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七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版!
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Posted by ブクログ
書店で推されていたので読んでみた。
目玉は大きなトリックと中くらいのトリックの2つ。中くらいのトリックはちょっとアンフェアな気がするが、大きなトリックは、なるほどあれもヒントだったのに気がつかなかったな、と納得。最後は複雑だったけど一気に読んだ。
この文庫版初版は2004年刊行だが、元は1973年乱歩賞候補作。初めて単行本として刊行されたときは「新人賞殺人事件」で、紆余曲折を経て今のタイトルに。
作品の基本プロットは変えずに、より読者に楽しんでもらうために、別タイトルで刊行されるたびに一部変更もなされ続けてた。そうして、この文庫版はその「決定版」だそう(「解説」による)。50年以上前の作品が元になっているが、文体も書かれた時代を感じさせないほど読みやすい。
この文庫版は、著者の死後、再発掘プロジェクトで再刊行され、それからベストセラーになったとか。自分も失礼ながら著者とその作品をこれまで知らなかった。本書を読んで、著者はつくづく不遇で過小評価されているなあ、と感じた。
本作には、こうした著者の推理作家としての鬱屈した思いと、それでも描き続けることが好きって気持ちも込められている気がする。
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