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ミレニアム・ピープル
首謀者不明のうえ犯行声明もなかったヒースロー空港の爆破テロは、精神科医デーヴィッドの前妻ローラの命をやすやすと奪った。その無意味な死に何らかの意味を見出そうと、デーヴィッドは様々な社会運動に潜入してテロの首謀者たちを突き止めようと試みる。やがてテロ組織の一員である謎の女ケイに辿り着くが、その出会いは彼らの指導者である医師グールドが計画した、中産階級の聖地チェルシー・マリーナでの実験の始まりを意味していた。一般市民が無差別的テロ行為を娯楽として消費する近未来を描く、20世紀SF最後の巨人バラードによる黙示録的傑作。/解説=渡邊利道 -
松風の記憶
巡業先の広島の古刹で変死した、歌舞伎俳優・浅尾当次。その報を竹野記者から受けた雅楽は、親友である当次の死に疑問を持つ。一方、女子高校生の仲宮ふみ子は、修学旅行で当次の亡くなった古刹を訪れていた。数年後、ふみ子は、当次の長男・当太郎と運命的に出会う――著者の初長編『松風の記憶』。美しい演出家未亡人と若き劇団員が絡み合う、劇団ツバメ座で起こったふしぎな事件の真相を、竹野記者の手記のみから雅楽が推理する『第三の演出者』。戸板康二が遺した雅楽もの長編を完全収録。資料も充実の《中村雅楽探偵全集》シリーズ最終巻。【収録作】「松風の記憶」/「第三の演出者」/中村雅楽エッセイ=戸板康二/徳間ノベルズ版『松風の記憶』 あとがき=戸板康二/講談社文庫版『松風の記憶』 後記=戸板康二/創元推理文庫版編者解題=日下三蔵 -
海泡
暑く長い夏休み、2年ぶりに小笠原へ帰省した大学生の木村洋介。難病を抱え、次第に弱っていく初恋の女性・丸山翔子に会うに忍びなく、帰りにくかったのだ。竹芝からフェリーでおよそ26時間、平和で退屈なだけが取り柄だったはずの島では、前村長の娘で中高の同級生・一宮和希がストーキングされていると噂が立ち、島一番の秀才と謳われ、医学部を目指していた藤井智之は不可思議な言葉を呟く。どこか不穏な空気が漂うなかで、二つの事件が続けざまに起こる――。常夏の島を舞台に、名手が伸びやかに描いた青春ミステリが、大幅改稿、決定版で登場。/解説=千街晶之 -
空の幻像
ペレス警部のもとに、アンスト島でエレノアという女性が失踪したとの知らせがはいる。彼女はテレビ番組の制作者で、親友の結婚式への出席と取材を兼ねて、夫や友人たちと島を訪れていた。現地に渡ったペレスが捜索をはじめてまもなく、エレノアは死体で発見される。島に伝わる少女の幽霊――1930年に溺死した“小さなリジー”のことを取材していた彼女は、失踪する前日に「浜辺で踊る白い服の女の子を見た」と話していたが、そのことと事件との関係は……。シェトランド諸島を舞台に、繊細かつ大胆に織りあげられた、現代英国本格ミステリの優品。/解説=松浦正人 -
強い人には戦略がある
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 本書の構成は、「布石と関係する戦略」「星と三々の戦略」「戦略のための部分戦術と応手打診」となっており、基本的戦略テーマが終わったあと、練習テーマへと続く。練習を通じて復習効果と実戦への応用力が養われるようになっている。さらに本文の間に補充コーナーを設けて、簡単な内容は「ワンポイント・レッスン」、やや難しい内容を「レベルアップ・レッスン」に区別した。本書によって部分戦略が強くなり、碁盤を支配する構想力が発揮できるようになるはずである。 -
緑の扉は夢の入口 第一の夢の書
母親と妹と一緒にロンドンに引っ越してきたリヴ。いきなり投げ込まれた新しい家族(母親の恋人一家!)と新しい学校に、必死で溶け込もうとする毎日だ。そんなある晩見た妙にリアルな夢の中で、リヴは学校の人気者、美形揃いの男子四人組に遭遇する。長い廊下に、たくさんの扉が並ぶ夢の世界。扉を開けるとそこは……墓地!? 夢の中とはいえ、なんで彼らはよりによって墓地にいるのだろう……。〈時間旅行者の系譜〉三部作で人気の著者の、新シリーズ開幕! -
シャーロック・ホームズの蒐集
1927年、アーサー・コナン・ドイルによる最後のシャーロック・ホームズ活躍譚「〈ショスコム・オールド・プレース〉」が《ストランド・マガジン》に掲載されて以降も、この不滅の人気を誇る名探偵の贋作は、数多くの作家によって書かれてきた。本書はそれらに連なる至高の傑作である。大英帝国を縦横無尽に駆け巡るシャーロック・ホームズと相棒ワトスン博士の〈語られざる事件〉を、世界有数のホームズ・ファンが愛と敬意を込めて作品化した、最高水準のパスティーシュ。「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」など6編を収録。【収録作】「遅刻しがちな荷馬車の事件」「結ばれた黄色いスカーフの事件」「ノーフォークの人狼卿の事件」「詮索好きな老婦人の事件」「憂慮する令嬢の事件」「曲馬団の醜聞の事件」/単行本版あとがき/単行本版解説=日暮雅通 -
真実の10メートル手前
