小隅黎のレビュー一覧
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時間泥棒というタイトルに惹かれて読んだ。
『モモ』の時間観とか、『不思議の国のアリス』の"時間さん"の話が好きなんだけど、こちらの本も時間がなくなっていく仕組みが斬新だった。
哲学的な意見、物理的な意見、突拍子もない意見、様々な仮説が立てられていて、それだけ時間の概念てたくさんあるなと思った。
人間にとって時間は命そのものであるけど、その長さと内実は人によって違う。そうなると、時間は効率的に充実したものにしたいと思ったけど、そもそも一定の時間にたくさんのことを詰め込むことが充実とは限らないよな。時間を贅沢に(わざと無駄に)使うことだって充実の一種なんだから。 -
Posted by ブクログ
地元の本屋で出版社毎の文庫本フェアをやっていて買った本。前作「造物主の掟」は読んでない。
主人公は霊術師、というかイカサマ士だな。
土星の惑星タイタンで増殖している機械生命、なんと中世騎士物語のような有様。地球から来た人間たちがコミットして新しい秩序が出来つつあるという処。
中間部はタイタンに100万年以上昔に自己複製プログラムを置いた惑星タールの話。その生命ポリジャンは、ひたすら他人を出し抜き、騙し合うばかり。サービク中心に話が進むが、長いしウンザリした。サービクと電子頭脳ジュニアスの罵り合いなんて酷いモノ。森博嗣さんのXXシリーズのオーロラたちとの会話の方がイイよね。
プログラムの中 -
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購入済み
本筋は単純 理屈は困難
タイムマシン物だけど 誰かが過去や未来に飛んで行って大暴れ なんて話ではない 実に地味なタイムマシンだ 物語でのタイムマシンの理屈も? その影響も? 読んでる途中から これはもう一度最初から読まないと駄目だな と思った 今から 2回目を読もう
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Posted by ブクログ
言葉だけ、それも一度に6文字だけを過去に送ることのできる機械を作り上げたチャールズ。そこへ数学者や物理学者を集め、どのように活用、改良するかを議論する。そんな中、世界中で謎の現象と謎の病気が流行り始め、直ちに原因は判明するが、過去にある原因を止めることができるのか?
全部読み切ると、よく考えてあるなあという小説だが、いかんせん途中がダレる気配があり、天候も影響して正直なところ眠いのを我慢して読んだところがある。
過去へ送れるものは、文字だけ。それも一度に6文字だけ。でも連続して送ることで、過去における未来に起こる事故を回避することができる。分岐型の未来像ではなく、ホーガンは違う" -
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鴨は旧版「無常の月」も持っていまして、被っている収録作は2作のみ。現在絶版の短編集「中性子星」からもセレクトされており、ラリイ・ニーヴンをまんべんなく知るにはちょうど良い短編集だと思います。
バリバリのハードSFからファンタジーまで、ぱっと見はとっ散らかった感じですが、バックボーンに当時最先端のハードSFとしての筋が一本通っているところが、ニーヴンの面目躍如。軽いタッチの見た目とは打って変わって、相当考え抜かれた理論派作家なのだろうと思います。
・・・が、まぁ、軽いですね(^_^;
SFという文学ジャンルの中でも特に、ハードSFはアイディア一本で勝負できるジャンルです。SF的アイディアと舞台 -
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ずいぶん古いスペースオペラで、というよりもスペースオペラの創生期の作品と言うことになるのだろうけれど、既に現在使われているアイデアが、これでもかとばかり盛りこまれていることにびっくりした。銀河英雄伝説もスターウォーズもアイアンマンも、全部このあたりから始まっているんだと言うことが実感できる。すごいなって思った。
ストーリィそのものは、わりあい単純でその分すっきりと楽しめる。今の感覚で言えば、敵味方がすっぱりと分けられていて、まるでボードゲームを見ているようだ。さらにヒーローの特出の仕方が読んでいて照れてしまいそうなほどなので、とっても楽に最後まで読んでいける。これは短所と言うよりも長所だろう -
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そうだ、ラリイ・ニーヴンはハードSFを得意とする作家だった!と痛感したのは、本書収録一作目の「帝国の遺物」を読み進めて間もない頃。そこから「中性子星」、「太陽系辺境空域」にかけて(いわゆる<ノウンスペース>シリーズ)は理解が追いついていない描写が結構あります。とはいえ、それでもなんとなーく読み進められるのがニーヴンのニクイところでしょうか。
以前読んだ「リングワールド」もそんな感じでしたが、結構、いやかなり楽しめたように先述の三作品もない頭を絞りながら、楽しむことができました。
が、やはりお気に入りは表題作。アイデア一発ものといってもいいのかもしれませんが、現実の延長線上で起こりえそうな事象を -
Posted by ブクログ
設定が幾分ご都合主義というか、ガニメデシリーズで感じたような虚構としてのリアリティが弱いように感じた。
であるが、魅力的な設定でもあり、概ね楽しく読めた。
一方で登場人物が非常に多く、それぞれが結構な頻度で物語に関わってくるため、読みながら誰が誰なのか判別に苦労することが多かった。口調や行動規範によって判別することも難しく、そこに関してはアニメ/漫画的な過剰なキャラ付けのないリアルさ、と言えるかもしれない。読み手の問題ではあるだろうが、翻訳文が意味を取りにくいと感じた箇所も散見された。
ネガティブな要素ばかり書いてしまったが、序盤から中盤にかけて、地球から舞台が移り変わるあたりでは、特にワクワ -
Posted by ブクログ
斎藤環の『母は娘の人生を支配する』の冒頭を拾い読みしたら、娘が父と和解する感動的なお話「鏡の法則」に言及し、これに感動した人はもはやケータイ小説の単純さを笑えない、と述べられていた。私は思わず「鏡の法則」の代わりに『レンズマン』を入れて了解してしまった。『レンズマン』に感動してたらもはやケータイ小説の単純さを笑えない。
確か中学生時分に夢中になって読んだものである。こんな面白いものがあるかというくらい面白かった。それが新訳で読んでみると、登場人物の薄っぺらいこと。いや、平行してジーン・ウルフなんかを読んでいたのも悪い。かたや、ある人物が「もっとも複雑な人間」であるのは「単純になろうと努力