ヘニング・マンケルのレビュー一覧
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北欧ミステリといえば必ず名前の上がる、「クルト・ヴァランダー」シリーズ。その第一作目を書店で見つけ、わくわくしながら読みました。面白かった!
スウェーデン南部のスコーネ地方が舞台の骨太な警察小説。
……とくれば、当然思い出されるのが「マルティン・ベック」シリーズです。
私は本シリーズは半年ほど前に既刊はすべて読みまして、諸般の事情により、シリーズの半分で新訳プロジェクトが終わってしまったのを非常に残念に思っていました。
で、その第一作目「ロセアンナ」に献辞を寄せていたのが、本書の著者ヘニング・マンケル。
ベックシリーズは1960年代、そしてこちらは1990年代が舞台になっており、その影響を色濃く受けたといってよい作品内容に、私がどれだけ喜びと安堵感を覚えたことか!
とはいえ、中年という点は共通していても、クルト・ヴァランダーは飲酒運転はするわ中年太りだわ若い女性検事に手を出すわで、あまり褒められたタイプではないですけどね(^^;
スウェーデンには詳しくないのですが、マルティン・ベックの時代には「スコーネ弁丸出し」の刑事がストックホルムの都会っ子に馬鹿にされるなど、牧歌的な地方という印象を受けました。
それが、今回は凄惨な殺人事件の現場に選ばれてしまった。
もともと地理的に移民が流入しやすい場所ではあるようなのですが、30年という時代の流れを感じました。南部地方でこれなら、ストックホルムなんてどうなってしまったのか?
またこのところヨーロッパで起きているデモのニュースと合わせると、なおさら暗い気持ちになりますね。
警察モノといえば個性ある同僚も魅力の一つですが、今作でも鑑識のベテラン刑事であるリードベリがいい味を出しています。体調が心配なところですが、ぜひ今後もヴァランダーを支えてあげてほしい。
新人のマーティンソンや競馬狂いのハンソンなど、周囲のキャラクターもばっちり覚えましたので、これからの人間模様も気になるところですね。でも夫と子どものいる美人に手を出すのはやめたほうがいいとおもう!
ヘニング・マンケルのクルト・ヴァランダーシリーズ、ちょっと書店では見つけにくいのですが、シリーズを追っていきたいと感じる良作でした〜。 -
Posted by ブクログ
「私は、首筋が固まっている転がる石(ローリングストーン)だ」
物語はいつものようにミステリー以外の描写に溢れている。
今回は、主人公ビルギッタをはじめとして、人生も半ば過ぎた女性たちの虚ろな揺れ動きや頑なさを、それぞれの物語が語られる。
一方で、作者ヘニング・マンケルらしく、依然として続く人種差別や経済格差、資本主義の行き着く先にある暗闇を、描く。
事件の背景にあるのは、19世紀の植民地支配から現代に至る中国があるが、ヨーロッパの現代知識人から見た中国は、日本人から見て少し違うかも。まるで現代の欧米人に、虐げていた人たちの逆襲に怯えよと、警鐘を鳴らしているかのよう。
刑事ヴァランダー同様にミステリーに留まらない物語ではあるが、それでも最初のミステリーの謎をもう少し深掘りしてほしかった。
だからといって面白さが損なわれているわけではない。
「終わりというものは、いつもなにかの始まり」
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(上下)
ヘニング・マンケルを 読もう思った。並んでいた初期のものも面白そうだったが読んだのは順不同、これはシリーズの5作目だった、 これは大正解で面白かった。《目くらましの道 上下巻》
※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。
初めて読むには内部の人間関係の話が少しついていけなくて残念だった。これはもう少し読んでみないといけないと積読山の頂を見下ろしてみたが、まぁいいか、気合も気が抜けていたが 面白かった。
「ミレニアム」で難しかったVの多い名前と、登場人物も多くて頭も目もぐるぐる(笑)
しかしそんなことは二の次で、面白かった。慣れれば一気読みで、解決したときはほっとした。
倒叙型ミステリというのか、はじめの方で犯人がわかる。それを追い詰めるヴァランダーが率いるイースタの警察官チーム、事件が大きくなるにつれ、近隣から応援が来る。
