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トランクの中に行った双子
ジャクリーンとジリアンは双子の姉妹。ジャクリーンは女の子がほしかった母親の希望通りのかわいい少女に、ジリアンは男の子がほしかった父親の期待を背負い活発な少女に育った。だが実のところ、どちらも両親から押しつけられた役割にうんざりしていたのだ。そんなある日、双子は空き部屋のトランクの中に階段を発見する。この前見たときには何の変哲もないトランクだったはず。冒険心に突き動かされて階段をおりたふたりが見たのは、赤い月に照らされた荒野が広がる、奇怪な世界だった。ヒューゴー、ネビュラ、ローカスの3賞受賞シリーズ第2弾。 -
厨師、怪しい鍋と旅をする
優れた厨師(ちゅうし)を輩出することで有名な斉家村(せいかそん)に生まれた見習い料理人・斉鎌(せいれん)は、ある日見知らぬ男から不思議な鍋を借り受ける。しかしそれは煮炊きをしないでいると腹を空かして動物や人間を襲い始める、とんでもない鍋であった。鍋を返すまで故郷に帰ることは叶わない──流浪の身となった斉鎌は、鍋とむらに代々伝わる霊力を持った包丁を頼りに、戦場の飯炊き場、もののけの棲み家、名家の隠居所などで腕を揮いつつ、鍋の元の主を捜し歩くが……。若き厨師と怪しい鍋が旅の途上で出会う人々と不思議、そして料理。無類の面白さに満ちた美食中華幻想譚!/解説=南條竹則 -
わたしの町は戦場になった シリア内戦下を生きた少女の四年間
2016年12月、ジャーナリストのフィリップ・ロブジョワはシリア内戦の取材のため、経済の中心アレッポを訪れた。かつて美しい街並みで知られていたが、政府軍と反体制派のあいだの内戦で廃墟と化していたアレッポ。そこで彼は、ミリアムという13才の少女に出会った。彼女は内戦下で起きた出来事を日記に綴っており、それを世界の人々に伝えることを望んでいた。戦闘の影に覆われていく平和な日常。学校の近くに落ちる爆弾、地下への避難。スナイパーが潜む通学路。いま、子どもたちが戦争を生きていくとはどういうことなのか。一人の少女が、内戦下の日々を曇りなき目で綴った21世紀版『アンネの日記』。 -
黄色の扉は永遠の階 第三の夢の書
あたしを殺して魔物に捧げようなんて、正気の沙汰じゃないことをしでかして入院してたアナベルが、学校に戻ってきた。もちろん夢の世界にも。夢にかけては、アナベルの実力はヘンリーも、アーサーさえも凌ぐ。もちろんアーサーとあたしたちは完全に敵同士。アナベルは、自分もアーサーの敵だから、敵の敵は味方よ、なんて共闘をもちかけてきたけど、なんか胡散臭い。本当の敵はアーサー? アナベル? それとも二人はグルなの? 夢の世界を舞台に繰り広げられるロマンティック・ファンタジー完結。 -
ホテル・リッツの婚約者
1942年、イギリスの特別作戦執行部の工作員であるわたし、マギー・ホープは亡き友になりすまし、ドイツ占領下のパリに潜入していた。異父妹のエリーゼをイギリスへ連れ帰るため。さらには、戦局の行方を左右する重大な情報を持っているはずの工作員を救うため。滞在先の〈ホテル・リッツ〉で高名なデザイナーのココ・シャネルと知り合ったわたしは、一瞬たりとも気を抜けない日々の連続を過ごしていた。そんな折、イギリスの工作員ネットワークに亀裂が生じる。裏切り者がいるのか? ニューヨーク・タイムズ・ベストセラーの大人気シリーズ!/解説=上条ひろみ -
天使の帰郷
ルイジアナ州デイボーン。姿を消したマロリーをさがし、彼女の故郷を訪れたチャールズは、子供を抱いた天使の石像を見て驚いた。これは確かにマロリーの顔だ。17年前に惨殺された女医を悼んで刻まれた天使。腕の中の子供は、行方不明になった彼女の娘だという。一方、デイボーンでは、自閉症の青年が両手を負傷させられ、町の一角を占拠する宗教団体の教祖が殺された。そして、容疑者としてよそ者が勾留されているという。その名は、マロリー。誰にも一言も告げず、ひそかに帰郷した彼女の目的は? いま、石に鎖された天使が翼を広げる――過去の殺人を断罪するために! 鮮烈無比なヒロインの活躍を描くシリーズ第4弾!/解説=三橋暁 -
夜光亭の一夜 宝引の辰捕者帳ミステリ傑作選
幕末の江戸。神田千両町に暮らす岡っ引の辰親分は、御用のかたわら福引きの一種である“宝引”作りをしていることから、“宝引の辰”と呼ばれていた。親分は不可思議な事件に遭遇する度に、鮮やかに謎を解く! 殺された男と同じ彫物をもつ女捜しの意外な顛末を綴る「鬼女の鱗」。謎の画家が残した吉祥画を専門に狙う、怪盗・自来也の真意を探る「自来也小町」。美貌の女手妻師・夜光亭浮城の芸の最中に起きた、殺人と盗難事件の真相を暴く「夜光亭の一夜」。ミステリ界の魔術師が贈る、それぞれの事件関係者の一人称視点から描かれた傑作13編。【収録作】「鬼女の鱗」/「辰巳菩薩」/「江戸桜小紋」/「自来也小町」/「雪の大菊」/「夜光亭の一夜」/「雛の宵宮」/「墓磨きの怪」/「天狗飛び」/「にっころ河岸」/「雪見船」/「熊谷の馬」/「消えた百両」/編者解説=末國善己 -
望月のあと 覚書源氏物語『若菜』
平安の都は盗賊やつけ火が横行し、乱れはじめていた。だが、そんな世情をよそに、藤原道長は「この世をばわが世とぞ思う……」と歌に詠むほど、栄華を極めていた。紫式部はといえば『源氏物語』の人気に困惑気味の日々。そんななか、式部が訪れたあるお屋敷に、道長が瑠璃という謎の姫君を密かに住まわせていることを知る。式部はこの瑠璃姫と道長になぞらえて物語を書きはじめたものの、次第に現実と物語が重なってきて……。瑠璃姫とはいったい何者なのか? 式部が時の権力者に対して仕掛けた雅な意趣返しとは? 『源氏物語』をめぐる謎を解き明かす、平安王朝推理絵巻第3弾!/解説=荻原規子 -
