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Posted by ブクログ
「湖畔亭事件」
1926(大正15)年『サンデー毎日』連載作。
これはまさしく「昭和元年のセリバテール」【*1】物語。
モテたい(に違いない)のにモテようと努めておらず女っ気のない高等遊民が、
湖畔の宿、その名も「湖畔亭」で起きた怪事件を回顧する。
決して自慢できない悪趣味のせいで、脱衣場での殺人劇を垣間見るが、
犯人は誰か、そして、被害者の遺体はどこへ消えたのか……。
ストーリーには、読みながら、およそそんなことだろうと察しはつくものの、
独特の語り口に引き込まれてニヤニヤしながら最後まで楽しんでしまった。
名越國三郎画伯の挿絵が、お耽美で素敵(笑)
「一寸法師」
「踊る一寸法師」とは別作品。
1926(昭和元)年~1927(昭和2)年『朝日新聞』(東京版,大阪版)連載作。
高学歴だが職なし金なし女なし、という青年――
これすなわちまたしてもセリバ【*2】が、
夜の街をフラフラしていて奇ッ怪な人物に遭遇するのが発端。
富裕な一家を狙う怪人の跳梁、二転三転する最重要容疑者、
明智小五郎の推理はいかに……という、
本格探偵モノと通俗スリラーの混血のような一編。
作者自身の評価は低いそうだが、無茶な話なりに結構面白いと思うけど(笑)
【*1】高山宏『殺す・集める・読む』より。
1926年は昭和元年でもある。
日本における探偵小説の成立要件=背景を、
不景気で若者が貧乏で暇だったこと、と分析。
célibataire「独身者の」
【*2】célibat「独身者」
Posted by ブクログ
『湖畔亭事件』は、覗きの趣味を持った主人公が殺人と思われる瞬間を
目撃してしまうというところからお話が始まります。
主人公と同じ湖畔亭のお客の男性と
この湖畔亭に来る芸者の二人が
主人公の周りで繰り広げる推理や行動が、なかなか面白い。
話の始まりは、あんまり面白くなかったが
だんだん面白くなっていった作品だった。
犯人は誰なのかが、
結構、早く分かったのだが、
なぜ、こういう事件になったのかの理由が分からなかった。
読み進めていって、やっと分かった。
乱歩の面白さはここにあるのかなぁっと思った。
『一寸法師』は明智小五郎が活躍する作品。
一寸法師というのは、異常に背の低い人のことを、この作品では表しています。
なんだか、差別的な感情が込められていると思いましたが、
乱歩が作品を書いたときには、問題視されなかったのでしょう。
ストーリーは、はじめからのめりこんでしまいました。
なかなか出だしの怪奇事件が面白く
次が気になり、どんどん読んでしまいました。
主人公の目線で、自分も作品の中に入ってしまう感じでした。
Posted by ブクログ
「湖畔亭事件」と「一寸法師」の2編から成っている。
「湖畔亭事件」は、犯人探しについては、いまいちスッキリしない終わり方だった。結局のところ、真犯人は最後まで謎。望遠鏡を使った覗き趣味がある主人公が犯行現場を偶然見てしまい、犯人探しを開始するというストーリーにはちょっと興味を惹かれたが、特に驚くべき展開も見当たらなかったのは残念。
「一寸法師」は、極端に足が短く背の低い一寸法師と呼ばれる男が恐ろしい殺人事件のカギを握る人物として登場する。しかし、一寸法師は犯人ではない。読んでいても、誰が犯人なのかが最後までわからない。最後の最後に明智小五郎による解説を聞いて、思いもよらなかった事実がすべて明らかになる。こちらの話の方が意外性に富んでおり、個人的には好みだった。しかし、物語の中で繰り返し使われる「かたわ者」という表現が少し気になった。身体に障害を持つ者に対する「かたわ者」という表現はかなり問題があると思うのだが、昔はそういった表現が許されたのだろう。
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