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大阪の北部に位置する蛍石市にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」。「うちはテーマパークではなく遊園地」と言い切る名物社長を筆頭に、たくさんの人々が働いている。アトラクションやインフォメーションの担当者、清掃スタッフ、花や植物の管理……。お客様に笑顔になってもらうため、従業員は日々奮闘中。自分たちの悩みを裡に押し隠しながら……。そんなある日社長が入院したという知らせが入り、従業員に動揺が走る。
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Posted by ブクログ
読み終えた今、胸の中に温かいものがじんわりと広がっている。 この物語の舞台は「ほたるいしマジカルランド」という遊園地。 そこで働く人々の日常が、丁寧に、そして愛情深く描かれている。 ⸻ ◼︎人の心を見通す作家の眼差し 読みながら何度も思った。 寺地はるなさんは、何故こんなにも他人の感情が分か...続きを読むるのだろう、と。 登場人物たちの喜びも、悲しみも、迷いも、葛藤も。 その全てが、まるで自分の心の内を覗かれているかのようにリアルで、切実で、そして優しい。 寺地はるなさんの作品はいつも私に大切なことを教えてくれる。 今回もまた、たくさんの宝物のような言葉に出会うことができた。 ⸻ ◼︎こんな職場で働きたい 物語の中で特に印象的だったのは、遊園地の社長の言葉だ。 人の数だけ環境も考え方も生き方も事情も違っていて、それを「だから面白い」「いいところを持ち寄って苦手なところはカバーし合って」と言ってくれる。 こんな社長の元で働きたい、と心から思った。 違いを排除するのではなく、違いを面白がる。 弱さを責めるのではなく、支え合う。 そんな当たり前のようで、実はとても難しいことを、この社長は自然体で実践している。 理想論ではなく、日々の現場で、地に足をつけて。 ⸻ ◼︎生きることの本質を問いかける言葉たち この作品には、生きていく上で大切な言葉が、それこそ宝石のように散りばめられている。 「生きることって結局どういうこと?」という問いが軸になっている。 「何の努力もせずになにかにただぼんやりと憧れているだけの者は、どこにも行けない」 この厳しくも真実の言葉が、まっすぐ心に刺さった。 かつて自分がなりたいと思っていた職業に就くために何の努力もしてこなかったことが、今もずっと棘のように引っかかっている。 「今日もこうして生きていることに深く感謝をして、明日もつつましく勤勉に生きていかねばならない」 日々を大切に生きることの尊さに触れ、今日も明日も誠実に生きていこう。 そう思うと、すっと背筋が伸びた。 「他人に認めてもらえるのを待つのではなく自分で自分を肯定すること」 「他人からの評価や肯定をあてにすれば、どこかで行き詰まる」 自分を自分で認めてあげることの大切さを、改めて気づかせてくれた。 これらの言葉は、説教臭くなく、押し付けがましくなく、ただ静かに、しかし確かに心に届く。 ⸻ ◼︎目の前のことをやる、ということ 特に心に残ったのは「どんなに『クソ』な人生でも、今日や明日を投げ出す理由にはならない。目の前のことをやるしかない、そうすることでしか自信はつかない」という言葉だった。 人生に行き詰まったとき、私たちはつい大きな答えや劇的な変化を求めてしまう。 でも実際には、目の前のことを一つずつやっていくことでしか、道は開けていかない。 「目の前のことをやる、そうすれば自然と身につくことがある。身についたことに見合うだけの道が開けていく」 その事実が静かに胸に落ちてくる。 そして、「生きていること。生を全うすること。それこそがすべての人のもっとも重要な仕事である」という言葉。 生きること自体が仕事なのだ、と。 何か特別なことを成し遂げなくても、ただ生きていることに価値がある。 ⸻ ◼︎幸せは自分で作るもの 「自分を幸せにできるのは自分だけだ」という言葉も印象的だった。 誰かに幸せにしてもらおうと待っていても、幸せは訪れない。 幸せは、自分で選び取り、作り上げていくものなのだ。 そして「責任を果たせるかどうかということより、誰と生きていきたいかが大切だ」という言葉。 人生の選択において本当に大切なのは何か。 それは能力や責任ではなく、誰と共に時間を過ごしたいかという、極めてシンプルな問いなのかもしれない。 ⸻ ◼︎人間関係の機微 「病気は人から余裕を奪う」という、経験した人にしか分からない真実。 「羨望は憎悪と表裏一体になっていて、うっかりそれをひっくり返してしまう瞬間がある」 人間の感情の複雑さへの理解。 「頑張ってるから愚痴も言いたくなる」 当たり前だけど見過ごされがちな事実。 これらの言葉は、人間という存在の弱さや複雑さを、否定するのではなく、そのまま受け止めてくれる。 ⸻ ◼︎変化すること、選び直すこと 「『あたりまえ』は変わっていく」 「『あたりまえ』を変えようと行動してくれた人がいたであろう」 今の当たり前が、誰かの努力や勇気の結果であることを思い出させてくれる。 「向いていないと思うなら、環境なり手段なりを変えてみたらいい」 一つの場所や方法に固執する必要はないのだと、優しく背中を押してくれる。 「たいていの人生はドラマチックではないが、小さく変化する瞬間はきっといくつもある」 派手な人生でなくても、小さな変化の積み重ねが、人生を作っていく。 ⸻ ◼︎共に生きるということ 「他人は人生のドラマの登場人物みたいなもので、だから当然、入れ替わりがある」 少し寂しいけれど、確かな真実。 