イギリスの学園で起こる事件。
文学作品に絡んだ重厚なムードと繊細な描写が魅力的な作品です。
クレアは地方の中等学校の英語教師として赴任してきた。
もともと文学の研究課題としていたR・M・ホランドの邸宅が校舎となっている学校で、今は放課後の成人向けのクラスでホランドについての講座も持っています。
旧
...続きを読む館にはホランドの書斎がそのまま残されているのだった。
そしてそこで、ホランドの作品「見知らぬ人」を思わせるような事件が‥
離婚してロンドンを離れたくなり、娘を連れて移り住んできたクレア。
以前からずっと日記をつける習慣があり、その日記の内容と、クレアの視点、娘のジョージー、女性刑事のハービンダー・カーの視点が交錯します。
その構成の妙に、興味が惹きつけられ、一読した後すぐに最初から読み直しました。
架空の作家であるホランドの意味深な作品と生涯の謎。
クレアはどんな人なのか?
日記には夫への未練は全く書かれず、どうも夫はあまり思いやりがないタイプなのだろうと推察できます。
一番気になっているのは娘の進路。難しい年頃なので、強く勧めるわけにもいかないのだ。
自分の外見や服についての描写がなく、コンプレックスはなさそう。今は恋愛に興味はないが、同僚に一方的に恋されたりもしたので、普通に美人なのか?
ハービンダーが捜査のためにクレアに会った時に、最初にいきなり反感を抱く。
これはインド系で小柄なハービンダーが色々なコンプレックスを抱えているため。後ですぐ気が変わるのだが。
クレアは長身でショートヘア、モデルのような印象的な美人、そうだったのか~自分のスタイルが決まっているのと重要な関心は文学にあるため服には悩まないらしい。
ハービンダーは30代で独身、親の家に住み、恋人もいない。そのことをかなり気にしているのだった。
インド系のインテリ家庭はそんな感じあるのかしら。他の小説でも似た設定を見かけます。
ミステリとしては、この書き方で犯人はわからないかと。
ヒロイン同様、目くらましされたまま、意外な結末へ。
他の部分に引き込まれて読み応え十分、面白く読みました。