ヘニング・マンケルのレビュー一覧

  • スウェーディッシュ・ブーツ

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    2015年に亡くなったヘニング・マンケル氏の最後の作品。
    これでもう、彼の本を読み続ける楽しみは無くなってしまったのだけれど残された本を再読してゆくじんわりとした楽しみが私には残されている。

    相変わらず情けない老境にさしかかった男が主人公で、この本は自身ががんに冒されていることを呑み込んだ上で書かれているので、
    「老いること」そしてその先の「死ぬということ」を真に迫って読むことが出来る。
    スエーデンの群島でおきた火事や、馴染みの浅い娘との交流、(年がいもない)恋愛への妄想もリアルな表現。
    『イタリアンシューズ』の続編だけど登場する靴のその差は大きい。

    ミステリーとしてのストーリーだけでなく

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    2023年05月04日
  • スウェーディッシュ・ブーツ

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    スウェーデンの群島のひとつの小島に住むフレドリック・ヴェリーン、71歳。フレドリックの家が全焼したというところから始まる。全てを失ったなかで感じる孤独。この先どうすればいいのかという不安の日々に出会ったリーサという女性。リーサとなんとか近づきたいという思いや、一緒にいたいという気持ちを持て余しつつも、利己的に振る舞うフレドリック。決して好きになれないような造形の人物なのに、どんどん引き込まれていってしまう。自分の娘との関係や、近くの住民たちとの交流の不器用さがいいし、もっとフレドリックという人を知りたくなっていく。だからこの物語が著者の最後の作品というのが残念でもある。この文章、世界観がとても

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    2023年04月24日
  • イタリアン・シューズ

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    続編が刊行されたので再読。スウェーデンの東海岸にある群島のひとつの小さな島に一人で暮らしているフレドリック、66歳。そこに40年前にフレドリックが裏切った女性ハリエットが突然尋ねてくる。過去に交わした一番美しい約束を果たしてほしいと。フレドリックの頑固さ、自分勝手な性格と、その裏にある一人でいることの孤独や諦観。ハリエットとの再会から少しずつ人生を見つめ直し、そこにある後悔や苦しみと向き合う。タイトルのイタリアンシューズが登場するシーンは何気ないけれど、フレドリックに希望を与えるような素敵な、読み終わった後も余韻が残るもの。この一冊でもとても濃密で素晴らしい作品なのに続編があることがとても嬉し

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    2023年04月21日
  • 笑う男

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    久々に<刑事ヴァランダー>シリーズを読んでみた。

    濃い霧の海岸線
    一人の男があてもなく彷徨う。

    ひとつ前の大作「白い雌ライオン」の終盤で人を殺してしまった主人公ヴァランダーは、ひとり出口のない苦悩の中にいた。

    一旦は警察を辞める決断をしたが、知人の弁護士が殺害された事件を知り突然の復帰。
    そこからは、署のいつもの顔ぶれに新任の女性刑事を加えた仲間を振り回しながら、事件解決へと突進していく。
    よく考えるとヴァランダーはもうムチャクチャで、周りはきっと迷惑しているだろう。

    そして物語は初期2作と同様に、主にヴァランダー目線一本で時系列に進む。
    この、じっくりと「主人公ヴァランダーを味わう」

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    2023年04月05日
  • 白い雌ライオン

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    「大切なことは最初に言おう、でないと忘れてしまうから」と言ったのは十五世紀のパン屋さんヒマーワリ・メーロンですが、彼の言葉に習って言います
    刑事クルト・ヴァランダーシリーズ第三の物語は文庫本で700ページの大長編でしたよ!
    うん、この情報は私の感想よりよっぽど重要w

    とにかくもうヴァランダーが大好きだ!
    あえて言おう、彼こそ男の中の男であると

    前にも書いたかもしれないが、本当に男のいいところ(と男たちが思っているところ)と男の恥ずかしい部分が凝縮されたキャラクターと言っていいのではなかろうか

    意固地でまっすぐでロマンチストで臆病で怒りっぽくて自分勝手だ

    彼は直感によって仕事を進めるタイ

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    2023年03月18日
  • 笑う男

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    シリーズ進むにつれ 深みが増す
    彼の才能は安く買い高く売る、また他の人に見えない価値を発見することにあった
    まさに!!

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    2022年10月13日
  • 殺人者の顔

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    ネタバレ

    スウェーデンの警察小説である『クルト・ヴァランダー』シリーズの第1作。
    凄惨な殺人事件の謎を追う警官クルト・ヴァランダーが主人公なのだけれど、起こること起こること(事件関係でもプライベートでも)泣きっ面に蜂が続き、同情を禁じ得ない。次々に事件は起こるし、上司は不在だし、操作情報を外部に漏らす部下もいるし、家では離婚、娘との不和、老父の精神不安定、中年太り、アルコール依存、古い友だちには邪険にされ、新しく出会った人妻にも相手にされない…。お世辞にもスマートとは言えないクルトだけど、事件に関しては(何度も失敗しながらも)「しぶと」く「絶対に放り出さな」い姿に、よれよれながらも応援したくなる。
    胸の

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    2022年08月11日
  • 白い雌ライオン

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    レビューを書いてないままになっているのにひと月以上経って気づいたものの、もう概要を忘れてしまってきちんとした文章を書けなくなってしまいました。無念。かなりのページ数でしたが内容にひっぱられてぐいぐいと読み進められました。題名が印象的ですがこれも読み終わって納得。事件はただ間違った時間に間違った場所に居合わせてしまっただけの一般市民の女性が殺害され遺体が遺棄されたため行方不明になり、残された夫が地元警察署に届け出てヴァランダー刑事が捜査にあたるが手がかりがほとんど無く難航する捜査という軸と、南アフリカ共和国(執筆された当時はまだアパルトヘイト政策が撤廃される前)で白人優位を死守しようという勢力が

