小隅黎のレビュー一覧

  • 造物主の掟

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    訳者あとがきにあった 本編で作者がいちばん書きたかったのはプロローグの部分ではなかったのではないか? に大きくうなずいた
    魅力的な舞台設定の物語でした

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    2024年12月06日
  • 無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン

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    ネタバレ

    【無常の月】
    表題作にして白眉。
    ある夜、月が異常な明るさで輝きだす。月は太陽光を反射している。つまり地球の反対側、昼の領域はもう……。というお話。
    月という身近な存在に異常が起きるという掴みから、想像力を働かせて未曾有の事態にたどり着く衝撃。主人公は事態に勘づくが夜の街は平和そのもの、さて人類最後の夜をどう過ごすか、という哀愁。論理と情緒が両方詰まったハードな展開に心揺さぶられた。自分が読んだここ数年の短編では一番かも。

    【帝国の遺物、中性子星、太陽系辺境空域】
    同じ世界感を共有しており、ワープあり異種族ありで王道SF感がある。中性子星やブラックホールのアイデアは既視感がすごいけど、逆にこ

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    2024年05月26日
  • 無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン

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    ラリイ・ニーヴンの短編集。
    表題作「無常の月」の終末感が良い。
    それ以外も読みやすい古典SFというところだが、「終末も遠くない」はファンタジー風味。
    「馬を生け捕れ!」はシリーズ物のドタバタコメディということで、シリーズの他の話もぜひ読んでみたい。

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    2024年05月20日
  • 造物主の選択

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    『造物主(ライフメーカー)の掟』の続編。機械人たちとの接触から数ヶ月後、残された謎が明らかになるが……。

    序盤から、ザンベンドルフのはったりマジックが今回も面白い。実際には「そううまくはいかんやろ」と思ったりもするが、トリックの内容はよく考えられていて楽しめる。

    前作から10年以上執筆の期間が空いているにもかかわらず、前作・続編というよりも、前編・後編といったほうがよさそうなほど、話の内容は連続していて違和感がない。今作では前作で最大の謎であった、機械人を送り出した異星人が登場し、タイタンは大混乱に陥ることになる。

    意識はデジタル化できるか――という命題はさておき、覚醒後のサーヴィクの状

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    2023年07月09日
  • 造物主の掟

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    土星の衛星タイタンを舞台にしたホーガン節の傑作。独自に進化した機械人たちの文明は中世西欧風の世界だった――。

    冒頭の、ロボットたちが独自の文明世界を構築していく過程が、これぞSFという感じで面白い。その後は、ホーガンおなじみの、組織と人間関係の軋轢の中で真実への探究心を燃やす主人公たちが登場する。本作ではザンベンドルフとマッシーが対立しつつもやがて信頼関係を築いていく姿が、『星を継ぐもの』のハントとダンチェッカーを思い出させて、やはりこのあたりのキャラの書き方はうまい。ただし、人名が多すぎて読みにくくなっているのもお約束。

    ハードSFとしての本質的な部分はプロローグで語り切ってしまっている

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    2023年06月10日
  • 造物主の掟

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    『星を継ぐ者』シリーズ以来のホーガン。やっぱホーガンめちゃくちゃ面白い。

    ロボットやAIの分野ではシンギュラリティが焦点になることも多いですが、この作品は逆でロボットたちが中世封建的な社会を築いて科学革命に至っていないとしたら…という発想。

    このあべこべの発想に立つことで人間とは何かとか、社会とは何か、あるいは人間は何を問いうるかといったことを考えさせられますし、主人公がインチキ心霊術師で人は真実を見つめているかという問いに角度をつけた皮肉まで突きつけられます。

    ホーガン作品の異星人との「個人的な通じ合いの感覚」の描き方も好き。

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    2022年12月04日
  • 未来からのホットライン

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    本作の原題:Thrice Upon A Time は『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の英題に引用された。

    過去にメッセージを送ることができるマシンが完成した……という、それ何てシュタゲ?と今の若い人なら言いたくなるようなオープニング。2010年を舞台に1980年に出版されたホーガン節の時間移動SF。ホーガンといえば真っ先に思い浮かぶのが『星を継ぐもの』。これぞSF、というセンス・オブ・ワンダーとミステリー的な謎解き要素を併せ持った面白さは本作でも健在だ。

    こういった、過去に干渉して歴史を改変するという物語は、改変前の世界と改変後の世界が分岐してそれぞれが継続していくというパターンと、改変前

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    2022年08月29日
  • 未来からのホットライン

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    言わずもがな、新エヴァの副題の元ネタ。新劇場版が持つ並行宇宙の概念は概ね本書に沿う。しかし偶然なのだが今どきな話題も出てきて、80年代とは思えない作品。いまならエヴァっぽい帯がついて本屋に並んでます。

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    2021年05月26日
  • 未来からのホットライン

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    装置を用いて過去にメッセージを送り、未来(世界)を再構成する。シュタゲの原典といえる作品。無関係と思える事件が最後には繋がり、物語が終焉にむかう怒涛の展開は、圧巻だった。あと、エピローグでほっこり。

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    2021年02月04日
  • 無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン

