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わたしは「恋愛小説家」と肩書きにあるのを見て、今のような小説をかくのをやめようと思った。
恋愛というものにそんなに興味がなかったことに気づいたのだ。これからなにを書こうか。
環境を変えるため、三年住んだ東京を離れ、中学時代に住んでいた区の隣り、かわうそ堀に引っ越した。
そして、考えた末に怪談を書くことにした。そう決めたものの、
わたしは幽霊は見えないし、怪奇現象に遭遇したこともない。
取材が必要だ、と思い立ち、たまみに連絡をとった。
中学時代の同級生・たまみは、人魂を見たことがあるらしいし、怖い体験をよく話していた。
たまみに再会してから、わたしの日常が少しずつ、歪みはじめる。
行方不明になった読みかけの本、暗闇から見つめる蜘蛛、
こっちに向かってきているはずなのにいっこうに近くならない真っ黒な人影、留守番電話に残された声……。
そして、たまみの紹介で幽霊が出るとの噂がある、戦前から続く茶舗を訪れる。
年季の入った店内で、熊に似た四代目店主に話を聞くと、
絶対に開けてはいけないという茶筒、手形や顔が浮かぶ古い地図があるという。
そして、わたしはある記憶を徐々に思い出し……。
わたしの日常は、いつからこんなふうになっていたのだろう。
別の世界の隙間に入り込んでしまったような。
柴崎友香が、「誰かが不在の場所」を見つめつつ、怖いものを詰め込んだ怪談作品。
Posted by ブクログ 2020年02月26日
最後の話について。
「なにか空白があるというか、そこにないもの、見えないものの気配を感じてしまいます。ほんとうは知っているはずなのに、気づかないふりをしているような、気になるところがあるんです。」
それだなぁと思った。柴崎友香作品の凄みってたぶんそういうところやし、ワタシが好きなほかの作家の作品も好...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年08月19日
☆3.6
ふっと突然に日常が今までと地続きに思えなくなる瞬間が訪れそうで、この暑い中でも寒くなれる。
自分を見失わないようにここに帰ってこなければ、と思ってしまった。
ほんのりじわじわと怖い話だった。
例えば普通の道を普段通りに歩いていたのに、ちょっと瞬きした間に何かが変わってしまったような。
...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年02月13日
『私は幽霊を見たことがあります』。
(*˙ᵕ˙*)え?
この世には不思議な事ごとがたくさんあります。そして、人は理屈で説明できないことに恐怖もします。しかし、科学技術の進歩によって、かつて不思議とされてきた事ごとも、その多くが科学的に納得できる説明がなされるようになってきました。このペー...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年03月25日
断片的に綴られていく、ホラー 小説。
幽霊など見たことのない作者が怪談を書くために取材を始めるが、徐々に自分自身も奇妙な体験あるいは違和感を感じる。
作者本人は自分はそういうものと無縁と思っているが、友人からそれは嘘だと言われる。
実際に奇妙な体験をしてもそれを見ないようにしているかのような振る舞...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年10月27日
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わたしのこと、見てるんです。
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恋愛小説家から転身し、怪談見習いへ。住む環境も変えるも、幽霊は見えないし怪奇現象にも遭遇しない。しかし中学時代の同級生に会ったことをきっかけに日常が歪み始める。
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タイトルが気になって購入。不思議な雰囲気の小説だった。まるで実体験みたいな。怖い話って興味ありつ...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年05月20日
幻想小説は好きだが、怪談には手を出さずにきた(たとえば平山夢明の小説は好きだが、彼の実話怪談ものには手を出していない)。
そうして読んだ本作。
筆のすさびに怪談専門誌「冥 Mei」に書いたんだろうなと少し侮っていたが、いやいや、怖い怖いマジで。
ただしおそらく実話怪談的な怖さではない。
柴崎友香がず...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年03月17日
恋愛小説家という肩書きをやめたくて
怪談話を書こうとする主人公
自分は幽霊を見たことがないから
わりと霊感のある友人や知人などに話を聞いて
怪談話を書こうという内容なのに
1番主人公が幽霊というかこの世じゃないものと近い。それがなんてことないような話の終わりに
ポロッと書いたりするからすごく怖い...続きを読む
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