ヘニング・マンケルのレビュー一覧

  • 目くらましの道 上

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    ヴァランダーのシリーズ5作目にして、CWA賞受賞作品。解説によるとシリーズの代表作といわれているともあり、いつも通り読み応え十分のドッシリとした社会派ミステリ。起きる事件は凄惨なもので、犯人の動機もやりきれないものなのですが、作家の力量もありぐいぐいと読まされます。個人的にはこの作品よりも『白い雌ライオン』の方が印象深いのですが、思い返すとヴァランダーが主役なのに名わき役のような存在感で、南アフリカの殺し屋だったりタイトルのもとになった人物だったりの方が存在感があり、そのためヴァランダー・シリーズの代表作、と言うにはちょっと違うのかもしれません。ほかの方のレビューを読んでいたら、名優ケネス・ブラナー主演でドラマになっているらしいので、ちょっと見てみたい気持ちになりました。

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    2022年05月05日
  • 笑う男

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    4作目。冒頭では3作目の終盤に正当防衛とはいえ人を殺めてしまった事実に押しつぶされそうになり燃え尽きたようになって辞職することを決意しているヴァランダー。旧知の弁護士が父親の事故死に不審な点があると、療養先を探しあてて相談しに訪ねて来たのも断るほどの憔悴ぶりだったのが、療養先から戻るとその弁護士が銃殺されたことを知り、辞職を取りやめて自責の念からその事件の担当刑事として復職。かつての同僚や上司はとまどいながらもヴァランダーの翻意を歓迎し一丸となって事件の解決のために捜査にまい進します。今回は事件そのものの動機や謎解きよりも、その題材を使ってスウェーデンの社会の変遷や警察組織内の旧弊な価値観に対抗する新人女性刑事の活躍や、ヴァランダーの心の在り方などを丁寧に描いていて、そちらの方に読みごたえがありました。たいていのシリーズものの主人公とは違って失敗もするし挫折もするし苦悩もするし父親とも娘ともぎくしゃくしているし、捜査活動の最中に死の恐怖に襲われて弱腰になったりもするヨレヨレの人間くさいヴァランダーですが、いざとなると命の危険を感じながらもたった一人で敵の城(今回は犯人が文字通り城に住んでいる)に突撃してしまうめちゃくちゃさもあり、強いのか弱いのか弱いのか強いのかが全然わからなくて、そこが面白いです。この作品から登場した女性刑事、フーグルンドがいい感じでした。これから活躍していくようなので楽しみです。

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    2022年04月25日
  • 白い雌ライオン

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    長い、とにかく長い700ページ。
    だからと言ってつまらないというわけではなく、二冊同時に読み切った感じ。

    南アフリカ共和国がまさに変わろうとしているとき、北欧スウェーデンで不思議な殺人事件が起こった。

    読み手は前作同様に、ヴァランダーの執拗な行動の行方と次々に巻き起こる新たな展開、その先にあることへの興味でひっぱりこまれていく。

    いっぽうで、
    ネルソン・マンデラとデ・クラーク大統領による平和的な変革への道筋が、まさに進められているとき、これまでの社会を維持するために暴力による動乱の陰謀が企てられ、陰謀の気配を知ったものとの探り合いが始まる。
    ……作者はその様子を、これだけで一つ小説が成立するほど深く描写している。
    (だから、これほどのボリュームになったとも思える)

    このシリーズに登場する人物は、みな、なにかを抱えながら生きている。
    主人公ヴァランダーや同僚、家族は前作同様だが、この物語では、相対する人物にもそれが見られる。
    元ソ連KGBのコノヴァレンコ
    南アフリカの白人政治結社メンバーで陰謀の実務推進者ヤン・クライン
    南アフリカの黒人でありながら白人からの暗殺請負を生業としているマバジャ
    スウェーデンに住むロシア人でコノヴァレンコの協力者リコフとタニア
    ヤン・クラインの家政婦ミランダとその子供
    などなど……。
    彼らがここにいたるまでの道のりも、読者へ訴えるものがうっすらと透けて見える。

    20世紀のアフリカ大陸の矛盾……。
    白い雌ライオンが見つめる先は、なにか。

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    2022年04月20日
  • 殺人者の顔

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    子どもが今北欧言語に凝っていてヘニングマンケルを読みたいと言っていたので読んでみました。

    30年前のスウェーデンの社会情勢は読んでいてちょっと辛くなったけど最後は結構面白かったな。シリーズ全部読んでみよう。

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    2022年01月22日
  • 背後の足音 下

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    シリーズ物とは知らず、本作から読んでしまったが楽しめた。手掛かりがないところから、ジワジワと犯人に迫っていく様が面白かった。
    また、最後にはスウェーデンが抱える問題についても触れてあり、その点は日本にも共通するなぁと思い、興味深かった。

