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女王国の城
舞台は、めざましい成長を遂げる宗教団体〈人類協会〉の聖地、神倉。大学に姿を見せない部長を案じて、推理小説研究会の後輩アリスは江神二郎の下宿を訪れる。室内には神倉へ向かったと思しき痕跡。とかく噂の神倉へ、何故? 様子を見に行こうと考えたアリスにマリアが、そして就職活動中の望月、織田も同調、4人はレンタカーを駆って木曾路をひた走る。紆余曲折を経て〈城〉と呼ばれる総本部で江神の安否は確認できたものの、思いがけず殺人事件に直面。外界との接触を阻まれ囚われの身となった一行は決死の脱出と真相究明を試みるが、その間にも事件は続発し……。第8回本格ミステリ大賞に輝いた、江神シリーズ第4作。 -
マインド・イーター[完全版]
宇宙へ進出した人類に襲いかかったもの、それがマインド・イーター。ビッグ・バンの起こる前の宇宙の残滓であり、人間に対し悪意をもつ、数千の小天体の姿をした鉱物的存在である。M・E(マインド・イーター)は精神を食いちぎり、人間を完全に異質なものに変えてしまう。これをM・E症と呼ぶ。M・Eを破壊するため、連合はハンターと呼ばれるエリートを育成し宇宙へ送りつづけるが、その戦いは絶望的なものだった。そしてハンターがM・Eの顎(あぎと)に倒れると、いかに空間的に離れていようと、ハンターと精神的な結びつきの強い恋人や肉親までがM・E症を発症するのだ。日本SFの里程標的傑作を、シリーズ短篇を全作収録した完全版で贈る。 -
切断
《黒川博行警察小説コレクション》 病室で殺された被害者は、耳を切り取られ、さらに別人の小指を耳の穴に差されていた。続いて、舌を切られ前の被害者の耳を咥えた死体が見つかり、猟奇的な連続殺人事件に警察は色めき立つ。見えない犯人像、はたして次に狙われるのは誰か? 被害者同士にどんな繋がりがあるのか? 大阪府警捜査一課海部班の久松刑事を中心とした地道な捜査は実を結ぶのか? 犯人側と捜査側、過去と現在の視点が複雑に交わりつつ、事件の全貌が明らかにされていく――。これまでの警察小説コレクションとは一線を画す、ノワール趣向の強い著者渾身の初期作品。 ※本作品は東京創元社、KADOKAWA / 角川書店で同一タイトルの作品が販売されております。本編内容は同じとなりますので予めご了承下さい。既に同作品をご購入されているお客様におかれましてはご注意下さい。 -
あの日のつづきを生きている
あの夏、私たちは甲子園にたどり着けなかった──。投打二刀流の東城真央を擁する徳志館高校野球部は、東東京代表として夏の甲子園に出場するものの、台風の影響で学校の応援団が甲子園に到着できぬまま、無念の一回戦敗退を余儀なくされた。 七年後、それぞれの道に進んだ彼らは、真央の甲子園でのプロ一軍初登板の情報を知る。真央の元恋人、いまもチアリーダーとして活動を続ける同級生、かつてのチームメイト、そして離れて暮らす妹と家族。それぞれの思いを乗せて、新幹線は大阪を目指す。試合は快調に進み、旧友たちが見守る中ゲーム終盤を迎えようとしたとき……。『あめつちのうた』『あの冬の流星』でスマッシュヒットを飛ばす著者による、“あの日のつづき”を描いた連作集。/【登場人物】遠藤七緒……徳志館高校吹奏楽部出身。東城真央の元恋人。偶然、真央のプロ一軍初登板の情報を知り、甲子園に向かう。/齋藤いづみ……徳志館高校チアリーディング部出身。現在は横浜DeNAベイスターズの公式チア「ディアーナ」で活躍。/御園尾啓輔……徳志館高校野球部出身。中学時代から真央とチームメイト。現在はスポーツ新聞の記者。/木谷美知……真央の実の妹。両親の離婚により母親に引き取られる。元徳志館高校野球部のマネージャー。/東城真央……高校3年生のとき夏の甲子園に出場し、大学野球を経て阪神タイガースに入団。プロ一軍初登板を迎える。 -
森島章子は人を撮らない
アマチュア写真家が集う社会人サークル〈札幌フォトジェニック〉に所属する大学生の森島章子。彼女の撮るものは、日常の何気ない景色ばかりなのに、どこか人を惹きつける不思議な魅力を具えていた。章子に撮ってもらいたいという人は多く、周囲もポートレイトを撮ることを勧めるのだが、 彼女はかたくなに誰にもレンズを向けようとせず……。元恋人、サークルの知人、小説家志望の歳上の女友だち、家庭教師として勉強を教えている中学生。周りの人々の目に映る章子の横顔と、章子がファインダー越しに覗く世界を描いた、心揺さぶる青春群像劇。/【目次】フォトジェニック/ファインダー越しの、/単焦点トランスレーション/ぼくのポートレイト/露光 -
ゲノム・トーカー
2034年。木星圏へ投入された探査機「さいせい」は、ミッションの途上で奇妙な電波源に遭遇する。カメラに映り込んだ巨大な黒い影──直径100メートル、全長500メートルの円筒は、現生人類がはじめて接触する異星種族の宇宙船だった。彼らは1万6000年前に放たれた人類の全遺伝情報(ゲノムデータ)を受信し、発信源を辿って太陽系を訪れたのだという。だがあらためて言うまでもなく、当時の地球上には高度な文明など存在しなかったはずだ。ゲノムを他星系に送信したのは、未知の超古代文明なのか? それとも……。圧倒的な知的興奮を喚ぶ、人類史×宇宙SF。 -
〈フィンレイ・ドノヴァン〉シリーズ
作家のフィンレイは、またも窮地に陥っていた。ある事件がきっかけで、ロシアン・マフィアからEasyCleanという殺し屋の正体を突き止めろと脅されているのだ。期限はたったの2週間。殺し屋は警官だとしかつかめておらず、フィンレイは手がかりを得るために、1週間の市民向け警察学校体験入学に参加することにする。協力者である同居人のヴェロと警察学校の授業を受けながら、怪しい人物を特定すべく調査を始めるが……。殺し屋の正体を暴かなければ自分や家族が危険に! 命がけの任務に挑む、予測不可能のジェットコースター・サスペンス。/解説=貝谷郁子 -
無常商店街
姉から猫の世話を頼まれ、 見知らぬ町に滞在することになった翻訳家の宮原。ある日、 近づかないように忠告されていた商店街にうっかり足を踏み入れてしまう。常に景色が変容し、 重なりあった異界が垣間見える商店街の深淵から、アリアドネの伊藤と名乗る人物に救出されるも、姉が異界の町の御神体にされたという事実を知らされる。事態を打開するには、 来たる 「掌紋祭」 の 「踊り合い」 で異界に近づく必要があるという。宮原は祭りに参加するべく、 町のダンス教室で猛特訓を積むことに。言葉とイメージの奇術師・酉島伝法が贈る往(ゆ)きて踊りし物語!/【目次】無常商店街/蓋互山、葢互山/野辺浜の送り火/巻末特別対談 カシワイ×酉島伝法 -
〈刑事ハービンダー・カー〉シリーズ
ロンドンのマナーパーク校の同窓会で、下院議員が殺害された。彼の友人たちは女優や人気バンドのリードシンガーなど個性的な有名人ばかり。だが、現場に到着した刑事ハービンダー・カーは、部下のキャシーも友人のひとりだったと知る。下院議員の死因はインスリン中毒で、糖尿病患者であるキャシーは注射器を持ち歩いていた。捜査が始まると、被害者は「血を流す心臓(ブリーディング・ハート)」と書かれた手紙を何通も受け取っており、21年前に起きたある生徒の死亡事故の目撃者だったと判明する──。巧みな伏線の妙を味わえる『見知らぬ人』の著者の傑作謎解き長編。/解説=若林踏 -