読み始めて少しすると、全貌はこうでないかと予想が付く。
その上で、捜査の過程や、心理上の葛藤が興味をひく、文章も静かで、残忍なシーンもあるが、緊迫した場面でも静かに深く引き込まれた。
ドミニカ共和国にドロレス・マリアという娘がいた。話はここから始まる。
6月の終わり、ヴァランダー警部は、やっと暖かくなったスウェーデンの季節を楽しんでいた。夏休みには恋人と旅行する計画だった。
そこに通報があり、出かけた先は農地一面に菜の花が咲いていた、その中で、ガソリンをかぶって少女が自殺していた。
しばらくして、以前、法務大臣だった人物が鉈で背骨を切りつけられ即死、頭の皮をはがされていた。
次に裕福な画商がパーティの途中に、東屋で頭をまっぷたつに切られ頭の皮をはがされていた。
次に、駅前の工事中の穴から、目を焼かれやはり斧で切られた死体が出た。
暫くして、不審なペーパー取引で話題になり、その後も犯罪の臭いがしていた会計士が殺された。
連続する殺人事件を捜査する警察官は泥のように疲れた体を動かして事件を追っていた、
一方犯人は、特異な儀式のように、綿密な計画でことを成功させてきた。
ヴァランダー警部は発病した父を見舞うことも、夏休みの旅行の期限が迫ることも、菜の花の中で残酷な自死を遂げた少女のことも心から離れない。
捜査官にも個人的な生活があり、性格も違っている。読むうちのそれも事件捜査に深くかかわりつつ、メンバーにもなじんで行く。
指揮を任されたヴァランダー警部は、心の奥深くに自分でも立ち入りたくない思いを抱えている。それがいつの間にか、犯人に向かう捜査線からはずれ「目くらましの道」に踏み入っていたのではないか、と解決した後で自戒することになる。何かと悩む性格だ。
ホラーチックなサスペンスであり、捜査官たちの群像劇でもある。
スウェーデンの変りつつある世相を背景に、穏やかだった昔と違って現代の殺伐な事件を嘆く、ヴァランダー警部の心が迫ってくる、犯人の側から見れば、動機など、殺人の理由もなぜかうら悲しい小説でもある。
1作目 殺人者の顔
5作目 目くらましの道 -
Posted by ブクログ
(上下巻)
同僚のスウェードべりが至近距離から撃たれて死んだ。海岸で起きた若者射殺事件との関係はあるのか。複雑な背景も読みどころだった。
スウェーデン、イースタ署のヴァランダー刑事シリーズ。
今回は、北の国の風土や、気質が参考になった。
プロローグは、8月の夏至前夜、若者たちが集まってパーティを開いている。それを木陰から窺い、パーティー用に扮装した三人を一瞬で射殺した男がいる。
だが、彼らは海外旅行に出たということにして、親たちには旅行先から便りが届いている。
一人の親が子供の行方を不審に思い警察に捜索願いを出すが、旅先から葉書が届いているために、失踪として扱ってもらえないでいた。
ヴァランダーは体調が優れない。れっきとした糖尿病の症状で、のどが渇きトイレに通うのが忙しい。
しかし彼は、糖尿病が恥ずかしくて、診察も治療も受けずにいる。
同僚のスウェードベリが欠勤していた、几帳面な彼が無断欠勤する理由を知るために、訪ねて行って部屋に入ってみると、至近距離から頭を打たれて死んでいた。
彼の部屋から三人の若者と一人の女性の写真が見つかる。
スウェードベリは密かにこの事件を捜査していたらしい。
ヴァランダーの先を行ったようなスウェードベリの捜査の跡を追ってるうちに、さまざまな背景が現れて来る。
写真の女は誰なのか。スウェードベリは向かいあうほどの距離から猟銃で撃たれている、犯人をなぜ部屋に入れたのか。
あの、相棒のスウェードベリはなぜ密かに犯人を追っていたのか。ヴァランダーはなにも気づかなかった。
ヴァランダーを迷わすさまざまな出会いや出来事は、読者まで迷い道に踏み込んでしまう。
それでも面白かった。
ヴァランダーは相変わらず捜査方針が正しいのかと、くよくよ迷い、一方イースタ署の刑事たちは検死官も含めて実に勤勉に働いている。
こういう読者にも親しい仲間が増えるところがシリーズのよさだ。
あれこれと迷いながら、最後になって偶然にも手がかりがみつかりパタパと解決するのはいつものこと(笑)
親しみを感じ始めると、何日も徹夜で頑張るところが涙ぐましい。
