ある晴れたXデイに

ある晴れたXデイに

非行の果てに死んだはずの養子に怯え、戸締まりを厳重にする妻。夫との会話から見えてくる真実とは……(「雪解け」)。知らぬ間に手脚に痣や傷が増えていく会社員の女性。親指の付け根を切ってしまっても気づかず、すねを拳骨で打ってもまったく痛みを感じない。自己観察を続ける彼女の生活は、どんどん異様になっていき……(「火中の足」)。広告塔に大きな写真が貼られ、新聞でも連日報道された、行方不明の少年を探すことに取り憑かれた女性は、その少年を見つけたのだが……(「幸せでいっぱい」)。町が消え、家も、学校も、図書館も、なにもかもがなくなる。みんないなくなり、あとは地を這う人間の残骸がいるだけ。――世界が滅亡するXデイが気がかりで、ある母親はその日に起こるはずのことについて詳細な手記を執筆する……(「ある晴れたXデイに」)。日常に忍びこむ幻想。悲劇と幸福が結びついた人生観。歪で奇妙な家族たち。戦後ドイツを代表する女性作家による、『その昔、N市では』に続く全15作の傑作短編集!/【目次】雪解け/ポップとミンゲル/太った子/火中の足/財産目録/幸せでいっぱい/作家/脱走兵/いつかあるとき/地滑り/トロワ・サパンへの執着/チューリップ男/ある晴れたXデイに/結婚式の客/旅立ち/訳者あとがき

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ある晴れたXデイに のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    一作目から強く引き付けられた、ドイツ女流作家カシュニッツ、2作目。
    ナチス政権下にありながら、出国せず、ドイツ内で内的亡命という執筆活動を継続した(ちょっと、想像がつかない、凄いもの!)

    男爵の家系に生まれ、夫が学者、きわめてエリートの資質を持った気高い女性かと思われる。
    訳者酒寄氏の言葉によると

    0
    2024年12月17日

    Posted by ブクログ

    歪な家族、日常に忍び込む幻想…
    「太った子」は嫌な気配のする女の子と接していくうち、ある事件に遭遇する話。どうなるのだろうと緊張しながら読みました。この作品が1番のお気に入りです。他も面白さと幻想を感じることができる短編集です。

    0
    2024年07月02日

    Posted by ブクログ

    滅亡の日を憂いでいる彼女の日常に溢れる幸福と悲哀… カシュニッツ作品集第二弾 #ある晴れたXデイに

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ドイツ生まれで、戦後1940-60年代に小説や脚本を手掛けたカシュニッツの短編集です。ミステリーではありませんが、人間の深い部分を描いた作品集とのことで、気になっていた

    0
    2024年05月30日

    Posted by ブクログ

    以前読んだ『その昔、N市では』のほうが好みの話が多かったかもしれない。

    好きだったのは、
    「太った子」
    「火中の足」
    「幸せでいっぱい」
    かな。

    0
    2024年07月15日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ドイツの女性作家、カシュニッツの第二短編集。

    一作目は幻想、不条理がメインの短編が多かったが、今作は主人公たちの異常なほど不安になる気持ち、執着する気持ちが軸となる作品が目立つ。
    死んだ養子が戻ってくるかと不安に怯える「雪解け」、行方不明の男の子を見つけることに執心する「幸せでいっぱい」、滅亡する

    0
    2024年12月30日

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