無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
ネビュラ賞にローカス賞、SFが読みたい2025年1位、そして星雲賞と国内外のSF小説の勲章を総ナメにしたR.F.クァンの『バベル』
SFファンなら絶対読むべき一冊です
ここでふと思ったんですけど、もうひとつのSFの世界的文学賞ヒューゴー賞は受賞してないのね
こいつも受賞してたらSF三冠だったのにと思ったら、なにやらすごい不祥事が起きていたようなんよね
ヒューゴー賞というのは毎年世界のどこかの都市で開催される世界SF大会ワールドコンにおいて参加者(読者)による投票で決められる賞なんだけど、2023年に中国の成都で開かれたワールドコンに、既にネビュラ賞とローカス賞を受賞していたにもかかわらず『バベル』はノミネートすらされなかったの
そして後々内部告発などで明らかになったのは、「中国、台湾、チベットなど中国当局を刺激する恐れのあるトピックに焦点を当てている作品」を除外していたということなんよ
しかも担当者は作品も読まずに中国のことが書いてあるだけで、批判的な内容を恐れて除外しちゃってるみたいなんよね
しかもしかも皮肉なことに、本作は中国に批判めいた表現はほとんどなし
それどころか上巻では中国(清)カッコよ!大英帝国このクソ野郎!という
ほんともうなー
どうにかならんかね〜
ちなみに本作の『バベル』というタイトルはもちろん「バベルの塔」が由来なんよね
「バベルの塔」はご存知旧約聖書の『創世記』に出てくる物語なんだけど、その内容は昔人々は同じ言葉を話していて、協力して天(神々の住むところ)に届く塔を建設しようとしてたんよ
だけどそれを知った神様が「お前ら調子のってんじゃねー!」って怒って人々の言葉を互いに通じなくさせたという
多言語が生まれた”分断”の物語なんよ
そして図らずも、この騒動そのものが"分断"の象徴みたいになってしまったわけね
実際にはその"分断"をなんとかせな!って物語なのに
そんな作品が"分断"の象徴みたいな騒動に巻き込まれてしまったのよ
なんだかな〜
ほんともう残念だわ〜
Posted by ブクログ
寝食を忘れて物語に没頭したのは何十年ぶりだろうか。
それほどまでにこの物語は、ここ十数年で読んだ本の中で特別に素晴らしい。
舞台は十九世紀のイギリス。銀と翻訳を支配する者が世界を制する時代。その中枢機関・オックスフォードのバベルで学ぶ一人の学生が主人公。
中国の広東の港で育ったことから複数の言語が得意という能力をもち少年の頃に教授に拾われる。その生い立ちがまさしくこの本の作者の人生そのものだ。
伝統と格式を重んじるイギリスにおいてアジア人はあざけられ不当な扱いを受ける。その様子が同じアジアの日本人である読者に共感を呼ぶ。
たいていの翻訳SFものはカタカナが多く人の名前は覚えられず世界にのめり込むのに苦労する。がこの物語は銀の棒以外に奇抜なSF装置は登場せず、古き良き古典SFに近い。
『三体』に挫折した者(自分)であってもスラスラと読めてしまう平易さがうれしい。
主人公ロビンはある信念に大いにゆらぐ場面がある。そのシーンで自分もロビンになりどっちが正しいのだと悩み逡巡した。こんなにも自分が主人公になりきってしまうとは!
ハードカバーは分厚く文字は小さくなかなかページはすすまないが苦にはならない。むしろ残りページが少なくなってしまうのが寂しいくらいだ。
大学に入ると3人の同期と一緒に過ごす時間が多くなる。その青春のまばゆさがまた美しい。
作者が実際に翻訳の研究をしていた先生だというから、そのうんちくがこれでもかと散りばめられている。それを訳者が日本語に見事に翻訳している。特に踊るような比喩表現が随所に出てきて感嘆させられる
SF好きでなくとも是非読んでもらいたい傑作である
Posted by ブクログ
タイトルからノンフィクションかと思っていたらパラレルワールド的ファンタジーだった。
大学、マント、世界中から集められたエリート学生たちの寮生活…とちょっとダークなハリポタっぽいところも。
一応魔法っぽいのが出るけどこの作品では派手な回復や攻撃が出来るわけではなく、産業革命時の技術に代わるものであって商業商品みたいな意味合いを持っており、それを生み出せたり扱えるのがオクスフォードのエリート、という設定。
魔法よりもメインになっているのは、扱っているテーマが帝国主義とマイノリティであり、搾取する側とされる側であり、虐げる側と虐げられる側と言う構図であり、幼くして有無を言わさずイギリスに連れてこられたマイノリティ側の主人公が父親との確執を乗り越えようとし、同じく帝国主義に抵抗しようとする…といういわゆる正統派ビルドゥングスロマンの部分。そこはとても説得力がある。
私は言語学と中国語にも興味があるので、この世界の魔法に関する言葉の語源や変化のお話なども楽しく、割と一気読み出来た。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。