【感想・ネタバレ】背後の足音 下のレビュー

あらすじ

長年いっしょに仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。そのあまりに無惨な殺人現場に、ヴァランダーを始め、イースタ署の面々は言葉を失った。どうやら殺された刑事は、夏至前夜に消えた若者たちの事件を調べていたらしい。二つの事件は同一犯のしわざなのか?調べを進めるうちに、次第に明らかになる同僚の隠された素顔。自分はいったい、彼の何を知っていたのか。焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が……。糖尿病からくる体の不調と闘いながら、ヴァランダーは事件の真相に迫る。現代社会の病巣を見事にえぐった、北欧の巨匠、マンケルの傑作。/解説=小山正

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Posted by ブクログ

なぜ俺はスウェーデン人でないのか
悔やまれてならない
もし、俺がスウェーデン人であったなら
この傑作がさらに7,000倍は面白かったはずだ
残念でならない

はい、というわけでね
刑事ヴァランダーです

もう何が凄いってあーた
ヴァランダーもの忘れがひどすぎるよ!

もう8割方携帯を忘れる
ちゃんと持ってる残りの2割もだいたい充電がこころもとない
初老の哀しさよ

ヴァランダーはコツコツと事実を積み重ねて捜査する警察官でありながら、ちょっとした違和感から閃きを得る天才型の探偵でもある

それは事件現場で感じるものだったり、誰かと話したときの言葉だったりする
後になってピカーン!と閃く
あの時のあれ、あの時の言葉、すごく重要だった気がする!!!

しかし、忘れてる
肝心なことは忘れてる

おい!

んーここまで出てるのに!状態

もちろん読者はページを遡って確認し、ヴァランダーの一歩先に行くことは出来る
でも、そんなことをしたらもったいない

こっちだって覚えちゃいないけど、あれ?そういえばさっき変なこと言ってたな?あれ、なんて書いてあったっけ?とヴァランダーと一緒ここまで出てるのに状態のまま読み進めるのが正しい

そうだーーー!これだーーーー!

が気持ちええw

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2024年10月22日

Posted by ブクログ

本当に好きなものは、あまり良く理由がわからない。思えば、『イタリアン・シューズ』を読んでからだ。

それまでの北欧ミステリーは『ミレニアム』シリーズだった。面白くはあったが、正直ウンザリしたこともあった。
たまたまドラマ「刑事ヴァランダー 目くらましの道」を観て、作者ヘニング・マンケルに興味をもった

それからというものは、本当に好きなものの一つになった。

この本もまた、とてもよかった。
特に「エピローグ」がとても良い。

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2024年05月29日

Posted by ブクログ

解説であったように、初期3作の「壁」を越えてからは、安定した面白さ。人に勧めるなら「笑う男」以降だろうか。

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2021年06月11日

Posted by ブクログ

ヘニング・マンケル『背後の足音 下』創元推理文庫。

クルト・ヴァランダー・シリーズ第7弾。

今から20年前の作品だというのに今の世の中とも通ずるような犯罪や人間の嗜好が描かれていることに驚かされた。まるで無差別的に無実の多くの人びとをいとも簡単に殺害する異常な犯人。このような異常な犯罪は、今の日本でも当たり前に起こるのだから恐い。

殺害されたヴァランダーの同僚刑事が隠し続けてきた素顔。エスカレートする犯人の犯行は、ついに8人目の犠牲者を生み出す。明らかになる犯行の動機……ヴァランダーの運命は……

本体価格1,200円
★★★★★

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2019年06月24日

Posted by ブクログ

随分とスローペースで読んだが、高価な文庫なのでそれもよしとしよう。

ヘニングマンケルを初めて読んだ。
話に吸い込まれヴァランダーの愛すべきキャラにも惹かれてしまった。

これからゆっくり時間をかけてヴァランダーシリーズを読めると思ったら実に幸せ。

ミステリーなので幸せな話では無いけれども(笑)。

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2015年02月06日

Posted by ブクログ

今回またヴァランダーの鋭い冴えとアクション、反面情けない中年男のへこみ具合を味わえました。とは言え現代社会の闇の深さはなにもスエーデンに限った事ではなく、また犯罪の多様性や訳のわからなさのようなモノも奥深いのだと気づかされました。