高校生の心中事件。二人が死んだ場所の名をとって、それは恋累心中と呼ばれた。週刊深層編集部の都留は、フリージャーナリストの太刀洗と合流して取材を開始するが、徐々に事件の有り様に違和感を覚え始める。太刀洗はなにを考えているのか? 滑稽な悲劇、あるいはグロテスクな妄執――己の身に痛みを引き受けながら、それらを直視するジャーナリスト、太刀洗万智の活動記録。日本推理作家協会賞受賞後第一作「名を刻む死」、土砂崩れの現場から救出された老夫婦との会話を通して太刀洗のジャーナリストとしての姿勢を描く「綱渡りの成功例」など粒揃いの6編。第155回直木賞候補作。/解説=宇田川拓也 ※本作品は 2018年3月22日まで販売しておりました単行本電子版『真実の10メートル手前』の文庫電子版となります。 本編内容は単行本電子版と同じとなります。 -
人魚と金魚鉢
個性豊かなメンバーが集う、T大学芸術学部文芸サークル第三部〈ザ・フール〉。聴き屋体質にして名探偵の柏木君をはじめ、誰よりもネガティブな性格の先輩、推理マニアの美男子学生など、愉快な仲間達が遭遇する事件の数々。音楽学科の学生選抜コンサートの会場となるはずだった、大ホールのステージを泡だらけにした犯人は誰か? そしてその理由とは? 爽やかな余韻が残る表題作ほか、〈ザ・フール〉メンバーの熾烈なかくれんぼを描くシリーズ・キャラクター大活躍の「愚者は春に隠れる」など、全5編を収録。軽やかな連作ミステリ第2弾!/解説=宇田川拓也 -
ギデオン・マック牧師の数奇な生涯
スコットランドの出版社に、半年前に失踪したギデオン・マック牧師の手記が持ち込まれた。彼は実直な人間として知られていたが、失踪する直前に、神を信じないまま牧師になったことや悪魔と親しく語らったことを告白し、教区の信徒たちから非難されていた。手記には彼の生い立ちから、自分以外には見えない立石を発見したことや悪魔との出会い、そしてなぜそれを大衆の前で語ったのかがすべて記されていた。――出版者による序文、マック牧師の手記、そしてまた出版者が執筆したエピローグという独特の構成で描かれる、一人の牧師の数奇な生涯。スコットランドを代表する作家が、歴史、風俗、伝説、父子の物語などさまざまな要素を織り込んで綴ったブッカー賞候補作。 -
クリスマスに少女は還る
クリスマスも近いある日、二人の少女が町から姿を消した。州副知事の娘と、その親友でホラーマニアの問題児だ。誘拐か? 刑事ルージュにとって、これは悪夢の再開だった。十五年前のこの季節に誘拐され殺されたもう一人の少女――双子の妹。だが、あのときの犯人はいまも刑務所の中だ。まさか……。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れて言う。「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、何者かに監禁された少女たちは、奇妙な地下室に潜み、力を合わせて脱出のチャンスをうかがっていた……。一読するや衝撃と感動が走り、再読しては巧緻をきわめたプロットに唸る。では、新鋭が放つ超絶の問題作をどうぞ!/解説=萩原香※紙書籍版とはカバー画像が異なります。 -
吟遊詩人の魔法
かつてエイヴァールでは、吟遊詩人が学ぶ学院の〈視者〉たちが強大な魔法の力をふるい、王権とならびたつ権力を握っていた。だが〈視者〉の一部が禁断の魔法に手を染めたために争いがおき、学院は弱体化し、吟遊詩人の魔法は失われてしまった。……十二年に一度、タムリュリンの都では、盛夏祭に行われる競技会で最も優れた技を披露し優勝した吟遊詩人に〈銀の枝〉が与えられる。いまや王に絶大な影響力を及ぼす宮廷詩人も、競技会の優勝者だった。秘められた魔法と、陰謀が渦巻く都を舞台に、吟遊詩人たちの密かな戦いを描く本格ファンタジイ。 -
レイチェル
従兄アンブローズ――両親を亡くしたわたしにとって、彼は父でもあり兄でもある、いやそれ以上の存在だった。彼がフィレンツェで結婚したと聞いたとき、わたしは孤独を感じた。そして急逝したときには、妻となったレイチェルを、顔も知らぬまま恨んだ。が、彼女がコーンウォールを訪れたとき、わたしはその美しさに心を奪われる。二十五歳になり財産を相続したら、彼女を妻に迎えよう。しかし、遺されたアンブローズの手紙が、想いに影を落とす。彼は殺されたのか? レイチェルの結婚は財産めあてか? せめぎあう愛と疑惑のなか、わたしが選んだ答えは……もうひとつの『レベッカ』として世評高い傑作。 -
矢の家
フランスのディジョンに住む資産家ハーロウ夫人の死は、養女ベティによる毒殺である――夫人の義弟ワベルスキーがそう警察に告発したとの報が、ロンドンにある夫人の法律事務所に届く。事務所の若き弁護士フロビッシャーは事態を収拾すべく、事件を担当するパリ警視庁の名探偵アノーと接触してから現地に赴き、ベティとその友人アン、ふたりの可憐な女性と出会うのだった。“矢の家”グルネル荘で繰り広げられた名探偵と真犯人との見えざる闘いに、読者は解決編において驚嘆するであろう。文豪・福永武彦による翻訳で贈る、メースンの代表長編。/解説=杉江松恋 -
ポンド氏の逆説
温厚で小柄な紳士ポンド氏には、穏当な筋のとおった談話の最中に奇妙な発言をまじえる癖があった。死刑執行延期命令書を携えた兵士が途中で死んだせいで、囚人は解放された。二人の意見が完全に一致したために、片方がもう一人を殺した……など、辻褄の合わないポンド氏の発言が明らかにする、さまざまな事件に隠された、論理的だがあまりにも奇妙な真相。巨匠自らが逆説集と銘打った珠玉の短編集を新訳決定版にて贈る。文豪ボルヘスも驚嘆した「黙示録の三人の騎者」など、全8編を収録する、新訳決定版。【収録作】「黙示録の三人の騎者」「ガヘガン大尉の罪」「博士の意見が一致する時」「ポンドのパンタルーン」「名前を出せぬ男」「恋人たちの指輪」「恐ろしき色男」「高すぎる話」/解説=西崎憲 -