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    2022年04月02日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    「クルト・ヴァランダー」シリーズ。今作で最後。一番好きなシリーズもので思い入れも強い。今作は中編が一編とシリーズの索引、著者の解説がついている。表題作はいつもながらの地道な捜査、ヴァランダーの頑固さ、不器用さ、怒りっぽさが出ている。娘とのやりとり、同僚との捜査と特別何かがあるわけではないけれど引き込まれてしまうのがこのシリーズ。もう新作が読めないのが残念。これからもシリーズを通して何度も読み返す作品だと思う。

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    2021年07月19日
  • 手/ヴァランダーの世界

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    ヘニング・マンケル『手/ヴァランダーの世界』創元推理文庫。

    ヴァランダー・シリーズの書店でのキャンペーン特典用に書き下ろされた短編『手』と、ヘニング・マンケル自身によるシリーズの各作品、人物、地名の紹介を収録した『ヴァランダーの世界』を併録したファン・ブック、或いはヴァランダー大全と言えるような作品になっている。

    『手』。販売促進用の短編ということで、気を許していたら、スリルとサスペンスにあふれた一連のシリーズ作品と同じレベルの作品に仕上がっていた。ある日の休日、ヴァランダーが同僚に紹介された古い家屋の物件を見に行くと何かに躓き、よく見るとそれは人間の手の骨であることに気付く。ベテラン刑事

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    2021年06月25日
  • 背後の足音 下

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    解説であったように、初期3作の「壁」を越えてからは、安定した面白さ。人に勧めるなら「笑う男」以降だろうか。

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    2021年06月11日
  • 五番目の女 上

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    前作と違って、犯行の意図は上巻ではまだ分からない。ヴァランダーと同じ視点で読める。早く次が読みたくなる。

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    2021年06月06日
  • 目くらましの道 下

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    ネタバレ

    殺人者に感情移入する。その殺人者が主人公を襲う寸前までくる。それを知っているのは殺人者と読者だけだ。こんなスリリングな読書経験をできてよかった。

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    2021年05月31日
  • 笑う男

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    ネタバレ

    最後まで証拠をつかめず、本人の供述というか自慢話でしか真相に辿りつかないのは頼りないけれど、それが現実的といえば現実的。でも、ヴァランダーの粗っぽい行動はあまり現実的ではない。でも小説としては面白い。

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    2021年05月28日
  • 白い雌ライオン

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    ネタバレ

    前作「リガの犬たち」と違い、同じ国際犯罪でもスウェーデン内の捜査だから説得力がある。
    マバシャが最後の場面に臨んだら、どんな選択をしたのだろうと思ってもみた。

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    2021年05月24日
  • 苦悩する男 下

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    ヴァランダーシリーズ ラスト
    スウェーデンの、政治的背景(自由主義的国家と、共産、社会主義的国家の、狭間における立場)等、元潜水艦艦長らの事件に絡めて深く考察する事の出来る作品。
    ヴァランダー刑事の、人間性と、その生活も合わせて、愛すべきシリーズだった。人生の、終末期における葛藤が、哀しく心に残った。ヘニングマンケルが、亡くなってしまっていることが、尚更悲しさを、感じてしまった
    全シリーズを、通して只の刑事物ではない素晴らしい作品達だ。

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    2021年05月18日
  • ピラミッド

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    刑事クルト・ヴァランダーの短編集です。
    スウェーデンのミステリ。
    さすがの味わい、若き日の姿を読むことができたのも嬉しい。

    クルト・ヴァランダーがまだ22歳でマルメ署にいた頃の「ナイフの一突き」から年代を追って話が進みます。
    まだ若いが先輩の刑事に見込みがあると思われていて、ただし絶対に一人では行動しないように言われていたのに…
    この時恋人だったモナは、次の「裂け目」では妻に。

    イースタ署に移ってからの「海辺の男」では、妻と娘は休暇旅行中で、クルトはその計画を知らされていなかった、と暗雲が立ち込め始めてます。

    「写真家の死」も印象的な作品。町の写真家が殺され、ヴァランダー一家も折りに触れ

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    2021年05月03日
  • 苦悩する男 下

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    大好きなヴァランダーシリーズの最終巻。
    北欧ミステリーはだいたいそうだが、事件そのものよりも登場人物達の背景や抱えている問題の描き方が面白くて次々シリーズを読んでしまう。
    ヴァランダーが最後こうなるのか…と悲しい気持ちにもなったが、彼にとってリンダと産まれてきた孫のいる世界は幸せな世界なのかな…と思いながら名残惜しく読み終わりました。

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    2021年03月03日
  • 苦悩する男 下

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    ひとつはっきりしてるのは、何事も外側から見える姿とは違うということ。
    シリーズの終わり方が、らしいな。やっぱ最高だった。

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    2021年02月07日
  • 苦悩する男 下

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    これまで様々な社会的あるいは政治的な出来事を背景に事件を解決してきた連作の一番最後に国家の運命に関わる直截且つ強烈な謎を持ってきた。遠い北欧の一国の話を読んできたつもりの日本人にも響く主題である。その一方で、娘と孫との往来を繰り返しながら主人公の老境が深まっていきシリーズのエンディングに至るのは見事な幕引きだった。

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    2021年01月06日