現代詩人探偵
とある地方都市でSNSコミュニティ、『現代詩人卵の会』のオフ会が開かれた。九人の参加者は別れ際に、これからも創作を続け、十年後に再会する約束を交わした。しかし当日集まったのは五人で、残りが自殺などの不審死を遂げていた。なぜ彼らは死ななければならなかったのか。細々と創作を続けながらも、詩を書いて生きていくことに疑問を抱き始めていた僕は、彼らの死にまつわる事情を探り始めるが……。生きることと詩作の両立に悩む孤独な探偵が、創作に取り憑かれた人々の生きた軌跡を辿り、見た光景とは? 気鋭の著者が描くミステリ長編。/解説=宇田川拓也 -
ビリヤード・ハナブサへようこそ
変わった名前をもつ大学院生、中央(あたり・あきら)。彼はちょっとレトロな撞球場「ビリヤード・ハナブサ」でアルバイトをしている。ビリヤードの腕前は一流、経営手腕は三流の英雄一郎(はなぶさ・ゆういちろう)先生がオーナーの店には、個性的な常連客たちが集う。おしゃべり好きな彼らは、仲間内の誰かが事件に巻き込まれると、プレーそっちのけで推理談議を始め、みな素人探偵となって謎を解こうとするのだ。けれど結局事件の真相を言い当てるのは、アルバイトの中央の役割で?! そして今日もまた不思議な事件が持ち込まれ――。現代の『黒後家蜘蛛の会』登場。第24回鮎川賞受賞作。/解説=福井健太 -
雪には雪のなりたい白さがある
銀行に勤める瑞希は、中学三年生の冬に別れた同級生の恋人を忘れられずにいた。「フルート奏者になる」「宇宙に関わる仕事をする」夢を語り合った所沢航空記念公園。展示されている飛行機「天馬」の前で、別れの直前に二人はある約束をした。それを支えに生きてきた瑞希だが、届いた同窓会の招待状に彼との再会を期待し思い出の公園に立ち寄ると、中学時代の記憶が鮮やかに蘇る。ふたたび「天馬」の前に立ったとき、十年の空白が埋まるように“約束”のもうひとつの真実が明らかになる(「雪には雪のなりたい白さがある」)。会いたい人は今、どうしていますか? 公園を舞台に、時を超え思い出が交差する。5つの奇跡の物語。 -
旅の終わりに
【映画『ロング,ロングバケーション』原作!】ガン治療中のエラと認知症の夫ジョンの老夫婦。ふたりは子供たちの反対を無視し、かつて一家で旅をしたキャンピングカーに乗って、なつかしいディズニーランドを目指し、ルート66でアメリカ大陸横断の旅に出る。記憶はまだらでも、ジョンの運転は昔通り。ハンバーガーばかり食べたがるジョン、痛み止めを飲み続ける助手席のエラ。強盗に遭ったり、危うくエラが置いてきぼりにされそうになったり、ホテルの超高級スイートに宿泊してみたり……。そして最後の最後にふたりが向かったのは? 老いについて、夫婦について、人生について……軽やかなタッチで見事に描いた傑作。 -
七つの海を照らす星
様々な事情を抱えた子どもたちが暮らす児童養護施設・七海学園では、少女にまつわる七つの怪異が言い伝えられ、今でも学園で起きる新たな事件に不可思議な謎を投げかけていた。孤独な少女の心を支える“死から蘇った先輩”。行き止まりの階段から、夏の幻のように消えた新入生。女の子が六人揃うと“七人目”が囁く暗闇のトンネル……勤めて二年目の保育士・北沢春菜は、児童福祉司の海王の力を借り、謎解きを通して子どもたちが直面する悩みを解決すべく奮闘する。過去と現在を繋ぐ六つの謎、そして七番目の謎が解かれる時明らかになるもう一つの真実とは。第18回鮎川哲也賞受賞作。/解説=宇田川拓也 -
スチーム・ガール
飛行船が行き交い、甲冑型の巨大な蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。天涯孤独の身であるカレンは、ゴールドラッシュに沸くこの町の高級娼館で“縫い子”として働いている。そんなある晩、町の有力者バントルに追われる少女プリヤが、モンシェリに飛びこんでくる。カレンはプリヤに強く惹かれ、彼女を守ろうとするが、バントルは怪しい機械を操ってプリヤを狙う。さらに、町には娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとい、娼館の女たちと共に立ち上がる! ヒューゴー賞作家が放つ傑作スチームパンクSF。 -
花野に眠る
れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館。ゆったりした時間が流れるのどかなこの図書館でも、季節はうつろい、新人司書・文子の仕事ぶりも板についてきた。そんななか、図書館のお隣の日向山から驚くようなものが発見され、大騒ぎになる。なんでここに埋められていたの? 気になって仕方ない文子は、真相究明に乗り出す。だけど、謎はそればかりではない。図書館の利用者が持ち込むちょっとした謎は、絵本にお菓子に料理に……と実にさまざま。本の力、そして頼もしい先輩司書たちの力を借りて、文子はすっきり解決! となるのやら。すべての本好き、図書館好きに捧げるやさしいミステリ。/解説=青井夏海 -
七十四秒の旋律と孤独-Sogen SF Short Story Prize Edition-
〈空間めくり(リーフ・スルー)〉と呼ばれる時空転移技術が開発され、宇宙交易が活発になった未来。紅葉は宇宙貨物船グルトップ号に搭載された人型戦闘兵器。〈空間めくり〉の際に生まれる、人間が認識できない七十四秒の“閉じられた時間”、貨物船を襲撃から守っている。しかし、運行開始から一度も襲撃を受けたことのないグルトップ号の乗組員たちは、紅葉のことを“空焚きのポット”と揶揄し、その存在をほとんど無視していた。自らの存在意義に疑問を持つ紅葉だったが、あるときグルトップ号が〈空間めくり〉中に海賊に襲われ……。応募総数417編から大森望・日下三蔵・長谷敏司が全員一致で選出した、リリカルな宇宙SF。第8回創元SF短編賞受賞作。/イラスト=加藤直之 -
