ヘニング・マンケルのレビュー一覧

  • 白い雌ライオン

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    展開がヤバく文体が渋い
    二度と人に会うことはないと知っているのは幸運だ、なにかが残っているはずだから。

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    2022年10月02日
  • ファイアーウォール 上

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    8作目。題名から分かる通り、IT絡みの犯罪で、スウェーデンに居ながらにして世界中に影響が及ぼされる大規模な企みに、アナログ世代のヴァランダーが技術的なことはお手上げのため若い世代や専門職に任せながらも表面的なちんぷんかんぷんな技術的なことに惑わされずに犯罪者の心理と目的と動機を読み取ろうと想像力をふりしぼります。ことの始まりは十代の少女二人がタクシー運転手をハンマーとナイフで襲って金を奪い逮捕され自白もするが一切動揺も後悔もしていないことにイースタ署の警察官たちの方が動揺する、という強盗傷害事件なのですが、少女の一人が脱走したと思ったら殺されて発見されるという衝撃の展開に。一方で夜の散歩中に突

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    2022年05月21日
  • 五番目の女 上

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    6作目。少年だった頃は仲が良かったのに警察官になると決意して以降、理由もわからぬままずっと折り合いが悪かった父親がアルツハイマー型認知症を患っているとの診断が下りたのが前作、解説によると時間の経過が現実と揃うペースで一年に一冊刊行されていたシリーズ、長編で込み入った話なのにすごい。今回は父親の念願だったイタリア旅行へ親子水入らずで出かけたところから始まります。アルジェリアで原理主義者が無差別に複数の女性を殺害するテロ行為が書かれた血生臭いプロローグから一転、シリーズでもあまり描かれない心温まる親子の二人旅が丁寧に書かれていました。戻ってきたヴァランダーは、前作で起こった連続殺人事件のこともまだ

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    2022年05月06日
  • 目くらましの道 上

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    ヴァランダーのシリーズ5作目にして、CWA賞受賞作品。解説によるとシリーズの代表作といわれているともあり、いつも通り読み応え十分のドッシリとした社会派ミステリ。起きる事件は凄惨なもので、犯人の動機もやりきれないものなのですが、作家の力量もありぐいぐいと読まされます。個人的にはこの作品よりも『白い雌ライオン』の方が印象深いのですが、思い返すとヴァランダーが主役なのに名わき役のような存在感で、南アフリカの殺し屋だったりタイトルのもとになった人物だったりの方が存在感があり、そのためヴァランダー・シリーズの代表作、と言うにはちょっと違うのかもしれません。ほかの方のレビューを読んでいたら、名優ケネス・ブ

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    2022年05月05日
  • 笑う男

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    4作目。冒頭では3作目の終盤に正当防衛とはいえ人を殺めてしまった事実に押しつぶされそうになり燃え尽きたようになって辞職することを決意しているヴァランダー。旧知の弁護士が父親の事故死に不審な点があると、療養先を探しあてて相談しに訪ねて来たのも断るほどの憔悴ぶりだったのが、療養先から戻るとその弁護士が銃殺されたことを知り、辞職を取りやめて自責の念からその事件の担当刑事として復職。かつての同僚や上司はとまどいながらもヴァランダーの翻意を歓迎し一丸となって事件の解決のために捜査にまい進します。今回は事件そのものの動機や謎解きよりも、その題材を使ってスウェーデンの社会の変遷や警察組織内の旧弊な価値観に対

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    2022年04月25日
  • 白い雌ライオン

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    長い、とにかく長い700ページ。
    だからと言ってつまらないというわけではなく、二冊同時に読み切った感じ。

    南アフリカ共和国がまさに変わろうとしているとき、北欧スウェーデンで不思議な殺人事件が起こった。

    読み手は前作同様に、ヴァランダーの執拗な行動の行方と次々に巻き起こる新たな展開、その先にあることへの興味でひっぱりこまれていく。

    いっぽうで、
    ネルソン・マンデラとデ・クラーク大統領による平和的な変革への道筋が、まさに進められているとき、これまでの社会を維持するために暴力による動乱の陰謀が企てられ、陰謀の気配を知ったものとの探り合いが始まる。
    ……作者はその様子を、これだけで一つ小説が成立

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    2022年04月20日
  • 殺人者の顔

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    子どもが今北欧言語に凝っていてヘニングマンケルを読みたいと言っていたので読んでみました。

    30年前のスウェーデンの社会情勢は読んでいてちょっと辛くなったけど最後は結構面白かったな。シリーズ全部読んでみよう。

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    2022年01月22日
  • 背後の足音 下

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    シリーズ物とは知らず、本作から読んでしまったが楽しめた。手掛かりがないところから、ジワジワと犯人に迫っていく様が面白かった。
    また、最後にはスウェーデンが抱える問題についても触れてあり、その点は日本にも共通するなぁと思い、興味深かった。

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    2021年12月21日
  • 背後の足音 上

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    この本に限らす、洋書は登場人物の名前がなかなか覚えられず、最初は苦労するのだが、今回は更に北欧ということで聞き慣れない名前がいっぱい…。
    最初は「誰?」と登場人物のページに戻って確認してたけど、段々慣れていった。
    バラバラのヒントが少しずつ、本当に少しずつ、繋がっていくのが面白く、先が気になる。

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    2021年12月10日
  • 北京から来た男 下

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    猟奇的な殺人と中国がどう結びつくのかを楽しんだ。
    中国という国を好き嫌いの感情抜きに書いている。

    面白かった。

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    2021年10月10日
  • 手/ヴァランダーの世界