本好きに捧げる英国ミステリ傑作選
現代英国を代表するミステリ作家にして愛好家マーティン・エドワーズが、英国探偵小説の一時代を築いた巨匠たちの名品から精選した「本」にまつわるミステリ傑作選。毒を盛られた愛書家が、死の直前に蔵書に書き残したアンダーラインの真相。売れっ子作家の妻を殺したい男が仕掛けるアリバイトリック。編集者が作家クリスチアナ・ブランドに宛てた原稿依頼書を誤って受け取った女性による奇妙な犯罪の顛末……。犯人当てからクライムストーリイ、〈奇妙な味〉からショートショートまで、様々なバリエーションで本好きに捧げる十六のミステリ!/【目次】序=マーティン・エドワーズ/作家に授ける殺人講義=G・D・H&M・コール/救いの天使=E・C・ベントリー/暗殺者クラブ=ニコラス・ブレイク/メガテリウム・クラブの奇妙な盗難事件=S・C・ロバーツ/殺意の家=フィリップ・マクドナルド/荒っぽいゲーム=A・A・ミルン/本の中の手がかり=ジュリアン・シモンズ/ある原稿=グラディス・ミッチェル/ある男とその姑=ロイ・ヴィカーズ/灰色の幽霊=マイケル・イネス/拝啓、編集者様=クリスチアナ・ブランド/あらかじめの殺人=マージョリー・ブレムナー/性格(キャラクター)の問題=ヴィクター・カニング/名誉の書=ジョン・クリーシー/きみが執筆で忙しいのはわかってるけれど、ちょっとお邪魔してもかまわないだろうって思ったんだ=エドマンド・クリスピン/章と節=ナイオ・マーシュ/解説=小山正 -
英国幽霊屋敷譚傑作集
英国では奇妙なことに幽霊が居着いている物件ほど高く評価される傾向にある。殺人や凶事が起きた建物を巡る趣味もあり、幽霊は現在でも英国人の親しき隣人である――夫を裏切った末悲惨な最期を遂げた若妻の亡霊の出没する邸宅、館主の宴を訪れた黒衣の婦人の呪いが破滅を招くゴシック譚、田舎の農場屋敷に雇われた家庭教師が耳にした一族の愛憎劇に由来する幽霊騒動など、多彩な13篇を厳選し、収録する。ヴィクトリア朝の精華たる美しくも恐ろしいホーンテッド・マンション・ストーリーをご堪能あれ。/【目次】●英米・女流「幽霊屋敷」競作 「幽霊屋敷」エマ・ホワイトヘッド/「幽霊屋敷」マーガレット・ヴァーン/●ふたつの「開いた扉」競作 「開いた扉」シャーロット・リデル/「開いた扉」マーガレット・オリファント/●幽霊談義小説競作 「ブレイクスリー屋敷の幽霊談議」ウィリアム・マッドフォード/「奇談の屋敷」アンドルー・ラング/●J・E・プレストン・マドックの二屋敷 「バロカン屋敷の幽霊」J・E・プレストン・マドック/「ライスリップ僧院屋敷(アビー)の幽霊」J・E・プレストン・マドック/●応報と理不尽 「パディントン領主屋敷(マナーハウス)の幽霊」チャールズ・オリア/「ヨークシャーの幽霊屋敷」ダドリー・コステロ/「農場屋敷(グレインジ)の幽霊」フランシス・ブラウン/●異色競作 無名作家と巨匠 「岩礁の幽霊灯台」チャールズ・F・F・ウッズ/「ゴアズソープ屋敷の幽霊選び」アーサー・コナン・ドイル/編者あとがき――幽(かそ)けき扉、霊への階(きざはし) -
〈伝説とカフェラテ〉シリーズ
珈琲店を開きたい。それがヴィヴの夢だった。苦楽を共にしてきた傭兵仲間に別れを告げ、最後の冒険の戦利品である幸運の輪を引き寄せるというスカルヴァートの石を持って、いちから店作りに着手する。廃屋同然の厩を買い取り、気むずかし屋だが腕は確かな船大工を雇って改装。見慣れない飲み物に最初は閑古鳥が鳴いていた店も、募集広告を見てやってきた店員が描いたセンス抜群の看板や、隠れた天才パン職人のつくるうっとりするようなパンや菓子のおかげで、次第に繁盛しはじめるが……。ネビュラ賞最終候補の心温まるコージーファンタジイ。 -
月のケーキ
月のケーキの材料は、桃にブランディにクリーム。タツノオトシゴの粉、グリーングラスツリー・カタツムリ。月の満ちる夜に作らなければならない……「月のケーキ」。幼い娘が想像したバームキンを宣伝に使ったスーパーマーケットの社長、だが実体のないバームキンがひとり歩きしてしまい……「バームキンがいちばん!」。魔女である祖母亡きあと城の守りを託された孫のコラムは、いかにしてヴァイキングの侵略を退けるのか? 「にぐるま城」。ガーディアン賞、エドガー賞受賞の名手による、幻想的で奇妙な味わいの13編をおさめた短編集。/【目次】月のケーキ/バームキンがいちばん!/羽根のしおり/オユをかけよう!/緑のアーチ/ドラゴンのたまごをかえしたら/怒りの木/ふしぎの牧場/ペチコートを着たヤシ/おとなりの世界/銀のコップ/森の王さま/にぐるま城/訳者あとがき -
銃と助手席の歌
高校を退学になったばかりの少女チャーリーは、ある盗みをきっかけに姉の恋人と争いになり、抵抗の果てに彼を殺してしまう。その場に居合わせた見知らぬ大学生ナオの提案で、ふたりは死んだ男の車に乗り、死体を湖に捨て、ハイウェイを北へ走り出す。道中謎は尽きない。車を追ってくるのは何者か。ナオが死体処理に協力したのはなぜか。そして、車に積まれた大量の黄金はどこからきたのか――。やがて轟く銃声。炎天下のオーストラリアを舞台に家なき者の共闘を描く、ノンストップのクライムサスペンス! ウィルバー・スミス冒険小説賞受賞作。/解説=杉江松恋 -
バベル オックスフォード翻訳家革命秘史
銀と、ふたつの言語における単語の意味のずれから生じる翻訳の魔法によって、大英帝国が世界の覇権を握る19世紀。英語とは大きく異なる言語を求めて広東から連れてこられた中国人少年ロビンは、オックスフォード大学の王立翻訳研究所、通称バベルの新入生となり、言語のエキスパートになるための厳しい訓練を受ける。だが一方で、学内には大英帝国に叛旗を翻す秘密結社があった。言語の力を巡る本格ファンタジー。ネビュラ賞、ローカス賞受賞作。 -
〈乙姫警部〉シリーズ
あなたのことは、最初から疑っていました──大人気漫画家を殺してしまった週刊漫画誌の担当編集者、悪徳芸能プロモーターを手にかけた歌謡界の“元”スター、裏切った腹心の部下に鉄槌を下した人気タレント文化人、過去を掘り返そうとする同僚の口を封じた美大予備校の講師……。彼らは果たして、いつ、何を間違えてしまったのか。罪を犯した者たちを、死神めいた風貌の乙姫警部がじわりじわりと追い詰めていく。〈猫丸先輩〉シリーズや『星降り山荘の殺人』の倉知淳が挑む、〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ大人気倒叙ミステリシリーズ!/【目次】愚者の選択/一等星かく輝けり/正義のための闘争/世界の望む静謐/解説=千街晶之 -
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ
チャイナタウンに多大な影響力を持つギャングのボス、チョイが病没する。彼は遺言で、自らの所有する古い会館を堅気の姪メルに譲っていた。そこは再開発計画でタワーマンションが建つ予定の場所で、この相続が利害関係者のあいだに波風を立てることは必至だ。私立探偵のリディアは相棒ビルと、事態が片づくまでメルの護衛を務めることになるが、チョイの葬儀が終わった次の日、ギャングの幹部が何者かに殺されてしまう……。チャイナタウンを揺るがす一大事に最高のコンビが挑む現代ハードボイルド〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ!/解説=若林踏 -
コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎
昨日行った居酒屋が消えた? 引き出しのお金が四万七千円も増えていた? だれも死んでいないのに姉が四方八方に喪中はがきを送りつけていた? ミステリ談義の集まりにひとりゲストをお呼びして、毎回カフェ〈アンブル〉でゆるゆると行う推理合戦。それなりにみんながんばるのだけど、いつも謎を解き明かすのは店長の茶畑さんなのだった。──もっと気軽に謎解きを楽しみたいと思っていた皆さんへ贈る、ほがらかなパズル・ストーリー7編。期待の新鋭がデビューを果たした安楽椅子探偵シリーズ第1弾。/【目次】コージーボーイズ、あるいは消えた居酒屋の謎/コージーボーイズ、あるいはありえざるアレルギーの謎/コージーボーイズ、あるいはコーギー犬とトリカブトの謎/コージーボーイズ、あるいはロボットはなぜ壊される/コージーボーイズ、あるいは謎の喪中はがき/コージーボーイズ、あるいは見知らぬ十万円の謎/コージーボーイズ、あるいは郷土史症候群/単行本版あとがき/文庫版あとがき -
ペレス警部シリーズ
新年を迎えた凍てつく夜、孤独な老人マグナスを訪れたのは、ふたりの女子高校生だった。ひとりは金髪、もうひとりは黒髪――そう、まるで彼が助けた、傷ついた大鴉の羽根のようにつややかな。だが、四日後の朝、黒髪のキャサリンは死んでいた。大鴉の群れ飛ぶ雪原で、赤いマフラーを喉に食い込ませて……。地元のペレスと本土のテイラー、二人の警部が見いだしたのは、八年前の少女失踪事件との奇妙な相似。誰もが顔見知りの小さな町で、誰が、なぜ、彼女を殺したのか? 試行錯誤の末にペレスが掴んだ悲しき真実とは? 英国本格派の新旗手が、冬のシェトランド島の事件を細密な筆致で描き出す、CWA最優秀長篇賞受賞作。/解説=川出正樹 -
ロボットとわたしの不思議な旅
自意識を獲得したロボットと人類が平和裏にたもとを分かち、別々の地域で暮らすようになってから、長い年月がすぎた。あちこちの村を巡っては、悩みを抱えた人々のためにお茶を淹れる喫茶僧のデックスは、ある日思い立って文明社会を離れ、人類の手が入らない大自然の中へ向かう。そこで出会ったのは、一台の古びたロボットだった。人間たちの社会のありように好奇心をもつその奇妙なロボット・モスキャップと共に、デックスは長く不思議な旅に出る。心に染み入る優しさに満ちた、ヒューゴー賞、ローカス賞、ユートピア賞受賞の二部作を一冊に収録。/【目次】緑のロボットへの賛歌/はにかみ屋の樹冠への祈り/解説=勝山海百合 -
〈マーダー・ミステリ・ブッククラブ〉シリーズ
ミステリが大好き、クリスティが大好きなアリシアとリネットの姉妹が出した読書会──ブッククラブのメンバー募集の告知に応えてきたのは、古着ショップの女性オーナー、毒薬ミステリ好きの医師、平凡な主婦、図書館員の女性に博物館勤務のゲイの男性といった面々。はじまりは順調だったが、二回目の読書会で早くもトラブルが。主婦のバーバラが会場に現われなかったのだ。どうやら前日から家にも帰っていないらしく、事件に巻きこまれたのかもしれない。アリシアはブッククラブのメンバーの協力のもと、彼女をさがし始めるが……。〈マーダー・ミステリ・ブッククラブ〉シリーズ開幕。 -
写楽百面相
時は寛政の改革の頃。川柳句集の板元の若旦那・花屋二三(はなやにさ)は、馴染みの芸者・卯兵衛との逢引の折に見た、謎の絵師が描いた強烈な役者絵に魅入られる。二三は絵に残された落款を頼りに、その絵師・写楽の正体を探っていくと、卯兵衛の失踪など身辺で次々と奇怪な出来事が起きてしまう。二三はそれらの謎も追う中で、蔦屋重三郎、十返舎一九、葛飾北斎、松平定信たち有名人と関わっていく。やがて、幕府と禁裏を揺るがす大事件に巻き込まれることに……。浮世絵、川柳、黄表紙、芝居、手妻、からくりなど江戸の文化や粋に彩られた、傑作長編ミステリ。/解説=澤田瞳子 -
リスボンのブック・スパイ
1942年、第二次世界大戦下。ニューヨーク公共図書館で働く司書のマリアは、大統領令に基づく任務を帯び、ポルトガルのリスボンに旅立つことになった。その任務とは、身分を偽り、戦略分析のため枢軸国の刊行物を収集すること。報道写真家の母をスペイン内乱で亡くしたマリアは、危険を冒してでも戦争を終わらせたいという強い想いを抱いていたのだ。同時期、リスボン。書店を営む青年ティアゴは、書類偽造の天才である書店員ローザとともに、迫害から逃れようとするユダヤ人避難民を命懸けで援助していた。マリアは街で本や新聞を集めるうちにふたりと出会い、戦争を終わらせるためのさらなる任務に臨むことに――。戦時のヨーロッパで活躍した実在の図書館司書に材をとり、本を愛する者たちの闘いを描き上げた、心揺さぶる傑作長編! -
明智恭介の奔走
神紅大学ミステリ愛好会会長・明智恭介。小説に登場する探偵に憧れ、事件を求めて名刺を配り歩く彼は、はたしてミステリ小説のような謎に出合えるのか――大学のサークル棟で起きた不可解な盗難騒ぎ、商店街で噂される日常の謎、夏休み直前に起きた試験問題漏洩事件など、書き下ろしを含む全五編を収録。『屍人荘の殺人』以前、助手であり唯一の会員・葉村譲とともに挑んだ知られざる事件を描く、待望の〈明智恭介〉シリーズ第一短編集!/【目次】最初でも最後でもない事件/とある日常の謎について/泥酔肌着引き裂き事件/宗教学試験問題漏洩事件/手紙ばら撒きハイツ事件 -
赤虫村の怪談
愛媛県の山間部にある過疎の村・赤虫村(あかむしむら)には、独自の妖怪伝説が存在する。黄色い雨合羽を着て暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、廃寺に現われる無貌の「無有(ないある)」、そして古くから伝わる“クトル信仰”。フィールドワークのために村を訪れた怪談作家・呻木叫子(うめききょうこ)は、村の名家・中須磨(なかすま)家で続く不可能状況下での連続殺人に関わることになる。周囲を足跡一つない雪原で囲まれた大木に全裸で吊るされた縊死体。内側から施錠された石蔵で発見された焼死体。妖怪伝説の禍を再現するような事件は、やがて人知を超えた終結を迎える──第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。/【目次】プロローグ/第一章 無有の怪談/第二章 位高坊主の怪談/第三章 九頭火の怪談/第四章 苦取の怪談/第五章 蓮太の怪談/第六章 赤虫村の怪談/エピローグ/解説=多田克己 -