半妖の子
しとしとと雨降る梅雨の夜、太鼓長屋で養い親の千弥と暮らす弥助のもとに、一人の客が訪ねてきた。化けいたちの宗鉄と名乗る男は、妖怪の子預かり屋の弥助に、八歳になる娘を預けたいという。山奥で、他人と接することなく暮らしていたのだが、母親が亡くなり男手ひとつではどうにもならなくなったのだ。女の子の名はみお。母親が亡くなる少し前から、父に対して心を閉ざしていた。白いお面をつけ、ひたすら周囲を拒絶するみお。だが、弥助のもとに預けられる子妖怪達と接するうちに、みおに変化が……。大人気のお江戸妖怪ファンタジー第4弾。 -
ニューヨークの妖精物語
俳優を夢見てNYにやってきたエミリーは、念願かなって舞台で主役を獲得し脚光を浴びたその晩、忽然と姿を消してしまった。だが、姉のソフィーにはわかっていた。妹は妖精にさらわれたのだ。なぜならソフィーはかつて妖精の世界を訪れ、踊りを教えてもらったから。今頃になってあのときの対価を支払えというのか? とはいえ、警察に話しても信じてはもらえまい。ソフィーは、エミリーの友人の親切な刑事マイケルの追及をかわしつつ、妹を捜し始める。『ニューヨークの魔法使い』の著者が贈る、ロマンティックな現代のフェアリーテイル開幕。 -
ようこそ授賞式の夕べに
書店員がその年一番売りたい本を選ぶ書店大賞。その授賞式の当日、成風堂書店に勤める杏子と多絵が会場に向かおうとした矢先、福岡の書店員・花乃が訪ねてくる。「書店の謎を解く名探偵」多絵に、書店大賞事務局に届いた不審なFAXの謎を解いてほしいという。同じ頃、出版社・明林書房の新人営業マンである智紀にも、同業の真柴を介して事務局長直々に同様の相談が持ち込まれる。華やかな一日に不穏な空気が立ちこめて……。授賞式まであと数時間。無事に幕は上がるのか?! 〈成風堂書店事件メモ〉×〈出版社営業・井辻智紀の業務日誌〉両シリーズのキャラクター勢ぞろい。書店員の最も忙しい一日を描く、本格書店ミステリ。/解説=宇田川拓也 -
ファーストレディの秘密のゲスト
日本軍による真珠湾攻撃から約半月後。表向きはチャーチル英国首相付きのタイピストとして、実際は特別作戦執行部の工作員として、わたし、マギー・ホープは4年ぶりにアメリカへ帰ってきた。首相とルーズヴェルト米国大統領の会談が成功するいっぽう、大統領夫人の秘書が変死を遂げる。現場に残された証拠は、大統領夫人にとって大スキャンダルとなるもので、外部にもれれば大統領の立場が、ひいては英米の同盟関係も危うくなる――。ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの人気シリーズ。マギーの捜査が、今度は戦争の命運を左右する?! ニューヨーク・タイムズ・ベストセラー入りの大人気シリーズ、第5弾。/解説=古山裕樹 -
晴れた日の森に死す
ノルウェーの森の奥で、独り暮らしの老女が殺害された。被害者は玄関先の階段で血まみれになり、左目に鍬が突き刺さっていた。第一発見者の少年が、忌まわしい存在として知られる、精神病院に入院中の青年エリケを現場で目撃していた。捜査陣を率いるセイエル警部は、エリケを容疑者だと決めつける者たちの偏見の言葉に左右されず、冷静に証言や手がかりを集めていく。しかし信じがたい事実が判明する。エリケは近くの街の銀行強盗事件に巻きこまれ、銃を持って逃走する犯人の人質となっていた……。ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!/解説=ヘレンハルメ美穂 -
水族館の殺人
夏休みの最中の8月4日、向坂香織たち風ヶ丘高校新聞部の面々は、取材で横浜市内の穴場スポットである、丸美水族館に繰り出した。館内を館長の案内で取材していると、B棟の巨大水槽の前で驚愕のシーンを目撃。な、なんとサメが飼育員と思われる男性に食らいついている! 駆けつけた警察が関係者に事情聴取していくと、容疑者は11人にもおよぶことに。しかも、それぞれに強固なアリバイが……。袴田刑事は、しかたなく妹の柚乃へと連絡を取った。あのアニメオタクの駄目人間・裏染天馬を呼び出してもらうために。“若き平成のエラリー・クイーン”が、今度はアリバイ崩しに挑戦。/解説=飯城勇三 -
魔導の系譜
魔導士が差別され、虐げられている国ラバルタ。田舎で私塾を開いている三流魔導士レオンは、魔導士の最高機関〈鉄の砦〉からひとりの少年を託される。幼くして家族をラバルタの騎士に殺され、桁違いの魔導の潜在能力がありながら、学ぶことを拒む少年ゼクス。頑なだった少年は、レオンの辛抱強い指導の下で才能を開花させていく。やがてその力を認められ〈鉄の塔〉に召還されたゼクスだったが、貴族の魔導士アスターとの出会いが彼の、そして王国の運命を大きく変えていく。第1回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の本格異世界ファンタジイ。/解説=三村美衣 -
ヴァイオリン職人と天才演奏家の秘密
名ヴァイオリン職人ジャンニのもとに一挺のグァルネリが持ちこまれた。天才演奏家パガニーニ愛用の名器“大砲(イル・カノーネ)”で、コンクールの優勝者エフゲニーがリサイタルで弾く予定だった。修理を終えた翌日、リサイタルに来ていた美術品ディーラーの撲殺死体が発見される。彼はホテルの金庫に黄金製の箱を預けていた。中にはエリーザという女性がパガニーニに宛てた1819年の古い手紙があり、彼女がパガニーニに何かを贈ったことが書かれていた。殺人事件解明の手がかりなのか? 名職人にして名探偵が“悪魔のヴァイオリニスト”をめぐる謎に挑む!/解説=青柳いづみこ -
