走狗である猟奇殺人者リースともども、物語の現代を横軸として綴る緊張が張り巡らされる。
ノースカロライナの田舎町に起こる凄惨な女性殺人事件と帰還兵、反社会組織のバイカー集団、血に飢えた殺人者と、彼を刑務所から操るX。そうした幾重にも絡み合った暴力の嵐が、青年ギビーの家族や周囲に吹き荒れる。まさしく凄まじいまでに。
読者だけが知らされる危険この上ない状況の中、巻き込まれ翻弄されるギビーの青春とと、その家族たち。兄、警察官である父、以上とも言える母、恋人、親友。一見、平和に見えていた家族やその周囲の人々を、ヴェトナムから持ち込まれた暴力の風が巻き込んでゆく。
ヴェトナムに起こった村民虐殺事件の真相を背景に、徐々に見えてくる構図、散乱した事実への落とし前の付け方が、なんともスリリングな読みどころである。この作家は骨太でしかも確かな書き手との印象がやはり強い。七作目の長編ということであるが、これだけで食べて行けるアメリカの出版環境に改めて驚かされる。じっくりゆっくり作品を作ることが許される環境なのだ。それこそがこうした力のこもった大作を生み出せる要因であるように思う。
何とも頼もしい作家による、確かな傑作であり、家族小説であり、青年の成長小説でもある。アメリカでしか成し得ないプロットでも、本書は良く成功しているように思う。
Posted by ブクログ
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こんな面白い本に出会えるから、読書はやめられないと思います。
主人公の一途さ、広げられたストーリーが最後に1つに収斂されていく。
結末のせつなさと希望から、気持ち良い読後感に繋がった。
Posted by ブクログ
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