刑事クルト・ヴァランダーの短編集です。
スウェーデンのミステリ。
さすがの味わい、若き日の姿を読むことができたのも嬉しい。
クルト・ヴァランダーがまだ22歳でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」から年代を追って話が進みます。
まだ若いが先輩の刑事に見込みがあると思われていて、ただし絶対に一人では行
...続きを読む動しないように言われていたのに…
この時恋人だったモナは、次の「裂け目」では妻に。
イースタ署に移ってからの「海辺の男」では、妻と娘は休暇旅行中で、クルトはその計画を知らされていなかった、と暗雲が立ち込め始めてます。
「写真家の死」も印象的な作品。町の写真家が殺され、ヴァランダー一家も折りに触れ写真を撮ってもらっていた男なのだが、意外な面を持っていた…
「ピラミッド」では、娘のリンダが19歳になっています。
クルトの父親は画家でいささか変わり者なのだが、念願のエジプト旅行中。ところが、エジプトで父が逮捕されたという報が入り‥
捜査中の事件の謎も合わせ、長編のような読み応え。
有能だが不器用なところがあり、やる気や優しさが空回りしがちなクルト・ヴァランダーの人生。どうしようもない出来事もあり、切なくもちょっと滑稽だったり。
「殺人者の顔」で登場するまでのエピソードが語られ、予想以上に面白く読めました。
作者が惜しくも亡くなってしまったため、残りをゆっくりと読んでいます。未訳の作品もあるので、いずれはと楽しみに。