ウィンター家の少女
ウィンター邸で男が殺された。男は保釈中の殺人犯で、裁縫用の鋏で胸を刺されていた。屋敷にいたのは70歳の老婦人と、小柄な聖書マニアの姪だけ。どちらかが侵入者を正当防衛で殺したのか? だが老婦人ネッダは58年前、この屋敷で9人の人間が殺された“ウィンター邸の大虐殺”以来行方不明になっていた女性だった。ネッダは当時12歳。果たして彼女が事件の犯人だったのか? 今までいったいどこにいたのか? 今回の事件との関わりは? 謎が謎を呼ぶ迷宮のような事件に、完璧な美貌の天才ハッカー、ニューヨーク市警のマロリーが挑む。/解説=若林踏 -
未来警察殺人課[完全版]
三課――殺人課とは、殺人事件を捜査する部署ではなく、殺人を行う部署である。科学技術の発展とテレパシー能力者の存在により、殺人願望を抱く者が事前に察知されるようになった“第二の地球”では、殺人事件は起こってはならないものであり、ゆえに刑事たちの使命は殺人を起こす可能性のある者を強制的に排除することである。しかも刑事たちは全員、かつて殺人願望に取り憑かれ、一度は社会から排除された人間たちだった。短編の名手・都筑道夫を代表する傑作SFミステリ連作全15編を1巻に収めて贈る。/解説=辻真先、鏡明、日下三蔵 -
霜の降りる前に
リンダ・ヴァランダー、まもなく三十歳。警察学校を修了して秋からイースタ署に赴任することが決まり、この夏は父クルトのアパートに同居している。久しぶりの故郷で、旧友ふたりとのつきあいも復活した。だが、その友人のひとりアンナがいきなり行方不明に。いなくなる直前にアンナは、彼女が幼いころに姿を消したままの父親の姿を見たと、リンダに告げていた。アンナになにが? 心配のあまり、まだ正式に警察官になっていないからと諫める父の制止を無視し勝手に調べはじめるリンダ。全世界で4000万部突破! スウェーデンミステリの巨匠マンケルの人気シリーズ。 -
紅玉は終わりにして始まり
十六歳の「あたし」ことグウェンドリンが“めまい”に襲われたのは高校のカフェテリア。それがすべての始まりだった。そもそもタイムトラベラーとして期待され、準備万端ととのえていたのは、いとこのシャーロットだったのだ。ところが実際に過去に飛んだのは、何の準備もしていないあたし。相棒になったギデオンは気絶しそうにステキなんだけど、鼻持ちならない嫌なやつで、あたしのことなんかバカにしてる。あたしだって好きでタイムトラベルしてるんじゃないのに。ドイツで百万部突破。大人気のタイムトラベル・ファンタジー三部作、第一弾! -
なんでもない一日 シャーリイ・ジャクスン短編集
人間の裡に潜む不気味なものを抉り出し、独特の乾いた筆致で書き続けたシャーリイ・ジャクスンは、強烈な悪意がもたらす恐怖から奇妙なユーモアまで幅広い味わいの短編を手がけたことでも知られている。死後に発見された未出版作品と単行本未収録作を集成した作品集Just an Ordinary Dayより、現実と妄想のはざまで何ものかに追われ続ける女の不安と焦燥を描く「逢瀬」、魔術を扱った中世風暗黒ゴシック譚「城の主」、両親を失なった少女の奇妙な振るまいに困惑する主婦が語る「『はい』と一言」など、悪意と妄念、恐怖と哄笑が彩る23編にエッセイ5編を付す。本邦初訳作多数。/収録作=「序文 思い出せること」「スミス夫人の蜜月(バージョン1)」「スミス夫人の蜜月(バージョン2)――新妻殺害のミステリー」「よき妻」「ネズミ」「逢瀬」「お決まりの話題」「なんでもない日にピーナツを持って」「悪の可能性」「行方不明の少女」「偉大な声も静まりぬ」「夏の日の午後」「おつらいときには」「アンダースン夫人」「城の主」「店からのサービス」「貧しいおばあさん」「メルヴィル夫人の買い物」「レディとの旅」「『はい』と一言」「家」「喫煙室」「インディアンはテントで暮らす」「うちのおばあちゃんと猫たち」「男の子たちのパーティ」「不良少年」「車のせいかも」「S・B・フェアチャイルドの思い出」「カブスカウトのデンで一人きり」「エピローグ 名声」 -
シャーロック・ホームズ最後の挨拶【深町眞理子訳】
“およそ信じがたい異様な体験をした。それにつきご相談申しあげたし”――退屈に苦しむ名探偵ホームズに持ちこまれた、怪奇な雰囲気が横溢する事件「〈ウィステリア荘〉」。大英帝国の命運がホームズの推理にゆだねられる「ブルース=パーティントン設計書」。ワトスンが目にした、ベッドに横たわるホームズの衝撃的な姿「瀕死の探偵」。そしてシリーズの異色作の表題作のほか、全8編を収録する短編集。登場から一世紀以上がたったいまでもなお、さまざまなかたちで映像化されるなど、世界じゅうの人々を魅了する名探偵の事件簿。/収録作=「〈ウィステリア荘〉」「ボール箱」「赤い輪」「ブルース=パーティントン設計書」「瀕死の探偵」「レイディー・フランシス・カーファクスの失踪」「悪魔の足」「シャーロック・ホームズ最後の挨拶 ──ホームズ物語の終章」「解題=戸川安宣」「解説=日暮雅通」 -
四人の署名【深町眞理子訳】
自らの頭脳に見合う難事件のない無聊の日々を、コカインで紛らわせていたシャーロック・ホームズ。唯一の私立探偵コンサルタントを自任する彼のもとを、美貌の家庭教師メアリーが訪れる。彼女の語る事件は奇妙きわまりないものであった。父が失踪してのち、毎年、高価な真珠を送ってきていた謎の人物から呼び出しの手紙がきたというのである。ホームズとワトスンは彼女に同行するが、事態は急転直下の展開を見せる。不可解な怪死事件、不気味な〈四の符牒〉、息を呑む追跡劇、そしてワトスンの恋……。忘れがたき余韻を残すシリーズ第2長編。/解題=戸川安宣、解説=紀田順一郎 -