雨と短銃
慶応元年、倒幕を志す坂本龍馬の仲介により薩摩藩と長州藩は協約を結ばんとしていたが、一件の凶事が締結を阻む。上洛していた薩摩藩士が稲荷神社の境内で長州藩士を斬りつけ、行方を晦ませたというのだ。このままでは協約の協議の決裂は必定、倒幕の志も水泡に帰す。事態を憂慮した龍馬の依頼で、若き尾張藩の公用人・鹿野師光が捜査に乗り出す。果たして下手人は、どのようにして目撃者の眼前で逃げ場のない鳥居道から姿を消したのか。後世に語り継がれる歴史の転換点の裏で起きた不可能犯罪に、名もなき藩士が挑む。破格の評価を受けた『刀と傘』の前日を描いた長編時代本格推理。/解説=縄田一男 -
闇の中をどこまで高く
【アーシュラ・K・ル=グイン賞特別賞受賞作】未知のパンデミックに襲われ、人々の絆や社会が崩壊しかけた近未来。余命わずかな子供たちを安楽死させる遊園地で働くコメディアンの青年、亡くなった人との短い別れを演出するホテルの従業員、地球を離れて新天地をめざす宇宙移民船……消えない喪失を抱えながらも懸命に生きる人々の姿を描く、新鋭による切なくも美しい第一長編。/解説=渡邊利道 -
クリスティを読む! ミステリの女王の名作入門講座
数々の名作が世界中で読まれ、翻訳され、映像化・舞台化され、没後48年を経ても変わらぬ人気を保ち続ける──まさしくミステリの女王、アガサ・クリスティ。大人気カルチャー講座「アガサ・クリスティを読む」の講師を務める書評家が、〈探偵〉〈舞台と時代〉〈人間関係〉そして〈騙(だま)しのテクニック〉に焦点を当て、各章でテーマに沿ったおすすめ作品を紹介しながら魅力を丁寧に語ります。最終章〈読者をいかにミスリードするか〉では、女王の驚くべきテクニックをじっくり解説。クリスティのすごさを実感できる、入門に最適な一冊!/【目次】まえがき/第1章 探偵で読む/1 異邦人としてのエルキュール・ポワロ/▼ポワロを知る二冊――『スタイルズ荘の怪事件』『ポワロの事件簿1』/2 時代の証人としてのジェーン・マープル/▼ミス・マープルを知る二冊――『ミス・マープルと13の謎』『書斎の死体』/3 年齢を重ねるトミー&タペンス/▼トミー&タペンスを知る二冊――『秘密組織』『二人で探偵を』/4 渋さが光る捜査官・バトル警視/▼バトル警視を知る一冊――『ゼロ時間へ』/5 個性的な短編の探偵たち/▼パーカー・パインを知る一冊――『パーカー・パインの事件簿』/▼ハーリー・クィンを知る一冊――『ハーリー・クィンの事件簿』/第2章 舞台と時代で読む/1 古き良きメイヘム・パーヴァ/▼メイヘム・パーヴァを知る二冊――『アクロイド殺害事件』『ミス・マープル最初の事件 牧師館の殺人』/2 ヒット作の鉱脈、中東ミステリ/▼中東ミステリを味わう二冊――『殺人は癖になる』『ナイルに死す』/3 動く殺人現場――旅と乗り物/▼旅と乗り物を味わう二冊――『オリエント急行の殺人』『カリブ海の秘密』/4 戦争がもたらしたもの/▼戦争を知る二冊――『ABC殺人事件』『NかMか』/5 変わりゆく大英帝国/▼イギリスの変化を知る三冊――『予告殺人』『葬儀を終えて』『鏡は横にひび割れて』/第3章 人間関係で読む/1 ロマンス! ロマンス! ロマンス!/▼ロマンスに浸る三冊――『謎のエヴァンス』『忘られぬ死』『ホロー荘の殺人』/2 三角関係の使い方/▼三角関係のバリエーションを知る二冊――『杉の柩』『白昼の悪魔』/3 いろいろな家族の形/▼家族のドラマを味わう三冊――『ポアロのクリスマス』『ねじれた家』『無実はさいなむ』/第4章 騙しのテクニックで読む/1 童謡だけじゃない“見立て”/▼見立て殺人におののく二冊――『そして誰もいなくなった』『ポケットにライ麦を』/2 二種類ある、回想の殺人/▼回想の殺人を味わう二冊――『五匹の子豚』『スリーピング・マーダー』/3 ミステリの華、意外な犯人/▼意外な犯人に驚く二冊――『三幕の悲劇』『カーテン』/第5章 読者をいかにミスリードするか/▼『シタフォードの謎』『殺人は容易だ』/参考文献/作品名一覧/人名一覧/アガサ・クリスティ著作一覧 -
七十四秒の旋律と孤独
宇宙空間でのワープに際して生じる、空白の七十四秒間。この時間の存在を認識し、襲撃者の手から宇宙船を守ることができるのは、マ・フと呼ばれる人工知性だけだった――ひそやかな願いを抱いた人工知性の、静寂の宇宙空間での死闘を描き、第8回創元SF短編賞を受賞した表題作と、独特の自然にあふれた惑星Hを舞台に、乳白色をした8体のマ・フと人類の末裔が織りなす、美しくも苛烈な連作長編「マ・フ クロニクル」を収める。/【目次】七十四秒の旋律と孤独/マ・フ クロニクル/一万年の午後/口風琴/恵まれ号 Ⅰ/恵まれ号 Ⅱ/巡礼の終わりに/文庫版解説=石井千湖/*本電子書籍は、『七十四秒の旋律と孤独』(創元SF文庫 2023年12月初版発行)を電子書籍化したものです。 -
私たちの特別な一日 冠婚葬祭アンソロジー
人生の節目で催される行事を総じて冠婚葬祭という言葉があります。冠は成年として認められる成人式を、婚は婚姻の誓約を結ぶ結婚式を、葬は死者の霊を弔う葬式を、祭は先祖の霊を祀る祭事を指します。四つの行事は、人生の始まりから終わりへ、そして当人が死してなおその先まで縁を繋いでいきます。故に冠婚葬祭は多くの物語で描かれてきましたが、連綿と変わりなく続いているように見えながら、私たちの社会や文化と同じように絶えず変化が生まれているはずです。現在の、そしてこれからの私たちと冠婚葬祭をテーマに書かれた六つの短編小説からなる文庫オリジナル・アンソロジー。/【目次】もうすぐ十八歳=飛鳥井千砂/ありふれた特別=寺地はるな/二人という旅=雪舟えま/漂泊の道=嶋津輝/祀りの生きもの=高山羽根子/六年目の弔い=町田そのこ -
〈イモージェン・クワイ〉シリーズ
ケンブリッジ大学の貧乏学寮セント・アガサ・カレッジ。カレッジの学寮付き保健師(カレッジ・ナース)イモージェン・クワイの家に下宿する学生フランが、ある数学者の伝記を執筆することになった。今は亡きその数学者は立派な人物ではあったものの、生涯であげた目覚ましい業績はただひとつだけ。しかも、フランは伝記を手掛ける初めての人物ではなかった。伝記の執筆がこれまで途切れてきた原因は、数学者の経歴でどうしても詳細が不明な1978年の夏の数日間にありそうで……。好評『ウィンダム図書館の奇妙な事件』に続く、実力派作家によるシリーズ第2弾登場!/解説=古山裕樹 -
まるで名探偵のような
高校生の小南通(こなみとおる)は、雨宿りに入った雑居ビルの喫茶店で“名探偵”に出会った──。探偵事務所、占いの館、古書店など、ビルに店を構える店子が喫茶店に持ち込む奇妙な謎の数々。日常に退屈していた小南は謎解きに挑むが、正解に辿り着くのは決まって喫茶店店主の娘、三津橋芹(みつはしせり)だった。会社員の身辺を調べ回る偽探偵の目的、失踪した大学生の行方を日記だけを手がかりに捜す、古書に記された江戸時代の秘剣密室殺人の真相など、トリッキーな難問に挑む高校生コンビの推理と、店子たちのほろ苦い人生模様を描く連作短編集。/【目次】第一話 「名刺は語らない」/第二話 「日記の読み方」/第三話 「不死の一分」/第四話 「パック寿司とハムレット」/第五話 「名探偵の死角」 -
