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バベルが供給する、銀を用いた魔法によって世界を支配する大英帝国。通訳として広東を訪れたロビンたちは、イギリスが阿片貿易を口実に清朝政府に戦争をしかけ、中国が持つ膨大な銀をわがものにしようとしていることを目の当たりにする。そしてロビンは、後戻りのできないひとつの決断をする。帰国したロビンたちは、戦争を食い止めるべく奔走するが……言語の力を巡る本格ファンタジー。ネビュラ賞、ローカス賞受賞作。
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Posted by ブクログ
「言語とは民族の象徴である」と言ったのは、十六世紀の機織り職人ヒマーワリ・メーロンですが、あるいは「民族を隔てる」ものとも言える 傲慢なバベルの塔の計画は神の怒りに触れ、その裁きによって人々は分断を余儀なくされた 「翻訳」とは分断された人々を再び繋げるための営みなのか しかし悲しいかな「翻訳」に”...続きを読む完全”はない、異なった言語では全ての単語に全く同じ意味を持つ対の言葉は存在しないからだ どんなに近しい言葉でも、住む場所が違えば全く同じニュアンスで使われることはない それでは人々は「完全に分かり合う」ことはできないのだろうか? フィクションの力を借りずとも、現実の世界はその答えを明確に示しているように思える 人々に残されたのは、緩やかな諦めだけなのだろうか そんなことないと信じたい 完全ではなくとも「翻訳」とは異なった背景を持つ人たちを少しでも理解し、手を取り合い、共に生きる世界を実現するための手段であるはずだ 新たなる「バベルの塔」は分断ではなく、共生の象徴となるのだ
上巻の前半部、所謂日常パートのようなものに退屈を感じ、ここまでくるのにかなりの時間を要してしまった。上巻の後半部に差し掛かってからあっという間だった。およそ2週間で下巻まで読みきってしまった。そのくらい物語は急展開を迎え、のめり込んでしまう魅力が詰まっていた。 あとがきの末尾に、バベルは何かを抽象...続きを読む化、あるいは比喩していると述べられている。個人的な想いではあるが、自分にとってそれは「社会」だと考えた。学生時代、自分が働いている姿を全く想像できなかったが、社会に出て働くことは当然だと考えていた。自分が与えられるもの、何らかの支払える対価も持ち合わせていないというのに、どうして社会から必要とされるのか、理解ができなかった。そして今思うに、それは社会が自分のような漠然とした将来像と優れた能力の持ち合わせがない者のために設計されていないということなのだと、改めて感じた。社会に出ることに必死で、時間に気持ちが追い付かない私は闇雲に就活を続け、気付いたら人生の半分以上を自分のためではなく、社会のために費やすという設計された社会に身を投じていた。彼らはバベルに所属しなければ人権などあり得なかった。そして私達も同様、仕事は人権のためであり、そのため勉学へ青春を捧げている。バベルのような結末を望んでいるわけではない。現代の「社会貢献をしなければならない」という常識は実は歴史の産物であり、人が負うべき当然のことではなく、私達が私達のために自由に選択できるものであると広く知れ渡ると良いなと考えている。
翻訳は単なる言葉の置き換えではない。歴史的、文化的背景のもとに、似たような言葉でも別のニュアンスを持っていることがある。その差が具現化する銀工術、一種の魔法のような技術がある世界の話。この魔法を使えるのは複数の言語に習熟した専門家のみ。バイリンガルだとさらに良い。19世紀、三角貿易で栄えていた英国が...続きを読む舞台。ようやく奴隷制度は廃止されたけれど、アジア・アフリカ諸国からの搾取は続いている時代。オクスフォード大学で学ぶことになった留学生たちの物語なのだが、人種差別に苦しむところから始まり、多くの社会的矛盾に直面する。200年近く昔の話なのだが、現代にも通じるものがあるし、もしかすると世界情勢は逆行しているんじゃないかとまで思わせられる内容だった。