ブラウン神父の秘密
第四作品集に至っても、未だに驚異的なクオリティーを保つ〈ブラウン神父〉シリーズ。容疑者の詩人の不可解きわまりない行動の謎「大法律家の鏡」、この世の出来事とは思えぬ状況で発生した金塊消失事件「飛び魚の歌」、強烈な真相が忘れがたい「俳優とアリバイ」、常識をはるかに超えたユーモアと恐怖の底に必然的な動機がひそんだ「ヴォードリーの失踪」など全10編を収録する。〈ブラウン神父〉シリーズの精髄ともいうべき逆説とトリックの凄みが横溢する、巨匠チェスタトンにしか書きえない名短編集。【収録作】「ブラウン神父の秘密」「大法律家の鏡」「顎鬚の二つある男」「飛び魚の歌」「俳優とアリバイ」「ヴォードリーの失踪」「世の中で一番重い罪」「メルーの赤い月」「マーン城の喪主」「フランボウの秘密」/解説=高山 宏 -
犯罪心理捜査官セバスチャン 白骨
道に迷ったトレッキング中の女性が偶然見つけたのは、泥に埋まった人骨だった。山中に埋められた六人の遺体。大人が四人、子どもが二人。ずいぶん前に埋められたらしく白骨化していたが、頭蓋骨には弾痕があり、殺されたものと思われる。早速トルケル率いる殺人捜査特別班に捜査要請が出された。トルケルは迷ったあげく、有能だがトラブルメーカーのセバスチャンにも声をかける。家に居座ってしまったストーカー女にうんざりしていたセバスチャンは、渡りに舟とばかりに発見現場のイェムトランド県に同行する。史上最強の迷惑男セバスチャン再び登場。 -
パンドラの少女
【2017年7月公開・映画『ディストピア パンドラの少女』原作】その少女の名はメラニー。大好きなジャスティノー先生と教室で会えるのを心待ちにして、独房で過ごしている。移動はいつだって車椅子だ。兵士に、手足と首をストラップで厳重に固定されて――。人間の精神を失い、捕食本能だけで行動する〈餓えた奴ら(ハングリーズ)〉によって、滅亡の淵にある世界。だが、メラニーのような奇跡の子供たちが、荒廃した街で発見される。世界を救う鍵を求めて、ロンドン北の軍事基地で子供たちの研究プロジェクトが進められていた――その日までは。一気読み必至のエンターテインメント! -
製鉄天使
辺境の地、東海道を西へ西へ、山を分け入った先の寂しい土地、鳥取県赤珠村。その地に根を下ろす製鉄会社の長女として生まれた赤緑豆小豆は、鉄を支配し自在に操るという不思議な能力を持っていた。荒ぶる魂に突き動かされるように、彼女はやがてレディース〈製鉄天使〉の初代総長として中国地方全土の制圧に乗り出す――あたしら暴走女愚連隊は、走ることでしか命の花、燃やせねぇ! 中国地方にその名を轟かせた伝説の少女の、唖然呆然の一代記。『赤朽葉家の伝説』から三年、遂に全貌を現した仰天の快作――一九八×年、灼熱の魂が駆け抜ける。/解説=大森望 -
旧神郷エリシア 邪神王クトゥルー煌臨!
風の邪神イタカを退けたのち、ふたたび時空往還機に乗り探索の旅へと出立したド・マリニーとモリーンがボレアに帰還した。シルバーハットらとの再会を喜ぶも束の間、タイタス・クロウより突然の知らせが入る。最も恐るべき脅威、あのクトゥルーとその邪神どもがついに蠢きはじめた不吉な兆しが見られるという。やつらが決起したら、地球のみならず、全宇宙さえ危うい! クロウがいる善なる旧神たちの地〈エリシア〉へ、なんとしても行かねばならぬ――そう決心したド・マリニーはわずかな手がかりをもとに、エリシアへと急遽旅立つのだが……。〈タイタス・クロウ・サーガ〉最終巻!/解説=鵺沼滑奴 -
回想のぬいぐるみ警部
殺人現場に遺されていた、パンダの特大ぬいぐるみ入りの段ボール箱。被害者とは別人の名前で伝票も用意されており、集荷直前に何者かに襲われたらしい。音無美紀警部が、なぜぬいぐるみの購入店で直接配送を頼まなかったのか、をヒントに捜査を進めると、被害者の意外な人間関係と真相が明らかになる――。ますます冴える推理と美貌で周囲や事件関係者を驚かせる音無警部と、その部下たちの活躍を描く全5編。だが、少しずつぬいぐるみへの偏愛ぶりが周囲にも知られ始めて……。新たに強烈キャラクターも加わりパワーアップした、ユーモア本格推理〈ぬいぐるみ警部〉シリーズ第2弾。/解説=松尾由美 -
玉妖綺譚2 異界の庭
ずっと傍らにいた玉妖くろがねが妖力を失い眠りについて以来、ただでさえ半人前の驅妖師・彩音は、十分な仕事をこなせずにいた。そんなとき、難波コレクションの創り主難波俊之の甥彬良から、コレクションの玉妖で唯一まだ会ったことのなかった蒼秀に会える、との知らせを受ける。異界の知識をため込んでいる蒼秀ならば、くろがねを目覚めさせる方法を知っているかもしれない。彩音は期待を胸に、蒼秀の持ち主の屋敷を訪ねるが……。心の傷を隠して玉妖がらみの事件に挑む少女驅妖師・彩音。彼女は過去を清算し相棒を取り戻すことができるのか。/解説=卯月鮎 -
失踪者