九月と七月の姉妹
わたしは姉のセプテンバーの誕生から十か月後に生まれた。でも、互いの誕生日を混ぜ合わせて同じ日にしている。セプテンバーがそう決めたから。セプテンバーはゲームをする。セプテンバーが指示する側、わたしが操り人形。彼女の言うことをなんでも聞かなくてはいけない。指示通りにできなかった場合、わたしは命を一つなくしてしまう。そうやって遊ぶときはたいてい、わたしには命が五つあって、全部なくしたら何かが起こることになっていた。内気で意志の弱いジュライは、姉のセプテンバーの支配下にあるが、二人の絆は揺るぎないものだった。春先に学校で起きたある事件をきっかけに、母とともに町を出て亡父の生家へと引っ越したが、それを機にジュライの中には奇妙な不安と違和感が芽生え…… -
刑事何森 逃走の行先
優秀な刑事ながらも組織に迎合しない性格から、上から疎まれつつ地道な捜査を続ける埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)。翌年春の定年を控えたある日、ベトナム人技能実習生が会社の上司を刺して姿をくらました事件を担当することになる。実習生の行方はようとして掴めず、捜査は暗礁に乗り上げたが、何森は相棒の荒井みゆきとともに、被害者の同僚から重要な情報を聞き出し──。技能実習生の妊娠や非正規滞在外国人の仮放免、コロナ禍による失業と貧困化などを題材に、罪を犯さざるを得なかった女性たちを描いた全3編を収録。渋みのある刑事たちの活躍を描く、〈デフ・ヴォイス〉シリーズスピンオフ。/【目次】「逃女(とうじょ)」――ベトナム人技能実習生による傷害事件。何森は、女性の逃亡を手助けする組織の存在を知り……/「永遠(エターナル)」――ラブホテルでの殺人事件の重要参考人は、パパ活をしていた若い女性だった……/「小火(しょうか)」――公園トイレの放火事件に、容疑者として浮かび上がったのは高齢者ホームレスだったが……/あとがき -
人類の知らない言葉
近未来。人類は異星文明ロジアと接触し、友好的な関係を築いていた。音声ではなくテレパシーを用いて会話する彼らロジ人との意思疎通のため、専門の通訳が養成されており、そのひとりであるリディアは、ロジア大使館の文化担当官フィッツの専属通訳を務めていた。ロジ語の通訳をつづけると酩酊に似た状態になってしまうという副作用があるのだが、あるときリディアが酩酊しているあいだに、フィッツが何者かに殺害されてしまう。重要容疑者にされたリディアは、真犯人を突きとめるべく動きはじめるが……全米図書館協会RUSA賞SF部門受賞作。/解説=渡邊利道 -
刀と傘
慶応三年、新政府と旧幕府の対立に揺れる幕末の京都で、若き尾張藩士・鹿野師光は一人の男と邂逅する。名は江藤新平――後に初代司法卿となり、近代日本の司法制度の礎を築く人物である。二人の前には、時代の転換点ゆえに起きる事件が次々に待ち受ける。維新志士の怪死、密室状況で発見される刺殺体、処刑直前に毒殺された囚人――動乱の陰で生まれた不可解な謎から、論理の糸は名もなき人々の悲哀を手繰り寄せる。破格の評価をもって迎えられた第12回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、連作時代本格推理。第19回本格ミステリ大賞受賞。/【目次】佐賀から来た男/弾正台切腹事件/監獄舎の殺人/桜/そして、佐賀の乱/解説=末國善己 -
寒波
冷えこみの厳しい十一月の朝。P分署にはいった通報が、アパートの一室で起きた二重殺人を知らせる。被害者は部屋で同居していた兄妹。化学者の兄とモデルの妹、仲の良いふたりを誰がなぜ殺したのか。ロヤコーノ警部とディ・ナルド巡査長補は即時捜査を開始する。いっぽう、署を訪れた中学校教師に受け持ちの女子生徒が家族に虐待されているという疑念を打ち明けられ、ロマーノとアラゴーナは確認のため学校に赴くのだが……。ナポリの街で発生する事件を解決するため、型破りな刑事たちは悩み、怒り、走る! 21世紀の〈87分署〉シリーズ第3弾。/解説=三橋曉 -
銀色の国
NPO法人〈レーテ〉で自殺対策に取り組む田宮晃佑のもとに、立ち直ったはずの元相談者が自殺したという悲報が届く。亡くなる前の彼は、異様なほどVRにのめり込んでいたという。不審に思った晃佑は、友人の元ゲームクリエイター城間宙とともに調査を始める。一方、SNSに死をほのめかす投稿を繰り返す浪人生の外丸くるみは、フォロワーの一人から自助グループ〈銀色の国〉に誘われる。ネット上で人と人とが支え合う――そんな言葉に惹かれて受け取った荷物の中身は、VRゴーグルだった。仮想世界と現実で一体何が起きているのか。日本推理作家協会賞受賞作家による傑作ミステリ。/解説=千街晶之 -
神々の宴 オーリエラントの魔道師たち
本の魔道師ケルシュが町で拾った少年は狐に似た獣を連れていた――「ジャッカル」、瀕死の者を助ける生命の魔道師が向き合うことになった過去の亡霊とは――「ただ一滴の鮮緑」など、全5編の短編を収録。自らのうちに闇を抱え、人々の欲望の澱を引き受け、黒い運命を呼吸する魔道師たち。ときに迫害を受け、ときに体制に反抗する人々に手を貸し、栄光に包まれることもなく、賞賛を浴びることもない、そんな市井に生きる魔道師たちの姿を描く短編集。巻末にこれまではっきりとは描かれてこなかった、オーリエラントの神々についての資料を付す。/【目次】セリアス/運命女神(リトン)の指/ジャッカル/ただ一滴の鮮緑/神々の宴/あとがき――神々の存在 -
シュレーディンガーの少女
BMIを理由に会社を解雇された主人公の元に、政府からダイエット企画の参加者に選ばれたという通知が届く。それは“敗者は死なねばならない”というルールのデスゲームだった(「太っていたらだめですか?」)。すべての人は例外なく、65歳の誕生日を迎える前後で死ぬ。64歳になった紫は、人生の目標をほぼ達成していたが、スリの子どもから被害に遭いかけ、追いかけていったすえにその子を手元に引き取ることに……(「六十五歳デス」)。さまざまなディストピア世界を生きのびる、パワフルで勇敢な女性たちの物語。あとがきに自作解説を含む。/【目次】六十五歳デス/太っていたらだめですか?/異世界数学/秋刀魚、苦いかしょっぱいか/ペンローズの乙女/シュレーディンガーの少女/著者あとがき -
世界のはての少年
子ども9人と大人3人を乗せた船が、スコットランドのヒルタ島から無人島へと出航した。孤島で海鳥を獲る旅が、この島の少年たちにとっては、大人への通過儀礼なのだ。だが、約束の3週間が経っても、迎えの船は一向に姿を現さず、このまま島から出られないのではないかと、不安が皆の心を蝕み始める。そんななか年長の少年のひとりクイリアムは、密かな決意を胸に、希望を捨てることなく仲間を励まし、生きのびるために闘うのだった。果たして迎えは来るのか? カーネギー賞受賞作。YAの名手が実際の事件をもとに描いた、勇気と成長の物語。 -
