ヘニング・マンケルのレビュー一覧

  • 五番目の女 上
    ヴァランダーシリーズの6冊目。
    残酷な串刺し殺人事件と監禁の末、衰弱した後の殺人事件。この二つの事件のわずかな共通点から同一犯との推測を固めるヴァランダー。個々として謎がつながらなくなってゆく。
    これまで確執を深めていた父親の突然の死を迎えながらも事件解決のため文字通り東奔西走。
    娘リンダとの心が通...続きを読む
  • 目くらましの道 上
    まぁ、きれいな菜の花畑の表紙・・・などとスエーデンの短い夏の美しい風景に目くらまされてはいけません。
    次々と起こる想像を絶する陰惨な事件。
    我らがヴァランダーは悩みつつまた事件解決への先の見えない道を突き進むのでした。
    下巻に続く。
  • 白い雌ライオン
    ヴァランダーシリーズの3冊目。
    今回の舞台はスエーデンと南アフリカ共和国。

    バツイチで情けない中年男のヴァランダーだがその生き方は骨太でゆるぎない。(ときどき揺らぐ…?)
    今回も男の友情のような力強い姿を見せてくれた。
    警察という職業からももう隔絶しているほど。

    前回のペレストロイカに続き今回の...続きを読む
  • 目くらましの道 下
    読者には犯人が分かっている事でよりハラハラさせられる展開に思わず引き込まれた。 このシリーズを読むのはかなり遅い参戦でしたがおかげでまとめて読める幸せを味わっております。
  • ファイアーウォール 下
    ヴァランダー警部もこれまで頑固なまでにITとは無縁な仕事のしかたをしてきたけれど、今回の捜査ではいろいろと考えさせられることばかり。しかも信頼していた仲間のうらぎり行為もありピンチ!!そんな多忙な中、さびしき独り身の中年男ヴァランダーは彼女欲しさにマメな行動に出たもののとんだことに!?相変わらずカワ...続きを読む
  • 目くらましの道 上
    史上最悪の夏休み。白夜の北欧スウェーデンのスコーネ地方が舞台のクライム・ノベル(厳密には”警察小説”というらしい)。

    北欧が、表面的にはもっとも美しく明るく輝く季節に、その裏側で繰り返される凄惨な殺人事件。その極度のコントラストは、ごくふつうの生活を送っている人間がその裏では陰惨な事件を引き起こす...続きを読む
  • 背後の足音 下
    苦みばしったヨレヨレの主人公刑事、今の世相を反映した不気味な犯人、素晴らしい物語と三拍子揃った、文句無しの傑作。

    主人公のヴァランダーが、弱く、孤独で、疲れ果て、イライラしているという人物造形がいい。それでも、正義を失わないでいたいと祈るようにして動き回る中年の刑事。


    この犯人のように、奇妙に...続きを読む
  • 背後の足音 下
    スウェーデンのミステリ。
    クルト・ヴァランダー警部のシリーズ7作目後半。
    規模の小さな警察が大事件を抱えての奮闘を描きます。

    部下の警官スヴェードベリが殺され、目立たなかった彼の意外な面がわかってくる。
    夏至祭に殺された3人の若者の事件を、ひそかに捜査をしていたらしい。
    スヴェードベリが隠していた...続きを読む
  • 背後の足音 上
    昨年夏翻訳発行の最新作。
    スウェーデン南端イースタ警察のクルト・ヴァランダー警部のシリーズ。7作目。
    前の事件から2年後。

    リガに住む恋人バイバとは4年間断続的に付き合ったが、やはり国が違うために結婚は出来ないと断られてしまう。
    一方、亡くなった父親の家は、売りに出すことになります。
    ヴァランダー...続きを読む
  • 白い雌ライオン
    スウェーデンの南端の街、イースタを舞台にしたヴァランダー警部シリーズ第3作。ヴァランダーは、不動産業を営む女性の失踪事件を担当する。やがて彼女は遺体で発見されるが、その近くの民家では謎の爆発事件が起き、不可解な遺留品が発見される。一方、遠く離れた南アフリカでは、とある陰謀が動き始めていた―。