イングランド南西部の田舎町に住むエレイン・ドーソンは幼馴染みのロザンナの結婚式に招待され、ジブラルタルに向かって出発したが、霧のためロンドンのヒースロー空港で足止めされ、親切な弁護士の家に一泊したのを最後に失踪する。何があったのか? 五年の時が流れ、雑誌の元記者だったロザンナはこの事件をはじめとする失踪事件について、調べることになる。当時疑われた弁護士は何か知っているのか? 障害のある兄の世話に疲れたエレインは自発的に姿を消したのか? ロザンナは友人の不可解な失踪事件の調査に次第に深入りしていく……。最後にあなたを待つ震えるほどの衝撃。作品すべてがベストセラーとなる、ドイツ一の人気作家による最高傑作! -
怪盗紳士モンモランシー
囚人493ことモンモランシー。警察から逃げる際に屋根から落ち、瀕死の重傷を負った男。運良く最新医療を駆使した外科医ファーセットの治療の被験者となり、一命をとりとめた。怪我も治り刑期を終え、娑婆に出たモンモランシーは、高級ホテルに滞在しながら、ロンドンの地下に張り巡らされた下水道を使い、服役中に得た様々な知識を駆使して、次々とお宝を頂戴していく。警察の捜査をかわし、昼間は紳士、夜は泥棒、ふたつの顔を自在に使い分けていたが、ある日暴れ馬を取り押さえたことから、彼の運命は大きく変わることに。痛快シリーズ第1弾! -
狂乱廿四孝/双蝶闇草子
三世澤村田之助、江戸末期から明治初期にかけて一世を風靡した歌舞伎の名女形。舞台の最中の怪我から脱疽となり結果として四肢を切断せざるを得なかった悲劇の名優である。明治3年、異彩の画家・河鍋狂斎の描いた幽霊画を発端とした連続殺人事件が、猿若町を震撼させる。幽霊画には歌舞伎界を揺るがす秘密が隠されているらしい――。滅び行く江戸の風情とともに、その事件の顛末を戯作者見習いのお峯の目を通して丁寧に活写した、第6回鮎川哲也賞受賞作『狂乱廿四孝』に、その後のお峯たちの姿を描いた未完の長編ミステリ『双蝶闇草子』を付す。/解説=浅野里沙子 -
ミステリなふたり ア・ラ・カルト
愛知県警捜査一課に君臨する京堂景子警部補は、絶対零度の視線と容赦ない舌鋒の鋭さで“氷の女王”と恐れられている。そんな彼女が気を許せるのは、わが家で帰りを待つ夫の新太郎ただひとり。日々難事件を追ってくたくたになって帰ってくる彼女を、主夫として家事もこなす彼が料理とお酒でもてなしてくれる。そうして夕食を終えて一日の疲れもすっかり癒された頃、景子が事件の悩みを話すと、新太郎が鮮やかに解き明かしていき――。旦那さまお手製の美味しい料理と名推理が、今夜も京堂家の食卓を彩る。デザートまで取り揃えた安楽椅子探偵譚9編。/解説=大矢博子 -
星の羅針盤
人の住む六つの王国と神秘に包まれた種族フィーンの王国は、長いこと平和のうちに栄えていた。だがフィーンのもとから大いなるダイヤモンドが奪われると、暗い影が世界を覆いはじめる。ギルデア王国が隣国に侵攻、戦火はいくつもの国を巻きこんでいった。戦火の迫る故国を脱し、母と兄とともに母の故郷の村に身を寄せたリーヴは、村はずれの深い森で、紫の瞳をもつ不思議な少女に出会う。永遠の友情、初恋、遙かな国の伝説、そして陰謀……。戦の影に怯えながらも、平和を願い、ひたむきに生きる少女の姿を描く〈サラファーンの星〉4部作開幕。 -
破壊者
女は裸で波間にただよっていた。脳裏をよぎるのは、陵辱されたことではなく、手指の骨を折られたことだった。――そして小石の浜に打ち上げられた遺体が発見される。被害者は長時間泳いだ末に力尽き、溺死していた。一方、死体発見現場から二十キロ以上離れた港町では幼女が保護される。彼女は被害者の三歳になる娘だった。なぜ犯人は母親を殺したのに娘を無傷で解放したのか? 海を恐れ船に乗らなかった女性がなぜ溺死したのか? 凄惨きわまりない事件は、被害者をめぐる複雑な人間関係を暴き出す。現代英国ミステリの女王が放つ稀代の雄篇。/解説=杉江松恋 -
少女地獄 夢野久作傑作集
書簡体形式などを用いた独自の文体で読者を幻惑する、唯一無二の怪奇探偵小説の巨匠・夢野久作。その入門書にふさわしい四編を収録した傑作集を贈る。ロシア革命直後に語られる数奇な話「死後の恋」。南の島に流された幼い兄妹の悲劇を綴る「瓶詰の地獄」。満州を舞台に、日本兵と異国の少女の逃避行を描く「氷の涯」。虚言癖の少女、命懸けの恋に落ちた少女、復讐に身を焦がす少女の三人を主人公にしたオムニバス「少女地獄」。『黒死館殺人事件』『虚無への供物』と並ぶ、不朽の大作『ドグラ・マグラ』の著者の真骨頂を示すベスト・オブ・ベスト。/解説=戸川安宣 -
霧に橋を架ける
人間を寄せつけない“霧”の大河に初めての橋を架けようとする人々の苦闘と絆を描き、ヒューゴー賞とネビュラ賞をダブル受賞した表題作。宇宙で遭難した女性と、圧倒的に異質な相手の邂逅を描く、ネビュラ賞受賞の衝撃作「スパー」。消失と再出現を繰り返す猿たちのサーカスとともに旅する女性が出合う奇跡を描いた、世界幻想文学大賞受賞中編「26モンキーズ、そして時の裂け目」。現代SF界きっての短編の名手が、孤独を抱えたものたちの不可思議な出会いとふれあい、そして別れを鮮やかに描く。数々の賞に輝く傑作11編を収めた幻想SF短編集。/解説=橋本輝幸 -
いつもが消えた日
