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ジュンは除霊のアシスタントを務める少年だ。様々な霊魂を自分の体内に受け入れる際、白い部屋に自分がいるように見える。ある日、少女エリカと白い部屋で出会ったジュンはその面影に恋してしまったのだが……
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Posted by ブクログ
『鉄柱(クロガネノミハシラ)』が特に好き(表題作も好きだが)。この世の理では説明できないもの(小説上の道具)を巧みに物語世界に落とし込んでいる。1冊の文庫としてかなりの完成度だと感じた。
第10回ホラー小説大賞の短編賞受賞作の表題作。 白い壁、白い柱、白い床の何もない部屋。鈍い銀色の天井から巨大な鉗子で人を掴む…なんだこれは?と最初設定に不安を覚えたが読み進めるうちにすぐに解決。 朱川さん、グロめホラーを書かれてもどこか品がある。やっぱりいいなと改めて感じた。 表題作の他に「鉄...続きを読む柱」と作品が。こちらは前述の霊的なホラーではなく、ある田舎町のある慣習による不気味な怖さを醸し出していた。その町では誰もが幸せに暮らせる。しかしここが自分の人生最良の日だと判断したらば人生をそこで終わらせることが… 朱川作品、切なさと美しさで壊れてしまいそうなところが素晴らしい。好きな作家さんだわ。
軽い気持ちで手に取った本でした。初めての朱川湊人で、ただ恐怖をかきたてるだけのものでなく流れるように美しく気味の悪さが流れ込んできて、こういうホラーもありなんだ、と心を動かされました。どちらもすごくよかったけれど、哀しさ、不気味さ、やりきれなさをより感じたクロガネノミハシラのほうが表題作よりも印象に...続きを読む残っています。救われているのにどうしようもない救われなさを感じました。 しかし表題作が劣るわけでもなく、ラストのもの悲しさと衝撃は本当に美しいです。
表題作の『白い部屋で月の歌を』は選評を先に読んでしまいまさかのネタばれ… やってしまった…と思いながら読み始めたものの、文章の美しさやアイディアに惹かれつつ読めました。ホラーらしい不気味さもあるものの読後に残るのはやりきれなさや切なさ。ネタばれしていたもののオチにそういうものが詰まっていてよかったで...続きを読むす。 もう一編収録されているのは『鉄柱』田舎町へ越してきた夫妻の話。この出だしでホラーということで話の展開は大体予測できたのですが、こちらも切なさややりきれなさの残る作品。表題作以上の名作だと思います。 個人的には主人公がある行動をとった後の心情や町民たちの様子のあまりの切なさに泣きかけました。命や幸せの価値観を揺さぶられた作品です。 両作とも後からじわじわと怖い、という意味で良作のホラーですがそれ以上に何かを訴えかけてくる寓話のような話でもありました。 第十回日本ホラー小説大賞〈短編賞〉受賞作『白い部屋で月の歌を』収録
短編2作品 ホラーと謳ってはいるけど生々しい表現はないので読みやすい。朱川さんの作品は何作か読んでいるけれど、読み終わった後に何かしら心に残る作品が多い。わくらば日記もしかり 1作目〜 オチがー!まさかのジュンは人形だったのか!!となる。いままで恨み言をいう霊魂しか相手をしていなかったから恵梨香が...続きを読む物凄く綺麗で純粋に見えてしまったのだろう。でも実際はキャバで働いていたりしているから、それはジュンは知らない世界 先生との性行為についても何だかよくわからないままだったんだろうと思う。 2作目〜 こちらもオチというかなんというかだ。 雅彦がどうしょうもなくクズだと感じた 不倫をして左遷されたのにまだやるか!となる それも自分に都合よく妻を愛しているとかなんとかでもそれって後ろめたさがあるからだよね。 それを晶子さんが気づいてないと思うのも浅はかである。最初の場面でおばあさんよりも智恵の容姿のが気になって仕方ない。という時点で好き者だ! それで身体を重ねて、、最後はなかったことにしてくれ。と晶子さんは全て分かっていて満足死を選んだんだと思う。 自殺=苦しい、辛いという発想を 明日不幸になるのであれば今日幸せなうちに。という転換はすごい。 誰もが辛いから苦しいから自殺という選択肢を選ぶという固定観念を覆す発想は凄いなぁとは思うけど。