物語の時代背景や人物像をじっくり描いたため、読み応えのあった上巻。ラストの衝撃を抱えたまま、下巻に突入!こちらはこちらで怒涛のスピード感。一気読み必至。これまで観てきた映画やドラマのワンシーンが折々に目に浮かんでは消えた。単純に“おもしろかった”で片付けられない複雑な気持ち。やっぱり豊崎由美さんが絶...続きを読む賛する本にハズレ無しだな。
読んでいて思っていたのは、「虐殺器官」と通底するテーマだなということ。かたやアメリカ帝国、かたやグレート・ブリテンで、帝国を崩壊させる主体も虐殺器官ではアメリカ人、いわば本書でのレティであるという違いはあり、つまり実は全く違う物語であるかもしれないが。著者の他の本も出たら読んでみたい。
#バベルオックスフォード翻訳家革命秘史 下 魔法の力に支えられて世界へ版図を広げる大英帝国。 異なる言語で同じ語源を持つ言葉を、銀の棒に刻み、その語を読むと魔法が発動する。それは数カ国語に通じた翻訳家にしか許されない秘技。しかし、決して唱えてはならない魔法の言葉があって・・・ オックスフォードで...続きを読む魔法を学ぶ男女4人という設定は、ハリポタの影響を受けているけれど、本作は「ダーク・アカデミア」というジャンルだそう。 同ジャンルの作品をもっと読んでみたいと思わせる本格ファンタジーだった。 #読書好きな人と繋がりたい
長い学校に入学するまでの期間、長いバベルでの学習期間を経てロビンたち4人の人間関係の葛藤だったり学生ならではの悩み苦しみを少しずつ見せてくれたので良かった。個人的に下巻が始まってから期待外れだと感じてしまうところもあったが、語源や言語の話が多く言語への興味をより深めることができたので良書だと思った。...続きを読む読んで良かったです
19世紀、大英帝国がその巨大な力を以て世界に君臨していた時代。 大英国の力の源は銀と翻訳にあった。同じことを表す複数の異なる言語の単語を銀に刻むと、その言葉の意味の微妙な相違による歪みが力を生み、馬車の速度を早め、船の運行を円滑に行い、大砲の狙いの精度と威力を増していた。 オックスフォードには世界各...続きを読む地から少年少女たちが集められ、大学構内の王立翻訳研究所バベルの塔で働く翻訳家となるために育成されていた。 中国の広東省から連れてこられた少年ロビン・スウィフトは中国語の翻訳者としてオックスフォードに入学する。 しかし、そこにはバベルから銀や蔵書を盗む秘密結社ヘルメス社があることや、英国は中国から銀と交換に英国に阿片を売りつけようとし、それに逆らえば戦争をも辞さない一方的な貿易をしいろうとしていることを知り、バベルの存在に疑問を抱き破始める。
ずいぶん間が開いてしまった。やっと読み終わった。やはり予想した通り希望に溢れるエンディングとはならなかったけれども。 銀と言語(翻訳)を使った魔法、物語の中に入り込むとクラクラしてしまう。 ある言葉が持つ「力」をいかに損なわずに他の言語に「翻訳」できるか。現実に「翻訳された」作品を読んでいるわ...続きを読むけで、本当に表現されていることを、どれだけ正しく受け止められているのか…… 「翻訳とはまさにそういうことなんだ、と思う。話すということはそういうことなんだ。他人の話に耳を傾け、自分の偏見を越えて、相手が言おうとすることをわかろうとすることだ。自分自身を世界に示しほかのだれかが理解してくれることを期待するんだ」(p307)
子供の夏休みの課題図書には少し話が難しいかもしれないが、ハリポタとかスチームパンク、ソフロニア嬢とかが好きなら是非。イングランド人以外の大英帝国の負の側面に触れる19世紀オックスフォードの学園もの。 銀と翻訳による言葉の魔法で蒸気機関や機能を向上させる、今なら電気やネットをイメージすると近いだろうか...続きを読む。理論は難しいのでそんな気にしなくて良い。
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