【感想・ネタバレ】白い部屋で月の歌をのレビュー

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Posted by ブクログ 2020年12月12日

『鉄柱(クロガネノミハシラ)』が特に好き(表題作も好きだが)。この世の理では説明できないもの(小説上の道具)を巧みに物語世界に落とし込んでいる。1冊の文庫としてかなりの完成度だと感じた。

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Posted by ブクログ 2019年03月19日

第10回ホラー小説大賞の短編賞受賞作の表題作。

白い壁、白い柱、白い床の何もない部屋。鈍い銀色の天井から巨大な鉗子で人を掴む…なんだこれは?と最初設定に不安を覚えたが読み進めるうちにすぐに解決。

朱川さん、グロめホラーを書かれてもどこか品がある。やっぱりいいなと改めて感じた。

表題作の他に「鉄...続きを読む柱」と作品が。こちらは前述の霊的なホラーではなく、ある田舎町のある慣習による不気味な怖さを醸し出していた。その町では誰もが幸せに暮らせる。しかしここが自分の人生最良の日だと判断したらば人生をそこで終わらせることが…

朱川作品、切なさと美しさで壊れてしまいそうなところが素晴らしい。好きな作家さんだわ。

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Posted by ブクログ 2014年10月04日

軽い気持ちで手に取った本でした。初めての朱川湊人で、ただ恐怖をかきたてるだけのものでなく流れるように美しく気味の悪さが流れ込んできて、こういうホラーもありなんだ、と心を動かされました。どちらもすごくよかったけれど、哀しさ、不気味さ、やりきれなさをより感じたクロガネノミハシラのほうが表題作よりも印象に...続きを読む残っています。救われているのにどうしようもない救われなさを感じました。
しかし表題作が劣るわけでもなく、ラストのもの悲しさと衝撃は本当に美しいです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年02月17日

表題作について。
この作品のホラー要素はいったいどれか。未練の残った霊たちの醜い執着のありさまか。それを操ろうとする霊能者とその弟の歪んだ心理か。
霊が怖いというよりは、そこまで執着してしまう人間という存在そのものがホラーだと思えてくる。ジュンという主人公が発する違和感の正体が最後でわかるようになっ...続きを読むているが、そういう事がある、ということよりも、やはり、そんなことをしてしまうシシィという霊媒師の精神のほうがよほど恐ろしい。
そして、この作品の底に流れる「生きるとはどういうことか」という問いが、もうひとつの「鉄柱(ハガネノミハシラ)」でくっきりと描かれる。
初読の時は、主人公と同じように、「自殺なんて!」とか「死んではいけないのだ」という思いを抱いたのだが、今回読んだときはこの町の風習もそんなに悪くないんじゃないか、と思ってしまった。
「今日はどうする?生きるかい?」と毎日問われるのはしんどいことではあるが、「今日は生きる……ことにするよ」と応えて毎日を生きるのは、実は大事なことのように思う。作品のトーンとしては「しんどいこっちゃで」という嘆息混じりではあったが。

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Posted by ブクログ 2012年12月19日

表題作の『白い部屋で月の歌を』は選評を先に読んでしまいまさかのネタばれ…
やってしまった…と思いながら読み始めたものの、文章の美しさやアイディアに惹かれつつ読めました。ホラーらしい不気味さもあるものの読後に残るのはやりきれなさや切なさ。ネタばれしていたもののオチにそういうものが詰まっていてよかったで...続きを読むす。

もう一編収録されているのは『鉄柱』田舎町へ越してきた夫妻の話。この出だしでホラーということで話の展開は大体予測できたのですが、こちらも切なさややりきれなさの残る作品。表題作以上の名作だと思います。
個人的には主人公がある行動をとった後の心情や町民たちの様子のあまりの切なさに泣きかけました。命や幸せの価値観を揺さぶられた作品です。

両作とも後からじわじわと怖い、という意味で良作のホラーですがそれ以上に何かを訴えかけてくる寓話のような話でもありました。

第十回日本ホラー小説大賞〈短編賞〉受賞作『白い部屋で月の歌を』収録

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Posted by ブクログ 2022年08月24日

短編2作品
ホラーと謳ってはいるけど生々しい表現はないので読みやすい。朱川さんの作品は何作か読んでいるけれど、読み終わった後に何かしら心に残る作品が多い。わくらば日記もしかり

1作目〜
オチがー!まさかのジュンは人形だったのか!!となる。いままで恨み言をいう霊魂しか相手をしていなかったから恵梨香が...続きを読む物凄く綺麗で純粋に見えてしまったのだろう。でも実際はキャバで働いていたりしているから、それはジュンは知らない世界
先生との性行為についても何だかよくわからないままだったんだろうと思う。