    よう...続きを読む
  • 背後の足音 上
    刑事クルト・ヴァランダー、7作目の本書では
    50歳を目前に糖尿病になってしまった。
    すぐにのどが乾くし、おトイレも近くなって捜査が
    大変そう。リガにいる恋人との関係も終焉を迎え
    元妻の再婚に心揺れる悲しきミドルエイジ。
    長年ともに仕事をしてきた刑事が事件に巻き込まれ
    あらためて職場である警察署内の人...続きを読む
  • 背後の足音 下
    のどかな北欧の国、スウエーデン。
    私にとっては美しい自然と手仕事の盛んな国という
    イメージの憧れの地。しかし、ヘニング・マンケルの
    描く小説世界のスウェーデンはかなりダーティ。
    そこには現代のこの国のかかえる問題点が
    浮き彫りにされている。社会福祉の進んだスウエーデン
    にも格差社会により生まれた『落...続きを読む
  • 背後の足音 下
    何ともやるせない気持ちにさせる結末。
    でも、文句なしのベストワン。

    ヴァランダー刑事と私は、この物語の段階で同い年であることが分かった。糖尿病の心配はないが、血圧は高いし、運動不足だし、そういう意味でも親近感を覚えた一冊であった。
  • 背後の足音 上
    ヘニング・マンケルが描く刑事クルト・ヴァランダーのシリーズ第7作。
    公園でミッド・サマー・イヴのパーティーをしていた若者が姿を消した。一方、出勤しないままの同僚スヴェードベリ。彼を心配して深夜にアパートを訪れたヴァランダーが見たものは・・・。

    一押しの警察小説。今回はレギュラーの一人がまさかの退場...続きを読む
  • 背後の足音 下
    本作のタイトルである「背後の足音」という表現だが…直接的には、ヴァランダーの背後に蠢く謎の犯人―これがこのシリーズの“犯人”の中では「最も不気味で不可解」な人物かもしれない…―の足音であり、“足音”が示すその人物の気配のことを示すと理解出来る…が、同時にこれは「知らぬ間に社会が抱えている、名状し難い...続きを読む
  • 背後の足音 上
    次々と展開する事件の中、ヴァランダーが、色々と個人的なこと―父親の件、父親の後妻の件、想いを寄せていた女性の件、元妻の件…―も手伝って、何か“孤独”を深めるような状況下、実に懸命に事件を追う姿が非常に面白い…
  • 背後の足音 上
    刑事ヴァランダー・シリーズ第7作。
    全く身につまされる作品だ。

    主役のヴァランダーは、バツイチ、母はとうに亡く前作で父も亡くなった。
    姉と娘はそれぞれ離れた場所に住んでいて、日常的な連絡もとっていない。
    恋人がいたが、もう何ヶ月も連絡を取っておらず別れたも同然。
    友人らしい友人もいない。
    50を前...続きを読む
  • 五番目の女 上
    三年ぶりの新作。
    プロローグで明かされる“五番目の女”。なるほどそういう話なのかと了解するも、コトはそう単純ではないことを早々に思い知らされる。

    捜査に忙殺されるヴァランダー。父を亡くした喪失感、手掛かりゼロの焦燥感、その合間に将来のプランを空想しては、新たな被害者の出現に絶望を感じてひたすら沈...続きを読む
  • 目くらましの道 下
    本作は「出来れば知りたくなかったことを確実に知るに至る」までの“本筋”も面白いが、ヴァランダー警部周辺のことを扱うような“脇筋”も面白い。
    本作の最末尾に在る“訳者解説”だが、なかなかお得だ…ヴァランダー警部シリーズの刑事達に関する小事典が在る!!
  • 目くらましの道 上
    もし「“ヴァランダー”?シリーズだって?どれが一番?」とでも問う方が在るなら…私は本作を推したい!!