今回は人間関係が少し複雑で、細かな会話や背景描写など長い話になるのはやむを得ない、最後まで飽きないでわくわくしながら読めるところがいい。
最後に犯人の目から事件との関わりが明かされるのは、いつもの手法で、それもいいでしょう。
スウェーデンの国情も重く影響して事件の背後に横たわっている。
ヘニング・マンケルのこのシリ-ズは多くの賞を受けている、それも納得。 -
Posted by ブクログ
「芸術の責務はいろいろあるが、その一つは人々に友人を与えることだと私は思う。」
刑事ヴァランダーシリーズほんとの最後の最後は中編『手』とマンケル本人によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した『ヴァランダーの世界』
友人クルト・ヴァランダーともほんとにお別れかー。・゚・(ノ∀`)・゚・。
それにしてもヘニング・マンケルってすごい人なのよ
社会活動家としての一面も持っていて、特にアフリカを愛し、アパルトヘイトを激しく憎んでいたのよ
でもってアフリカに蔓延するエイズ撲滅のために基金を創設したりね
それからスウェーデンって世界でもいち早く移民(難民)の受け入れをした国でもあって、積極的に受け入れをして全人口の2割は移民というものすごい国で、マンケルもこの政策を支持していたんよね
なんで、刑事ヴァランダーシリーズってめっちゃ移民が登場するんよ
今回収録されている『手』も実は移民問題が背景にあったりして
でもやっぱり治安の悪化とか色々問題があって、極右政党の台頭などもあり現在は移民を一切受け入れてないんよね
マンケルは2015年に亡くなってるんだけど、今のスウェーデンを見て非常に嘆いているだろうなと思ったり
まぁ、日本も他人事じゃないんでね
ここはしっかり考えていかなけりゃあね
2067年には日本に居住する外国人の割合が10%を超えるという推計も公表されているようだし
地域差もあるだろうけど10人に1人外国人だよ
地域社会の一員としてどう付き合っていくべきか
ひとりひとりが考えないとね -
Posted by ブクログ
ネタバレヴァランダーシリーズ、
まだ上巻だけど、今のところ1番良いかも!
まどろっこしい部分が取っ払われ、
どんどん話が展開していく。
下巻もこんな感じでありますように。
———ネタバレ———
前回、老眼鏡を5つも買ったヴァランダーだったが
今回も体に異変が。
感情の起伏も激しく、物忘れや失敗も多くて
だんだん笑えなくなってきた。。
心の中で彼を叱咤激励しながら読む。
中盤で読み手は犯人がどういう人物だかわかる。
それになかなか辿り着けない警察の面々に
早く気づいてー!とまた心の声が叫ぶ。
今回は仲間の弔い合戦なのだから…
がんばれ!ヴァランダー! -
Posted by ブクログ
ネタバレうお〜〜
久しぶりに怒涛の一気読み。
上巻で犯人が明かされたにもかかわらず、
最後まで続くこの緊迫感、
とても読ませる下巻だった。
子どもが犠牲になる社会、
どんどん変化し、個人ではどうにもできない世界の動きなどにやりきれなさでいっぱいのヴァランダー。
これは作者自身の悲痛な声でもあるんだろう。
そのことが十分に伝わる作品だった。
細かな部分で言うと、回収されずに終わったあれこれが気になったし(赤いノートの内容、犯人の壮大な殺人計画の結末。結局何がしたかった?)、
ヴァランダーが毎回けっこう危険な目に遭ってる割に
自分ちの危機管理が薄く、ハラハラさせられるのが心臓に悪い。
そしてタイトル、”目くらましの道”がたびたび登場する場面で、ヴァランダーは早い段階で犯人の存在に気づいていた、にもかかわらず、その事実を認めたくなかったあまりあえてその犯罪を(結果的に)引き延ばす道へ入ってしまった、という部分が自分の中ではうまく消化しきれなかった。
まちがった解釈をしているのかな…と
少しモヤモヤ。
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Posted by ブクログ
はい親子鷹ヴァランダーとリンダの「善なる人々」との闘いは一応の解決をみました
うーん、難しいテーマだね
いやでもやっぱり「宗教」って怖いって思っちゃうよね
何十人時には何百人あるいはもっと多くの人の命を奪うことが「善いこと」に変換されちゃうことがある
なんの躊躇いもない
もちろん「宗教」の持つ力が真の意味での救いをもたらすこともあるわけで