中学三年生の滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、気が強く面倒くさがりだけれど、ご近所衆から頼られる人気者だ。ある日、望の幼なじみの洋平と同級生の彰彦、後輩の有斗が滝本家を訪れていた。夕飯をお腹いっぱい食べ、サッカー談議に花を咲かせたにぎやかな夜。しかしその夜、息子ひとりを残して有斗の家族は姿を消した。神楽坂一家三人行方不明事件は大きく報道され、一家が抱える秘密が明らかに――。神楽坂で起きた事件にお蔦さんが立ち上がる! 粋と人情、望が作る美味しい料理がたっぷり堪能できるシリーズ第2弾。/解説=宇田川拓也 -
病める狐
ドーセットにあるさびれた小村、シェンステッドでは、不穏の種がひそかに植えつけられていた。何者かによる動物の虐殺、数ヵ月前に起きた村の老婦人の不審死に対してささやかれる噂、村の一角にある〈雑木林〉を占拠した移動生活者(トラヴェラー)の一団。それらの背後には、フォックス・イーヴルと名乗る謎の男の影があった。人々の緊張は静かに高まりつづけ、そしてついにクリスマスの翌日、ひとりの訪問者が村を訪れたときに、事態は予想外の形で大きく動きだす……。現代英国ミステリの女王ウォルターズが、圧倒的な筆力で書きあげた、CWA最優秀長編賞受賞作。 -
執着
マドリッドの出版社に勤める編集者マリア。独身の彼女が、毎朝カフェで見かける理想のカップルと思える夫婦がいた。彼女は二人を見ては、幸せな気分で出勤するのだった。裕福そうな夫とカジュアルな装いが似合う妻は、子供を学校に送り出してから二人で朝のひとときを過ごしているらしい。しかし、ある日、出張から帰ったマリアが久しぶりにカフェに行くと、二人の姿はなかった。そして、恐ろしい事件があったことを彼女は知る。あの夫がホームレスに突然殺されたのだ! しばらくして、未亡人ルイサと知り合ったマリアはルイサと親しい、亡くなった夫の親友だった男に恋をする。しかし、彼の気持ちはルイサにしか向いていなかった。そしてある日、マリアは、彼の驚くべき秘密を知ることになる。あの事件は通り魔殺人ではなかったのか? 三角関係の清算だったのか? それとも……? 現代スペインを代表する作家で、ノーベル賞候補と目される著者による愛と死と罪をめぐる哲学小説。 -
偽りの書簡
1952年、独裁政権下のバルセロナ。上流階級の未亡人が扼殺され、新人記者のアナが独占報道の担当に抜擢された。警察は強盗殺人として早期解決させようとするが、納得できない彼女は被害者宅から押収された書類を調べ、恋文を発見する。差出人がわからなかったが思わぬ援軍を得る。はとこの文献学者ベアトリズは、文章の綴り方、言い回し、形容詞等からその手紙を書いた人物像を巧みに導き出し、驚くべき手がかりを見つけ出してみせた。言語と文学をこよなく愛する文献学者と猪突猛進の新人記者、姉妹のようなふたりが織りなす傑作ミステリ!/解説=大矢博子 -
比類なき翠玉
「あたしのハートはルビーで、ギデオンはそれを粉々にしたのよ!」――サンジェルマン伯爵から告げられた残酷な真実に、グウェンドリンの恋心は荒れ模様。そんななか、ルーシーとポールが盗んだクロノグラフの隠し場所がついに明らかになる。〈監視団〉メンバーやいとこのシャーロットの目をかいくぐり、若き日の祖父の協力のもと伯爵の陰謀に迫ろうとするグウェンドリンだったが、相棒・ギデオンとの関係はこじれたまま。〈監視団〉はメンバーの中に潜む裏切り者の正体を暴くため、十八世紀の舞踏会に二人を送りこむ計画を進めていたが……。 -
妖怪の子預かります
弥助は十二歳。養い親である按摩、千弥と共におんぼろ長屋暮らしをしている。貧乏ながらも平和な毎日を過ごしていたが、ある夜、いきなり恐ろしげな烏天狗にさらわれ、妖怪奉行所に連れていかれる。悪夢を見た弥助が鬱憤晴らしに割ってしまった石が、子預かり妖怪うぶめの住まいだったというのだ。妖怪の御奉行に、「罰として、新たな住まいが見つかり、うぶめが戻るまで、うぬが妖怪子預かり屋になれ」と命ぜられる弥助。それからというもの、次々と家にやってくる子妖怪達に振り回される日々が始まるが……。心あたたまるお江戸妖怪ファンタジー。 -
オーブランの少女
比類なく美しい庭園オーブランの女管理人が殺害された。犯人は狂気に冒された謎の老婆で、犯行動機もわからぬうちに、次いで管理人の妹が自ら命を絶つ。彼女の日記を手にした「私」は、オーブランに秘められた恐ろしい過去を知る……楽園崩壊に隠された驚愕の真相とは。第7回ミステリーズ!新人賞の佳作となった表題作の他、醜い姉と美しい妹を巡るヴィクトリア朝犯罪譚「仮面」、昭和初期の女学生たちに兆した淡い想いの意外な顛末を綴る「片想い」など、異なる場所、異なる時代を舞台に“少女”という謎(ミステリ)を描き上げた、瞠目のデビュー短編集。/解説=瀧井朝世 -
逃げ出したプリンセス
理想の王子さまは、なんと本物のプリンスだった! ガラスの靴とロイヤルウエディングの物語を主食に育った女の子たちがたいていそうであるように、わたしもかつて、プリンセスは生まれながらにプリンセスなのであって、あとからなるものではないと思っていた。そう、あの日までは……。わたし、エイミー・ワイルドはロンドンで庭師をしている。植物を愛することにかけては人に負けない自信とプライドがある。彼氏はいないけど、気の合うルームメイトにも恵まれ、充実した毎日だ。だが、その同居人のパーティーが、すべての始まりだった。スウィートでビターな、これぞ現代版シンデレラストーリー。 -
ヴァイキング、ヴァイキング
