作品一覧 2018/03/15更新 未来からのホットライン 試し読み フォロー 渦動破壊者 レンズマン・シリーズ7 試し読み フォロー 神の鉄槌 試し読み フォロー 銀河パトロール隊 試し読み フォロー グレー・レンズマン 試し読み フォロー 三惑星連合 レンズマン・シリーズ6 試し読み フォロー 時間泥棒 試し読み フォロー 第二段階レンズマン 試し読み フォロー ファースト・レンズマン レンズマン・シリーズ5 試し読み フォロー 無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン 試し読み フォロー 造物主の掟 試し読み フォロー 造物主の選択 試し読み フォロー レンズの子供たち レンズマン・シリーズ4 試し読み フォロー 1~13件目 / 13件<<<1・・・・・・・・・>>> 小隅黎の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 造物主の選択 ジェイムズ・P・ホーガン / 小隅黎 『造物主(ライフメーカー)の掟』の続編。機械人たちとの接触から数ヶ月後、残された謎が明らかになるが……。 序盤から、ザンベンドルフのはったりマジックが今回も面白い。実際には「そううまくはいかんやろ」と思ったりもするが、トリックの内容はよく考えられていて楽しめる。 前作から10年以上執筆の期間が空...続きを読むいているにもかかわらず、前作・続編というよりも、前編・後編といったほうがよさそうなほど、話の内容は連続していて違和感がない。今作では前作で最大の謎であった、機械人を送り出した異星人が登場し、タイタンは大混乱に陥ることになる。 意識はデジタル化できるか――という命題はさておき、覚醒後のサーヴィクの状況は恐ろしい。動けない体、機械なので死ぬこともできない、意識だけがそこにある――この恐怖を想像してしまった。ただ本作の焦点はそこではなく、肉体を持たない彼らがタイタンの機械上で大暴れし、そこにイカサマ心霊術師ザンベンドルフの出番が出てくるところに面白さがある。 すべてのお膳立てが整い、後半以降から加速的に面白くなるのはホーガン読者ならいつも通りといえるだろう。日本のシラサギ号が到着してますます複雑になるタイタンをめぐる政治情勢、この政治劇的な側面と、科学と心霊の対決に見せながら実はそうではない、ワイナーバウムとザンベンドルフの対決も見どころだ。 本作に登場する、理性と科学を信じるユーモラスなAI《ジニアス》と、人間の本質を理解するザンベンドルフ。 AI vs 人間の究極の結論ともいえる両者の対決、そしてAIにハッタリをかますイカサマ心霊術師のギリギリの攻防がアツい。ラストの決着はあっさりすぎた気もするが……。 ガニメアンとは真逆のタイプの異星人の描き方は巧みで、前作よりも本作が好きという人は彼らの魅力が大きいのだろう。決していいやつらではないのだが、極めて個性的なのだ。ザンベンドルフのその後が知りたいし、まだまだ続きが読みたいくらいだが、本シリーズはここまで。 Posted by ブクログ 造物主の掟 ジェイムズ・P・ホーガン / 小隅黎 土星の衛星タイタンを舞台にしたホーガン節の傑作。独自に進化した機械人たちの文明は中世西欧風の世界だった――。 冒頭の、ロボットたちが独自の文明世界を構築していく過程が、これぞSFという感じで面白い。その後は、ホーガンおなじみの、組織と人間関係の軋轢の中で真実への探究心を燃やす主人公たちが登場する。...続きを読む本作ではザンベンドルフとマッシーが対立しつつもやがて信頼関係を築いていく姿が、『星を継ぐもの』のハントとダンチェッカーを思い出させて、やはりこのあたりのキャラの書き方はうまい。ただし、人名が多すぎて読みにくくなっているのもお約束。 ハードSFとしての本質的な部分はプロローグで語り切ってしまっているようで、接触した機械人文明が中世ヨーロッパ風なのもあり、本編は実は人間世界についてのアナロジーな気がする。SFは突き詰めると宗教的な論議になってしまうのか、機械人たちの形而上学的な会話が興味深い。