あらすじ
ロンドンのマナーパーク校の同窓会で、下院議員が殺害された。彼の友人たちは女優や人気バンドのリードシンガーなど個性的な有名人ばかり。だが、現場に到着した刑事ハービンダー・カーは、部下のキャシーも友人のひとりだったと知る。下院議員の死因はインスリン中毒で、糖尿病患者であるキャシーは注射器を持ち歩いていた。捜査が始まると、被害者は「血を流す心臓(ブリーディング・ハート)」と書かれた手紙を何通も受け取っており、21年前に起きたある生徒の死亡事故の目撃者だったと判明する──。巧みな伏線の妙を味わえる『見知らぬ人』の著者の傑作謎解き長編。/解説=若林踏
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Posted by ブクログ
★5 名門校の同窓会で殺人事件が発生… 人間関係と語りに吸い込まれる英国ミステリー #小路の奥の死
■あらすじ
名門校の同窓会で政治家が殺される事件が発生、ハービンダー・カー刑事が事件解決の指揮をとる。その同窓会には、下院議員の政治家、ミュージシャン、女優など様々な有名人が参加。またハービンダーと同じ警察署の刑事キャシーも同席していたのだ。
かつて彼らは学生時代、共通の友人が死亡事故に巻き込まれており、今回の被害者は事故を目撃者であった…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろいっ! これぞ英国ミステリーですね。決して派手ではありませんが、読み進めるほどにジワジワと沁みてくる味わい深い作品です。
本作はハービンダー・カー刑事シリーズの3作目。前作までの話の関係性やネタバレなどはありませんので、安心して本作から読んでください。ちなみに私も1作目『見知らぬ人』は読みましたが、2作目『窓辺の愛書家』は積んでます、読まなきゃー
お話の筋としてはスタンダードなミステリーで、同窓会で殺人事件が発生、容疑者は同級生や学校関係者。ハービンダー刑事が中心となって事件解決のため捜査に奔走するという流れ。
特徴としてはふたつあり、ひとつは20年前の学生時代、死亡事故が関係しているということ。もうひとつは容疑者のグループの中に、刑事キャシーも含まれる点ですね。
一番の読みどころだと思ったのは、視点人物ごとのストーリーテリング。複数の視点人物で物語が進行、ハービンダー刑事、同窓会メンバーであり刑事のキャシー、同窓会メンバーであり教師のアナの3名。
ハービンダーは指揮をとりつつ自らも捜査や尋問してく。ミステリーの醍醐味である解決に向けた情報を読み取りがじっくりと楽しめます。また同窓会メンバーのキャシーとアナは、起こってしまった事件と過去の事故に右往左往。不安に駆られ戸惑っている様子はもはやサスペンスな読み口でした。
そして気になるには人間関係ですよね。複数の男女が入り乱れる事件ですから、そりゃ当然イロイロある。さらには学生時代の事故も関わってくるので、誰が誰と… みたいなところは、落とさずに理解してください。またひとりひとりの性格というより、名門校のエリートたちの「裏側の顔」が必見ポイントです。
ちなみに主人公であるハービンダーは同性愛者であり、さらにはインド出身。マイノリティから見る社会だったり、生きづらさも作品に込められており、いち人間として丁寧に描写がされていくのです。
さて謎解きですが、かなり終盤にならないと真相が見えてきません。誰が犯人なのか? 動機はなんなのか? 過去の事故との関係性? 正直、犯人はそれほど意外でもないですが… 過去の事件との絡み、背景にある動機なんかは、なかなかのキモさで愛せました。
面白かったですねー、じっくり読み応えのあるミステリーをご希望の方には、ぜひおすすめしたい作品でした!