バラクラヴァ郡の地元紙記者クロンカイトは、105歳の誕生日をひかえた女性ヒルダのインタヴューに農場を訪れたあと、近くにあるルーン石碑を見にいこうとして、偶然、作男の怪しい死亡事故に遭遇する。その後、彼がくだんの石碑のことを大々的に報じるや、やじ馬が大挙して押しよせ、農場一帯は混乱の極みに。さらに第二、第三の“事故”が起き、石碑をたてたヴァイキングの呪いか? とささやかれるなか、シャンディ教授はまたしても右往左往するはめになりつつも、事件解決をめざす。温かなユーモアが満載の、心の底から楽しめる傑作ミステリ第3弾。/解説=宮脇孝雄 -
黄昏の彼女たち
1922年、ロンドン近郊。戦争で男手を喪い、母とふたりで暮らすフランシスは、生計のため広すぎる屋敷に下宿人を置くことにする。広告に応じたのは若い夫婦、レナードとリリアンのバーバー夫妻だった。家の中に他人がいる生活に慣れないフランシスだが、ふとしたきっかけからリリアンと交流を深めていく。公園でのピクニック、『アンナ・カレーニナ』の読書、そして互いの過去を知りあうことで……。いつしかふたりの女性に芽生えた感情は、この物語をどこへ運んでいくのか? 心理の綾を丹念に描いて読む者を陶酔させる、〈このミス〉〈週刊文春〉第1位作家・ウォーターズの傑作! -
真鍮のむし
相も変わらずの天才的なテナーサックスの演奏と、鮮やかな推理を披露するいっぽうで、世事にはうとい永見緋太郎だが、クインテットを活動休止にして、海外で原点を見つめ直すという唐島に同行することになった。ニューヨークを皮切りに、シカゴ、そしてジャズの聖地ニューオリンズで永見と唐島が出合った不思議な出来事。あこがれのミュージシャンが遺した楽器を手に入れた唐島を襲った災難、ニューヨークで管楽器の盗難事件に巻き込まれた永見が見いだした真相など、全7編を収録。ジャズと不思議に満ちた、日本推理作家協会賞受賞シリーズ第3弾。/解説=法月綸太郎 -
仮面の貴族
ファーシーア一族を恨むパイボルド一派から、デューティフル王子をとりもどしたフィッツ。赤船の乱で六公国に大惨事をもたらした外島人とのあいだに平和を築くべく王妃ケトリッケンがとりまとめた神呪字諸島の族姫との婚約の儀は、つつがなく執り行われることになった。バックキープにやってきた族姫エリアニアはまだ十一歳。だが並々ならぬものを内に秘めた少女だった。華やかな婚約の宴の陰に潜む外島人の思惑は? かつての暗殺者兼間諜のフィッツはなんとか探りだそうとするが……。圧倒的スケールの異世界ファンタジー〈道化の使命〉第二部。 -
エアーズ家の没落
この地方で、かつて隆盛を極めたエアーズ家は、第二次世界大戦終了後まもない今日では斜陽を迎え、広壮なハンドレッズ領主館に逼塞していた。かねてからエアーズ家に憧憬を抱いていたファラデー医師は、ある日メイドの往診を頼まれたのを契機に、一家の知遇を得る。物腰優雅な老婦人、多感な青年であるその息子、そして令嬢のキャロラインと過ごす穏やかな時間。その一方で、館のあちらこちらで起こる異変が、少しずつ、彼らの心をむしばみつつあった……。悠揚迫らぬ筆致と周到な計算をもって描かれる、たくらみに満ちたウォーターズの傑作。ブッカー賞最終候補作。 -
黄金の狩人
六公国を危機に陥れた外島人の“赤い船団”が撃退されて十五年。王ヴェリティが去ったあと、王妃が一粒種の王子を守り育てながら、なんとか平穏に国を治めてきた。一方、ヴェリティの兄であった第一王子の庶子フィッツ、暗殺者の弟子で、今やファーシーア一族の〈技〉を継承する唯一の生き残りとなった彼は、絆を結んだ狼と、訳あって育てている孤児の少年とともに、隠遁生活を送っていた。だが、かつての師シェイドの突然の来訪が、彼を再び運命の渦に投げこむことに……。圧倒的なスケールの異世界ファンタジー〈ファーシーアの一族〉続編、壮大な三部作、堂々開幕。 -
緋色の研究【深町眞理子訳】
アフガニスタンへの従軍から病み衰えて帰国した元軍医のワトスン博士。ロンドンで下宿を探していたところ、偶然に同居人を探している男を紹介され、共同生活を送ることになった。下宿先はベイカー街221番地B、相手の名はシャーロック・ホームズ――。ホームズとワトスン、永遠の名コンビの誕生であった。ふたりが初めて手がけたのは、空き家でのアメリカ人旅行者の奇妙な殺人事件。いくつもの手がかりから、ホームズの精緻な推理によって浮かびあがった驚きの真相の背景には、長く哀しい物語があった……。名探偵ホームズ初登場の記念碑的長編!/解題=戸川安宣、解説=高山宏 -
青春探偵ハルヤ
【2015年10月より、Kis-My-Ft2の玉森裕太さん主演で連続ドラマ化!(読売テレビ・日本テレビ系全国ネット)】浅木晴也は、アルバイトで生活費を稼ぎながら大学に通う貧乏青年。彼の許にある日、悪友の和臣が報酬付きの相談事を持ちかけてくる。仕方なく引き受けたストーカー撃退の依頼だったが、いざ待ち伏せして捕えた不審者は人違い。事情を聞くと、一人暮らしの妹と連絡がつかなくて、心配で様子を見にきていたらしい。妹思いの男が放っておけず、晴也は女の子の捜索も請け負うことに。脅迫者との交渉、女子寮の盗撮犯捜しと、次から次へと芋づる式に厄介事は増えていく……。トラブル解決に奔走する青年の慌ただしい日々を、軽快な筆致で描いた青春小説。 -
獏鸚