2作目〜
こちらもオチというかなんというかだ。
雅彦がどうしょうもなくクズだと感じた
不倫をして左遷されたのにまだやるか!となる
それも自分に都合よく妻を愛しているとかなんとかでもそれって後ろめたさがあるからだよね。
それを晶子さんが気づいてないと思うのも浅はかである。最初の場面でおばあさんよりも智恵の容姿のが気になって仕方ない。という時点で好き者だ!
それで身体を重ねて、、最後はなかったことにしてくれ。と晶子さんは全て分かっていて満足死を選んだんだと思う。
自殺=苦しい、辛いという発想を
明日不幸になるのであれば今日幸せなうちに。という転換はすごい。
誰もが辛いから苦しいから自殺という選択肢を選ぶという固定観念を覆す発想は凄いなぁとは思うけど。

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Posted by ブクログ 2021年08月20日

朱川さんのファンだが、ホラーは苦手。でも二作とも良作で、表題作もいいが、②は秀逸。小説の醍醐味を存分に味わえる。
①白い部屋で月の歌を
人でない語り部の話を三読目で理解し、ピノキオが浮かぶようになった。憑座の話。
②鉄柱(くろがねのみはしら)
笑顔の人たちの下に燻る不気味な雲と、妻晶子から漂う不幸な...続きを読む香り。ラストもいい。

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Posted by ブクログ 2021年04月05日

表題作もよかったが、もう一編の『鉄柱』が素晴らしかった。恐怖はさしてないが、生きるとは?という問いに対する、明確な解がもてないことが不安を煽る。そういった意味ではホラーであったし、一種の哲学作のようにも感じた。また、ひきこまれる文章と展開は一級。

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Posted by ブクログ 2018年05月18日

「生きる」ことにまつわる2つの作品からなる。
それぞれの作品のストーリーは独立している。

ホラーというジャンルだが、決して「おどろおどろしい」いわゆるホラー小説ではない。

一作目は、霊を剥がすことを生業とする霊能力者の話。そこに登場する憑坐(よりまし)の仕事をする『青年』が本当の主人公。
体の自...続きを読む由がきかないその青年は、ある仕事を通じて知り合った女性に恋をすることで、自分の生い立ちに疑問を感じ始める。

そこからストーリーは一気に進んでいくのだが、「生きている」ということはどういうことなのか、人間・霊・魔・人形、様々な存在を登場させることで、「人として生きる」ことの意義を読み手に問いかける、そんな作品のように感じられた。


2作目は「満足死」について。
会社での不倫問題で異動を命じられた男性が、妻と共に移り住んだ小さな町が舞台。

そこは、「例え人を傷つけたとしても、自分のやりたいことをまっとうすることをよしとする」、少し変わったところ。

しかし、住人は皆親切で、ふたりは幸せに暮らしていく。あるひとつの問題、「人生で最高に幸せを感じたときには、その最高の状態で自ら死を選ぶことができる」というものを除いては。

「自らの意思で生きる」、「幸せに生きる」とはどういうことかを、「自らの意思で、幸福な最後を迎える」という切り口から考える。

「安楽死」にも通じるその考え方は、医療が進歩し、高齢化が進む先進国が直面しなければならない最も新しい課題のようにも感じられた。

どちらもすごくおもしろかった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年11月15日

『白い部屋で月の歌を』『鉄柱(クロガネノミハシラ)』
以外にも、タイトルの方が短編。

巻末に第10回ホラー小説大賞についての批評があって
『姉飼』『相続人』『ぼっけえ きょうてえ』『光 A Light』『蜥蜴』も気になる。。

タイトルの作品のラストの月は、きっと青くて白いのだろうなぁ、と、イメー...続きを読むジが浮かぶ。
大どんでん返し、な激しい展開なのに、ラストは静かな余韻が残るというか。。

『鉄柱』は再読すると主人公以外の隣の奥さんや町内会長が気になる。
主人公は…
妻の「こんな静かなところにきても、この病気からは解放されないのね」コレって、主人公の事を指しているのでは??と思ってしまう。

これからの長い人生、主人公はどんな選択をして、どんな終わり方を選ぶのだろう。。。

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Posted by ブクログ 2016年10月06日

2話目の話はとてもおもしろかったが、1話目がそこまで面白いと思えなかったので一応☆4つ。
2話目は世にも奇妙な物語に出てきそうな話で、どうなるか予想もつかない展開だった。
学会先に持っていき、移動時間で読んでいたが、いい暇つぶしにはなった。

