19世紀半ば、イギリスはコーンウォールの領地にある古い館で、両親を亡くした主人公フィリップ(わたし)は従兄アンブローズに育てられた。
教育を授けてくれ、領地の管理、小作人達の面倒をみながら暮らす領主の生活を身に付けていった。ゆくゆくは領主という肩書きと莫大な財産を受け継ぐ身の坊ちゃまとして。
と
...続きを読むころが40代になった従兄アンブローズは転地療養のためイタリアに度々出かけるようになり、ある年、レイチェルという女性と結婚してしまい、急逝してしまった。
わたしは従兄アンブローズを父と思い兄と思い、愛し愛されて穏やかに暮らし誰にも邪魔されずにいたのだったから、彼の妻となったレイチェルに猛烈な恨みを抱く。
レイチェルがフィレンツェからコーンウォールの館に訪ねてきた。
田舎くさい一途な青年と、洗練された魅力的な女性。
従兄アンブローズの疑惑に満ちた手紙と、必然的にやってきた恋のせめぎあい。『わたしが恋した女性は従兄を殺したのか?』(帯)
もうひとつの「レベッカ」と帯にある。同じようにそくそくと迫ってくるようなミステリの醍醐味、やはり一気に読ませる。
「レベッカ」もそうなのだが、冒頭のうまさ。結末の以外さ。
『人生はあともどりできない。引き返すことは出来ない。やり直しはきかない。』余韻が残る。