喜劇悲奇劇
右から読んでも左から読んでも「きげきひきげき」――アルコール浸りの落ちぶれ奇術師七郎は、動く一大娯楽場〈ウコン号〉の処女航海で冴えない腕前を披露することになった。紹介されたアシスタントを伴い埠頭に着いたところが、出航前から船内は何やら不穏なムードに満ちている。案の定というべきか、初日直前の船内で連続殺人の騒動が持ち上がり、犠牲者には奇妙な共通点が見出され……。章題はすべて回文、「台風とうとう吹いた。」の一文で始まる、奇抜な謎とぺてんの楽しさてんこ盛りの本格長編ミステリ。言葉遊びへの造詣こよなく深いミステリ界の魔術師泡坂妻夫が物した、他の追随を許さない会心作。/作者のことば=泡坂妻夫、解説=新保博久 -
強欲な羊
怖い、でもページを捲る手が止まらない!とある屋敷で暮らす美しい姉妹のもとにやってきた「わたくし」が見たのは、対照的な性格の二人の間に起きた数々の陰湿で邪悪な事件。ついには妹が姉を殺害するにいたったのだが――。はたして“羊の皮を被った狼”は姉妹どちらなのか?圧倒的な筆力で第7回ミステリーズ!新人賞を受賞した「強欲な羊」に始まる“羊”たちの饗宴。揺れ動く男の心理と狡猾な女を巧みに描く「背徳の羊」。愛する王子と暮らす穏やかな日々が崩壊する過程を、女たちの語りで紡ぐ「ストックホルムの羊」ほか全5編。女性ならではの鋭い狂気が秀逸な連作ミステリ。 -
柳生十兵衛秘剣考
女だてらに武芸の道を選んだ毛利玄達は、男装し諸国をめぐっている。ある日琵琶湖を往き来する渡し舟の上で、無手勝流の“卜伝”を名乗る人物と出会った。舟上でおのれの武芸自慢を繰り広げ、乗り合わせた客たちにまで迷惑をかける牢人を体よくあしらった卜伝に感銘を受けた玄達だが、以前から腐れ縁の柳生十兵衛曰く、その“卜伝”には裏がありそうで……。隻眼の剣豪・柳生十兵衛と毛利玄達がさまざまな流儀の達人たちにまつわる“謎”を、華麗に解き明かしていく!第二回ミステリーズ!新人賞受賞作家が贈る、傑作書き下ろし時代ミステリ四編。 -
フライ・バイ・ワイヤ
宮野隆也のクラスに転入してきたのは、二足歩行のロボット、IMMID‐28だった。病気で通学できない一ノ瀬梨香という少女を、遠隔操作で動くロボットを通じて学校生活を送れるようにする実験だという。隆也たちは戸惑いつつも“彼女(ロボツト)”の存在を受け入れ、実験は順調なすべりだしを見せた。しかしある放課後、校内で級友が撲殺され、彼女の背中が被害者の血で染まっているのが発見される。殺害の動機は? ロボットと、事件の関わりとは?! そもそも“彼女”は本当に一ノ瀬梨香なのか――。「今から遠くない未来」を舞台に描く、青春本格ミステリ。 -
時間泥棒
ニューヨークで、ある日突如として時間の流れがおかしくなりはじめた。時計がどんどん遅れていくのだ。しかも場所ごとに少しずつ遅れかたが違う。その結果、周波数も影響をうけ、通信もままならない。著名な物理学者が言うには、「この世界と交差する他次元のエイリアンが、われわれの時間を少しずつ盗みとっているのです」!?エイリアンだか何だか知らないが、とにかく時間がたりなくなっていくのは本当だ。でも、いったいどんな手が打てるというのだ?議論は果てしなくつづく。だがやがて時間のみならず物質にまで異常事態が生じはじめ……。巨匠が贈る時間SFの新機軸! -
いま見てはいけない デュ・モーリア傑作集
水の都ヴェネチアで不思議な双子の老姉妹に出会ったことに始まる、夫婦の奇妙な体験「いま見てはいけない」、突然亡くなった父の死の謎を解くために父の旧友を訪ねた娘が知った真相「ボーダーライン」、急病に倒れた牧師のかわりにエルサレムへの二十四時間ツアーの引率役を務めることになった聖職者に、次々と降りかかる災難「十字架の道」など、サスペンスあり、日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、人間の心理に深く切り込んだ洞察あり、天性の物語の作り手、デュ・モーリアの才能を遺憾なく発揮した作品5編を収める、粒選りの短編集。【収録作】「いま見てはいけない」「真夜中になる前に」「ボーダーライン」「十字架の道」「第六の力」/解説=山崎まどか -
猫とアリス
直木賞作家が描く、躊躇しない最強の女探偵!ジムでのスパーリングでひと汗かいたわたしが事務所に帰ると、新たな依頼人が待っていた。元教え子が亡くなった事件を調べてほしいという――。調べていくと、鮮やかな青い蛇のタトゥーを彫った男の影がちらつきはじめる。なぜか心惹かれる男、「青蛇」と関わった最初の事件だった。亡き夫の遺した探偵事務所を舞台に、一筋縄ではいかない依頼の数々をクールに片付けていく、芦原すなお渾身の女性私立探偵譚。『月夜の晩に火事がいて』の山浦歩との最初の出会い「猫とアリス」ほか、青蛇を巡る哀しい事件の顛末を全5編で贈る、シリーズ第2弾。/解説=中辻理夫 -
サイモン・アークの事件簿
オカルト探偵アーク登場!73人もの人間が崖から飛びおりた、謎の大量自殺事件を取材に出かけたわたしは、現場の村で不思議な男性と知り合う。その男は、悪魔の存在証明や真の超自然現象を追い求め、世界を旅しているのだという。年齢2000歳とも言われる彼の名は、サイモン・アーク――。シリーズ第1作にしてホックのデビュー作でもある短編「死者の村」を巻頭に、自薦作品の中からさらに精選した10編を収録した、オカルト探偵アーク待望の第1短編集。黒魔術、狼男、悪魔崇拝、妖精……世界じゅうで起きる怪異な事件に、快刀乱麻の推理力で挑むアークの活躍をご照覧あれ。 -
アーデン城の宝物
