あらすじ
映画『花まんま』の世界を広げるスピンオフ
直木賞受賞作『花まんま』から20年、映画から魂を吹き込まれた新たな感動作!
本書は映画『花まんま』(2025年4月25日公開予定)のサイドストーリー。
登場人物の背景にある「もうひとつの物語」を、
原作者ならではの視点で描き出し、映画のその先の世界へと、
読者をいざないます。
~映画から生まれた4つの物語~
「花のたましい」
… 見えない明日を懸命に生きる駒子と智美。はかなくも美しい友情の行く末。
「百舌鳥乃宮十六夜詣」
… 幼少期の不思議な体験を昭和の世相に重ねて描くノスタルジック・ホラー。
「アネキ台風」
… こわれかけた家族をパワー全開で再生しようとする肝っ玉アネキの奮闘記。
「初恋忌」
… 人生の終わりを予感した男の身に起こる、小さな奇跡。感涙必至の好篇!
泣いて、笑って、幸せに。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
表題からスピンオフなのか...?と思っていたら最終章であまりにも淡く切ない思いに自然と涙がこぼれました。朱川湊人さんの作品を追いかけたいと思います。
Posted by ブクログ
中編集。先に読んだ「花まんま」のような。
というか、「初恋忌」はまるっきりスピンオフなのかな、かつて読んだときの思いが一気に溢れてきました。そしてこの本の中のどれもこれも連鎖反応を起こしてるような共鳴し合っているようでした。
魂というものは目に見えないけれどやっぱりあるんだなぁ〜ゾクッとするちょっと手前のはんなりとしたストーリーばかり。
Posted by ブクログ
『花まんま』のスピンオフ。4つの短篇集。どの作品も関西弁。其故に活気に満ちているが、読後に襲う切なさが半端じゃない。登場人物が皆、優しくて魅力的。不思議な世界を美しく活写する筆致が秀逸。暫し余韻に浸る。
Posted by ブクログ
映画『花まんま』からのサイドストーリー。
映画オリジナルの登場人物たちの、映画では語られなかったストーリー。
カッコウのカンコの話が、なんとも切なくも美しい。
不思議すぎるお話だけど、『花まんま』の世界でなら、こういうこともあるのかもしれない、と。
『花のたましい』も、思いがけない明るくて元気な展開かと思って油断した、、、まさか、、、
最後の『初恋忌』、喜代美にもそういう思い出があって本当によかった。
Posted by ブクログ
本人が何も語らなかったとしても
みんな色々あるしそれぞれ一生懸命に生きている。
笑いあり、涙ありで面白かった!
花まんま映画とSETで楽しむのがおすすめ!
Posted by ブクログ
短編集4編.花まんまのスピンオフ
どこか異世界不思議な雰囲気のする朱川さんらしい物語.
アネキ台風はもっと現実感あふれる前向きな物語で男前なアネキ二人が輝いていた.
Posted by ブクログ
映画「花まんま」のスピンオフと聞いて紐解いた。4篇の短編集。多分主人公以外の誰かにスポットが当てられるのだろう。読む前に予想を立てた。映画の中で個性豊かなのに、全然深められていないといえば、フミ子の婚約者で鳥の言っていることがわかる太郎くん(鈴鹿央士)か、彦根の家族の一員で何故か太郎くんのことを知っていた大学教授の人(六角精児)、或いは彦根家族近くのお店を営んでいた女性。或いはお好み焼き屋の駒子(ファーストサマーウイカ)かと踏んでいた。
結果は、駒子しか当たらなかった。しかも、映画でヤキモキした駒子の恋が実るかどうかという話ではなくて、駒子の幼馴染で、あまりにもお人好しの瑠美ちゃんが主人公。最後、悲しいけど、ちょっと不思議なことが起きる。不思議なことは、起きなくても話は完結するけど、想いは、起きたからこそ心に響くものになった。翻れば、映画も似ている。
映画は兄妹二人っきりのフミ子が遂に結婚する。その前に、彼女が長いこと持っていたある秘密が明らかになるという作品だった。別にネタバレしてもいいかなと思うけど、一応秘密の内容は秘密にしておく。流石にこの秘密がなければ、話は展開しないけど、登場人物たちの「人の良さ」は秘密がなくても、ストレートに伝わってくる。そして、それこそが作品の命だった。綺麗な花が、物語に花を添えていた。
他3篇も、不思議なことは、実は殆ど起きないけど、「人当たりのいい」関西弁が紡ぎだす「人の良さ」だけは全面に出ていた。それが、本書の命だろう。
…結局、映画の紹介になってる?
