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日本における本格探偵小説を確立したばかりではなく、恐怖小説とでも呼ぶべき芸術小説をも創り出した乱歩の初期を代表する傑作9編を収める。特異な暗号コードによる巧妙なトリックを用いた処女作『二銭銅貨』、苦痛と快楽と惨劇を描いて著者の怪奇趣味の極限を代表する『芋虫』、他に『二癈人』『D坂の殺人事件』『心理試験』『赤い部屋』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『鏡地獄』。
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Posted by ブクログ
江戸川乱歩の短編集。 日本の本格推理小説とホラー小説の草分け。名前は有名だが読んだ人は少ないのでは。かく言う私も読んだことがなかったが、宮崎駿が表紙と口絵を描いている『幽霊塔』の単行本を数行読んで、何かビビッときた。 ビビッときたなら、そのまま読めば良いのだけれど、先に短編を読んで乱歩に慣れておこう...続きを読むと思い(好きな物は最後に食べる)、新潮文庫の短編集二冊を買った。 本書は文字通り「傑作選」だった。収録されているのは初期の作品らしいが、文豪の凄味をひしひしと感じる。 新仮名遣づかい、新字体で読みやすい。というかそもそも読みやすい文章で、難しい心理や情景描写もないし、テンポも良くて娯楽小説のお手本なのだと今更ながら関心。ファンが多いのも納得。 純然たるエンターテイメントをしているが、日本の小説らしく湿度を感じるのがまた良い。 どの作品も奇人を魅力的に描いている。探偵である明智小五郎などはあっさりとした人間であるのに対し、猟奇的な犯人の犯罪に対する執着心の描き方が素晴らしかった。人生の退屈を埋めるために妄念に自らのめり込んで行く様は、犯行の残虐性や倫理観は抜きにして、生きづらさを感じている人にとても魅力的に映るだろう。小説という嘘のなかでこそ成り立つ美しさがあると思う。 江戸川乱歩も幼い頃は退屈と戦いながら、文学の世界に自分の場所を見つけたのではないだろうか。そういった意味では、話のグロテスクさの奥に人間的な温かみがあって、これこそ人間讃歌なのだと考えさせられた。 今の時代に自らの妄想にここまで浸れる時間があるだろうかと要らぬ心配をしだす。しかし、スマホひとつあれば暇は潰されてしまうのだ。屋根裏を歩いてみようなど、人生を余程楽しんでいるように思われる。といって歩きはしないけれど。 一方で悪はやはり悪なのだとバッサリと切り捨てている。『人間椅子』では、奇人に同情しかけそうになったところでの、奥方の唯一のセリフ「おお、気味のわるい」に全てが集約されおり、なんだか笑ってしまう。狂気に肩入れし過ぎないこのバランス感覚も、乱歩の愛嬌なのだと思う。次に読む予定の『江戸川乱歩名作選』も楽しみ。
なぜ今まで読んでこなかったのかと後悔するくらい夢中になって読んだ。 特に心理試験と屋根裏の散歩者が好みだった。 巧妙なトリックに驚かされたし、明智小五郎が何度も登場してくれて嬉しかった。 芋虫は、タイトルの愛らしさからは想像が付かないほど衝撃的な内容だった。 もっと江戸川乱歩の他の作品も読んでみたい...続きを読むと思った。
『孤島の鬼』から引き続き短編集を読んだ。全て面白かったが、『人間椅子』と『心理実験』が良かった。短編なのにどんでん返しや巧妙なトリックがたくさん散りばめられていて読んでいて楽しかった。 作中に「読者の皆は既にこのトリックに欠陥があることを知っていると思うが〜」的な文章が何度か出てくるが、勘の悪すぎる...続きを読む私は全くわからなかった笑