エルフリダとエドレッドの姉弟は、おばさんと崖の上の家に住んでいた。ある日ふとしたことからエドレッドがアーデン家の当主であることが判明、アーデンの城に移り住むことに。そしてアーデン家の紋章にある不思議な白いモグラを呼び出したふたりは、モグラの助けで過去の時代を訪れ、伝説の宝を探すが……。〈ハリー・ポッターシリーズ〉の著者がこよなく愛した英国児童文学の大家の、タイムトラベル・ファンタジーの草分け的名作。訳者あとがき=井辻朱美/解説=永島憲江 -
ルピナス探偵団の当惑
二十世紀の黄昏の、ある晩秋に起きた殺人。たわいもない筈のその事件には、一つ奇妙な謎が残されていた。私立ルピナス学園に通う吾魚彩子(あうおさいこ)は、かつてうっかり密室の謎を解いてしまったために、刑事である奇矯な姉に無理やり現場写真を見せられ、推理を強要される。なぜ犯人は殺人ののち、現場で冷えたピザを平らげたのか――(「冷えたピザはいかが」)。青薔薇の館に残された、鏡文字のルビ付きダイイング・メッセージ。死体から右手を切り取られた大女優。博学の少年・祀島(しじま)らと遭遇する不思議な事件の結末は? 少年少女が織りなす謎と論理のセッション。清冽な印象を残す佳品三編を収める。 -
赤々煉恋
人の世はなんとおぞましく、美しいのだろう――。最愛の妹をたった二十二歳で亡くした女は、不思議な葬儀社にあるお願いをする。まるで生きているかのように写真を撮影できる凄腕のカメラマンに、妹のウエディングドレス姿を残してほしい、と。しかしそれは、禁断の行為だった……。雨の渋谷で死んだ同級生を思い出す男、街を彷徨う女子高生、満たされぬ思いから窃盗を繰り返す女、この世のものとは思えない美女と遭遇した少年。赤々とした炎のように何かに身を焦がし、切望する者たちの行く末ははたして──。人間の赤裸々な欲望、妄執を巧みな文章で書き綴った、切ない余韻の残る連作短編集。 -
さよならの次にくる
「東雅彦は嘘つきで女たらしです。東雅彦は2月1日、こんなことをしていました」愛心学園吹奏楽部の部室に貼られた怪文書。こんなものを貼ったのは誰だと騒ぐ部員たちが特定の人物を犯人扱いしそうになったとき、オーボエ主席奏者の渡会千尋が「私がやりました」と名乗り出る。渡会千尋。僕の初恋の人だ――。初恋の人の無実を証明すべく、葉山君が懸命に犯人探しに取り組む「中村コンプレックス」ほか、葉山君の小学生時代のエピソード「あの日の蜘蛛男」、探偵役を務める伊神先輩の卒業式の日の出来事を描く「卒業したらもういない」など、〈卒業式編〉は4編を収録。デビュー作『理由あって冬に出る』に続く、ライトでコミカルな学園ミステリ第2弾、前編。 -
火星のプリンセス
【映画「ジョン・カーター」原作】南軍の騎兵大尉ジョン・カーターはある夜、アリゾナの洞窟から忽然と火星に転移した。時まさに火星は乱世戦国、地球とは桁外れに発達した科学力を背景に、四本腕の獰猛な緑色人や地球人そっくりの美しい赤色人らが、それぞれ皇帝を戴いて戦争に明け暮れている。その渦中に飛びこんだ快男子カーターは絶世の美女デジャー・ソリスを救い出すべく、剣を片手に超人的な身体能力を駆使して縦横無尽の大活躍を見せる……。スペース・オペラの原点ともいうべき不朽の傑作!解説=高橋良平※本電子書籍版は、2012年3月初版の『[新版]火星のプリンセス』を底本といたしました。1980年2月初版の『火星のプリンセス』および1999年6月初版の『[合本版]火星のプリンセス』の挿絵は収録しておりません。 -
もろこし銀侠伝
南宋時代の中国、臨安。食べ物や飲み物に至るまで刺客への警戒を怠らなかった李小遊が、猛毒にあたって死んだ。唯一毒味をしなかった薬のせいに違いないと、薬屋を営む蒲半仙は囚われの身となってしまう。ひとり残された娘の蒲公英が悲嘆にくれていると、かねて店に出入りしていた雲游という男が「心配するな。無実を証明すればいいのだ」と力づける。かくして九歳の少女と不思議な力を持つ老人の真犯人捜しが始まった――第三回ミステリーズ!新人賞受賞作「殺三狼」など、四編を収録。虚実ないまぜの中華世界で義に生き悪を挫く好漢“銀牌侠”を軽やかな筆致で描くミステリ連作集。 -
バビロニア・ウェーブ
銀河面を垂直に貫く、直径1200万キロ、全長5380光年に及ぶレーザー光束――バビロニア・ウェーブ。いて座α(アルフア)方向、太陽系から3光日の距離に発見されたこの光束が、いつから、なぜ存在するのかはわからない。ただ、そこに反射鏡を45度角で差し入れれば人類は厖大なエネルギーを手に入れられる。この想像を超えた光束の傍らに、送電基地が建造された。基地との連絡船運航にあたっていた操縦士マキタは、あるとき緊急事態発生の報を受け一人の重要人物と謎の積荷とを運ぶよう命じられた。だが到着した基地には誰の姿もない。そしてここでは極秘裏に、ある計画が進行していたのだ。日本ハードSFを代表する傑作。星雲賞受賞。 -
絵が殺した
《黒川博行警察小説コレクション》 竹の子を採りに来た主婦が発見したのは、白骨化した死体。すぐに被害者は、以前にまったく別の場所で失踪したとされていた日本画家と判明したが、事件の謎は深まる。しかもその背後には、有名日本画家の贋作グループの存在が浮かび上がる――。二十年前に起こった贋作事件との繋がりは? 果たして大阪府警捜査一課深町班は、犯人にたどり着くことができるのか。吉永誠一、小沢慎一コンビに、怪しげな美術ブローカーも加わり、日本画壇・美術商業界の裏側に迫る。アリバイトリック、密室の謎も盛りこまれた珠玉の警察小説コレクション第六弾! ※本作品は東京創元社、徳間書店で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。 -
凍った太陽 高城高全集2