あーでも「善き人々」は不信心者の命を奪うことで救われるのか
ダメだーぐるぐるだー( TДT)
よし、とりあえず一旦置こう
リンダよリンダ
娘よ
あー娘よ
今回のことで分かっただろう
君のお父さんはめちゃくちゃかっこいいのだよ
確かに腹回りは太くなる一方だとしても
今後はお父さんを見習ってだね
君も警察官として市民の生活を守るためにがんばりたまえよ!(立ち位置謎)
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Posted by ブクログ
娘のリンダが警察官を志してイースタに帰ってきた
今回はそのリンダが主人公
いやヴァランダーとW主人公なのかも
そしてどうやらリンダは父であるヴァランダーが大嫌いで大好きのよう
分かる
そしてハッキリとは書かれてないんだけど、いつものヴァランダーじゃない気がする
なんかそう感じる
たぶんあれだヴァランダーちょっと浮かれてると思う
わいの思い込みかもしれんと思ったが、たぶん違う
わいはわいを信じることにする
ヘニング・マンケルが恐ろしく上手いのだ
ヴァランダー絶対うれしい
自分と同じ警察官になると決めて自分の住む家に戻ってきた娘
そりゃもう父親なら浮かれまくる
だがしかーし!警察官の先輩としてビシッとしたところを見せなければならないし、なんかちょっと恥ずかしいから娘に浮かれていることは絶対に気付かれてはならない、絶対に!
分かる分かるよヴァランダー
わいにも娘がいるからね
三人もいるからね
そしてリンダがもうなんていうかヴァランダーにそっくりなのよw
癇癪持ちなところとこか
そして自分が父親そっくりなことを発見する度にちょっと凹むリンダ
わいの娘たちもどこかで凹んでいるのかな
そして父親そっくりに猪突猛進で事件に挑むリンダと共に下巻へ! -
Posted by ブクログ
どーも、シリーズもの抱え過ぎレビュアーひまわりめろんです
どうすんねんこれ!もうあっちもこっちも!(# ゚Д゚)(自己責任)
地道に消化していくしかありません
人生ってそういうものです
そして刑事ヴァランダーの捜査も地道に進みます
すっと入ったな
刑事ヴァランダーの話にすっと入ったな
この技術力ね
世界のSONYか!
今回はどうやらコンニャクとレンコンのピリ辛炒め略してコンピューターのお話っぽいです
ファイアーウォールがどうちゃら言うてますからね
しかし我らがヴァランダーは足で捜査する古いタイプの警察官
もう題名見たときから心配してました
地道ですもの
地面にある道を粘り強く歩くのがヴァランダーとわいの代名詞ですから
ネット空間の道なんてお手上げに決まってます
もちろんだからと言ってあきらめはしない
下巻もあんたについて行くよヴァランダー
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Posted by ブクログ
やっぱすげーわイチロー
間違えたマンケル(たぶん間にユンケル挟まってる!)
なんての?こうグリュグリュグリューンってなってポワワーン…ズシャーンみたいな感じよ
分かりやすく言うとウルトラQのオープニングみたいな感じ(まだそれほど分かりやすくない)
あれあるじゃん
蜜柑の搾り汁だっけ?で書いて後で炎であぶると出てくるやつ
送り出し?
ぜんぜん違うわ!
送り出しは相撲の決まり手だわ!
あぶり出しだわ!
自分であぶる言うてるわ!
何だっけ?何の話だっけ?
元寺尾の錣山親方が亡くなった話だっけ?
かっこよかったよねって違うわ!
寺尾はかっこよかったけど違うわ!
これ自分がスウェーデン人だったらもっとこう背中に来るじゃなかろうかと思うのよね(話戻ってますよ!ボーッとしない!)
社会問題の練り込み方がうますぎるのよ
(ウルトラQやあぶり出しの話はどうやらここに繋がるらしい)
あーっそういうことかーって半端なく思うし、ピンとこなくてもなんか残る感じがするのよ
変わっていく社会にヴァランダーは無力感を感じるわけ
突発的に全てを放り投げたくなるわけ
でもヴァランダーはそうしない
一歩づつ進む、歩みを止めない
そして最後に真実を突き止める
なぜそれが出来るのか
それはヴァランダーの中にある静かな怒りが常にあるからだと思う
そしてその怒りはいつも自分に向けられてる気がする
そんな一冊でした