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Posted by ブクログ 2015年04月18日

朱川湊人を初期作品からおいかけて読んでみようと思い手に取った本。

表題作は角川ホラー大賞短編賞を受賞している作品。
うん、上手い。荒削りではあるものの(特に主人公の正体やそれが暴かれる描写あたりはかなりザツいと個人的感想)文章は美しくてやるせなくて、澄んでいるかと思えば淀み、血の匂いがするかと思え...続きを読むば涙に変わり…

読ませ方が実にうまいのだけど、物語の展開が気になってドキドキとページを繰るような感覚とは違う。物語の世界にスワーッと沈み込んでいくような感覚。それこそ気がつけば白い部屋で月の啼き声を聞いていてもおかしくないような。

ラストの1文がちょっと作為的に悲しいが、それも味だと思わせる世界を構築しているのが良いねぇ。

併載のもう一作「鉄柱」は逆。文章の美しさはそれほど感じられず、むしろ物語の展開が気になってドキドキページをめくる系。これまた荒削りな部分があるものの(鉄柱掘るシーンなど)、テーマも深いし起承転結のエッジの効いてるし、表題作よりエンタメ性は圧倒的にこっち。俗ではあるがはしたなさが感じられなくて良い。

どちらも、もろ手をあげて「是非読んでぇ」とは言えないけど、最近作に至る朱川作品の根源がばっちり詰まっている良作、ホラー小説に怖さじゃなくて切なさ求めるなら、読んで損なし。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年11月26日

【本の内容】
ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。

仕事は霊魂を体内に受け入れること。

彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。

ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。

だが、白い...続きを読む部屋でエリカと語ったジュンはその面影に恋をしてしまったのだった…。

斬新な設定を意外なラストまで導き、ヴィジョン豊かな美しい文体で読ませる新感覚ホラーの登場。

第十回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

[ 目次 ]


[ POP ]
二作とも愛をテーマにしたホラー小説である。

「白い部屋で月の歌を」は、霊能力者の助手が主人公。

地場から引き剥がした不安定な状態の霊をいったん体の中に入れ込むのが彼の仕事だ。

彼の中の霊を導き入れる場所を「白い部屋」と呼ぶ。

彼と霊能力者は、弟子と師匠以上の深い関係にある。

正直言って、こういったストーリーは好みではない。

非現実的な設定を否定するのではないが、胡散臭さが拭えない。

しかし、文章の美しさというか巧さはマイナス要素をカバーして余りある。

「鉄柱」は、左遷により奇妙な風習を持つ田舎町に引っ越して来た夫婦の話。

こういう内容は好きだ。逆に「白い部屋で月の歌を」で受けた文章の美しさは感じられない。

しかし、俗世の中の非現実的な部分がうまく描かれていると思う。

ラスト部分は意表をつき感動的でさえある。

なかなかの読後感が待っている。

[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2013年09月30日

ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。仕事は霊魂を体内に受け入れること。彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。だが、白い部屋でエリカと語ったジュンはそ...続きを読むの面影に恋をしてしまったのだった…。斬新な設定を意外なラストまで導き、ヴィジョン豊かな美しい文体で読ませる新感覚ホラーの登場。ラストは少しショックだった。。。

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Posted by ブクログ 2012年12月04日

タイトルがすでに多くを物語ってる。いったい誰が主人公何だとひきこまれた。美しいながらもどろどろとした雰囲気が醸し出されていた。二つ目の短編、終わりに一緒になって絶望を感じた。

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Posted by ブクログ 2011年11月19日

第10回日本ホラー小説大賞短篇賞受賞作。

◆白い部屋で月の歌を
◆鉄柱(クロガネノミハシラ)・・・雅彦と晶子は東京から緑豊かな久々里町に引っ越してきた。町の人々は隣人や町長をはじめ感じのいい人達ばかりで、今までは内向的だった晶子も積極的に外に出ていくようになり、この町に馴染んでいった。しかしながら...続きを読むある日の朝、ジョギングで丘に登った雅彦は、その丘にある鉄柱で首をつっている老婆を発見する。

以上2篇を収録した短編集。どちらも、血が飛ぶようなグロテスクな怖さではなく、後からじわじわとくるような精神的なホラー。どちらかといえば、【鉄柱】の方がよくできた話だなぁと思った。