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     ヴァランダーシリーズ、本当に最後の一冊。
     収録作の『手』は、オランダブックフェアの読者プレゼント用として発表された中篇。田舎に戸建ての家を欲しいと、同僚から紹介された物件を見にきたヴァランダーが庭で発見したものは、手の骨だった。一体誰なのか?はるか遠い過去に遡る捜査が開始される。

     何と言っても本書のお勧めは、マンケル本人による作品紹介、登場人物、地名等を網羅した「ヴァランダーの世界」。ファンが作るようなものを、作者自らが作成しているのが、スゴすぎる。

     この「世界」を手元に置いて、シリーズ一作目から順を追って、また読んでいきたいものだ。

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    2021年08月01日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    販売促進用に書かれた中編が載っている。100%、ヴァランダーの空気満開、息遣い迄聞こえてくる。
    ユッシと共に彼はもうあちらへ行ったんだなとしみじみする。

    ラストでマンケルが、ヴァランダーシリーズが英国BBC放送で制作が始まることに触れている。

    マンケル亡き後、寂しくって、この放送も、それぞれ何回も見た・・従って頭の中では良くも悪くも「ケネス・ブラナー」に置き換わっている。この作品も視ているので臨場感あふれる想いで読めた。

    百科大全的なヴァランダーの世界は手元に置いて遺体…シリーズを今後も繰り返し読む積り。

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    2021年07月30日
  • 背後の足音 上

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    ネタバレ

    犯人側の描写でも意図が分からず怖い。ちょっと超人的過ぎるので少し減点。一人でできる犯行には思えない。

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    2021年06月10日
  • 殺人者の顔

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    名推理があるわけでもなく、見込み違いや捜査の停滞もあり、ザ警察小説という感じ。特捜部Qシリーズが巻を追うごとに長く、筋の事件と関係ない事件やエピソードが増えて食傷気味になってきたので、今度はこちらに期待しよう。

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    2021年05月09日
  • 殺人者の顔

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    あーいやだ、いやだ……。

    いやになるほどの孤独な中年男性の生活。
    出て行った妻へたたみかけるように詰問する姿、前頭葉の老化による感情コントロールの低下に刑事という職業の癖が加わり相手を不快にする……そりゃ逃げるわ〜。
    そのくせ、「褐色の女性」との妄想や、女性検察官へのちょっかい……。
    妻や娘のことも、父親のことも、逃げるようにしてお酒に埋没したり、お腹ができたことを気にしながら、サラダをいやいや食べる姿など、ゾッとする。
    数十年会ってない友人に突然しつこく電話したり、慌てて隠れた時にぶつかった怪我も「殴られた」とうそぶく……。
    いったいこの人のどこが良いのか?

    ところが、読み進めていくうち

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    2021年05月07日
  • リガの犬たち

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    ヴァランダーのシリーズ2作目。2作目なのにいきなりスウェーデンを飛び出し、独立後においてもロシア支配が色濃く残るラトヴィアが舞台です。事件の発端は密輸船の乗組員が漂流する救命ボートを発見し回収しようと手繰り寄せたところスーツを着た死体が2体乗っているのに気づき、沿岸まで牽引してきたこと。歯の治療痕などから死体はラトヴィアのギャングであることがわかり、かの国の警察に引継ぎをするべく一人の刑事に来てもらいます。お互いに得意でもない英語で言葉少なに会話し黙って酒を飲んだリエパ少佐とヴァランダーはお互いに尊敬の念と親近感を持ちます。ラトヴィアに引継いだのでこれで一件落着したはずが、帰国したその日にリエ

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    2021年05月04日
  • ピラミッド

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    ヴァランダーシリーズ、エピソード0とでも言ってもいかな?!
    若かりし頃のヴァランダーや、父親とのエピソード等、バラエティーにとんだ数々。
    良作ではある!

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    2021年05月02日
  • ファイアーウォール 下

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    ヴァランダーシリーズ 8作め。
    この作品が、ヴァランダーシリーズ最後のつもりであったとの事。わかるなぁ!だって世の中が、ITの世界に凌駕され、右往左往する姿!そして世代交代は、紛れもない訳で、彼が、どんなに奮闘しても、一人では、抱えきれない事件が発生するのだから。
    勿論、ヴァランダーの、犯罪捜査の力量は、これからも絶対に必要だし、生きざまには、魅力ある訳で、素晴らしい作品は、もっと沢山世に出てほしい。

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    2021年05月02日
  • 殺人者の顔

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    一冊も読んだことが無いのに本屋さんでずらっと並んでいる背表紙を何度も見ていたせいか作家のフルネームと『白い雌ライオン』というタイトルが記憶に残っていたシリーズ、知人の読書家に「すごーく面白い」と聞いたのと、最近北欧の作品を固めて読んでいることもあり遂に読み始めました。日本語版発売から20年経過していますが、自分が主人公ヴァランダーの境遇や感情を理解しやすい年齢になっているので今のタイミングで読んで正解でした。移民の問題や制度が目指したものと実際の運営状態の解離、都市部と農村部の違いなどが、衝撃的な事件とその捜査の合間に丁寧に語られます。中年刑事の常?としてヴァランダーは妻に捨てられて惨めで荒ん

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    2021年04月27日
  • 背後の足音 下

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    ヴァランダーシリーズ 7作め。
    同僚の殺害と、全ての、事件が、どのような形でつながるのか、読み始めてから、ページをめくる手が、止まらない。ヴァランダーが、犯人を、予想し始めてからも、ドキドキするほど。
    捕まえた犯罪者の、人となりは、現代社会の中にも、多々存在しうる怖いストーリーでした。

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    2021年04月23日