入院中、同室となった男に、盛り場で雀荘を経営する妹の安否を確かめてほしいと頼まれた大学生の〈私〉は、戦後の焼け跡が広がる仙台の街を、彼女の影を追ってひたすらにさまよう。米兵相手の特飲街に、彼女はいた。だが、そこには危険な男たちの影がうごめいていた――。米兵が闊歩する戦後の仙台を舞台に、日本ハードボイルドの黎明を飾った「X橋付近」ほか、日本人娼婦と米兵の炎熱の夏の悲劇を乾いた筆致で活写した「ラ・クカラチャ」、北海道の原野に消えた友の追跡行を描く「淋しい草原に」、そしてひとりの〈運命の女〉を追う連作「由利」シリーズなど11作品に、エッセーも収録した、高城高、珠玉の短編集! -
魔法飛行
私も,物語を書いてみようかな――入江駒子のつぶやきは「じゃあ書いてごらんよ」の声にあっさりと迎え入れられた。幾つも名前を持っている不可解な女の子との遭遇,美容院で耳にした噂に端を発する幽霊の一件,学園祭で出逢った〈魔法の飛行〉のエピソード,クリスマス・イブを駆け抜けた大事件……近況報告をするように綴られていく駒子自身の物語は,日々の驚きや悲しみ,喜びや痛みを湛え,謎めいた雰囲気に満ちている。ややあって届く“感想文”には,駒子の首を傾げさせた出来事に対する絵解きが。第三回鮎川哲也賞を受賞した『ななつのこ』に続く,会心の連作長編ミステリ。 -
ロンドン、ドッグパーク探偵団
ルイーズは愛犬のミニチュア・ダックスフンドのクラウスを連れて友人といつもの公園を散歩中、よりによって人間の死体を見つけてしまう。すぐに警察に通報して事態は彼女の手を離れた……はずだった。ところが死んでいた男性は、かつての犬の散歩仲間で、彼の犬が亡くなってからは疎遠になってしまっていた人物と判明。良心のとがめも手伝って、ルイーズはドッグランの仲間と一緒に彼の死の真相を探りはじめるが……。犬飼いあるある満載。イースト・ロンドンを舞台に、愛すべき犬たちとその飼い主が大活躍のコージーミステリ・シリーズ開幕。 -
あなたには、殺せません
「犯人だって、好きで犯罪に走ろうとしているわけではありません。必ず迷いがあります。その段階でうちに来てもらえれば、犯罪の発生を未然に防ぐことができます」──そのNPO法人には、罪を犯すか悩む人が相談にやってくる。相談員はそんな犯罪者予備軍たる人々から聞き出した犯行計画の穴を次々と指摘していく。相棒の剽窃に怒るミュージシャン、夫の罪が露見することを恐れる妻、想い人の死に復讐を決意した大学生……。不備を突かれた者たちの殺意は、果たして本懐を遂げるのか。犯罪発生を未然に防ぐ!? 新しい形の倒叙ミステリ短編集!/【目次】五線紙上の殺意/夫の罪と妻の罪/ねじれの位置の殺人/かなり具体的な提案/完璧な計画/解説=若林踏 -
ぼくらは回収しない
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、自信と才気に溢れた彼女がはたして死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女の内心を何も知らないまま二度と会えなくなったことに思い至った四人の寮生たちは、独自に事件を調べ始める。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む全五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー/解説=法月綸太郎 -
ウェルズSF傑作集
19世紀末の英国に颯爽と登場したハーバート・ジョージ・ウェルズこそは、現代SFの礎を築いた巨人であり、また卓越した文明批評家であった。20世紀になって陸続と書かれる数多のSFのテーマとアイデアのほとんどは、彼によって創出されたといっても過言ではない。本集には、80万年未来の地球と人類の衝撃的な姿を描破し、第1作ながら後世に多大な影響を及ぼした時間旅行譚「タイム・マシン」をはじめとして、「塀についたドア」「奇跡を起こせる男」「水晶の卵」など、必読の傑作6編を収めた。/【目次】塀についたドア/奇跡を起こせる男/ダイヤモンド製造家/イーピヨルニスの島/水晶の卵/タイム・マシン/訳者あとがき -
冷蔵庫婆の怪談
地方に住む小学生の間でかつて流行していた“冷蔵庫婆(れいぞうこばばあ)”の怪談。それを模倣したような、連続児童殺害事件が発生する。被害者たちの遺体は異様な状態で冷蔵庫の中に遺棄されていた。民俗学のフィールドワークの手法を用いて怪談を執筆する作家・呻木叫子(うめききょうこ)は警察から捜査協力を要請されるが……表題作のほか、大足様(おおあしさま)と呼ばれる神の祟りで、娘が二十五歳になると必ず自殺してしまう蘆野(あしの)家のおぞましい秘密に迫る「蘆野家の怪談」など、四編の本格ミステリ×怪異譚を収録する。/【目次】ハザコ男の怪談/蘆野家の怪談/冷蔵庫婆の怪談/満月館の怪談 -
京都辻占探偵六角