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    『まんが宇宙大作戦』「過去から来た新兵器」の設定に使われているノウン・スペースの一端を知りたくて読んだ。その他にもある様々なシリーズの一短編がそれぞれ収録されていて楽しめた。

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    2019年01月04日
  • 未来からのホットライン

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    ネタバレ

    シュタインズ・ゲートの元ネタというかシュタゲがリスペクトしているであろう内容。タイムトラベル物でまさかのラブストーリー…!「忘れてなんかいないわ」にちょっと泣いてしまった。

    新しいなと思ったのは(1980年の作品なのに!)タイムトラベルの実現について国家をまたいで共有し、地球の未来を守るために首脳陣が知恵を絞っていく過程。もちろん打算や独り占めしたい各国の思惑も混ざるが、それでも歴史改変の危険性回避のために最善を尽くそうという強い意志がありそこも泣けた。

    長編なのでずいぶん長いこと欲しいものリストに入れたまま放置していたが、読んで良かった。

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    2018年11月14日
  • 渦動破壊者 レンズマン・シリーズ7

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    レンズマンシリーズの番外編。レンズマン試験を落ちこぼれたニール・クラウドが実は、レンズマンをも凌駕するような能力の持ち主だった!レンズマンとはまた違ったワクワクどきどきで、読ませる。E・E・スミスは凄い。

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    2018年11月12日
  • レンズの子供たち レンズマン・シリーズ4

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    ワクワクドキドキの大活劇の中で、思考、洞察の大切さを改めて感じる。ほんと古い本なのだが古さを全く感じない。不思議だ。

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    2018年11月12日
  • グレー・レンズマン

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    相変わらずの、ドキドキハラハラのスペースオペラ。時間を忘れ一気に読み切ってしまう面白さだ。
    これを読んでいると思考力の大切さを今一度考えさせられる。

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    2018年11月12日
  • 銀河パトロール隊

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    言わずと知れた、レンズマンシリーズの第一作。読み直すのは、大学生以来かも?古い話のはずだが、その内容のぶっ飛びようは、今でもまだまだ新しい。ワクワクドキドキ一気に読ませる。SF好きには本当にたまらない一品。

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    2018年11月12日
  • 第二段階レンズマン

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    思考。これに尽きる。ドキドキハラハラのスペースオペラであるが、この物語の根底にあるのは、ひたすら思考である。自分は、真に思考できているのだろうか?疑問であるが、ひたすら思考するしかない。

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    2018年11月12日
  • 未来からのホットライン

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    ーーーアメリカ西海岸で技術コンサルタント事務所を開いているマードック・ロスは、スコットランドの古城に住む引退した物理学者の祖父に招かれ、友人のリーとともにイギリスへ向かった。 祖父が政府の助けもなく、独力でタイム・マシンを完成させたというのだ。


    『星を継ぐもの』シリーズ以来のJ•P•ホーガン
    よく言えば外さない、悪く言えばありきたりのタイムマシンとそれに伴うパラドックスにまつわる物語

    他の書評を見る限り、「シュタインズゲート」はこの小説にインスパイアされて生まれた作品みたいやね。

    前に読んだシリーズでもそうやったけど、破綻の無い理論構成はグイグイ引き込まれる。
    ただ、ひとつの欠点とし

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    2014年07月14日
  • 造物主の掟

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    興奮の導入、そして始まる「神様もつらいよ」。キリスト教のパロディも愉快に、理解不能な事物を理解するために神の言葉と奇跡への「変換」が起こるメカニズムの具体化が抜群に愉しい。ロマンチックなほど探求の精神を信じる作者の姿勢も痛快だった。心理学者のマッシーをさしおいて詐欺師もどきのザンベンドルフが主人公なのは、ショーマンにしかできない事もあるからなのだろうな。

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    2013年07月24日
  • 造物主の掟

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    ーーー百万年の昔、故障を起こした異星の自動工場宇宙船が土星の衛星タイタンに着陸し、自動工場を建設し始めた。
    だが衛星の資源を使って作った製品を母星に送り出すはずのロボットたちは
    故障のため独自の進化の道をたどり始めたのだ。
    いまタイタンを訪れた地球人を見て彼ら機会生物は……?


    ホーガンSF5作目

    私たち人間とは、「生きもの」と「機械」の概念が正反対の、緻密な機械生物の世界。
    まずプロローグが凄い。生物の進化と全く違う様に見えて、似通った部分も見受けられる。
    独自の進化をとげた機械生物たちとの対比を通して、私たちの見ている「世界」とは電波や可視光、空気の振動といった一次的な刺

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    2012年12月30日
  • 造物主の掟

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    木星の衛星タイタンで独自に進化した機械人の文明。地球から交渉の為、派遣された科学者達に混じって大人気のインチキ超能力者の姿があった。大衆操作の為に送り込まれたザンベンドルフとスタッフはタイタンを植民地化しようとする後援者達の意図に反して、知識と真実への探究心を持った機械人と交流を深めて行く。ヨーロッパがアジアやアメリカやアフリカを植民地化していった歴史を批判し、真実より享楽的刺激を求める現代社会の大衆を皮肉っている。

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    2012年11月07日