ヘニング・マンケルの一覧
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ユーザーレビュー
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「大切なことは最初に言おう、でないと忘れてしまうから」と言ったのは十五世紀のパン屋さんヒマーワリ・メーロンですが、彼の言葉に習って言います
刑事クルト・ヴァランダーシリーズ第三の物語は文庫本で700ページの大長編でしたよ!
うん、この情報は私の感想よりよっぽど重要w
とにかくもうヴァランダーが大好
...続きを読むきだ!
あえて言おう、彼こそ男の中の男であると
前にも書いたかもしれないが、本当に男のいいところ(と男たちが思っているところ)と男の恥ずかしい部分が凝縮されたキャラクターと言っていいのではなかろうか
意固地でまっすぐでロマンチストで臆病で怒りっぽくて自分勝手だ
彼は直感によって仕事を進めるタイプの刑事だが、それは天才的なひらめきと言った種類のものではなく、経験や修練から生まれた鋭い観察がもたらす勘どころみたいなんを信じて行動しているにすぎないような気がする
それを他人が見ると直感と感じる
ようするに熟練した職人と言うべきで、こんなところにも自分は男を感じでしまうのだ(女性の職人さんごめんなさい)
そしてなによりヴァランダーはけっこう失敗する
いや、失態と言ったほうが正確だ
部下に助けられたり、家族に迷惑かけたりする
極めつけは酔っぱらって想いを寄せる女性に迷惑な電話をかけてしまい、恥ずかしい思いをしてしまう
情けない場面を曝しまくる男が葛藤を抱えながらも闘う姿勢がかっこいいのだ!
でもやっぱり女性には読んで欲しくない
男の情けない姿はなるべく知られたくないのです
だが女たちは言うだろう
男が情けないのはアダムとイヴの時代から知っていると
やっぱり女なんでもお見通しだ
Posted by ブクログ
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しばらく本が読めなかった。
ということで、今回はヴァランダーを手に取った。
いつものように、この物語もまた、BBCのドラマ『刑事ヴァランダー』シリーズで既に見知っている。
だが、たとえあらすじや結末を知っていたとしても、なお読むに値する、このシリーズはそんなミステリーだ。/
物語はアルジェリアで
...続きを読む起きた凄惨な殺人事件で幕を開ける。
その事件では、5人の女性が惨殺されていた。
そして、その一年後、ヴァランダーの管内で一人暮らしの老人が失踪する。/
暴力は暴力を産み、連鎖の輪を拡げて行く。
まるで、映画『コッドファーザー』のシチリアの村のようだ。
誰が最初に始めたのかなんて、辿りようもない。
たぶん、有史以前から続いているのだ。
あんな凄惨な世界大戦を経験したのに、戦勝国は決して学ぼうとはしない。
ロシア、アメリカ、中国、表面的には違っているように見えても、一皮むけば暴力礼賛というその宗教は同じ物。/
ヴァランダーは刑事だ。
悪のしろしめす世において、悪と戦う彼は、ドン・キホーテ同様、必ずや敗れ去るだろう。
まるで、自ら敗北を選んだ詩人のように。
悪を前にして、彼はあまりにも無力だ。
彼は一人であり、悪は際限なく増殖し続けるのだから。
彼が一つの事件を解決した途端に、またどこかで別の事件が起きる。
彼は現代のシーシュポスだ。
彼は弱い。
彼は敗れ去るだろう。
そして、それを知りながらも、なお彼は戦うことをやめないのだ。/
【私は夢で神を見た。神は二つの顔をもっていた。一つは穏やかでやさしい顔、もう一つはサタンの顔だった。 ナワル・エル・サダウィ著『イマームの失落』】(エピグラフ)/
【なぜすべてがよりひどく、より残酷になったのか。(略)彼のスウェーデン、彼が子ども時代を過ごしたスウェーデン、第二次世界大戦後築き上げられたスウェーデンの礎石はみんなが思うほど盤石なものではなかったのだ。礎石の底が泥土だったのだ。戦後復興の新興住宅地が開発されたころ、よく“非人間的”だと批判されたではないか。あのようなところに住む人間たちに“人間らしさ”を保てと求めることは無理なのだ。社会は硬くなってしまった。自国にいながら必要とされない、歓迎されないと感じる人々は、攻撃性と軽蔑をもって社会に対抗する。無意味な暴力などないことをヴァランダーは知っていた。どんな暴力であれ、振るう者にとっては意味があるのだ。この真実を受容しなければ、暴力の勢いを別のほうに向けることはできない。】/
ふと、一つの詩句が浮かぶ。
【鬼一人つくりて村は春の日を涎のごとく睦まじきかな】(前 登志夫)
プーチンもまた、この世界から産まれたのだ。/
また、この物語は、どうしても一つの言葉を呼び起こさざるを得ない。/
【社会世界の端役である女性たちには、最後の行き場として、あらゆる危機の影響が、どうしようもなく収斂するのである。】(ピエール・ブルデュー『世界の悲惨 II 』)/
Posted by ブクログ
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シリーズ進むにつれ 深みが増す
彼の才能は安く買い高く売る、また他の人に見えない価値を発見することにあった
まさに!!
Posted by ブクログ
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スウェーデンの警察小説である『クルト・ヴァランダー』シリーズの第1作。
凄惨な殺人事件の謎を追う警官クルト・ヴァランダーが主人公なのだけれど、起こること起こること(事件関係でもプライベートでも)泣きっ面に蜂が続き、同情を禁じ得ない。次々に事件は起こるし、上司は不在だし、操作情報を外部に漏らす部下もい
...続きを読むるし、家では離婚、娘との不和、老父の精神不安定、中年太り、アルコール依存、古い友だちには邪険にされ、新しく出会った人妻にも相手にされない…。お世辞にもスマートとは言えないクルトだけど、事件に関しては(何度も失敗しながらも)「しぶと」く「絶対に放り出さな」い姿に、よれよれながらも応援したくなる。
胸のすく謎解きのカタルシスはないけれど、事件が終わった後の警官たちの語りに、静かな感動を覚える読後感だった。
Posted by ブクログ
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レビューを書いてないままになっているのにひと月以上経って気づいたものの、もう概要を忘れてしまってきちんとした文章を書けなくなってしまいました。無念。かなりのページ数でしたが内容にひっぱられてぐいぐいと読み進められました。題名が印象的ですがこれも読み終わって納得。事件はただ間違った時間に間違った場所に
...続きを読む居合わせてしまっただけの一般市民の女性が殺害され遺体が遺棄されたため行方不明になり、残された夫が地元警察署に届け出てヴァランダー刑事が捜査にあたるが手がかりがほとんど無く難航する捜査という軸と、南アフリカ共和国(執筆された当時はまだアパルトヘイト政策が撤廃される前)で白人優位を死守しようという勢力が、要人の暗殺を計画しその要人の生命そのものと政治の流れを抹殺するだけでなく、行われる暗殺の実行犯を単なる駒ではなく人種政策において重要な意味を持つ人物にすることで大きな流れを断ち切ろうと画策するという二つの軸が並行して交互に描かれていき、それらがどう交差してひとつの事件になったかというのを解き明かしていく、圧巻の作品でした。南アフリカ共和国の政情についてなど、巻末に丁寧な解説があり、全て読み応えがありました。ペースはぼちぼちですが全作通して読みたいシリーズです。
Posted by ブクログ
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