◆鉄柱(クロガネノミハシラ)・・・”満足死”を容認している町。幸せの絶頂で死にたいと考える人の意思を尊重し、その最後を見届けてあげることが大事なのだと信じている人々。普通に考えたら、雅彦のように「異常だ」と考えるのが普通であるが、その考えを全く否定できない自分もいるし、この物語の登場人物たちの行動や言動にもそれがとてもよく表れていると思う。

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Posted by ブクログ 2023年07月09日

ホラー文庫ですが、純粋なホラーではないかもですよね。
タイトルの「白い部屋で月の歌を」は、少年を依代とした除霊を、心霊現象と現実的な人の汚さを並行して、どちらが除外されるべきかと問われる感じがしました。
四角な白い部屋での、除霊の描写は、そんな感じかもしれないなと、朱川さん上手いなあと思いました。
...続きを読む
「鉄柱」
これは、鉄柱ーミハシラー自体の恐ろしさというより、地方都市の片隅の一集落の閉鎖的な不可思議さに現実感のある恐怖感があると思いました。
根本には朱川さんの優しさもあるなと思います。

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Posted by ブクログ 2023年06月15日

怖かった度★★(最高が★5)

ホラー克服のための「魁ホラー塾」の第三弾はおびのりさん推薦本『白い部屋で月の歌を』です

第10回ホラー小説大賞の短編賞の受賞作品とのこと
いやーさすがおびー、分かっとるな
こういうことですよ
徐々に馴らして行きたいんですよ!

いきなりド本命を勧めてするんじゃないわ...続きを読むよ!まったく
ショック療法が失敗してもっと苦手になるやないか!

ホラーとしてはなんというか、じゅわってくる感じでした
表題作『白い部屋で〜』はなるほどそっちか!って感じですね
ちょっとトリッキーな感じのオチは嫌いじゃないんですが、文章の感じがちょっと雑いというか
作者が狙っているような空気感は出せていなかったんじゃないかなって思いました

うん、まぁもちろん怖かったんだけど眠れなくなるほどじゃなかったかな
レム睡眠は行けるかな

次は芦沢央さんだ!(予定)

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Posted by ブクログ 2021年09月23日

こういった現実的な実生活の様子を舞台に、超現実的なテーマが進行するオカルトっぽい話は苦手なのですが驚きの展開が続き一気読みした表題作。

そして、もう一つの作品、もしかしたらそんな集落があるかも知れない(実社会にはまあ無いだろうけれど、八つ墓村的なあるいはドラマ「トリック」的な可能性としては否定でき...続きを読むないような)奇妙な地方都市の人々の社会を描いた「鉄柱」は主人公の女性問題から発展する恐怖かと思いきや、こちらの人生観を問われているかのように思えた。

いずれにしても「わくらば〜」的な作品で親しんでいた私にとって、朱川さんってこういう作品も書くんだぁと驚きました。ー

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Posted by ブクログ 2020年08月04日

2003年日本ホラー大賞を受賞した時に一度読んでる。
除霊の話しで、ジュンが特別な少年で、ホラーだけど美しいなぁ…と思ったことは覚えていた。
不幸にしてあの世に行けず、この世に影響を与える霊魂を回収することを生業とする先生の元で回収のお手伝いをするジュン。
少女エリカと白い部屋で出会い、心を持ってし...続きを読むまったときからジュンの世界は変わりはじめる。
どうしようもなく救いようのないラストシーンが切ない。

「鉄柱~クロガネノハシラ」
世界一幸せな町に隠された秘密。
都会から越してきた夫婦は、親切すぎる町の人たちに不信感を抱えながらもいつしか溶け込んで行く。その先にある町のオキテにいつしか飲み込まれることも知らず。
好きなことをすればいい…人生最高の瞬間に死ねる幸せ。それは満足死。

今年の21冊目
2020.8.1

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Posted by ブクログ 2020年05月25日

1話目はファンタジックなホラーであり、主人公の正体が分かる最後はホラー要素はあったが、怖いとは思えなかった。
2話目は世にも奇妙な物語でありそうな現実味のありそうな話で面白い。若干展開も読めてしまうが、「満足死」とは幸せの絶頂の時だけでなく、明日は今日より確実に不幸になると思えた時選択するものである...続きを読むと言う、隠れた意味があった。

「言葉、視線、息遣い、、自分の中からにじみ出るすべてが1つの雲になって、心を悟っていたに違いない。雲の流れでやがてくる悲しみを知った。明日は今日より確実に不幸になるや」

