朱川湊人の一覧
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ユーザーレビュー
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最初読み終えたときは、子供の頃、数回味わったあの感覚が蘇ってきた。
相手に殴りかかって行って・・・。
衝撃で目をあけると、目の前、数センチに地面がある。
ああ・・・
グイッと、現実に戻される、今、目覚めたような孤独の感触。
怒りの恍惚から冷めて、ケンカが滅法弱く、そのくせ気が短い自分、に思
...続きを読むい至る。
そのときの感触とこの本の読後感がそっくりだった。
二度目の今回は、あらすじも覚えているので、ラストに囚われず、じっくり読み込むことができた。
「本日、サービスデー」から繋がっているんだ、ということ。
取り返しのつかない人生の過ちを犯さない、犯させないために・・・。
それでも、どうしようもない選択肢の中で犯してしまったときは・・・。
読み終えて、決して楽しい作品ではないし、文学作品でもないので、事象の描写は表面的かもしれない。
でも・・・。
この作品を単なるSF・娯楽小説の範疇に留め置くのは勿体無いと思う。それだけの深さがある。傑作。
また、読み返すと思う。
【あらすじ(最初だけ)】
宿なしの幸慈が薄暗い街を歩いているとき、変わったカツアゲ現場に遭遇した。
スタイル抜群の女が、若い無抵抗な男に膝蹴りを入れ、小銭を巻き上げていたのだ。
Posted by ブクログ
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心温まるホラーだったり救いようがないホラーもある6連の短編集
「妖精生物」がおすすめ
甘美な感覚の虜になった主人公、この生物がいると幸せになると信じ育てていくが...。
Posted by ブクログ
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ノスタルジックなホラー短編集。どれも秀逸。
昨日公園:友達を助けるため時を繰り返す
アイスマン:夏祭りに見た河童の氷漬け
フクロウ男:都市伝説を自分で作り体現する
死者の恋:死んだ男を愛する女の狂気
Posted by ブクログ
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特に好きな一冊。
5篇とも大好きだが、①は「普通の良作」の5年前の初読後の印象から、「朱川湊人といえばコレ」と、自分の頭の中での焼き付き度合いが強くなっている。
他の4作は、登場人物の中に自分も入ってみたいと感じる。密接で穏やかな空気感。
本の題名になっている白い犬「プチ」が、各編で助演的に登
...続きを読む場し、登場人物の巡り合わせや、会話の深さ(決心)を、ふと、させてしまっているところもおもしろい。
好きなのは、①、②、③、④、⑤。(^^;;
読み終えた後、
力をくれる。
①追憶のカスタネット通り
35年前、尚美と住んでいた街、僕が「罪」から逃げ出した街を久しぶりに訪れた。
②幸せのプチ
自分と友達、そして畏怖していた大きな大人や野良犬との交流。こみ上げてくる子ども時代の懐かしい記憶。
③タマゴ小町とコロッケ・ジェーン
パン屋の美佐子の店に来る客は初恋の相手にソックリ。でも、近所の幼馴染、和美はその客に「ガブッ」(私の先約済)宣言。
④オリオン座の怪人
ラジオで聞いた、深夜に徘徊する「謎の怪人」話。まさか自分の町だったとは。
⑤夜に旅立つ
大阪に旅立つ前に、勇治は琥珀の町で世話になった人たちに挨拶に行き、バッタリ村田のお姉さんと出会う。
Posted by ブクログ
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パルナスのCMソング。ゴム跳びという遊び。「じゃりン子チエ」が住んでいるような大阪のゴタゴタした町にいる、仕事もせずブラブラと陽気に昼間から遊んだり飲んだりしている“おっちゃん”。しかもそんなおっちゃんが結構な割合でいる、大阪のある下町。貧乏で開けっ広げで人情深い人たちがひしめき合って暮らしている
...続きを読むのだが、そんな中にも生まれた家によっては生まれつき差別される人間もいる厳しい時代。
この本には6編の短編が収められているが、何れも昭和40年代、50年代に大阪の新世界界隈で子供時代を過ごした主人公がいる。
私は大阪ではないのだが、関西でその頃子供時代を送った。その頃のテレビ番組や遊び、それに子供が多く、大人も必死で働いていたあの時代の子供心に感じた“キツさ”。そんなものが今となってはノスタルジーを感じさせる。
この短編集に収められた主人公の子供達は、そんななかなか“キツい”町で、大人の事情を冷静に見つめている子や生まれながらに差別を受けているがそのことを受け入れ、自分なりに居場所を見つけようとしている子。その子たちと“霊”との関わりを描いた短編集である。
“霊”は怖いとは限らない。生前、差別され病弱であまり遊べなかった子供が、亡くなってから自由になった体で夜な夜な近所の屋根屋根を楽しそうに跳び歩く話。親戚の厄介者だったおっちゃんが歩道橋の階段から呆気なく死んでしまい、お葬式には三人の愛人が揃うまで、霊柩車にエンストを起こさせて火葬場に向かわせなかったという話。二十歳そこそこで亡くなった娘が生まれ変わった姿で元の家族に会いにいく話。何れも亡くなった人がこんなふうにメッセージを送ってくれたらいいのにと思える話だった。
ゾクゾクする話もあった。「送りん婆」という話は怖かった。死にそうでなかなか死ねない人を楽に死なせてあげる仕事。あの世に送り届けるために「人を殺す呪文」を耳元で唱える。その呪文は勿論門外不出だ。主人公の女の子は叔母である“送りん婆”に跡継ぎとして見込まれ、その叔母が亡くなるときにその呪文を書いた紙を託されたが、結局跡は継がなかった。その女の子や“送りん婆”が住んでいた大阪の繁華街の横丁が高速道路建設と共に無くなってしまったのと同時に、“送りん婆”という仕事も無くなってしまったという書き方にぞくぞくさせられると同時に哀しさも感じた。
癖になる味わいがあった。
Posted by ブクログ
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