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2015年01月31日

Posted by ブクログ

苦みばしったヨレヨレの主人公刑事、今の世相を反映した不気味な犯人、素晴らしい物語と三拍子揃った、文句無しの傑作。

主人公のヴァランダーが、弱く、孤独で、疲れ果て、イライラしているという人物造形がいい。それでも、正義を失わないでいたいと祈るようにして動き回る中年の刑事。


この犯人のように、奇妙に現実感覚のない人物に、ぼくも会ったことがあるから、余計に怖かった。

まったくダレることなくページターニングさせる。文章もいい(訳文はちよ微妙)。

このシリーズ、コンプリートを誓おう。

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2013年07月23日

Posted by ブクログ

スウェーデンのミステリ。
クルト・ヴァランダー警部のシリーズ7作目後半。
規模の小さな警察が大事件を抱えての奮闘を描きます。

部下の警官スヴェードベリが殺され、目立たなかった彼の意外な面がわかってくる。
夏至祭に殺された3人の若者の事件を、ひそかに捜査をしていたらしい。
スヴェードベリが隠していた写真に写っていた人物は、誰なのか。公開しても、見た者はなかなか現れない。

ヴァランダー自身は体調が悪くて治療を始めるが、たまたま血糖値が高いだけと糖尿病であることを認めず、署員にも病気のことを知らせない。
こういうふうに、仕事にのめり込むタイプなのですが。
周囲に心配をかけながら、何でなの、このダメおじさんは全くぅ~という中年男の危機がなんとも相変わらず。

地道な捜査で、殺人者を追いつめていく所は、迫力。
犯人の方でも、次の標的や、警察を狙っているのだから、それが交錯していくスリルで、胸が苦しくなりそう。

犯人の人間像も、筋が通っているわけではないのが、またリアルな怖さがあります。
とうてい幸福とは言えないが、決して暴力的ではなかった人間がなぜ突然、凶行に走ったのか…
世界は歪み、崩れようとしているのか?

孤独がちなヴァランダーですが、新たな知り合いに誘われて思いがけない休暇を過ごすことに。
船でもはや住む人のいない島へ渡り、この国に人が暮らし始めた原点を思う。
最後に何とも良いシーンがあります。

夏至祭に扮装してパーティをするというのも、やや変わったことではあるらしい。
被害者も、ただ幸福な若者だったわけではないんです。
北欧では夏は「暖かくて快適」な季節で「暑くてしんどい」というのはないそう。
そのため夏至祭は、クリスマス以上に盛り上がるハッピーな時期なのだと。
後書きにそうあったので、あらためて事件の印象を認識しました。
1997年発表、2011年7月翻訳発行。

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2012年11月05日

Posted by ブクログ

のどかな北欧の国、スウエーデン。
私にとっては美しい自然と手仕事の盛んな国という
イメージの憧れの地。しかし、ヘニング・マンケルの
描く小説世界のスウェーデンはかなりダーティ。
そこには現代のこの国のかかえる問題点が
浮き彫りにされている。社会福祉の進んだスウエーデン
にも格差社会により生まれた『落ちこぼれ』は
確かに存在しているのだ。

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2012年01月29日

Posted by ブクログ

何ともやるせない気持ちにさせる結末。
でも、文句なしのベストワン。

ヴァランダー刑事と私は、この物語の段階で同い年であることが分かった。糖尿病の心配はないが、血圧は高いし、運動不足だし、そういう意味でも親近感を覚えた一冊であった。

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2011年10月31日

Posted by ブクログ

本作のタイトルである「背後の足音」という表現だが…直接的には、ヴァランダーの背後に蠢く謎の犯人―これがこのシリーズの“犯人”の中では「最も不気味で不可解」な人物かもしれない…―の足音であり、“足音”が示すその人物の気配のことを示すと理解出来る…が、同時にこれは「知らぬ間に社会が抱えている、名状し難い不気味なもの」とでも言うようなもの、「気配はしてもハッキリ姿が見えない“悪意”」とでも言うようなものを暗示している…という気がした…

