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人の世はなんとおぞましく、美しいのだろう――。最愛の妹をたった二十二歳で亡くした女は、不思議な葬儀社にあるお願いをする。まるで生きているかのように写真を撮影できる凄腕のカメラマンに、妹のウエディングドレス姿を残してほしい、と。しかしそれは、禁断の行為だった……。雨の渋谷で死んだ同級生を思い出す男、街を彷徨う女子高生、満たされぬ思いから窃盗を繰り返す女、この世のものとは思えない美女と遭遇した少年。赤々とした炎のように何かに身を焦がし、切望する者たちの行く末ははたして──。人間の赤裸々な欲望、妄執を巧みな文章で書き綴った、切ない余韻の残る連作短編集。
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Posted by ブクログ
タイトルから「赤煉蛇(ヤマカガシ)」を想起させられた。
ひやりとしているが温度も感じられる、という爬虫類的特徴は本作ぴったり。
恋焦がれる「モノ」への倒錯的な愛が低温・高熱で描かれた短編集。
愛の形については、いわゆる「フィリア」であって、マニアとかフリークとか
とは異なるもの。ただ、そこに帯に書かれたような絶対的な「おぞましさ」を
感じることはなく、綺麗さが伴っているのがさすが。
作者にしては珍しいエロチズムがそこかしこに書かれていて違和感はあるが、
得意とするレトロスペクティブな情景描写で上手くコーティングされていて
そんなに卑猥な感じは受けず、これもまた手腕によるものかと。
見たくないものに限って無意識的に見てしまう人間の性。
「きれいはきたない、きたないはきれい」を地で行く一冊。
Posted by ブクログ
官能、性的嗜好、死や死体。そして不可思議なもの。普段の私とは縁のない世界のため、息苦しさを感じたり目を背けたくなった。でも、怖いもの見たさで先が読みたくなる。見てはいけないけど、だからこそ見たくなる。そんな本だった。
全体的に暗黒な雰囲気の作品だったが、不思議と心に切なく染みてきた。気に入ったのは以下の三つ。
●「アタシの、いちばん、ほしいもの」
アタシが欲しいものにはっとさせられた。目の前で小さな命が散っていくのを止められなかった場面が印象的だった。
●「私はフランセス」
「あぁ……人を愛するって、どういうことなのでしょう?」以降で女の情念の深さをしみじみと感じた。業か…個人的には好きな結末?
●「いつか、静かの海に」
不思議で綺麗な話。月光レンズで月の光を集めて水を作るというのが素敵だと思った。最後に主人公が月光レンズを作らなかったことにほっとした。
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