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    2021年12月21日
  • 背後の足音 上

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    この本に限らす、洋書は登場人物の名前がなかなか覚えられず、最初は苦労するのだが、今回は更に北欧ということで聞き慣れない名前がいっぱい…。
    最初は「誰?」と登場人物のページに戻って確認してたけど、段々慣れていった。
    バラバラのヒントが少しずつ、本当に少しずつ、繋がっていくのが面白く、先が気になる。

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    2021年12月10日
  • 北京から来た男 下

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    猟奇的な殺人と中国がどう結びつくのかを楽しんだ。
    中国という国を好き嫌いの感情抜きに書いている。

    面白かった。

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    2021年10月10日
  • 手/ヴァランダーの世界

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     ヴァランダーシリーズ、本当に最後の一冊。
     収録作の『手』は、オランダブックフェアの読者プレゼント用として発表された中篇。田舎に戸建ての家を欲しいと、同僚から紹介された物件を見にきたヴァランダーが庭で発見したものは、手の骨だった。一体誰なのか?はるか遠い過去に遡る捜査が開始される。

     何と言っても本書のお勧めは、マンケル本人による作品紹介、登場人物、地名等を網羅した「ヴァランダーの世界」。ファンが作るようなものを、作者自らが作成しているのが、スゴすぎる。

     この「世界」を手元に置いて、シリーズ一作目から順を追って、また読んでいきたいものだ。

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    2021年08月01日
  • 背後の足音 上

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    ネタバレ

    犯人側の描写でも意図が分からず怖い。ちょっと超人的過ぎるので少し減点。一人でできる犯行には思えない。

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    2021年06月10日
  • 殺人者の顔

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    名推理があるわけでもなく、見込み違いや捜査の停滞もあり、ザ警察小説という感じ。特捜部Qシリーズが巻を追うごとに長く、筋の事件と関係ない事件やエピソードが増えて食傷気味になってきたので、今度はこちらに期待しよう。

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    2021年05月09日
  • 殺人者の顔

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    あーいやだ、いやだ……。

    いやになるほどの孤独な中年男性の生活。
    出て行った妻へたたみかけるように詰問する姿、前頭葉の老化による感情コントロールの低下に刑事という職業の癖が加わり相手を不快にする……そりゃ逃げるわ〜。
    そのくせ、「褐色の女性」との妄想や、女性検察官へのちょっかい……。
    妻や娘のことも、父親のことも、逃げるようにしてお酒に埋没したり、お腹ができたことを気にしながら、サラダをいやいや食べる姿など、ゾッとする。
    数十年会ってない友人に突然しつこく電話したり、慌てて隠れた時にぶつかった怪我も「殴られた」とうそぶく……。
    いったいこの人のどこが良いのか?

    ところが、読み進めていくうちに不思議なリズムが出てきて、次第にこの主人公と「共に居る」ような感覚に陥ちてゆく。

    その結果、「シリアスなドタバタ感」という奇妙な面白さが生まれ、なんだか愛おしくなってくる。

    私は、結構好きだと思う。

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    2021年05月07日
  • リガの犬たち

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    ヴァランダーのシリーズ2作目。2作目なのにいきなりスウェーデンを飛び出し、独立後においてもロシア支配が色濃く残るラトヴィアが舞台です。事件の発端は密輸船の乗組員が漂流する救命ボートを発見し回収しようと手繰り寄せたところスーツを着た死体が2体乗っているのに気づき、沿岸まで牽引してきたこと。歯の治療痕などから死体はラトヴィアのギャングであることがわかり、かの国の警察に引継ぎをするべく一人の刑事に来てもらいます。お互いに得意でもない英語で言葉少なに会話し黙って酒を飲んだリエパ少佐とヴァランダーはお互いに尊敬の念と親近感を持ちます。ラトヴィアに引継いだのでこれで一件落着したはずが、帰国したその日にリエパ少佐の身に起きたことによりヴァランダーは全く知らない土地であるラトヴィアに呼ばれ、良く状況がわからないまま大きな渦に巻き込まれてしまいます。距離的には近いラトヴィアとスウェーデンですが政治状況も歴史も社会制度も全然違っていて、ラトヴィアでは軍の支配の名残なのか警察の階級も大佐・中佐・少佐と称されているのでした。短い親交ながら信頼に足る人物とお互いに認め合ったリエパ少佐への義理という細い糸の繋がりだけで、土地勘も無く誰が敵で誰が味方なのかもわからないなかで、ほとんど不可能なのではないかというミッションを与えられて奮闘するヴァランダーの様子は、サスペンスの要素もあり、アクションもありながら、哲学的な思索もあって、不思議な作品でした。読み始めたばかりのシリーズでこの展開で少し戸惑いましたが、面白かったです。

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    2021年05月04日
  • ピラミッド

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    ヴァランダーシリーズ、エピソード0とでも言ってもいかな?!
    若かりし頃のヴァランダーや、父親とのエピソード等、バラエティーにとんだ数々。
    良作ではある!