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2011年08月31日

Posted by ブクログ

スウェーデンの作家「ヘニング・マンケル」の長篇ミステリ作品『背後の足音(原題:Steget efter)』を読みました。

『目くらましの道』に続き「ヘニング・マンケル」作品です… 読み始めると北欧ミステリは続いちゃいますね。

-----story-------------
〈上〉
夏至前夜、三人の若者が公園でパーティを開いていた。
十八世紀の服装、料理、ワイン。
彼らをうかがう目があるとも知らず……。
イースタ警察署に娘を捜してくれという母親の訴えが出された。
夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ。
捜査会議を招集したが、刑事の一人が無断で欠席した。
几帳面なはずの人物がなぜ? 
不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景が。
シリーズ第七弾。

〈下〉
長年一緒に仕事をしてきた同僚の刑事が殺された。
そのあまりに無惨な姿に、イースタ署の面々は言葉を失った。
どうやら彼は、例の若者たちが失踪した事件をたった一人で調べていたらしい。
二つの事件は同一犯の仕業なのか。
調べ進むうちに明らかになる、殺された刑事の隠された素顔。
自分はいったい彼の何を知っていたのか。
「ヴァランダー」ら捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が……。
現代社会の病巣をえぐる北欧の巨匠の傑作。
訳者あとがき=「柳沢由実子」/解説=「小山正」

*第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/総合部門
*第1位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/翻訳家&評論家部門
*第3位『IN★POCKET』2011年文庫翻訳ミステリー・ベスト10/読者部門
*第4位『このミステリーがすごい!2012年版』海外編
*第4位『ミステリが読みたい!2012年版』海外篇
*第6位〈週刊文春〉2011ミステリーベスト10 海外部門
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警察小説「クルト・ヴァランダー」シリーズの第7作… 第1作の『殺人者の顔』、第4作の『笑う男』、第5作の『目くらましの道』に続き、本シリーズを読むのは4作目です、、、

本シリーズ、新しい作品が出る度に長くなる傾向があるようで、本作品は上下巻で850ページを超える大作になっています… 読み応えありましたね。


夏至前夜、三人の若者が自然保護地区の公園でパーティを開いていた、、、

十八世紀の服装、音楽、美味しい料理、ワイン… 物陰から彼らをうかがう目があるとも知らず。

その三人の若者のうちの一人「アストリッド・ヒルストルム」の母親「エヴァ・ヒルストルム」から、イースタ警察署に娘を捜してくれという訴えがあった。

夏至前夜に友人と出かけて以来、行方がわからないというのだ… 旅先から絵はがきが届いてはいるのだが、筆跡が偽物らしいというのだ、、、

母親の熱意に動かされた「ヴァランダー」は捜査会議を招集したが、同僚の刑事のひとり「カール・エヴァート・スヴェードベリ」が無断で欠席した… 電話をしても応えるのは留守番電話ばかりで、いっこうに連絡がとれない。

几帳面で遅刻などしたことのない「スヴェードベリ」が、なぜ? 不審に思ってアパートを訪ねた「ヴァランダー」の目の前に、信じられない光景がひろがっていた… 長年一緒に仕事をしてきた「スヴェードベリ」はライフル銃で頭を撃たれ殺されていた、、、

そのあまりに無惨な殺人現場に、イースタ署の面々は言葉を失う… どうやら「スヴェードベリ」は休暇まで使って、例の若者たちが失踪した事件を一人で調べていたらしい。

二つの事件は同一犯の仕業なのか? 調べ進むうちに、次第に明らかになる、「スヴェードベリ」の隠された素顔… 自分はいったい彼の何を知っていたというのだろう、、、

そして、自然保護地区の公園で三人の遺体が発見される… 三人とも銃で頭を撃たれており、しかも、遺体は一度どこかに持ち去られたあと、再度、殺された場所に置かれていた。