科学知識を駆使した奇想天外なミステリを描き、日本SFの先駆者と称される海野十三。鬼才が産み出した名探偵・帆村荘六が活躍する推理譚から、精選した傑作を贈る。麻雀倶楽部での競技の最中、はからずも帆村の面前で仕掛けられた毒殺トリックに挑む「麻雀殺人事件」。身元不明の美女の轢死事件に端を発した、神出鬼没の怪人“赤外線男”との対決を描く「赤外線男」。異様な研究に没頭する夫の殺害を企てた、妻とその愛人に降りかかる悲劇を綴る怪作「俘囚」。密書の断片に記された暗号と、金満家の財産を巡って発生した殺人事件の謎を解く「獏鸚」など、10編を収録した決定版。 -
ユダの窓
一月四日の夕刻、ジェームズ・アンズウェルは結婚の許しを乞うため恋人メアリの父親エイヴォリー・ヒュームを訪ね、書斎に通された。話の途中で気を失ったアンズウェルが目を覚ましたとき、密室内にいたのは胸に矢を突き立てられて事切れたヒュームと自分だけだった――。殺人の被疑者となったアンズウェルは中央刑事裁判所で裁かれることとなり、ヘンリ・メリヴェール卿が弁護に当たる。被告人の立場は圧倒的に不利、十数年ぶりの法廷に立つH・M卿に勝算はあるのか。法廷ものとして謎解きとして、間然するところのない本格ミステリの絶品。/座談会 ジョン・ディクスン・カーの魅力=瀬戸川猛資、鏡明、北村薫、斎藤嘉久、戸川安宣(司会)/本座談会と『ユダの窓』について=戸川安宣 -
量子宇宙干渉機
世界が再び全面戦争の危機に直面した21世紀、若き物理学者ヒュー・ブレナーらのグループは、ついに量子コンピュータの開発に成功した。この世界は唯一無二の存在ではなく、無数の世界が並行してあり、それらが相互に干渉し合うことでいかなる物事が起こるのかが決定される。ならばその“干渉”をコントロールすることで世界を救うことはできないのか?国防総省が乗り出した極秘プロジェクトの主眼はそこにあった。政府の監督下で別世界操作の研究を強いられるヒューら。眼前に自由世界への道が開いたとき……。量子力学に基づく多元宇宙ハードSF! -
千年の黙 異本源氏物語
【第13回鮎川哲也賞受賞作】帝ご寵愛の猫はどこへ消えた? 出産のため宮中を退出する中宮定子に同行した猫は、清少納言が牛車につないでおいたにもかかわらず、いつの間にか消え失せていた。帝を慮り左大臣藤原道長は大捜索の指令を出すが――。闇夜に襲われた中納言、消え失せた文箱の中身。縺れ合う謎に挑む紫式部を描いた第一部「上にさぶらふ御猫」。『源氏物語』が千年もの間抱え続ける謎のひとつ、幻の巻「かかやく日の宮」――この巻はなぜ消え去ったのか? 式部を通して著者が壮大な謎に挑む第二部「かかやく日の宮」。紫式部を探偵役に据え、平安の世に生きる女性たち、そして彼女たちを取り巻く謎とその解決を鮮やかに描き上げた華麗な王朝推理絵巻。 -
黒い白鳥
6月2日早暁、久喜駅近くの線路沿いで男の射殺屍体が発見された。列車の屋根に乗ってそこまで運ばれた男は、労使抗争に揺れる東和紡績の西ノ幡豪輔社長と判明。敗色濃厚な組合側の妄動か、冷遇の憂き目に遭う新興宗教かと囁かれる中、最右翼と目される容疑者を追っていた当局は意外な線から彼の行方を知ることに。膠着する捜査を引き継いだ鬼貫警部は西ノ幡社長が貸金庫に預けていた写真に着目、あるかなきかの糸を手繰って京都から大阪へ、そして忘れじの九州へと足を運ぶ。そこで鬼貫が得たものは? 緻密なアリバイトリックを駆使し、第13回日本探偵作家クラブ賞を受賞した雄編。/解説=有栖川有栖 -
体育館の殺人
風ヶ丘高校の旧体育館で、放送部部長の少年が何者かに刺殺された。放課直後で激しい雨が降り、現場は密室状態だった!?早めに授業が終わり現場体育館にいた唯一の人物、女子卓球部の部長の犯行だと、警察は決めてかかるが……。死体発見現場にいあわせた卓球部員・柚乃は、嫌疑をかけられた部長のために、学内随一の天才と呼ばれている裏染天馬に真相の解明を頼んだ。内緒で校内に暮らしているという、アニメオタクの駄目人間に――。しかしなぜ彼は校内に住んでいるのだろう?“平成のエラリー・クイーン”が単行本版より大幅改稿で読者に挑戦!第22回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻 真先 -
揺籃の星
地球はかつて土星の衛星であった――。こんな大胆な説が出現し、宇宙開発が進む未来、土星の各衛星では、数十年前に地球から移住した人びと、クロニア人たちが理想社会を築いていた。地球を訪問したクロニアの科学者たちは、この星の科学者にとって到底受け入れがたい惑星理論を展開する。太陽系は何十億年も同じ状態を保ってきたのではない。現に今、木星から生まれた小惑星のアテナは突如彗星と化し、地球を襲おうとしているのだと。『衝突する宇宙』で名高い“ヴェリコフスキー理論”を大胆に応用、宇宙の謎に迫るハードSF新シリーズの開幕! -
最後の1分
わずか60秒のなかに、いったいいくつの人生が込められているのだろう……。クリスマス前のある日、ヒースウィックの町で複数の爆発事故が同時に起きた。未曾有の大惨事。だが事故の因果関係は半年が経っても明らかにされていない……。クリスマスに娘が会いに来るのを楽しみにしている老人、一世一代の大葬儀を前にした葬儀屋の主、次期選挙を控えた不倫中の政治家、就職の面接を目前にした冴えない若者、校外学習に向かういたずらっ子を満載したバス、だれかれかまわず話しかけて漫談を聞かせる物乞い……。1章が1秒という短い章のなかに、登場人物たちの人生のひとコマを凝縮し、見事に描いた異色の傑作。 -