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    2021年05月02日
  • ファイアーウォール 下

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    ヴァランダーシリーズ 8作め。
    この作品が、ヴァランダーシリーズ最後のつもりであったとの事。わかるなぁ!だって世の中が、ITの世界に凌駕され、右往左往する姿!そして世代交代は、紛れもない訳で、彼が、どんなに奮闘しても、一人では、抱えきれない事件が発生するのだから。
    勿論、ヴァランダーの、犯罪捜査の力量は、これからも絶対に必要だし、生きざまには、魅力ある訳で、素晴らしい作品は、もっと沢山世に出てほしい。

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    2021年05月02日
  • 殺人者の顔

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    一冊も読んだことが無いのに本屋さんでずらっと並んでいる背表紙を何度も見ていたせいか作家のフルネームと『白い雌ライオン』というタイトルが記憶に残っていたシリーズ、知人の読書家に「すごーく面白い」と聞いたのと、最近北欧の作品を固めて読んでいることもあり遂に読み始めました。日本語版発売から20年経過していますが、自分が主人公ヴァランダーの境遇や感情を理解しやすい年齢になっているので今のタイミングで読んで正解でした。移民の問題や制度が目指したものと実際の運営状態の解離、都市部と農村部の違いなどが、衝撃的な事件とその捜査の合間に丁寧に語られます。中年刑事の常?としてヴァランダーは妻に捨てられて惨めで荒んで、食生活は乱れ不健康に太っているものの、刑事としての矜持と勘をもって諦めずに捜査にあたります。記者会見用の原稿を書いたり捜査のシフトを組んだり引継ぎ報告書を書いたりという他の作品ではあまり見られない刑事の地味な仕事ぶりも出て来たのが新鮮でした。内容が濃い割には短く、スッと読めました。完結しているシリーズなので一気読みが出来るのが嬉しいです。

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    2021年04月27日
  • 背後の足音 下

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    ヴァランダーシリーズ 7作め。
    同僚の殺害と、全ての、事件が、どのような形でつながるのか、読み始めてから、ページをめくる手が、止まらない。ヴァランダーが、犯人を、予想し始めてからも、ドキドキするほど。
    捕まえた犯罪者の、人となりは、現代社会の中にも、多々存在しうる怖いストーリーでした。

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    2021年04月23日
  • 五番目の女 上

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    ヴァランダーシリーズ、6作め。
    この作品も、単なる刑事物ではない。物語の、残虐性だけでなく、そこには、弱者を、悼む必然性が、生む複雑で、混沌とした復讐が、あって哀しみがある。ヴァランダーや、周辺の人々の、関わりが楽しみのシリーズ

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    2021年04月23日
  • ピラミッド

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    ヴァランダーが20代の新米警官時代から、40代の中年刑事まで、モナ(若い時はガールフレンド、その後結婚して別居)や父親との関係に悩みながら持ち前の勘と粘り強さで事件を解決する姿を描く。
    いつもながら実直なヴァランダーとそれを取り巻く、こらまた実直な刑事たち。みんな何かに悩んでるのは一緒だな。そんな人生を含めて楽しめるのが、このシリーズ。やっぱり長編が読みたいな。3.8
    フレーズを読んで思ったのは、the Wireのリアリティ。はつらつとしてるのはマクノルティくらい(それでも中年だけど)、女性刑事も見た目より実力。Boschもそれに近いかな。その点、シカゴPDはイケメン&美人でリアリティという点ではちょっとね。

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    2021年04月18日
  • 目くらましの道 下

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    ヴァランダーシリーズ 5作め。この作品で英国推理作家協会のゴールドダガー賞を、受賞している。
    スウェーデン史上稀に見る連続殺人の犯人を、追うヴァランダーの推理力や、忍耐と、粘り強さは、圧巻!この作品でも、児童買春や、上流階級者の闇等、本筋同様に、重い問題が、提起されている。

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    2021年04月16日
  • 笑う男

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    ヴァランダーシリーズ 4作め!今回は、犯人の実態が、掴めないまま、ストーリーが、進んでいく。
    経済犯罪の大きな暗部である隙間を、つき、既得権益や、臓器売買等、奥が、深く全てを、解決する事が、難しい中、前作で刑事返上をも決めてうちひしがれたヴァランダーの戦う姿には、感無量!

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    2021年04月16日