朱川さんのファンだが、ホラーは苦手。でも二作とも良作で、表題作もいいが、②は秀逸。小説の醍醐味を存分に味わえる。 ①白い部屋で月の歌を 人でない語り部の話を三読目で理解し、ピノキオが浮かぶようになった。憑座の話。 ②鉄柱(くろがねのみはしら) 笑顔の人たちの下に燻る不気味な雲と、妻晶子から漂う不幸な...続きを読む香り。ラストもいい。
表題作もよかったが、もう一編の『鉄柱』が素晴らしかった。恐怖はさしてないが、生きるとは?という問いに対する、明確な解がもてないことが不安を煽る。そういった意味ではホラーであったし、一種の哲学作のようにも感じた。また、ひきこまれる文章と展開は一級。
「生きる」ことにまつわる2つの作品からなる。 それぞれの作品のストーリーは独立している。 ホラーというジャンルだが、決して「おどろおどろしい」いわゆるホラー小説ではない。 一作目は、霊を剥がすことを生業とする霊能力者の話。そこに登場する憑坐(よりまし)の仕事をする『青年』が本当の主人公。 体の自...続きを読む由がきかないその青年は、ある仕事を通じて知り合った女性に恋をすることで、自分の生い立ちに疑問を感じ始める。 そこからストーリーは一気に進んでいくのだが、「生きている」ということはどういうことなのか、人間・霊・魔・人形、様々な存在を登場させることで、「人として生きる」ことの意義を読み手に問いかける、そんな作品のように感じられた。 2作目は「満足死」について。 会社での不倫問題で異動を命じられた男性が、妻と共に移り住んだ小さな町が舞台。 そこは、「例え人を傷つけたとしても、自分のやりたいことをまっとうすることをよしとする」、少し変わったところ。 しかし、住人は皆親切で、ふたりは幸せに暮らしていく。あるひとつの問題、「人生で最高に幸せを感じたときには、その最高の状態で自ら死を選ぶことができる」というものを除いては。 「自らの意思で生きる」、「幸せに生きる」とはどういうことかを、「自らの意思で、幸福な最後を迎える」という切り口から考える。 「安楽死」にも通じるその考え方は、医療が進歩し、高齢化が進む先進国が直面しなければならない最も新しい課題のようにも感じられた。 どちらもすごくおもしろかった。
2話目の話はとてもおもしろかったが、1話目がそこまで面白いと思えなかったので一応☆4つ。 2話目は世にも奇妙な物語に出てきそうな話で、どうなるか予想もつかない展開だった。 学会先に持っていき、移動時間で読んでいたが、いい暇つぶしにはなった。
朱川湊人を初期作品からおいかけて読んでみようと思い手に取った本。 表題作は角川ホラー大賞短編賞を受賞している作品。 うん、上手い。荒削りではあるものの(特に主人公の正体やそれが暴かれる描写あたりはかなりザツいと個人的感想)文章は美しくてやるせなくて、澄んでいるかと思えば淀み、血の匂いがするかと思え...続きを読むば涙に変わり… 読ませ方が実にうまいのだけど、物語の展開が気になってドキドキとページを繰るような感覚とは違う。物語の世界にスワーッと沈み込んでいくような感覚。それこそ気がつけば白い部屋で月の啼き声を聞いていてもおかしくないような。 ラストの1文がちょっと作為的に悲しいが、それも味だと思わせる世界を構築しているのが良いねぇ。 併載のもう一作「鉄柱」は逆。文章の美しさはそれほど感じられず、むしろ物語の展開が気になってドキドキページをめくる系。これまた荒削りな部分があるものの(鉄柱掘るシーンなど)、テーマも深いし起承転結のエッジの効いてるし、表題作よりエンタメ性は圧倒的にこっち。俗ではあるがはしたなさが感じられなくて良い。 どちらも、もろ手をあげて「是非読んでぇ」とは言えないけど、最近作に至る朱川作品の根源がばっちり詰まっている良作、ホラー小説に怖さじゃなくて切なさ求めるなら、読んで損なし。
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白い部屋で月の歌を
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朱川湊人
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