捜査陣の焦燥感がつのるなか、次の犠牲者が… 三人の若者とのパーティーに参加する予定だったが、体調を崩して参加できなかった「イーサ・エーデングレン」が銃で撃たれて殺され、さらに結婚式を挙げた直後に記念撮影をしていた「トルビューン・ヴェルネル」と「マーリン・スカンデール」の新婚夫婦とカメラマンの「ロルフ・ハーグ」が銃で撃たれて殺される、、、

次に狙われるのは誰か? そして、「ヴァランダー」にも魔の手が迫る… 糖尿病からくる身体の不調(本人は同僚たちにちょっと血糖値が高いだけ… と言って、糖尿病とは言いませんが)と闘いながら、「ヴァランダー」は同僚たちの協力を得ながら、事件の真相に迫る。

相変わらずですが… 現代社会の病巣を見事に描いた快作でしたね、、、

第6作の『五番目の女』を飛ばして読んだので、いつのまにか「ヴァランダー」の父親は亡くなり、「ヴァランダー」と「バイバ・リエパ」との関係も終わってしまったみたいです… やっぱ、順番に読むべきだったかなぁ。




以下、主な登場人物です。

「クルト・ヴァランダー」
 イースタ警察署の刑事

「アン=ブリッド・フーグルンド」
 イースタ警察署の刑事

「マーティンソン」
 イースタ警察署の刑事

「カール・エヴァート・スヴェードベリ」
 イースタ警察署の刑事

「ハンソン」
 イースタ警察署の刑事

「スヴェン・ニーベリ」
 イースタ警察署鑑識課の刑事

「リーサ・ホルゲソン」
 イースタ警察署の警察署長

「エッバ」
 イースタ警察署の交換手

「ツーンベリ」
 代理の検事

「クルト・ヴァランダーの父」
 画家

「イェートルード」
 その妻

「モナ」
 クルトの別れた妻

「リンダ・ヴァランダー」
 クルトの娘

「バイバ・リエパ」
 リガに住む未亡人

「ステン・ヴィデーン」
 クルトの友人

「イルヴァ・ブリンク」
 スヴェードベリのいとこ、助産師

「スツーレ・ビュルクンド」
 スヴェードベリのいとこ、大学教授

「ルイース」
 スヴェードベリの恋人?

「ブロー・スンデリウス」
 元銀行理事

「アストリッド・ヒルストルム」
 行方不明の若者

「マーティン・ボイエ」
 行方不明の若者

「レーナ・ノルマン」
 行方不明の若者

「イーサ・エーデングレン」
 アストリッド、マーティン、レーナの友人

「エヴァ・ヒルストルム」
 アストリッドの母

「エリック・ルンドベリ」
 イーサの隣人

「バルブロ」
 ルンドベリの妻

「レナート・ヴェスティン」
 群島の郵便配達人

「スティーグ・ストリズ」
 スヴェードベリを訴えた男

「ニルス(ニッセ)」
 スティーグの弟、故人

「ルート・ルンディ」
 ニルスの内妻

「トルビューン・ヴェルネル」
 新郎

「マーリン・スカンデール」
 新婦

「ロルフ・ハーグ」
 カメラマン

「マリア・ヨルトベリ」
 ロルフのアシスタント

「ロネ・シェール」
 コペンハーゲン警察の刑事

「シェル・アルビンソン」
 郵便物の集配責任者

「オーケ・ラースタム」
 郵便配達人

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2022年12月19日

Posted by ブクログ

シリーズ物とは知らず、本作から読んでしまったが楽しめた。手掛かりがないところから、ジワジワと犯人に迫っていく様が面白かった。
また、最後にはスウェーデンが抱える問題についても触れてあり、その点は日本にも共通するなぁと思い、興味深かった。

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2021年12月21日

Posted by ブクログ

ヴァランダーシリーズ 7作め。
同僚の殺害と、全ての、事件が、どのような形でつながるのか、読み始めてから、ページをめくる手が、止まらない。ヴァランダーが、犯人を、予想し始めてからも、ドキドキするほど。
捕まえた犯罪者の、人となりは、現代社会の中にも、多々存在しうる怖いストーリーでした。

