ヘニング・マンケルのレビュー一覧
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ヴァランダーシリーズの6冊目。
残酷な串刺し殺人事件と監禁の末、衰弱した後の殺人事件。この二つの事件のわずかな共通点から同一犯との推測を固めるヴァランダー。個々として謎がつながらなくなってゆく。
これまで確執を深めていた父親の突然の死を迎えながらも事件解決のため文字通り東奔西走。
娘リンダとの心が通じ合いそうなシーンで「上」のエンド。スエーデンという国の持つ寂しさ、厳しさに気づかされる。
風景はあんなにも凛として美しいのに。
「下」は明日にならなくては届かない。一緒に買えなかったのが残念でしょうがない。
最後の行
『これからどうやって生きていったらいいんだ?』 -
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ネタバレヴァランダーシリーズの3冊目。
今回の舞台はスエーデンと南アフリカ共和国。
バツイチで情けない中年男のヴァランダーだがその生き方は骨太でゆるぎない。(ときどき揺らぐ…?)
今回も男の友情のような力強い姿を見せてくれた。
警察という職業からももう隔絶しているほど。
前回のペレストロイカに続き今回のアパルトヘイト。
世界史の授業より味わい深い世界の情勢がわかった気がしてくる。
2022年7月
再読。大統領暗殺事件、こちらは首相狙撃事件とリンクもしたし、黒人問題、国家間の緊張など、現代の世界情勢も頭から離れない状態で読み進める。
また、続きを読みたい衝動に駆られる。ヴァランダーシリーズ、いつも手元に置いておきたい。 -
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スウェーデンのミステリ。
クルト・ヴァランダー警部のシリーズ7作目後半。
規模の小さな警察が大事件を抱えての奮闘を描きます。
部下の警官スヴェードベリが殺され、目立たなかった彼の意外な面がわかってくる。
夏至祭に殺された3人の若者の事件を、ひそかに捜査をしていたらしい。
スヴェードベリが隠していた写真に写っていた人物は、誰なのか。公開しても、見た者はなかなか現れない。
ヴァランダー自身は体調が悪くて治療を始めるが、たまたま血糖値が高いだけと糖尿病であることを認めず、署員にも病気のことを知らせない。
こういうふうに、仕事にのめり込むタイプなのですが。
周囲に心配をかけながら、何でなの、このダメおじさんは全くぅ~という中年男の危機がなんとも相変わらず。
地道な捜査で、殺人者を追いつめていく所は、迫力。
犯人の方でも、次の標的や、警察を狙っているのだから、それが交錯していくスリルで、胸が苦しくなりそう。
犯人の人間像も、筋が通っているわけではないのが、またリアルな怖さがあります。
とうてい幸福とは言えないが、決して暴力的ではなかった人間がなぜ突然、凶行に走ったのか…
世界は歪み、崩れようとしているのか?
孤独がちなヴァランダーですが、新たな知り合いに誘われて思いがけない休暇を過ごすことに。
船でもはや住む人のいない島へ渡り、この国に人が暮らし始めた原点を思う。
最後に何とも良いシーンがあります。
夏至祭に扮装してパーティをするというのも、やや変わったことではあるらしい。
被害者も、ただ幸福な若者だったわけではないんです。
北欧では夏は「暖かくて快適」な季節で「暑くてしんどい」というのはないそう。
そのため夏至祭は、クリスマス以上に盛り上がるハッピーな時期なのだと。
後書きにそうあったので、あらためて事件の印象を認識しました。
1997年発表、2011年7月翻訳発行。 -
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昨年夏翻訳発行の最新作。
スウェーデン南端イースタ警察のクルト・ヴァランダー警部のシリーズ。7作目。
前の事件から2年後。
リガに住む恋人バイバとは4年間断続的に付き合ったが、やはり国が違うために結婚は出来ないと断られてしまう。
一方、亡くなった父親の家は、売りに出すことになります。
ヴァランダーは体調が悪く、離れて暮らす娘のリンダとせっかく出かけてもあまり疲れている様子に驚かれる。
さすがに病院へ行くと、血糖値が高いとわかり、動揺することに。
真面目な警官であるカール・スヴェードベリが連絡を寄越さずに休み、おかしいと気づいたヴァランダーは夜中に一人で彼の家へ。
死体を発見してしまいます。
誰とも深い付き合いのなかった彼が、唯一仲の良かった看護師の従妹イルヴァに、ヴァランダーを友達と言っていたと聞いて驚く。
スヴェードベリの意外な一面、そして不審な行動がしだいに明らかに…
若者3人が夏至の前夜、仮装パーティに集まったまま旅行に行ってしまったらしい。
行方が知れなくなっていて、母親は心配しているのですが、旅行先からの葉書も来ているので、捜査にはかかっていないという案件もありました。
ところが、3人の遺体も発見される。
現場の様子には不自然さが有り、理由もわからない。
パーティに参加するはずだったもう一人の女の子イーサを訪ねたヴァランダー。
イーサの両親は裕福だが、連絡しても旅行先から帰っても来ない冷たさ。孤独なイーサは、何か隠している?
犯人側の視点も少しだけありますが、正体や動機が全くわからないので、怖さがあります。
後ろから迫って来るかも知れないような。
相変わらず不健康なヴァランダーですが、事件には没頭。
のめりこみ&ひらめき型なので、読んでいる方も引きこまれていきます。
有能でも、事件を防ぐ所までは出来ないのが苦しい所。
中年男らしい悩みでいささかみっともない状態になるのも続いています。これは人間味?
女性署長や娘とだんだん上手くやっていけるようになったようなのは、少しだけ成長したかも。
作家の筆は、冴え渡っています。
1997年の作品。 -
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ネタバレスウェーデンの南端の街、イースタを舞台にしたヴァランダー警部シリーズ第3作。ヴァランダーは、不動産業を営む女性の失踪事件を担当する。やがて彼女は遺体で発見されるが、その近くの民家では謎の爆発事件が起き、不可解な遺留品が発見される。一方、遠く離れた南アフリカでは、とある陰謀が動き始めていた―。
ようやく読み終わりました。文章は読みやすいのですが、何せ分厚い。電車の中で読もうと思っても、バッグが小さいとうっかり持ち歩けないのです。
警察小説というよりは、国際謀略小説ですね。スケールが大きい。田舎警察とはいえ、イースタは国境に近い交通の要所なのですね。ミステリを期待すると「ちょっと違う」と思うでしょう。最初にヴァランダーが担当していた失踪事件の真相は、第2章でさっさと種明かしされてしまいます。第3章から後は、ヴァランダーと旧ソ連工作員の対決になり、そこに娘のリンダも巻き込まれていきます。
南アの陰謀事件の方は、首謀者の思惑通りになりかけますが、ほんの偶然の出来事から事態は急展開。そして最後の場面で、冒頭に起きた失踪事件に関するちょっとした謎が明かされます。この「謎」のことはすっかり忘れていましたが、風呂敷を畳むというより落穂拾いのようなラストが良かったと思います。謀略の嵐を過ぎて、ヴァランダーも田舎警察の警部に戻ったのだな……と、ちょっと安心。
ところで、前作『リガの犬たち』に登場したバイバ・リエパが名前だけちらりと出てきましたが、彼女の再登場はあるのでしょうか。