江戸川乱歩が面白いと薦められて、初めて読んだ乱歩本。昔の作品なので文章が読みづらくて敷居が高いんだろうなぁと言う先入観がありずっと読んでこなかったが、実際に読んでみると非常に読みやすくて面白かった(所々難しい表現等もあるにはある)。それに短編ということもあってかサクサク読める。個人的に一番面白かった...続きを読むのは「心理試験」かな。 これをきっかけに他の乱歩本も読みあさる予定。とりあえず次は「名作選」。
最後の「芋虫」があまりにも衝撃的で言葉が出ない。気味の悪さと切なさと気味の悪さが交差して呆気にとられた。戦時中に「芋虫」は発売禁止されていたほどだったのに、今では現実離れした怪奇な題材と思えることにも考えさせられる。 「赤い部屋」は、もしかしたら実際に、法律に触れない完全犯罪を行うことができるのかも...続きを読むしれないと思えてきて、芽生えてはいけない好奇心が、つい掻き立てられてしまう。 「人間椅子」は作中に出てくる”奥様”と感情が連動するようだった。気味が悪く背筋が凍ったあとの、得体の知れぬ感情で息も切れ切れ。 「鏡地獄」の最後の展開は、どんな光景になるのかは精一杯に想像することしかできないが、人を発狂させるほどの光景を想像するとゾッとする。 初めて江戸川乱歩の作品を読んだけれど、探偵小説ないし恐怖小説としてとても面白かったし、文学作品としても素晴らしかった。明智小五郎のキャラも良くて、この人の人生をもっと見てみたくなった。他の作品も読みます。
乱歩が根強い人気を持つ背景を理解できた。解説にもあるが、乱歩の作品は推理小説ながら、何度も読みたいと思わせる力がある。それは、愛憎や執着、傲慢、ドロドロとした人間模様とその描写が魅力的だからだと思う。私がここでいくつかの短編を読み、興味深く感じたのは「見る」という視覚的行為だ。芋虫や散歩者、d坂、鏡...続きを読む地獄にでてくる視覚情報は、雄弁に、緻密に、感情を伝える。それは、犯罪の始まりであったり、犯人の動機であったりする。「見る」という仕掛けが、事件をただの推理の対象とするのではなく、人間の営みだという根本的な事実を自然に示す。
推理小説は好きだが、江戸川乱歩をちゃんと読んだのは初めてだ。 本書は9つの短編集であるが、全てが探偵が登場する推理小説ではなく、怪奇的要素の強いものもあった。 どの作品も非常に興味深く夢中になれた。 あまり書くとネタバレしそうなので個別の内容には触れないが、特に不気味と感じ騙されたのは『人間椅子』だ...続きを読むった。 また、機会があれば江戸川乱歩の作品や江戸川乱歩が影響を受けた、また、江戸川乱歩に影響を受けた作者の推理小説を読んでみたいと思った。
『心理試験』 用意周到で完璧すぎる犯罪が、完璧ゆえに見破られていく。そんな過程がとても面白かった。 『人間椅子』 手紙調の文体が、より残酷にそこ恐怖を読み手に与えていたと思う。人間的なホラーがとても怖くて良かった。 この2作品がお気に入り。 あと『芋虫』では「孤島の鬼」同様、乱歩の書く「穴」が世間や...続きを読む常識からの解放を表していることがわかる。
少し茶目っ気のある文章とどこか他人事な感じがすごくよかった。他がカラッとしている分「芋虫」のじっとりとした感じが際立って印象に残った
ふと手を差し伸べられて引き上げてくれる、もしくは背中から押し上げてくれる。そんなふうに物語の舞台へ誘う言葉が江戸川乱歩の筆致に潜んでいる。この艶かしくおぞましい物語は禁忌や欲望が交錯した迷宮となる。好奇心こそ歓喜とリスクに満ちている。だから面白い。
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江戸川乱歩傑作選
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孤島の鬼(1)
疵(きず)の迷楼 耽美幻想セレクション
魔術師
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孤島の鬼
赤い部屋(乙女の本棚)
悪魔 乙女の本棚作品集
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