現代人の「不安感」や「うつ症状」は、生活環境が劇的に安全になったが、人間の脳は原始時代のままだから、という趣旨の本。不安なのは脳が正常に稼働している証。
脳の大部分はサバンナの時代から変わっていない。だから現代の生活の中では過剰に脳が反応にし、不安を増大させる。
サバンナでは、不安や気分の落ち込み
...続きを読むは、生存の観点からすると喜びや心の平安よりも大事なものだったのだ。
<アンダーライン>
★★★
ネガティブな感情はポジティブな感情に勝る
★★★★★
地球上に存在した時間の99%、動物にとってストレスとは恐怖の3分間のことだった。その3分が過ぎれば、自分が死んでいるか敵が死んでいるかだ。で、我々人間はというと?それと同じストレスを30年ローンで組むのだ。
★★★★
ストレスのシステムは、私たちが正常に機能するためにも大切だ。HPA系のスイッチを切った実験動物は無気力になる
★★★★
ストレスは脅威そのものに対する反応だが、不安は脅威になり得るものに対して起こる。
★★★★★
積極的に悩みの種を探しているような人もいる。歴史的には、わずかでも危険の疑いがあれば「ストレスのシステム」すまり例の「火災報知器」が作動し、それでうまくいったからだ。
★★★★★
私たち人間の場合、仮定のシナリオでもHPA系が作動する。「もしも試験に合格しなかったら?」「もしも妻に捨てられたら?」
そんな理由でストレスのシステムが作動するのは、知性を得た代償だ。現実の脅威と想像上の脅威を見分けることが、脳にはできないのだ。
★★★★★
空腹時にテーブルに食べ物が出てきたら、それを見ていただけでドーパミンの量が増える。つまり、増えるのは食べている最中ではない。その食べ物を食べるという選択をさせるために、ドーパミンはあなたにささやく。
★★★★★
何かが起こるかもという期待以上に、報酬中枢を駆り立てるものはない。
★★★★★
ドーパミンの最重要課題は、人間に行動する動機を与えることだ
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集中力こそ現代社会の貴重品
★★★★
マルチタスクは脳にドーパミンを与えて気持ち良くさせる。集中を分散させ、現れるものすべてに素早く反応すること。脳はそうやって進化してきたのだ。
★★★★
スマホはドーパミン注射
★★★
スマホを強制的に手放した被験者の体内では、ほんの10分間でコルチゾールのレベルが上昇する。脳が「逃走か闘争か」モードに入るのだ。
★★★★★
他人の情報を知ったり広めたりする、つまり噂話をすると、満足感を感じるように脳のメカニズムが進化してきたのだ。私たちが生き延びるのを助けたのは、食べ物とゴシップだった。
★★★
SNSの商品はプラットフォームではない。「あなたの注目」こそが商品なのだ。
★★★★★
SNSの利用を30分に減らしたうつ症状のあった被験者は、3週間後に症状が良くなっていた。
★★★
進化する過程で身体のコンディションのいい人のほうがストレス源にうまく対処できたので、身体を動かす方がストレスや不安に強くなる。
★★★★
スマホというテクノロジーが、人間を2.0バージョンにするよりも、むしろ0.5バージョンにしてしまうのだ。