うっかりシリーズ2冊目を先に手にいれてしまって、気がついて、1冊目を手にするまで我慢しました。その甲斐がありました。1冊目から読むべきです。
というのも、まさにこれは「コージーミステリ」だから。
1冊目で「ライフイベント」があり、生活が変わったあの人この人は、その後どうなったのかしら? もちろん
...続きを読む2冊目で語られます。2冊目で新しく登場した人物は? 3冊目で語られるはずです。
つまり、2冊目を読んでから、1冊目を読んでしまうと、
「あれー? この人、2冊目には出てこなかったよ。つまりこの人は・・・?」
加害者や被害者ということですね。話まるわかり。
くりかえしますが、1冊目『にぎやかな眠り』から読みましょう。
主人公はピーター・シャンディ、バラクラヴァ農業大学、応用土壌学教授。つい視界にあるものを数えてしまう癖あり。
舞台は大学がひとつの土地を形成しているようなところです。大学があって、研究棟があって、農場、牧場、発電所などの施設があり、周辺の街には学長をはじめに教職員、事務員、学生、大学関係者が住んでいる・・・事件は、日常から殺人まで、ここで起こります。
舞台が舞台なだけに、登場人物はすべて頭のいい人です。
「わたしもきみの考えに賛成だな、ピート。犯人は、小利口だがそれほど頭の切れる人間じゃない。ということは、教職員全員が該当するということだ。・・・・・・」 (『にぎやかな眠り』61)
ね?
皮肉がきいて、ユーモアがあって、人物のありようが目に迫るように描けるって、なかなかできることではありません。なにより頭がいいのは、作者自身でしょう。
作中に、大学、教育、環境、農業、畜産、食、文学、北欧神話・・・・・・あらゆるテーマを盛り込んで、それでいて、みじんの重さもなく、ユーモアで包んでふわっと浮かべる。いやーーー、面白い!!
そして、もちろんロマンスもあります。ロマンスはミステリーの潤滑油ですからね。
2月に早くも3冊目がでるようで、待ち遠しいです。