ヘニング・マンケルのレビュー一覧
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あーいやだ、いやだ……。
いやになるほどの孤独な中年男性の生活。
出て行った妻へたたみかけるように詰問する姿、前頭葉の老化による感情コントロールの低下に刑事という職業の癖が加わり相手を不快にする……そりゃ逃げるわ〜。
そのくせ、「褐色の女性」との妄想や、女性検察官へのちょっかい……。
妻や娘のことも、父親のことも、逃げるようにしてお酒に埋没したり、お腹ができたことを気にしながら、サラダをいやいや食べる姿など、ゾッとする。
数十年会ってない友人に突然しつこく電話したり、慌てて隠れた時にぶつかった怪我も「殴られた」とうそぶく……。
いったいこの人のどこが良いのか?
ところが、読み進めていくうちに不思議なリズムが出てきて、次第にこの主人公と「共に居る」ような感覚に陥ちてゆく。
その結果、「シリアスなドタバタ感」という奇妙な面白さが生まれ、なんだか愛おしくなってくる。
私は、結構好きだと思う。 -
Posted by ブクログ
ヴァランダーのシリーズ2作目。2作目なのにいきなりスウェーデンを飛び出し、独立後においてもロシア支配が色濃く残るラトヴィアが舞台です。事件の発端は密輸船の乗組員が漂流する救命ボートを発見し回収しようと手繰り寄せたところスーツを着た死体が2体乗っているのに気づき、沿岸まで牽引してきたこと。歯の治療痕などから死体はラトヴィアのギャングであることがわかり、かの国の警察に引継ぎをするべく一人の刑事に来てもらいます。お互いに得意でもない英語で言葉少なに会話し黙って酒を飲んだリエパ少佐とヴァランダーはお互いに尊敬の念と親近感を持ちます。ラトヴィアに引継いだのでこれで一件落着したはずが、帰国したその日にリエパ少佐の身に起きたことによりヴァランダーは全く知らない土地であるラトヴィアに呼ばれ、良く状況がわからないまま大きな渦に巻き込まれてしまいます。距離的には近いラトヴィアとスウェーデンですが政治状況も歴史も社会制度も全然違っていて、ラトヴィアでは軍の支配の名残なのか警察の階級も大佐・中佐・少佐と称されているのでした。短い親交ながら信頼に足る人物とお互いに認め合ったリエパ少佐への義理という細い糸の繋がりだけで、土地勘も無く誰が敵で誰が味方なのかもわからないなかで、ほとんど不可能なのではないかというミッションを与えられて奮闘するヴァランダーの様子は、サスペンスの要素もあり、アクションもありながら、哲学的な思索もあって、不思議な作品でした。読み始めたばかりのシリーズでこの展開で少し戸惑いましたが、面白かったです。
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Posted by ブクログ
一冊も読んだことが無いのに本屋さんでずらっと並んでいる背表紙を何度も見ていたせいか作家のフルネームと『白い雌ライオン』というタイトルが記憶に残っていたシリーズ、知人の読書家に「すごーく面白い」と聞いたのと、最近北欧の作品を固めて読んでいることもあり遂に読み始めました。日本語版発売から20年経過していますが、自分が主人公ヴァランダーの境遇や感情を理解しやすい年齢になっているので今のタイミングで読んで正解でした。移民の問題や制度が目指したものと実際の運営状態の解離、都市部と農村部の違いなどが、衝撃的な事件とその捜査の合間に丁寧に語られます。中年刑事の常?としてヴァランダーは妻に捨てられて惨めで荒んで、食生活は乱れ不健康に太っているものの、刑事としての矜持と勘をもって諦めずに捜査にあたります。記者会見用の原稿を書いたり捜査のシフトを組んだり引継ぎ報告書を書いたりという他の作品ではあまり見られない刑事の地味な仕事ぶりも出て来たのが新鮮でした。内容が濃い割には短く、スッと読めました。完結しているシリーズなので一気読みが出来るのが嬉しいです。
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ヴァランダーが20代の新米警官時代から、40代の中年刑事まで、モナ(若い時はガールフレンド、その後結婚して別居)や父親との関係に悩みながら持ち前の勘と粘り強さで事件を解決する姿を描く。
いつもながら実直なヴァランダーとそれを取り巻く、こらまた実直な刑事たち。みんな何かに悩んでるのは一緒だな。そんな人生を含めて楽しめるのが、このシリーズ。やっぱり長編が読みたいな。3.8
フレーズを読んで思ったのは、the Wireのリアリティ。はつらつとしてるのはマクノルティくらい(それでも中年だけど)、女性刑事も見た目より実力。Boschもそれに近いかな。その点、シカゴPDはイケメン&美人でリアリティという点ではちょっとね。 -
Posted by ブクログ
刑事ヴァランダーシリーズ第2作。
ある冬の早朝、スウェーデンの海岸に救命ボートに乗った二つの死体が漂着する。
彼らは誰で、一体どこから流れ着いたのか。
捜査協力のためバルト三国はラトヴィアの都市リガから、スウェーデンのイースタに派遣された警察官、リエパ中佐。
その彼が帰国当日に殺害され、今度はヴァランダーがリガへ向かい・・・
1990年代、ペレストロイカの煽りで揺れ動くラトヴィア国家。
その病巣を暴くべく革命を企てる活動家たちと協力しながら、事件解明へ動くヴァランダー。
活動家たちとヴァランダーの接触は絶対に知られてはならない。そのために、現実とは思えない(いや小説なんだけども)危険を冒しながら体当たりの捜査を進めるヴァランダーの活躍と、ド派手なアクションシーンに今作もアドレナリン全開!
行ったこともないのに、想像の中でのラトヴィアの暗く寂しい風景が頭を離れない。
はぁー、面白かった・・・。 -
Posted by ブクログ
1990年代のスウェーデンが舞台の刑事ヴァランダーシリーズ第1作。
一応ミステリー小説にカテゴライズされるのだろうけど、これミステリーじゃない!
殺人事件の捜査が柱にありつつ、謎解きがメインじゃない人間ドラマ。
登場人物たちの内面の葛藤や生活、そして事件捜査としての"自分の仕事"に対する姿勢がとても魅力的。
ヨーロッパらしい自立した考えの大人が議論を交わす形で社会的背景と国家の問題を印象深く盛り込んでもいる。過激な思想の押し付けがなくスマートなので、余計に考えさせられる。
翻って、アクションシーンはハリウッド映画も真っ青の大迫力!
ミステリーの概念吹っ飛んだ。
これまで読んできたミステリーはアメリカが舞台のものばかりだったので、北欧というのもとても新鮮だった。