フローリングのお手入れ法
部屋はただの空間ではなく、精神の表出、知性の産物でもある……われわれは部屋をつくり、部屋はわれわれをつくる。それがオスカーの信念だった。神経質で完璧主義の音楽家である友人オスカー宅で、二匹の猫を預かり留守番をすることになったぼく。スタイリッシュなフラットでの気ままな日々が待っているはずだったが、思いもかけない展開に……。そこここで見つかる友人の細かい注意書き。フローリングには万全の注意を払ってほしい、コースターなしで床に飲み物を置かないこと。猫をソファには絶対上がらせないこと。ピアノで遊ばないでほしい……等々。次第に追い詰められていくぼく。恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界。悪夢のような八日間の果てにオスカーから聞かされたのは? ベティ・トラスク賞受賞作。 -
定価のない本
神田神保町――江戸時代に旗本の屋敷地としてその歴史は始まり、明治期は多くの学校がひしめく文化的な学生街に、そして大正十二年の関東大震災を契機に古書の街として発展してきたこの地は、終戦から一年を経て復興を遂げつつあった。その街の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去る。男は崩落した古書の山に圧し潰され、あたかも商売道具に殺されたかのような皮肉な最期を迎えた。古くから付き合いがあった男を悼み、同じく古書店主である琴岡庄治は事後処理を引き受けるが――直木賞作家である著者の真骨頂とも言うべき長編ミステリ。/対談=門井慶喜×岡崎武志 -
思い出列車が駆けぬけてゆく
「犯人は読者だ」で話題をさらった『仮題・中学殺人事件』から50年、ミステリ作家デビュー以来、本格もの、ユーモアものをはじめ、様々なスタイルの作品を提供し続けてきた辻真先。中でも、鉄道ミステリは、著者自身が長年の鉄道ファンであることも広く知られており、多くの読者に親しまれてきた。シリーズキャラクターである、トラベルライター・瓜生慎ものを筆頭に、自らも鉄道愛好家でもある、ミステリ評論家・戸田和光が選んだ珠玉の12編。すでに廃線となった路線、企画列車なども登場する、辻ファン、鉄道ミステリファン必携の一冊。/【目次】お座敷列車殺人号/夜行急行殺人号/ブルートレイン殺人号/α列車殺人号/郷愁列車殺人号/白い闇の駅/オホーツク心中/遠い日、遠いレール/終電車の囚人/鉄路が錆びてゆく/東京鐵道ホテル24号室/轢かれる/解題=戸田和光 -
〈刑事ハービンダー・カー〉シリーズ
高齢者向け共同住宅に住む90歳のペギーが死んだ。彼女は推理小説の生き字引のような人物で、“殺人コンサルタント”と名乗り、多くの作家の執筆に協力していた。死因は心臓発作だったが、ペギーの介護士ナタルカはその死に不審を抱き、刑事ハービンダーに相談しつつ、友人二人と真相を探りはじめる。しかしナタルカたちがペギーの部屋を調べていると、覆面の人物が銃を手にして入ってきて、一冊の推理小説を奪って消えた。謎の人物は誰で、なぜそんな不可解な行動を? 『見知らぬ人』の著者が贈る、本や出版界をテーマにした傑作謎解きミステリ!/解説=杉江松恋 -
情無連盟の殺人
徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔科医・伝城英二。空腹は感じるがそれを不快には感じない。うまくもまずくもないので、食べ物にも興味がなくなった。ファッションや人間関係についても同様だ。毎日同じ料理を食べ、人付き合いも最低限にして暮らしていた英二はある日、アエルズ患者八名が共同生活を送る〈情無連盟〉から加入の誘いを受ける。だが英二が泊まりがけで見学に訪れていたさなか、連盟員の一人が殺害されてしまう。不可能状況下、しかもあらゆる欲求を失い、怒りも悲しみも感じない「情無」たちが集う屋敷で、なぜ殺人事件は起こったのか? 現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒・眞庵と共作した、本格犯人当て長編。 -
リディア・チン&ビル・スミス・シリーズ
「ミシシッピへ行きなさい。あの白いマントヒヒを連れて」突然の母の言葉に、私立探偵のリディアは言葉を失った。パートナーのビルとわたしが、なぜアメリカ南部に?……それは殺人の容疑をかけられた青年の無実を証明してほしいという、親戚からの依頼だった。ビルを伴い、自分たち家族が住んだかもしれない町を訪れたリディアは、そこで渦中の容疑者が脱走したことを知る。知られざる中国系アメリカ人の歴史をひもときつつ、事件の解決に奔走するふたり。現代ハードボイルドの最高峰〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ、最新作の登場!/解説=大矢博子 -
読書セラピスト
悩める人々に読むべき本を処方する、読書セラピーを始めたヴィンチェ。ある日、彼のスタジオの階下に住む婦人が失踪、状況証拠から夫が殺人の容疑をかけられる。読書家の彼女が残した本のリストからヴィンチェは真相を探る……。彼女はどこに消えたのか? 本当に夫に殺されたのか? 「失踪」「別の人生」「入れ替わり」といったテーマの読書歴のある彼女の真実は? シニカルで文学的で不思議な味わいのビブリオ・ミステリ。本書は、イタリアのミステリの賞・シェルバネンコ賞を受賞している。 -
夜の国のクーパー
「ちょっと待ってほしいのだが」私はトムという名の猫に話しかけた。猫に喋りかけていること自体、眩暈を覚える思いだったが致し方ない。前には猫がおり、自分は身動きが取れず、しかもその猫が私に理解できる言葉を発しているのは事実なのだ。目を覚ましたら見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取れなくなっていた。仰向けの胸には灰色の猫が座っていて、「ちょっと話を聞いてほしいんだけど」と声を出すから、驚きが頭を突き抜けた。「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。戦争が終わったんだ」――伊坂幸太郎、十冊目の書き下ろし長編は、世界の秘密についてのおはなし。野心的傑作。/解説=松浦正人 -
アルファベット荘事件
巨大なアルファベットのオブジェが散在する屋敷『アルファベット荘』。岩手県の美術商が所有するその屋敷には、オブジェの他に『創生の箱』と呼ばれる関わったものは死に至るという箱もあった。雪が舞う12月のある日、そこで開かれるパーティに10人の個性的な面々が集う。しかし主催者は現れず、不穏な空気が漂う中、夜が明けると『創生の箱』に詰められた死体が現れて――。売れない役者、変人にして小劇団の看板女優、そして何も持たない探偵が、奇妙な屋敷の幻想的な事件を解き明かす! 当代きってのトリックメーカー・北山猛邦の、長らく入手困難だった初期長編が待望の復刊! -
幽霊狩人カーナッキの事件簿