天国の破片
黒い革ジャンにジーンズ、そしてフルフェイスのヘルメットを身につけた男は、ナイフを突き出して言った。「金を出せ」。だが、その声はまだ幼い。――午前二時過ぎ、コンビニの店番をつとめていた元警官・阿南は、店に押し入った若い男に自分の蓄えから五十万円を用立ててやることで、強盗を思いとどまらせた。しかし数日後、阿南は他所のコンビニで起きた強盗傷害事件のことを知り、男の行方を追うため、またも私立探偵まがいの行動をとることになる。その中で出会う孤独な人々との交流、そして意外な真実。著者のライフワーク・シリーズ、第3弾。解説=村上貴史 -
昨日まで不思議の校舎
にわか高校生探偵団、市立最大の謎に挑む! 超自然現象研究会の会誌〈エリア51〉臨時増刊号が特集した「市立七不思議」が何者かに影響を与えたのだろうか? 突如休み時間に流された、七不思議の一つ「カシマレイコ」を呼び出す放送。そんな女子生徒は、もちろん存在しない。さらにその日の放課後に、四ヶ所で発見された「口裂け女」を模した悪戯、さらにさらに翌日には「一階トイレの花子さん」まで用務員室に出現。なぜ七不思議のうち、この三つが現われたのだろう? かつては七不思議ではなく、「市立三怪」だったということを突き止めた葉山君、そして伊神さんは、その背後にある悪意に気づくが……。コミカルな学園ミステリ・シリーズ長編。 -
夜の写本師
右手に月石、左手に黒曜石、口のなかに真珠。三つの品をもって生まれてきたカリュドウ。女を殺しては魔法の力を奪う呪われた大魔道師アンジストに、目の前で育ての親を惨殺されたことで、彼の人生は一変する。月の乙女、闇の魔女、海の女魔道師、アンジストに殺された三人の魔女の運命が、数千年の時をへてカリュドウの運命とまじわる。宿敵を滅ぼすべく、カリュドウは魔法ならざる魔法を操る〈夜の写本師〉としての修業をつむが……。日本ファンタジーの歴史を塗り替え、読書界にセンセーションを巻き起こした著者のデビュー作。 -
赤ちゃんはまだ夢の中
妊婦さんにも、ミステリがいっぱい!もうすぐ新しい家族が加わるっていうのに、「主人と別れて、新しい恋人のもとへ行きたい」「居候が多すぎる」「強面の借金取りがやって来る」「妊婦さんが上の子に厳しすぎる」と、どうしてどこのお宅も問題ばかりなのっ!再びコンビを組んだ聡子先輩と見習い助産師の陽奈に降りかかる、厄介な家庭の事情の数々。自宅出産専門の助産師コンビの持ち込む家庭のトラブルに、伝説のカリスマ助産婦・明楽先生の鮮やかな推理がますます冴え渡る。様々な“家族の愛”をテーマに、心温かなユーモアを描いた、助産師探偵シリーズ第三弾。 -
幸せの萌黄色フラッグ
JFLから昇格して3年目、今年こそはJ1へと意気込んでみたものの、わがビッグカイト相模原は現在最下位。新人ストライカーだった元気くんはたくましく成長したはずなのに、絶不調で今シーズンはいまだノーゴール。試合を観戦しにくる女性が気になるらしい。ホペイロの僕はといえば、相も変わらず洗濯三昧。いえいえ、クラブのではなく。実はある女性と暮らしてます。でも、いつも慣れているからと掃除洗濯が僕の役目。プロサッカークラブのホペイロ(用具係)を務める坂上栄作のドタバタを、ユーモアと愛嬌たっぷりに描いた、ほのぼの連作ミステリ。第2シーズン、キックオフ! -
将棋殺人事件
窓ガラスいっぱいに、口紅を使って描かれた落書き。無言の電話。白紙の手紙。冷たい視線。そして彼女は悲鳴を絞り出した。きちんと揃えてあった彼女の靴が五、六足、今はことごとく、裏返しにされて置かれていたのである――そういえば先生、最近六本木界隈で流行っている噂、知ってる? お墓から少し離れた場所に一枚の紙が落ちているのを見つけ、何だろうと思って拾ってみると、それには謎々が書かれてあって――土砂崩れのせいで、地中に埋まっていた屍体が見つかったんだってさ。おや、屍体はふたつだ――いったい何が進行しているのか? 五里霧中の展開に眩暈を覚える異様な力作。少年探偵・牧場智久、第二の事件。 -
風の岬 高城高全集4
麻薬密売にからむ轢死事件を追う捜査官が、製紙工場の廃液がにおう町で見た人間模様とは――「踏切」。ススキノに生きる男たち女たちが巻き込まれた交通事故の真相に新聞記者が迫る――「飛べない天使」。嵐の中、岬へ向かう男たちを待っていた運命とは――「風の岬」。新聞記者、麻薬捜査官、国境の海の謀略に巻き込まれた男たちや、歓楽街にうごめく若者群像。そして、北へ向かう追跡者たちに、戦後の闇をひきずる男の軌跡……。1960年から1970年にかけて、北の都・札幌を舞台とした作品を中心に、北海道で繰り広げられる人間ドラマを活写した作品群! 高城高全集、第4弾。 -
悪魔の紋章
法医学の権威宗像隆一郎博士が探偵事務所を開設して数年。難事件を次々に解決して英名天下にあまねく轟き、かの明智小五郎に比肩するばかりであった。ある日のこと、博士の助手木島が予告殺人の犯人に関する手掛りをもたらし、彼自身も毒を盛られて死ぬ。予告された犠牲者は川手庄太郎、妙子、雪子の父娘。木島が携えた証拠品とは、三つの渦巻が相擁する世にも稀なる指紋であった。弔い合戦に臨む宗像博士を敵に廻し、悪魔の証三重渦状紋の主は観念の眼を閉じるのか。終盤に至って名探偵明智小五郎が京城から帰朝、長広舌を以て披露する明快な論理が、残虐飽くなき復讐魔に引導を渡す。