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2021年04月23日

Posted by ブクログ

今回も楽しく読むことできたけど、この小説の出てくる警官たちは、いつも体力ギリギリまで働すぎ。ヴァランダーもバイパと別れ、糖尿病にかかり、常に寝不足で不健康で、気の毒だ。次号は少し幸せになってくれるといいなあ。

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2013年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

重く、暗く、そしてすばらしく面白い

自分の中では
マイクル・コナリーの『ハリー・ボッシュ』シリーズと双璧をなす
ヘニング・マンケルの『クルト・ヴァランダー』シリーズ第7弾

アメリカ、イギリスとは違う、スウェーデン独特の雰囲気がとてもいい

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2013年03月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ヴァランダー警部シリーズ7作目。今回は初めからなかなかおもしろく読めた。脇役の一人がいなくなったのは残念。

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2013年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

基本的な感想は上巻で書いたとおり。
最後の解決段階でやたらと主人公がスーパーヒーローじみるのが、マイナス点。

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2011年08月27日

Posted by ブクログ

50歳目前にして糖尿病になったりと、老いを感じさせる描写がちらほら。本シリーズは単独として読んでももちろん面白いが、登場人物たちの成長や変化は、シリーズを通してじっくりゆっくり描かれる。そんな捜査チームのひとりが悲劇に見舞われるというのが事件の発端。

寝る間なし手掛かりなしというスタイルは今回も同じだが、被害者とヴァランダーとの距離感が根底にあるため、心理的な苦しさや葛藤がやや前面に出ている気がする。仲間を失った自分、老いていく自分、事件を解決できない自分──内面にくすぶる苦悩と対峙できないまま、混乱の中で必死に手掛かりを追うヴァランダーに、不思議なくらい感情移入してしまう。

国内情勢を反映させた事件の本質や、被害者となってしまった複雑な要因など、これまでは多角的な面から事件を捉える印象が強かったのだが、今回は捜査チームを軸に据え、犯人へと近づく過程が丁寧に描かれている。そういう意味では謎解きの要素が強い作品と言えるだろう。

ひとつ残念だったのは、犯人の造形が少し薄味だったこと。今までとは毛色の違う事件であり、なおかつ犯罪そのもの様相が変わってきたという警告でもあるのだが、肝心の犯人にそこまでの濃さがない。事件の全貌に対してはきちっとまとめるシリーズなのに、今回は若干曖昧さが残った。

上下巻で相当な長さだが、そこを一切感じさせない手腕はさすがの一言。筆致はゆっくりしてるのに、ページを繰る手は常に止まらず。少し長めのプロローグが心地よいストレッチとなって、じんわり癒してくれる。

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2011年08月27日

Posted by ブクログ

ヴァランダー、いろいろ大丈夫か?
心配になってきた、と上巻に書いたけど、
なんだかんだ、ギリギリのところで踏ん張り
がんばっている彼。
今回、犯人に何度か接触するんだけど、
そのたび信じられないようなミスや失態をさらす。
映像を頭に浮かべ、
緊迫したシーンにも関わらずわたしは大笑いした。
50に近い等身大の姿と言えば聞こえは良いけど、
かなりのかっこ悪さです。
そんな彼のこと、嫌いではありません。

今作品も犯人にはほぼスポットライトが当たらず。
こんな事件を起こした真の理由は何なのよ!と問いたくなるけれど、この作品はヴァランダーのための物語なのだから…
もうそこに文句を言ってもしょうがない。

30年余り前に書かれた作品ではあるけれど、
おぞましい犯罪や、それを犯す人々が増えつつあることに対する世の中への不安感は
まさしく今の感覚と同じで繋がっている気がする。
この先我々はどうなるんだろう?
そして警察官の役割とは…

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2025年02月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(上巻より続く)
しかも、ちらちらしているヒント(女装とかホモセクシャルとか郵便とか)が、
読者にはわかりやすぎて、
警察にはわからなすぎて、いらいらする。

とにかく、
同僚の死とその隠された私生活よりも、
同期の不条理さよりも、
バイパを失った衝撃よりも、
なぜか糖尿病の怖さだけが、印象に残ってしまった。

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2013年09月27日

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