ヘニング・マンケルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ刑事ヴァランダーの原作本ということで。
中年でダメダメな男性刑事というキャラは日本の小説でも最近はとくに珍しくなくなったと思うのですが、これは男の駄目さの描写が素晴らしい。女の私が読んでも、仕事と家族に悩む中年男性の疲れが胸に迫ります。
イアン・ランキンのリーバスよりも、地に足のついた疲れ方(?)っぽい。
しかし老夫婦の惨殺事件、移民の殺害事件、どちらも難しいものを、逃げ出さず放り出さずに取り組む姿だけでヴァランダーが信用するに足る人間だと読者には実感できます。
終盤、彼は大事な刑事仲間をじわじわと失っていくのですが、その部分が良かった。大事な人を亡くしたことがある人ならば、ヴァランダーの喪失 -
Posted by ブクログ
ミステリとしてはそこそこ。
けれども、主人公の造形が気に入った。
父親の介護問題を抱え、別れた妻に未練たらたら、年頃の娘とはしっくりいかない、旧友との仲もぎくしゃく。思いつめて(?)、魅力的な女性検事についセクハラに及ぶ中年刑事。
そんな等身大(ただし最近お腹が出ている)のアンチ・ヒーローにもただひとつ残されたものがあって、それは正義心。
憂鬱な北欧の冬空の下、人生には倦みつつも、正義感に衝き動かされ、陰惨な殺人事件の捜査に(中年男の人生のしがらみに寄り道を余儀なくされながら)邁進する。
脇役刑事たちの個性も光っているし、なにより、主人公と同僚刑事たちのチームワークがいい。
一大シリーズ