■ぜっさん推しポイント
本作は名門校のエリートたちの物語、政治家や有名人など人生の成功者たちばかりなんです。しかし幸せそうな感じはまるでなく、終始みじめで不安に描かれるのです。
どんなに優秀な人であっても人間なんて弱い生き物ですよね。少しの歪みがこれまでの成果を潰してしまう可能性すらある。家族、恋人、友人など、支え合って生きることで、やっと幸せのしっぽを捕まえられるということを忘れずにいたい。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。
ロンドンの高校の同窓会で発生した殺人事件。
下院議員やロックスターに有名女優と今や華々しい面々の高校時代の因縁に遡って繰り広げられる、
前作とは舞台も背景も異にするプロットを存分に楽しめた。
主にハービンダー・カー警部と登場人物の女性らの目線で描かれており、女性作家らしい展開。
個人的には事件解決後の回想で触れられた映画作品が思い出深いものだったので、近い世代として懐かしさもあった。
ただこのシリーズ、面白いのだけど、微妙に読みにくいと感じるのは文体のせいか訳のせいか。
それと、ひねくれ者のミステリ好きにはわりと早い段階で犯人の目星がついてしまった。そこが惜しい。
とはいえカー警部をメインに据えた謎解きミステリとして読みごたえは十分。
本筋とは関係ないが前作で活躍したメンバーのその後も垣間見られたのは嬉しかった。
そして一点、これは作者翻訳者に非はないことで、1作目の感想にも書いたが、【意外な犯人に驚愕】というような帯は興ざめなので本当にやめてほしい…
Posted by ブクログ
伝統あるマナーパーク校の同窓会で、下院議員の男が殺害された。捜査線上には、被害者と特に親しくしていた「ザ・グループ」の面々が浮かび上がる。メンバーは女優に歌手、そして警察官と個性的。特に警察官のキャシーは、主人公ハービンダー警部の部下でもある。調べを進めるうちに、被害者は殺される前、「ブリーディング・ハート」と書かれた手紙を受け取っていたことが判明する。そしてそれは、被害者がたびたび会合を開いていた通りの名前を指していた。そんな中、「ザ・グループ」の中から新たな被害者が出る。ハービンダー警部は、事件の真相は「ザ・グループ」のメンバーの過去に起因していると睨む。というのも、過去に彼らはデイヴィッドという同級生が電車に轢かれ死亡した事故の現場に居合わせていたからだ。デイヴィッドはもしかしたら、メンバーの誰かによって故意に線路へと突き落とされ殺されたのかもしれない。「ザ・グループ」のメンバーは、過去の事故を再現することで真相に迫ろうとする。
ハービンダー警部をはじめ、登場人物のキャラが立っているのでこのシリーズはさくさく読める。この作品を読むと毎回本場のカレーが食べたくなる。
Posted by ブクログ
2025年の42冊目は、エリー・グリフィスの「小路の奥の死」です。以前「窓辺の愛書家」という彼女の作品を読んだ記憶が有りますが、内容はうろ覚えです。
主人公は、同じくハービンダー・カー刑事です。舞台は、サセックスからロンドンに移ります。ハービンダーが、シク教徒という設定で有り、シク教徒について調べた記憶が蘇ります。
事件は、マナーパーク校の同窓会で、下院議員のゲイリーが不審死する所から始まります。ゲイリーの死は、殺人で有る事が明らかになり、容疑者の中には、その同窓会に参加していたハービンダーの部下キャシーもいました。事件の発端は、マナーパーク校在学中のある事件に関わって起きたのではないかと推測されます。
とにかく、事件に関わる関わらない含めて、数多くの伏線が登場しますので、そこが読み所ではないでしょうか。「以外な犯人に、驚愕」という宣伝文句ですが、感の良い読者ならば、気が付くかもしれません。
ポイントは、同窓会です。
☆4.4
Posted by ブクログ
主人公ハービンダー・カーは「ロンドン警視庁の警部」となって登場。おお、出世している。彼女もつい浮ついた気持ちになって、自分のオフィスを歩き回ったり、朝刊に載る自分を家族にも見てほしいと意識したり。外からはクールな女性警部と思われている?が、本心は割と俗っぽい。でも堂々とチームを率いている姿はカッコいい。
高校の同窓会で殺人事件が起きる。被害者は下院議員のゲーリー。彼の同級生のグループには歌手や女優など有名人ばかり。その一員にハービンダーの部下のキャシーも含まれていた。今回の殺人事件は、21年前に死んだデイビッドの事故に関係があるのではないか?ハービンダーのチームは、一人ひとりに話を聞いていくが・・・。
キャシー、アナ(同級生)、ハービンダーの視点で話は進んでいく。他の同級生の話から、それぞれの人格がリアルに浮き上がってくる。
キャシーは、あんな過去を背負っておいて刑事になっているのにはびっくり。意外としたたかだけれど、今回の事件で何かが壊れた感じ。唯一クールなイメージのアナも、卑屈で感情的になり、時々記憶が飛ぶらしい。なんだこれ、みんな怪しいではないか。最後まで犯人が分からなかった。
このハービンダー・カーのシリーズは今回で3作目何だけど、どれもテイストが違う。今回が1番、オーソドックスな警察ものミステリだった。やっぱりこれが好み。