ヘニング・マンケルのレビュー一覧

  • 手/ヴァランダーの世界
    正真正銘、最後のヴァランダー刑事シリーズ。中編の「手」はテンポも良く面白かった。作者からのヴァランダーシリーズについてのエッセイは、読んで良かった。彼がなぜヴァランダーシリーズをあのように終わらせたか少し分かった。思ったより引きずってしまっていたので、何とかケリが付けられそうだ。また時間が出来たら、...続きを読む
  • スウェーディッシュ・ブーツ
     マンケル作品として個人的には初となる『イタリアン・シューズ』を読んでから5年。スウェーデン・ミステリーの代表格的存在である刑事ヴァランダー・シリーズは第一作と最終作しか何故か読んでいないという体たらくでお恥ずかしい限りなのだが、作者の遺作となる本作は『イタリアン・シューズ』とセット作と言いながら、...続きを読む
  • スウェーディッシュ・ブーツ
    ヘニング・マンケル最後の長編小説。マンケル自身ががんの末期であることを承知の上で書かれた小説と考えて読むと色々と考えさせられる。

    本作は「イタリアン・シューズ」の続編(時系列のずれはあるけど実質そういうことだろう)で、主人公の外科医崩れフレデリックは相変わらずのクセが強いちょっと根性がヒネくれたク...続きを読む
  • 五番目の女 下
    「我々の時代、狂気と正常の違いがなくなってきている」

    このシリーズ、作者ヘニング・マンケルは、現代社会に対する思いを主人公ヴァランダーを通じて、我々に伝えようとしている。
    それは、シリーズの回を重ねるごとに強くなる。

    「ゴールドダガー賞」を受賞した前作の事件から数ヶ月後、再び想像を絶する事件がイ...続きを読む
  • 五番目の女 上
    上下一括感想
    下巻にて

    読書が“保守的”になってるかもしれない。
    読み慣れたこのシリーズが心地良く感じる。
    内容は相変わらずですが。
  • イタリアン・シューズ
    へニング・マンケルのミステリーではない(と言い切っていいのか?とにかく謎解きが主体ではないのは確か)長編小説。

    主人公は元外科医で偏屈じじい、他人との交流を極力断つために無人島に一人で住む。凍った海に浸かったり、ボロ船を直そうとするだけで眺めたり、船で島に来る郵便配達夫をからかったり…まぁとにかく...続きを読む
  • 目くらましの道 下
    警察の仕事というものは基本的に、一枚のメモ用紙に書かれている決定的な情報を確認することの積み重ねにほかならないのだ。


    『目くらましの道』というタイトルがまず秀逸だと感じました
    自分たちは「目くらましの道」を進んでないよなと、一歩進んでは後ろを振り返り確認する
    その積み重ねでちょっとづつ進んでいく...続きを読む
  • 目くらましの道 上
    このサクサク感はなんだろうね?

    この後乗せサクサク感はなんだろうね?
    なぜ言い直したんだろうね?

    ずっと重たい空気感が続いて、捜査もなかなか進まないのにスピード感があるんよね

    これはもうひとえにヴァランダーの魅力に尽きると思うんよな
    もうね、好きなんよ
    結局好きな人がいろいろやってるの見るのは...続きを読む
  • 目くらましの道 下
    シリーズ最高作の評判はダテじゃなかった。

    なぜこのシリーズに惹かれるのかは、これまでさんざん書いてきた。
    「文章の読みやすさ」「魅力的な人物による没入感」「物語のスピード感」「時系列というシンプルさ」

    今回特に「映像的表現によるドラマチック感」が抜群だと思う。
    さらに、そこにとどまらずヘニング・...続きを読む
  • 目くらましの道 上
    上下一括感想
    下巻にて。

    バランダーはあいからずのオヤジぶり。
    それ以上に今回は冒頭からショッキングな事件が連発。
    テレビドラマより面白い。
  • スウェーディッシュ・ブーツ
    2015年に亡くなったヘニング・マンケル氏の最後の作品。
    これでもう、彼の本を読み続ける楽しみは無くなってしまったのだけれど残された本を再読してゆくじんわりとした楽しみが私には残されている。

    相変わらず情けない老境にさしかかった男が主人公で、この本は自身ががんに冒されていることを呑み込んだ上で書か...続きを読む
  • スウェーディッシュ・ブーツ
    スウェーデンの群島のひとつの小島に住むフレドリック・ヴェリーン、71歳。フレドリックの家が全焼したというところから始まる。全てを失ったなかで感じる孤独。この先どうすればいいのかという不安の日々に出会ったリーサという女性。リーサとなんとか近づきたいという思いや、一緒にいたいという気持ちを持て余しつつも...続きを読む
  • イタリアン・シューズ
    続編が刊行されたので再読。スウェーデンの東海岸にある群島のひとつの小さな島に一人で暮らしているフレドリック、66歳。そこに40年前にフレドリックが裏切った女性ハリエットが突然尋ねてくる。過去に交わした一番美しい約束を果たしてほしいと。フレドリックの頑固さ、自分勝手な性格と、その裏にある一人でいること...続きを読む
  • 笑う男
    久々に<刑事ヴァランダー>シリーズを読んでみた。

    濃い霧の海岸線
    一人の男があてもなく彷徨う。

    ひとつ前の大作「白い雌ライオン」の終盤で人を殺してしまった主人公ヴァランダーは、ひとり出口のない苦悩の中にいた。

    一旦は警察を辞める決断をしたが、知人の弁護士が殺害された事件を知り突然の復帰。
    そこ...続きを読む
  • 白い雌ライオン
    「大切なことは最初に言おう、でないと忘れてしまうから」と言ったのは十五世紀のパン屋さんヒマーワリ・メーロンですが、彼の言葉に習って言います
    刑事クルト・ヴァランダーシリーズ第三の物語は文庫本で700ページの大長編でしたよ!
    うん、この情報は私の感想よりよっぽど重要w

    とにかくもうヴァランダーが大好...続きを読む
  • 笑う男
    シリーズ進むにつれ 深みが増す
    彼の才能は安く買い高く売る、また他の人に見えない価値を発見することにあった
    まさに!!
  • 殺人者の顔
    スウェーデンの警察小説である『クルト・ヴァランダー』シリーズの第1作。
    凄惨な殺人事件の謎を追う警官クルト・ヴァランダーが主人公なのだけれど、起こること起こること(事件関係でもプライベートでも)泣きっ面に蜂が続き、同情を禁じ得ない。次々に事件は起こるし、上司は不在だし、操作情報を外部に漏らす部下もい...続きを読む
  • 白い雌ライオン
    レビューを書いてないままになっているのにひと月以上経って気づいたものの、もう概要を忘れてしまってきちんとした文章を書けなくなってしまいました。無念。かなりのページ数でしたが内容にひっぱられてぐいぐいと読み進められました。題名が印象的ですがこれも読み終わって納得。事件はただ間違った時間に間違った場所に...続きを読む
  • 手/ヴァランダーの世界
    「クルト・ヴァランダー」シリーズ。今作で最後。一番好きなシリーズもので思い入れも強い。今作は中編が一編とシリーズの索引、著者の解説がついている。表題作はいつもながらの地道な捜査、ヴァランダーの頑固さ、不器用さ、怒りっぽさが出ている。娘とのやりとり、同僚との捜査と特別何かがあるわけではないけれど引き込...続きを読む
  • 背後の足音 下
    解説であったように、初期3作の「壁」を越えてからは、安定した面白さ。人に勧めるなら「笑う男」以降だろうか。