電気式五芒星と古文献を駆使し、オカルトと科学を混合させた技術で怪奇現象に立ち向かう、名うての“幽霊狩人”──トマス・カーナッキ。彼が事件をみごと解決して自宅に帰還するたび、わたしたち友人は食事に招かれ、その冒険譚に耳を傾けるのだ。無人の空間で起こった死傷事件、不気味な口笛の鳴り響く部屋の怪談、馬の魔物が出現する奇譚等々、ドイルの創造した名探偵ホームズと同時代に発表され、その怪奇版として名高いシリーズ全作を新訳で贈る。本邦初訳の資料的作品1編を含む、全10編を収録した。/【目次】礼拝堂の怪/妖魔の通路/月桂樹の館/口笛の部屋/角屋敷の謎/霊馬の呪い/魔海の恐怖/稀書の真贋/異次元の豚/探偵の回想/訳者あとがき -
〈刑事ハービンダー・カー〉シリーズ
これは怪奇短編小説の見立て殺人なのか?──イギリスの中等学校タルガース校の旧館は、かつてヴィクトリア朝時代の作家ホランドの邸宅だった。クレアは同校の英語教師をしながら、ホランドを研究している。10 月のある日、クレアの親友である同僚が殺害されてしまう。遺体のそばには“地獄はからだ”という謎のメモが。それはホランドの怪奇短編に繰り返し出てくる文章だった。事件を解決する鍵は作中作に? 英国推理作家協会賞受賞のベテラン作家が満を持して発表し、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞受賞へと至った傑作ミステリ!/解説=大矢博子 -
白銀の巫女 紐結びの魔道師2
悪意に満ちたイスリルの魔道師に呼び覚まされた過去の化物と、もとコンスル帝国軍人率いる侵略軍の両方に追いつめられた紐結びの魔道師リクエンシスたち一行は、トゥーラの暮らすオルン村に難を逃れる。村で冬を越すことになったエンス、星読みのトゥーラ、もと拝月教の巫女エミラーダ、知恵者のリコに、ウィダチスの魔道師エイリャも加わり、トゥーラがさがし求める、1500年前にかけられたオルン魔国の魔女の呪いを解く方法を調べる。だがそこで浮かんだのは、オルン魔国最後の女王の血塗られた真の姿だった。〈紐結びの魔道師〉3部作第2弾。/解説=三辺律子 -
裏切りの塔 G・K・チェスタトン作品集
コーンウォールの海岸に聳える風変わりな葉色の三股の樹。通称を〈孔雀の樹〉といい、聖者の祈りによって歩き回る力を手に入れ、獣や人をむさぼり食う災いの樹の伝承に連なる存在だった。大地主ヴェインはこの怪樹に登る賭けをして森に入るが、以降忽然と姿を消してしまう。怪奇趣味に満ちた傑作中篇「高慢の樹」ほか、謎を読み解くことに長けたスティーヴン神父が不可能犯罪に挑む表題作、夢想家の姪と実際家の甥の先行きを案じた公爵が取った奇策が思わぬ喜劇へと発展する、本邦初訳の戯曲「魔術」など、五篇の中短篇を新訳で贈る。巨匠の多彩な魅力が凝縮された日本オリジナル作品集。/【収録作】高慢の樹/煙の庭/剣の五/裏切りの塔/魔術――幻想的喜劇/訳者あとがき/解説=垂野創一郎 -
失われたものたちの本
第二次世界大戦下のイギリス。本を愛する12歳のデイヴィッドは、母親を病気で亡くしてしまう。孤独に苛まれた彼はいつしか本の囁きを聞くようになったり、不思議な王国の幻を見たりしはじめる。ある日、死んだはずの母の声に導かれて、その王国に迷い込んでしまう。狼に恋した赤ずきんが産んだ人狼、醜い白雪姫、子どもをさらうねじくれ男……。そこはおとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な物語の世界だった。デイヴィッドは元の世界に戻るため、『失われたものたちの本』を探す旅に出るが……。本にまつわる異世界冒険譚!/【収録作】失われたものたちの本/シンデレラ(Aバージョン) -
セーラー衿に瑠璃紺の風
わたしは花見堂小春、日本で(多分)唯一の魔女養成学校である横濱女子仏語塾の三年生。ある日聴講生の男子・千秋くんが、エル・ドラドオのものだという黄金の留め針を持ってきた。由来を探ろうと水晶玉をのぞいたら、そこに見えたのは密林にそびえるピラミッドと巨大なティグレの頭像、真っ黒な百合に黄金の青年像だった。さらにもう一度水晶玉をのぞいたとき、事態は大きく動きだし……。黄金郷に隠された秘密とは? 千秋くんの中にいるティグレの正体は? 大正時代の横濱(と黄金郷)を舞台に魔女の卵たちが大活躍の三部作、ここに完結! -
Genesis されど星は流れる
ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第3巻。/【収録作】宮澤伊織「エレファントな宇宙」/空木春宵「メタモルフォシスの龍」/オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」/池澤春菜×下山吉光〔対談〕「プロの覚悟を届けたい――朗読という仕事」/松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」/堀晃「循環」/宮西建礼「されど星は流れる」/折輝真透「蒼の上海」/第11回創元SF短編賞選考経過および選評/ちいさなあとがき/編集部より -
ウォーシップ・ガール
星間紛争中のある重大事件にかかわり、心に傷を負った重巡洋艦のAI〈トラブル・ドッグ〉は、終戦後にみずから軍を辞した。その後艦の武装を下ろして人命救助団体に加わり、新たな艦長サリーらと共にレスキュー活動に勤しんでいた彼女は、あるとき遭難信号を受信する。すべての惑星がオブジェのように加工されている謎の星系・ギャラリーで、民間船が何者かに撃墜されたというのだ。急ぎ駆けつけた〈ドッグ〉は、銀河の命運を賭けた戦いに巻きこまれる。はたして14歳のAIは銀河を救えるか? 英国SF協会賞長編部門受賞の傑作宇宙SF。 -
月蝕の夜の子守歌
わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の三年生。うちの学校はフランス風の魔女養成学校で、生徒の半分は妖魅、つまり妖怪なの。わたしは抜け首、仲良しの宮さんは女郎蜘蛛よ。今夜は寮で月蝕の観察会なんだけど、もう一人の仲良し、幽谷響の透子さんがまだ来ない。宮さんと二人で捜しにいったら、山下町にいた透子さん、迷子の女の子を連れていた。その子は一見普通の女の子なんだけど……。折も折、横濱では分限者の子どもを狙った連続誘拐事件が発生。次に狙われるのは我が校の聴講生千秋くん? 大正期の横濱を舞台にした好評シリーズ第2弾。 -
福家警部補の追及
“善良な”犯人たちの完全犯罪に隠された綻びを、福家警部補はひとり具に拾いあげながら真相を手繰り寄せていく――。未踏峰への夢を息子に託す初老の登山家・狩義之は、後援の中止を提言してきた不動産会社の相談役を撲殺、登り慣れた山で偽装工作を図る(「未完の頂上」)。動物をこよなく愛するペットショップ経営者・佐々千尋は、悪徳ブリーダーとして名を馳せる血の繋がらない弟が許せず、遂には殺害を決意する(「幸福の代償」)。――ふたりの犯人を追い詰める、福家警部補の決めの一手は。「刑事コロンボ」の系譜に連なる倒叙形式の本格ミステリ、シリーズ初の中編二編からなる第四集。/解説=西上心太 -
湖の男
