ヘニング・マンケルのレビュー一覧

  • 五番目の女 上
    前作と違って、犯行の意図は上巻ではまだ分からない。ヴァランダーと同じ視点で読める。早く次が読みたくなる。
  • 目くらましの道 下
    殺人者に感情移入する。その殺人者が主人公を襲う寸前までくる。それを知っているのは殺人者と読者だけだ。こんなスリリングな読書経験をできてよかった。
  • 笑う男
    最後まで証拠をつかめず、本人の供述というか自慢話でしか真相に辿りつかないのは頼りないけれど、それが現実的といえば現実的。でも、ヴァランダーの粗っぽい行動はあまり現実的ではない。でも小説としては面白い。
  • 白い雌ライオン
    前作「リガの犬たち」と違い、同じ国際犯罪でもスウェーデン内の捜査だから説得力がある。
    マバシャが最後の場面に臨んだら、どんな選択をしたのだろうと思ってもみた。
  • 苦悩する男 下
    ヴァランダーシリーズ ラスト
    スウェーデンの、政治的背景(自由主義的国家と、共産、社会主義的国家の、狭間における立場)等、元潜水艦艦長らの事件に絡めて深く考察する事の出来る作品。
    ヴァランダー刑事の、人間性と、その生活も合わせて、愛すべきシリーズだった。人生の、終末期における葛藤が、哀しく心に残った...続きを読む
  • ピラミッド
    刑事クルト・ヴァランダーの短編集です。
    スウェーデンのミステリ。
    さすがの味わい、若き日の姿を読むことができたのも嬉しい。

    クルト・ヴァランダーがまだ22歳でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」から年代を追って話が進みます。
    まだ若いが先輩の刑事に見込みがあると思われていて、ただし絶対に一人では行...続きを読む
  • 苦悩する男 下
    大好きなヴァランダーシリーズの最終巻。
    北欧ミステリーはだいたいそうだが、事件そのものよりも登場人物達の背景や抱えている問題の描き方が面白くて次々シリーズを読んでしまう。
    ヴァランダーが最後こうなるのか…と悲しい気持ちにもなったが、彼にとってリンダと産まれてきた孫のいる世界は幸せな世界なのかな…と思...続きを読む
  • 苦悩する男 下
    ひとつはっきりしてるのは、何事も外側から見える姿とは違うということ。
    シリーズの終わり方が、らしいな。やっぱ最高だった。
  • 苦悩する男 下
    これまで様々な社会的あるいは政治的な出来事を背景に事件を解決してきた連作の一番最後に国家の運命に関わる直截且つ強烈な謎を持ってきた。遠い北欧の一国の話を読んできたつもりの日本人にも響く主題である。その一方で、娘と孫との往来を繰り返しながら主人公の老境が深まっていきシリーズのエンディングに至るのは見事...続きを読む
  • 苦悩する男 下
    クルト・ヴァランダーを生み出したヘニング・マンケルは2015年に他界している。内容的に“最終章”の本作は2009年に発表されている。従って本作は、その2009年頃の少し前の出来事ということになっている。
    ヴァランダー刑事が活躍するシリーズ…1990年代に入った辺りで、難しい年代の娘が在って、妻との関...続きを読む
  • 殺人者の顔
     ヘニング・マンケルの本を生前一冊も読んでいなかったくせに、昨年読んだ、ノン・ミステリー、ノンシリーズの単独作品『イタリアン・シューズ』の書きっぷりが一発で気に入ってしまって、ついにはまり込んでいる最近である。

     訳者の柳沢由美子さんは、アイスランドのやはり小説名手であるアーナルデュル・インドリダ...続きを読む
  • 苦悩する男 下
    あ~ヴァランダーよ、さようなら。1行ごと、むさぼるように味わった1冊。読むながら、どこかで見た記憶があったと思えば、海外ドラマ「刑事ヴァランダー 4シーズン3作」の内容。だが、もう一度読むと、かなり換骨奪胎している。

    とは言え、終始、ヴァランダーが突如訪れる、「飛んでしまう記憶」に悩まされているの...続きを読む
  • 苦悩する男 下
    ヴァランダーシリーズ。娘のリンダの義理の父が失踪。事件か事故か。ヴァランダーの捜査が始まるけれどなかなか思うようにいかない。ヴァランダーは60歳になり色々考える。仕事、生活、死。そういうところがこのシリーズの好きなところでもある。ヴァランダーの迷いや怒りが溢れてくる瞬間とかとても読み応えがある。捜査...続きを読む
  • 苦悩する男 上
    刑事クルト・ヴァランダー59歳、娘のリンダも、同じ刑事の道を歩んでいる。そのリンダに子供が生まれた。リンダのパートナー、ハンスの父親のホーカンは退役した海軍司令官、母親のルイースは元教師で、気持ちのよい人たちだ。だが、ホーカンが誕生パーティの三ヶ月後に姿を消してしまう。ルイースもハンスも原因に心当た...続きを読む
  • 苦悩する男 下
    スウェーデンの歴史をなぞるようにこの物語は過去から2000年代まで進んでくる。
    潜水艦の艦長だった失踪した男の闇の部分が見え隠れする。スウェーデンの実際にあった事件、1986年のパルメ首相暗殺事件が深く影を落とす。それに並行してスパイの存在や過去の潜水艦の攻撃・作戦がいつまでもその、苦悩する男を精神...続きを読む
  • 苦悩する男 上
    待望のヴァランダーシリーズだけれど、著者のヘニング・マケルはもうこの世にはいない人なのだと思い、感慨深く本に沈み込むように読み始める。
    娘のリンダのパートナーの父親の失踪、そして続いての母親もまた。
    「死ぬことも生きることのうち」と語るヴァランダーは一歩一歩老域に近づいてることを本人もそして読者も感...続きを読む
  • 殺人者の顔
    クルト・ヴァランダー刑事シリーズの第一作。もうこのシリーズは完結している。順番に読まなかったのはよくないかな、と思っていたが、ヴぁランダーを取り巻く人たちとは、初めて遭うのではなく既におなじみになっているのもちょっと嬉しかった。

    スウェーデンのイースタでは滅多に起きないような、残虐な殺人事件の通報...続きを読む
  • ピラミッド
    「1990年代のシリーズで描かれる時期の以前のクルト・ヴァランダー刑事」が5篇在り、それが集まった1冊が本書である。
    事件が発生し、色々と迷いながら、各々の切っ掛けで突破口が開かれ、解決して独特な余韻…というクルト・ヴァランダー刑事のシリーズの面白さ、魅力が高密度で詰まった一冊で、主人公との「再会」...続きを読む
  • 流砂
    ヴァランダーシリーズやと思って予約してみたら、なんと作者ヘニング・マンケルのエッセイ…ではないな、遺書でもないし…

    マンケルががんを宣告されてから、何を考えてきたかを、自らの年齢と同じ67章の文章にした闘病記…闘病記という括りもちょっとずれるか。「へニング・マンケルとは何者であるか」を書いた哲学思...続きを読む
  • リガの犬たち
    途中からソ連が崩壊する前後のラトヴィアを舞台にした物語に転換。旧共産圏社会が興味深いことと、ヴァランダーがラトヴィアに潜入した後のスリルある展開が面白い。翻訳が優れているためか読みやすかった。シリーズ1作目よりこちらの2作目のほうが個人的には好き。