写真を撮る楽しみを教えてくれた、松原京介の不可解な死。離婚話で揉めていた彼の妻は、関与が疑われたものの、死亡時刻にはタクシーに乗っていた。どこをどう見ても、不運な事故としか考えられない状況だったが──恩人の死をその妻の仕業と確信した駆け出しカメラマンの安見直行は、祖母の助言によって六角法衣店を訪れる。店の主は代々京の辻や橋に立ち、道のさざめきから神託を受け、失せ物を見つけ出すことができるというのだ。直行は恩人の死亡事故を他殺と証明する証拠を探して欲しいと依頼するが、若くて無愛想な店主・六角聡明からは、けんもほろろに断られてしまう。だが、直行の撮った一枚の写真がきっかけで、六角は事件の証拠探しに協力を約束する。現代のガジェットによって構成された不可能犯罪を、緻密な論証で見事に解き明かす表題作ほか全五編を収録。第十六回ミステリーズ!新人賞受賞者による出色のデビュー連作集。/【目次】第一話 431秒後の殺人●これは計算尽くで偶然の可能性を限りなく必然に近くなるまで高めた――殺人事件だよ。/第二話 睨み目の穴蔵の殺人●最近、お客さんから「襖の武将の目が動いた、絵の中から睨まれた」なんて言われるんです。/第三話 眠れる映画館の殺人●幽霊でもない限り、無理やん? だって誰にも首を絞めたりする時間なんかなかったやんか。/第四話 照明されない白刃の殺人●オレ達がそいつの後を追って角を曲がるまでに、次の瞬間にはもう通りから姿が消えていたんだ。/第五話 立ち消える死者の殺人●この部屋に入院した人はな、夜中に攫われて二度と戻ってこられへんねんて。/著者あとがき -
グッゲンハイムの謎
ロンドンで暮らす12歳のテッドは、夏休み、家族とともにニューヨークを訪れた。おばのグロリアの案内で、休館中のグッゲンハイム美術館を見学できることに。しかしまもなく、館内に煙が漂い始める。火事だ! テッドたちは館外へ逃れたものの、驚愕の事実が判明した。騒動のさなか、カンディンスキーの名画が盗まれたのだ。疑いをかけられたおばを救うため、テッドは「ほかの人とはちがう」頭脳によって、犯行が可能だった人物を絞りこんでいくが……。少年たちの推理が爽やかに胸を打つ、『ロンドン・アイの謎』続編の傑作謎解きミステリ!/解説=川出正樹 -
神の光
一攫千金を夢見て忍び込んだ砂漠の街にある高レートカジノで、見事大金を得たジョージ。誰にも見咎められずにカジノを抜け出し、盗んだバイクで逃げだす。途中、バイクの調子が悪くなり、調整するために寄った小屋で休むが、翌朝外へ出ると、カジノがあった砂漠の街は一夜のうちに跡形もなく消えていた──第76回日本推理作家協会賞短編部門の候補に選ばれた表題作を始め、奇跡の如き消失劇を5編収録。稀代のトリックメーカー・北山猛邦の新たな代表作となる、傑作推理短編集。/【目次】一九四一年のモーゼル/神の光/未完成月光 Unfinished moonshine/藤色の鶴/シンクロニシティ・セレナーデ -
〈ときときチャンネル〉シリーズ
十時さくらは配信サービス《ときときチャンネル》で同居人のマッドサイエンティスト・多田羅未貴の発明を紹介し、収益化して生活費の足しにすることを目指す。マグカップで宇宙を飲む? 時間の結晶を飼う? 無限に拡張していく家の中で迷子? 外ロケに出たら異世界へ入り込み、通販でエキゾチック物質をお取り寄せ! 多田羅の発明品が巻き起こすトラブルもこみで、ゆるやかに楽しくお届けします。目指せチャンネル登録者数1000人! 全編配信口調と視聴者コメントで語られる新感覚の百合配信者SF。/【目次】#1【宇宙飲んでみた】/#2【時間飼ってみた】/#3【家の外なくしてみた】/#4【近所の異世界散歩してみた】/#5【エキゾチック物質雑談してみた】/#6【登録者数完全破壊してみた】 -
新釈 小泉八雲『怪談』
会社員の森下は、単独登山中に滑落死した同僚・能見香織の慰霊のため、上司と先輩の三人で雪山に赴く。山荘の主人から、「この山には遭遇した人間に〈問いかけ〉をする雪女の伝説がある」と聞かされた翌日……(白い吐息 新釈「ゆきおんな」)。大勢の死者を出したツアーバスの事故から、奇跡的に生還した芳一。後遺症で視力を失うも、一躍脚光を浴びて……(午前零時の講演会 新釈「耳なし芳一」)。その他「ろくろ首」「水飴を買う女」「貉(むじな)(のっぺらぼう)」と、有名作をモチーフにした全五編を収録。小泉八雲の代表作『怪談』刊行から約百二十年、妖しくおぞましい世界が令和に蘇る!/【目次】「白い吐息――新釈「ゆきおんな」」慰霊登山に向かった会社員たち。山荘で「この山には雪女の伝説がある」と聞かされた翌日……/「デラシネの頭骨――新釈「ろくろ首」」不可解な殺人事件と二つの失踪事件を、刑事が追うが……/「マイ・ファミリー――新釈「水飴を買う女」」仲が冷え切った夫婦。妻が夫に、「勤め先に水飴を買う女の幽霊が来る」と言い出し……/「午前零時の講演会――新釈「耳なし芳一」」多くの死者を出したバス事故の生還者が、次々に事故死し……/「『贖罪(しょくざい)』という名の人形――新釈「貉(むじな)(のっぺらぼう)」急逝した人形作家の追悼展に、夜な夜な幽霊が現れて…… -
嘘つきたちへ
過疎化が進んだ町で小学校時代を過ごした大地は、二十年以上前の卒業以来初めて東京で同級生二人と再会する。虫取りやスイカ割りなどのノスタルジックな思い出話は、自然と五年生の時に起こった事故の話に移っていく。リーダー格の少年・翔貴が沼に落ちて昏睡状態となり、目覚めぬまま最近亡くなった水難事故の真相とは? 第一回創元ミステリ短編賞受賞作「嘘つきたちへ」など、全五編の“嘘つきたちの競演”。注目新人のデビュー短編集。※本電子書籍は、『嘘つきたちへ』(ミステリ・フロンティア 2025年5月初版発行)を電子書籍化したものです。/【目次】このラジオは終わらせない/ミステリ好きな男/赤い糸を暴く/保健室のホームズ/嘘つきたちへ -
惑星カザンの桜
地球から一万光年離れた惑星カザンで、文明の急激な成長と滅亡が観測される。すでにワープ航法を手にしていた人類が、急遽この星へと送り込んだ調査チームの750名は、到着後完全に消息を絶った。カザン文明はいかにして滅び、先遣隊はなぜ遭難したのか? 原因究明のため地球を出発した第二次調査隊は、文明の痕跡が残る衛星の調査ののち、厳重な警戒態勢のもと惑星地表へ降り立つ。降下メンバーには最愛の妻である蒼井をかつて喪った、カザン文明調査班班長・吉野の姿もあった──現代宇宙SFの旗手が描く、緊迫のファースト・コンタクトSF。