その白骨は干上がった湖底で発見された。頭蓋骨には殴られたらしい穴があり、壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられている。30年以上前の事件らしいことから、エーレンデュル捜査官の手に捜査が委ねられた。丹念な調査の末、ある失踪事件が浮かび上がる。アイスランド全土をまわっていた農業機具のセールスマンが、婚約者を残し消息を絶っていたのだ。男の名は偽名で、彼の身分証明記録は一切なかった。男は何者で、何故消されたのか? 捜査が浮かびあがらせたのは、時代に翻弄された哀しい人々の真実だった。北欧ミステリの巨人渾身の大作。ヨーロッパミステリ大賞、バリー賞受賞! -
啄木鳥探偵處
【TVアニメ『啄木鳥探偵處』原作!】日本一の高塔として名を馳せる浅草十二階で、幽霊が目撃された――。明治四十二年九月、僕、金田一京助のもとへ石川啄木が持ち込んできた、幽霊騒動を報じる新聞記事。抜群の詩歌の才能を持ちながらも世に認められない啄木は、家族を養うため探偵業をはじめたところだった。その才能にほれ込んでいた僕は、助手役として探偵業に巻き込まれるが、事件は意外な方向へ……。第三回創元推理短編賞受賞作「高塔奇譚」をはじめ、人形の頭が男の喉を咬み切ったという怪事件「忍冬」など、トリックとロジックが冴える五編を収録する傑作連作ミステリ集。/【目次】第一話 高塔奇譚/第二話 忍冬/第三話 鳥人/第四話 逢魔が刻/第五話 魔窟の女/解説=細谷正充 -
シトロン坂を登ったら
わたしは花見堂小春、横濱女子仏語塾の3年生。うちの学校はちょっと変わっていて、実は魔女学校なの。創立者のマダム・デルジュモンが魔女で、おかげでわたしたち女学生はマダムの母国語フランス語だけでなく、薬草学や占い、ダンス(箒で空を飛ぶことを、そう呼ぶ)も学んでいる。本当はもうひとつ大きな秘密があるんだけど、それはおいおい話すとして。そんなわたしのもとに、新聞記者の甥っ子が奇妙な噂話を持ち込んできた。横濱に巨大な化け猫が出没しているんですって。しかも学校の近くに……。大正時代を舞台にした魔女学校3部作開幕! -
銀の仮面
ソニアはある日、玄関前で出会った今にも倒れそうな青年を家へ招き入れた。善意に満ちた孤独な中年女性の心の隙間に入りこむ美しく不気味な侵入者――“奇妙な味”の名作「銀の仮面」、大都会の暗闇にひそむ獣の恐怖を描く「虎」、ゴースト・ストーリーの佳品「雪」「ちいさな幽霊」、内気な少年に訪れたクリスマスの奇蹟の物語「奇術師」など、精妙なタッチで不安と恐怖の物語を織り上げる名匠ヒュー・ウォルポールの傑作集。/【収録作】Ⅰ「銀の仮面」「敵」「死の恐怖」「中国の馬」「ルビー色のグラス」「トーランド家の長老」/Ⅱ「みずうみ」「海辺の不気味な出来事」「虎」「雪」「ちいさな幽霊」/Ⅲ「ターンヘルム」「奇術師」/編訳者あとがき/解説=千街晶之 -
サンギータ-Sogen SF Short Story Prize Edition-
ネパールで永く信仰を集める、生きた女神クマリ。代替わりに集められた幼女のうちから一人だけが選ばれる。辺鄙な町に暮らす青年シッダルタは、きつい性格の新人クマリの警護に抜擢された。若者のあいだで人体改造が流行する近未来のカトマンズを舞台に、「ゲンロンSF新人賞」と「創元SF短編賞」を連続受賞した新鋭がパンキッシュに紡ぎ出す、神話的バイオSF。イラスト=鈴木康士*本電子書籍は、『年刊日本SF傑作選 おうむの夢と操り人形』(創元SF文庫版 2019年8月30日初版発行)に掲載の「サンギータ」のみを電子書籍化したものです。『年刊日本SF傑作選 おうむの夢と操り人形』全ての電子書籍版ではございませんのでご注意ください。 -
滅びの鐘
北国カーランディア。建国以来、土着の民で魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人が、なんとか平穏に暮らしてきた。だが、現王のカーランド人大虐殺により、見せかけの平和は消え去った。娘夫婦を殺され怒りに燃える大魔法使いが、平和の象徴である鐘を打ち砕き、鐘によって封じ込められていた闇の歌い手と魔物を解き放ったのだ。闇を再び封じることができるのは、人ならぬ者にしか歌うことのかなわぬ古の〈魔が歌〉のみ。『夜の写本師』の著者が、長年温めてきたテーマを圧倒的なスケールで描いた、日本ファンタジイの金字塔。 -
ケイトが恐れるすべて
ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと住まいを交換し、半年間ボストンで暮らすことにする。だが、到着した翌日に、アパートメントの隣室の女性オードリーの死体が発見される。オードリーの友人と名乗る男や、アパートメントの向かいの棟の住人の話では、彼女とコービンは恋人同士だが、まわりには秘密にしていたという。そしてコービンはケイトに、オードリーとの関係を否定する。嘘をついているのは誰なのか? 見知らぬ他人に囲まれた、ケイトの悪夢の四日間が始まる。ミステリ界を席巻した『そしてミランダを殺す』の著者の衝撃作!/解説=川出正樹 -
ロイスと歌うパン種
サンフランシスコのIT企業に就職した女性プログラマのロイス。激務で消耗した彼女の心身を救ったのは、近所の宅配レストランのパンとスープだった。親しくなった店主がアメリカを去ることになり、ロイスは秘伝のパン種を贈られる。それを使い自分でもパンを焼きはじめたとたん、彼女に思わぬ人や場所との出会いが訪れる……。千年以上もパン種を受け継ぐ奇妙な一族の物語、最新鋭ロボットアームを駆使したパン作り、謎の地下ファーマーズ・マーケット……パンが世界を変えていく!? とびきりヘンテコ、とびきり美味しい。新感覚フード・エンタテインメント!/解説=池澤春菜 -
日曜の夜は出たくない
「だいたいお前さん達は想像力ってもんが足りなさすぎるよ、新聞や雑誌にひょいひょい乗せられて、やれ空飛ぶ人だ空中散歩者だってはしゃいでるんだから。もう少し頭使って自分の考えで物を云いなさいよ」そう言い放ったこの、仔猫みたいなまん丸い目をした童顔の小男こそ名探偵猫丸先輩その人である。いろんなところにひょっこり出没しては、おかしな謎を鮮やかに解き明かして去ってゆく、憎めない名探偵の最初の事件簿。コミカルな筆致とロジカルな推理で読者を魅了し続ける正統派の本格推理作家、倉知淳が本格的なデビューを飾った連作集であり、最後には驚愕も待ち受けています。/解説=小野不由美/新版刊行によせて=倉知淳 -
火星の遺跡
火星の都市でベンチャー企業が研究していたテレポーテーション技術の、初の人体実験。それは大成功を収めたかに見えたが、自ら被験者となった科学者の身辺で、奇妙な事件が多発する。一方、火星の荒野で発見された12000年前の巨石遺跡は、地球も含めた太陽系各地に足跡を残す古代文明の実在の証拠と思われたが、頑迷な学界は決してその存在を認めようとしない。そして遺跡と考古学遠征隊に危機が迫る……。ふたつの事件の謎を巡り、フリーランスの紛争調停人キーラン・セインは調査に乗り出す。『星を継ぐもの』の巨匠ホーガン円熟期の傑作!/解説=礒部剛喜