Posted by ブクログ
先に出版された『花まんま』の、ちょっと変則的スピンオフ作品といえる。
映画『花まんま』の撮影現場を訪れた朱川湊人氏は、後に新たな世界を思い浮かべて『花のたましい』を執筆されたとのことだ。
もし『花のたましい』を先に読んでも、何ら問題はない内容だと思う。
『花まんま』で綴られた雰囲気はそのまま引き継がれ、4篇の短編集は朱川氏独特の世界が綴られている。
相変わらず朱川作品は、不思議な世界の中に切なさと優しさが同居していた。
切なく寂しい思いもあるのだが、同時にほのぼのとした温かさも伝わってくる。
特に「初恋忌」では、逢いたくとも会えない切なさ、相反してほのぼのとした気分も伝わってくる。
何故に朱川氏は涙を誘う切なさと、ほっこりとした優しさをシンクロさせながら描き上げることができるのか、摩訶不思議な作家さんである。
Posted by ブクログ
『花まんま』の映画が公開中だけどまだ観ておらず、いつか観に行けるだろか?どうだろうか?予定立たず…というわけで先にこの本を手にする。
この物語は、映画から生まれた4つのサイドストーリーということで、ちょっと昭和を色濃く感じてしまう内容。
東大阪や生駒を身近に接する者としては、妙に親近感が湧いてくる。
じんわりとした感じは、なんだろう。
懐かしさも覚えるのは何故だろう。
短編4話はどれもいい。
○花のたましい〜駒子と智美のはかなくも美しい友情の行く末。
○百舌鳥乃宮十六夜詣〜摩訶不思議な体験は、ノスタルジック・ホラー。
○アネキ台風〜家族をパワー全開で再生しようとする肝っ玉アネキの奮闘記。
○初恋忌〜人生の終わりを予感した男の身に起こる小さな奇跡。
なかでもいちばん短い話だけど「初恋忌」が痺れた。
「花まんま」は、記憶がうっすらなので再読したいと思う。
Posted by ブクログ
少し不思議で心温まる短編集。「初恋忌」は「花まんま」のスピンオフと言えますが、「花まんま」を読んでいなくても問題はないかも。もちろん、読んでいるならさらに楽しめます。
どの物語もほっこりした味わいながら、どこかしら悲しさ寂しさを感じさせられるのが印象的です。お気に入りは「アネキ台風」。すぱっと気持ちの良い、痛快なパワーあふれる物語に思えますが、しかしなんともいえない切なさがありました。死別の悲しみは当然だけれど、こういうわだかまりの残った状態の別れの苦しさがやりきれません。それでも辛うじて繋がっていることにはほっとさせられました。
「花のたましい」はとても優しい、だけれどその優しさがあまりに悲しすぎました。不幸せではないのだけれど……幸せとも言い切れない。「百舌鳥乃宮十六夜詣」は不思議な物語。真相がいったいどちらだったのか、は考えても意味のないこと。あり得ないようなことでも、絶対に起こらないとは限らないのかも。
Posted by ブクログ
『花まんま』からこちらのスピンオフに流れてきたのですが、ちょっとイメージが違いました。(映画では)ウイカ演じる駒子のキャラを掘り下げたお話で、面白くなくはないのですが、パンチが欠けるというか何というか。。
4篇のうちでは「アネキ台風」が一番よかったかな。オチも秀逸でなるほど、と思いました。
最後の「初恋忌」は、花まんまと同じ”生まれ変わり”的なお話でなかなか沁みました。
「花まんま」の主人公なフミ子のスピンオフが出たら、是非、読みたいですね。