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年05月03日

表題作「白い部屋で月の歌を」、最後はまさかの展開で日本版ピノキオの異常な世界とも言うべき作品。しかしこの思わせぶりな題名はいただけない。
もう一つの短編「鉄柱」は死の選択というテーマ。テーマが重い割に不倫等の下世話な内容もあり読後感は今ひとつ。

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Posted by ブクログ 2017年03月31日

霊を剥がすことができる先生のお手伝いをしている誰か。その正体は、読んでいてもはっきりせず、その本人自身もよくわかっていないようだ。徐々にその正体がわかってくる。霊剥がしの依頼こどに読み進めれるので、手軽に面白く読める一冊。

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Posted by ブクログ 2016年04月14日

表題作『白い部屋…』は幻想的だが淫らで醜い世界観が絶妙なバランスで描かれている。心の清らかな主人公に感情移入するがラストのオチの弱さで多少興醒めはする。非現実的な話だが著者の読ませる上手さがあるので結果面白い作品だと思う。もう1編の『鉄柱(クロガネノミハシラ)』は完全に表題作を喰っている。どこか正...続きを読むしくどこか間違っていたり、賛成は出来ないけど理解は出来るという、欲深い人間の幸福論が醜くそして美しく描かれている。不幸は人を殺すが幸福もまた人を殺すもの。この作品は面白い。

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Posted by ブクログ 2014年06月13日

ホラー小説って書いてあったんですが 想像してたホラーとは少し違いました。
普段ホラーは見ないのですが、読みやすくて とてもすごかったです。

精神的に怖い感じ。

霊とか見えない(感じない)ので何とも思ってなかったんですけど、やっぱいるんだろうか って思っちゃいます。

もう1つ「鉄柱(クロガネノミ...続きを読むハシラ)」というお話も恐ろしいです。
多分そうなっちゃうんだろうな・・と予感はあったんですが
私なら・・・この柱、絶対使わない。
どんなに後は落ちるだけだとしても。

ホラーが初めての私でも一気に読んでしまえるお話でした。

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Posted by ブクログ 2013年03月31日

第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。
表題作は憑坐(よりまし)の能力を有するジュンを描いた作品。
ラストシーンの物悲しさがとても印象的でした。
個人的には『鉄柱(クロガネノミハシラ)』の方が好みです。
満足死というものに対し独り善がりな醜いエゴを感じずにはいられませんでしたが、提起される死生観は...続きを読む非常に興味深かったです。
森鴎外の『高瀬舟』を想起させられますね。
住人達のどこか狂った感覚はある意味怖い。
倫理観を問われる作品だなという印象です。
自分勝手で甘過ぎる主人公には最後まで嫌悪感を拭うことが出来なかった。

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Posted by ブクログ 2011年11月30日

不気味な後味を残す本だった。

白い部屋に大きなハサミが
出てきたり、

主人公の話す様子が子供っぽくて
違和感あったり、

読み終わった後は、
変な夢を見た朝と感覚が似てた。

そういう気持ちにさせる本ってことは、
説明というか文章が、その世界観に
引き込む力を持っているってこと。

たまにはいい...続きを読むかも。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年11月18日

 朱川湊人の出世作。前述の「姉飼」と同じ年に大賞をほぼ「同点」で争ったらしい。はっきり言ってこっちの方が良かった。(作風の好みは「姉飼」の方なんだけど出来が……)   出だしのシーンで「月が啼く」っていうのがとてもいい雰囲気を醸し出している。Coccoの「あなたへの月」にそういうフレーズがあったなあ...続きを読む…などと思いながら読んでいると、いきなりファンタジックでありながらエグいシーンが出てきてどきりとさせる。やや中だるみはするし、ラストのオチは選者も言うとおり「平板」なのだが、全体としてはなかなか良くできた話だと思う。やや荒削りだけど。著者の他の本も読んでみたい。
 もう一つの「鉄柱」も、表題作以上に力作で異常な世界。

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Posted by ブクログ 2011年10月06日

発想がすごいなぁと思う。なんか古典とかの下地があるのかなぁと感じさせる。

他人の幸せ、他人の満足が、周りの人たちの恐怖になっていく。
なかなかそういう発想はないけど、読んでいると説得力がある。

不可思議の力への畏怖と人間の命の尊さそういうものを感じさせてくれる。

人間が自殺をするのは、逃げたい...続きを読むと思う感情があるからなのかな
未来はわからない
だからこそこわい
こわいから逃げたい

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Posted by ブクログ 2017年04月06日

「白い部屋で月の歌を」と「鉄柱」の2編。
白い部屋で~は第10回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作品。
2編ともじわ怖で面白かったけどあんま印象に残ってない。

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