でも同時に「共に生きていくものに重要な意味なんかなくていい、価値なんかなくていい」という言葉が、その寂しさをそっと包み込んでくれる。 一緒にいることに、大げさな理由はいらない。 ただ、一緒にいたいから、一緒にいる。 それだけでいいのだ。 そして「『友だち』という言葉を他人を縛るために使ったらいけない」という戒め。 友情という美しい言葉が、時に人を苦しめる鎖になってしまうことへの警告。 ⸻ ◼︎生きることについて考えた 『ほたるいしマジカルランド』は、たくさんの大切な言葉が詰まっている本だった。 遊園地という、非日常を提供する場所で働く人々の、とても日常的な物語。 そこに描かれているのは、私たち一人ひとりの「生きること」そのものだった。 派手な展開があるわけでもなく、劇的な事件が起こるわけでもない。 でも、だからこそ、この物語は深く心に響く。 日々を生きていくこと。 人と関わること。 自分を受け入れること。 当たり前だけど難しいことの大切さを、静かに、でも確かに教えてくれる。 読み終えた後、少しだけ前を向いて歩けそうな気がした。 完璧な答えが見つかったわけではない。 でも、目の前のことを一つずつやっていけばいいのだと、そう思えた。 寺地はるなさんの作品に、また出会えてよかった。
うんうん、テーマパークじゃなくて遊園地。 もちろん、両方とも好きやけど遊園地のほうが好き度が高いかもしれない。 テーマパークよりも遊園地の方が良い意味で遊びに行ってる人も働いてる人も人間っぽい気がするのはアタシだけ? 久々に遊園地、行きたいなぁ。 ☆月曜日 萩原紗英 ☆火曜日 村瀬草 ☆水曜日 篠...続きを読む塚八重子 ☆木曜日 山田勝頼 ☆金曜日 国村佐門 ☆土曜日 三沢星哉 ☆日曜日 すべての働くひと
最近時間があっという間に過ぎていって焦りがあったけど、やっぱり本読む時間があると、落ち着ける。いい。 正和堂書店で、月別文庫本ランキングの一位になってたから読んでみた 遊園地で働いてる何人かの人のことが、章ごとにその人目線で書かれているお話。山田の引退ライブのとこじーんときた。 特に水曜日の章の八重...続きを読む子さんと野上さんが出てくるお話が好きだった。何回か会ったことある人のことをちょっと知れて、いい一日にだったって思えるところが好き。 あと、日常の中に気づかない変化があるみたいなこと書いてある部分も好きだった。 何年後かにまた読んだら、共感する相手が変わるかもだし、また読みたいなっ
遊園地ほたるいしマジカルランドで働いている従業員の遊園地に対する思いや私生活、心の中を描いています。 極端な過去の人もいたり話が結構リアルな気がする。こんな私生活もこんな事考えてる人いっぱいいるだろうな。 でも、全体的に前向きな感じでほっこりしました☆ この遊園地の社長も好き。世の中の社長がみんな...続きを読むこんな風におちゃめでちゃんと会社や従業員の事を想う人だったら日本は良くなるのになぁ…と思う。 私は金曜日の話が好きです♪ よし。まぁ明日も仕事頑張るか。 ってなんとなくそんな気持ちにさせてくれる1冊です♪
大阪北部の遊園地を舞台にした、7編からなる群像劇で、描かれるのは日曜日のイルミネーションイベントに向けた1週間です。 訪れる人が笑顔になるのが遊園地というものだけれど、従業員にはそれぞれ抱える事情があり、性格があり、人生観があります。 彼らのそんな姿が、寺地はるなさんらしい丁寧なタッチで紡...続きを読むがれていました。共感と希望を心に残してくれるストーリー展開も相変わらず見事です。 感心するのは、各話の脇で登場する人物にまで十分な存在感を与えるキャラ設定をしているところです。 佑や「木曜日」の照代さんはともかくとして、「水曜日」の野上さんや「金曜日」のあおいさんにまできちんとした背景を用意してあって、そのことが物語に奥行きを与えています。 さすが寺地はるなさん。読後感がとてもいい。いつもながら感じ入ってしまいました。
遊園地の従業員達の日常、人生を描いた作品でした。働くことに臆病になっている自分に勇気をくれる作品でした。
隣の芝は青く見える。 他者と自分を比べて自己嫌悪に陥る。はたまた、自分と違うところに目をつけて受け入れられないと拒絶する。 憧れや嫉妬の対象である相手にも悩みや嫉妬心があることを忘れて、「自分だけが」と悲観的になるのは苦しいことだ。しかし、いつもポジティブでいることは難しい。 少し視点を変え...続きを読むるだけで、見える世界は大きく変わる。道端の石ころが宝石に勝る輝きを有するときがあるように。
遊園地に行こう もそうだけどやっぱり遊園地って特別、テーマパークじゃない遊園地❗️ やな感じの人物も取り込まれて遊園地の必要な人になって行くのが良かった。
大阪北部にある遊園地で働く人々の1週間。持ち場はそれぞれで登場人物は多くメモしていかないとややこしかった。社長がとても尊敬できる女性で、この遊園地で働いてみたいと思った。朝礼では各自、楽しみについてのスピーチをするというアイデアが社長らしい。
ほたるいしマジカルランドで働く人々それぞれに物語があって人生色々、辛い事があってもみんなマジカルランドで懸命に働いている、みんな良い人。 社長が良いと働く人もいい人なんだな〜 みんな幸せになってほしい
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ほたるいしマジカルランド
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寺地はるな
福田利之
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