ここから宗教と人間性に関する論点にスライドし、中世文明VS現代文明のような形でドラマが展開する。物語の展開そのものはとても面白く、後半はさすがホーガン、と何度もうならせてくれた。しかし同時に、本書からは「精神的に進歩しようとしない一般大衆」への強い憂慮と批判が強く感じられる。根本にある作者の思いを特に汲み取れる作品だったかと思う。「愚かな大衆はどこまでいっても馬鹿なままだ」――作者の強い悲しみを感じるラストの一シーンに、現代の日本の大衆の姿が重なって見えた。1983年刊、すでに40年前の小説だが、まるで今の時代を見てきたかのような書き方が何箇所もあるのでひとつ引用してみる。 P347 「よかろう、きみが今日の大衆に対して抱いている気持はわかっている」マッシーは両腕を宙にふり上げ、「彼らが二十一世紀に育ち、史上いかなる時代の人々よりも完備した学習と教育の機会に取り巻かれながら、その特権を利用しないほど愚かなら、それはきみの知ったことじゃない。彼ら自身の選んだ道だ」 とはいえ、主人公たちと機械人との交流は希望が持てるものだったし、小気味良いユーモアで後半は何度も笑わせてもらった。なるほどそういう意味だったのか!と舌を巻く、絶妙な「タイトル回収」の巧手も健在。続編は絶対面白いでしょうコレ! Posted by ブクログ 造物主の掟 ジェイムズ・P・ホーガン / 小隅黎 『星を継ぐ者』シリーズ以来のホーガン。やっぱホーガンめちゃくちゃ面白い。 ロボットやAIの分野ではシンギュラリティが焦点になることも多いですが、この作品は逆でロボットたちが中世封建的な社会を築いて科学革命に至っていないとしたら…という発想。 このあべこべの発想に立つことで人間とは何かとか、社会と...続きを読むは何か、あるいは人間は何を問いうるかといったことを考えさせられますし、主人公がインチキ心霊術師で人は真実を見つめているかという問いに角度をつけた皮肉まで突きつけられます。 ホーガン作品の異星人との「個人的な通じ合いの感覚」の描き方も好き。 Posted by ブクログ 未来からのホットライン ジェイムズ・P・ホーガン / 小隅黎 本作の原題:Thrice Upon A Time は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の英題に引用された。 過去にメッセージを送ることができるマシンが完成した……という、それ何てシュタゲ?と今の若い人なら言いたくなるようなオープニング。2010年を舞台に1980年に出版されたホーガン節の時間移動SF...続きを読む。ホーガンといえば真っ先に思い浮かぶのが『星を継ぐもの』。これぞSF、というセンス・オブ・ワンダーとミステリー的な謎解き要素を併せ持った面白さは本作でも健在だ。 こういった、過去に干渉して歴史を改変するという物語は、改変前の世界と改変後の世界が分岐してそれぞれが継続していくというパターンと、改変前の世界は消滅して完全に書き換わってしまう、というパターンがある。本作は後者であり、「世界線の書き換え」によって生じる様々な問題が、思考実験のように展開されて非常に面白い。たまたま人類の絶滅につながる2つのまったく別々の重大事件が発生し、過去にメッセージを送れるマシンによって救われるか?というのはちょっとわざとらしい展開にも感じるが、必然的に生じるタイムパラドックスも含め、このテーマに関する普遍的な問題を提示していて最後まで興味深く読める。 美しいラブロマンスでしめる、読後感の良さはさすがのホーガン。あちらこちらで使い古されてしまった時間移動もののネタは新鮮味にかけるかもしれないが、今もって一読する価値のある名作なのは確かだと思う。 新エヴァについては、なるほど……と今さら気づいた(英題は気にしてなかったニワカ)。 Posted by ブクログ 未来からのホットライン ジェイムズ・P・ホーガン / 小隅黎 言わずもがな、新エヴァの副題の元ネタ。新劇場版が持つ並行宇宙の概念は概ね本書に沿う。しかし偶然なのだが今どきな話題も出てきて、80年代とは思えない作品。いまならエヴァっぽい帯がついて本屋に並んでます。 Posted by ブクログ 小隅黎のレビューをもっと見る