無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
比類なく美しい庭園オーブランの女管理人が殺害された。犯人は狂気に冒された謎の老婆で、犯行動機もわからぬうちに、次いで管理人の妹が自ら命を絶つ。彼女の日記を手にした「私」は、オーブランに秘められた恐ろしい過去を知る……楽園崩壊に隠された驚愕の真相とは。第7回ミステリーズ!新人賞の佳作となった表題作の他、醜い姉と美しい妹を巡るヴィクトリア朝犯罪譚「仮面」、昭和初期の女学生たちに兆した淡い想いの意外な顛末を綴る「片想い」など、異なる場所、異なる時代を舞台に“少女”という謎(ミステリ)を描き上げた、瞠目のデビュー短編集。/解説=瀧井朝世
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
現在、ドはまり中の深緑野分。様々な書評を見ると、単行本デビューとなる本書「オーブランの少女」を推す声が多数見られたので読みたくなった。だいぶ出版が古くて書店では入手できなかったので、困った時のBOOKOFFで探したところ・・・ありました。
深緑野分のことについては殆ど何も知らないまま作品にのめり込んだので、巻末の瀧井朝世の解説は本当に参考になった。やはりこの本の位置づけはかなり重要なので、この時点で読んでおいて良かった。本としての全体像は実に多岐に亘っており、作者の文章構成力の高さを目の当たりにした。どんなジャンルの作品でも書ける実力が確実にある。本書は短編集なので、一つの作品を読み終える度に、次の作品では私をどの様な世界に連れて行ってくれるのかワクワクしながら作品を読み始めることができる。さて、個別に感想を述べたい。
〇 オーブランの少女
最初は普通の秘密の花園的な世界から入るのだが、急に不穏な世界に引きずり込まれてしまう。この良くあるパターンに知らず知らずのうち引き込まれ、結果として初めに戻る。
〇 仮面
もうアトキンソンが可哀そう過ぎる。医者になるくらい頭がいいはずなのだが、小娘に簡単に騙される。医者に必要な記憶力をいくら持っていても、頭の回転が悪いのではいずれ滅びる。まあ、結果的には嵌められて犯罪者となった訳だが、自分の能力をきちんと把握していないとこうなってしまうのだな。
〇 大雨とトマト
店主、いるよね、こんなオヤジ。でも、オヤジの色っぽい話で終わるのかと思ったら、よもやの募金箱の話で締め括るとは、これもどんでん返しの一種か?募金箱から金を抜いた犯人は、読者は判った。しかし、オヤジや妻は犯人を知らないまま今後も生きていく。オヤジが写真について息子に聞いても、普通なら息子がしらばっくれて終了。
〇 片思い
岩様は江戸時代だったらお岩さんか。でも名前の方が薫子さんとはね。あまりにもギャップが大き過ぎる。お岩さんだと、あまり良いイメージではない。最初は暗くて寡黙だったが、物語の後半では一転して迫力のある台詞が続く。さぞかし水野環ならぬ杉浦友子さんは怖かったでしょうね。題名から考えてもてっきりGLの話かと思ったのだが、さすがのどんでん返しが後半を盛り上げてくれた。
〇 氷の皇国
ありの~ままに~♪の世界の話かと思ったら、なんと、こてこてのミステリー、謎解きミステリーとは全く予想できなかった。しかし、杉下右京ばりの皇后陛下の推理で一件落着となるとは・・・もう素晴らしすぎて感動です。後日談も痛快痛快、満足の極みです。
深緑野分も麻薬・覚醒剤の様な作家。最近の私はいろいろな薬に手を出している。彩瀬まる、村山早紀、そして深緑野分。誰が大麻か、コカインか、LSDかは言及しないが、とにかく禁断症状を抑えるのに心底苦労している。うっかり連続摂取するものなら、知らないうちに長時間読み続けて睡眠時間が削られる・・・やっぱり麻薬・覚醒剤じゃないか!最近ではちょっとしたきっかけで伊坂幸太郎も使ってしまった。一時期やめていたのに・・・脱法ドラッグか?依存症って怖いですよね。もう抜け出せない。誰か助けて。おねがい。
少女にまつわる幻想的で耽美な作品集。こう書くと、同じような短編が並んでいるように思えますが、一つ一つのベクトルが違っていて飽きないし、どれも独自の世界観で深くおもしろいです。深緑野分さんは初めて読みましたが、いい作家に巡り会えたと感じました。
Posted by ブクログ
表題作「オーブランの少女」は「ミステリーズ!新人賞」で佳作だったという。読んでみると緻密に計算がされているふうに感じられた。プロットがしっかり作り込まれていたのではないだろうか。それでいて、魅力あふれる文体上には豊富な知識、語彙力、表現力がほとばしっている。計算や設計図を守るために文章が縮こまっているふうではなかった(とはいえ、もう少し枠からはみ出すように書いても面白かったのかもしれない)。
最後の一編はこの作品集のなかでもっともページ数が多い。そして、さきほど「アニメ化に向いている作風」と書いたが、異国ファンタジー色が強いのでやはりそういった向きはあると感じられるものの、小説の領域に足を踏み入れているその深度はそれまでよりも高まっていたように読み受けられた。とにかく、読ませる。ぐっと引き込んでくる。読む者の目、注意、好奇心を呼び込む強い重力が筆力に宿っている。これが著者のデビュー短編集なのだから、敬服してしまった。
猟奇的な描写、残酷な描写がある。僕としてはあまり得意ではなく、これまで避けてきたところがあるのだが、血なまぐさいシーンがあることで作品の世界が広がったり、外へと開いたりしているように感じられた。表現するモノへ勝手気ままに自主規制をかけたり制限をかけたりすると、作品が放つエネルギーにまで足枷をはめてしまうのかもしれない。とくに書き手初心者・書き手入門者にとっては、作り上げる世界が枠の内に閉じてしまうことは避けたい。制限をかけることで自分のバランスを安定させたいという、「安定が崩れることへの不安や恐怖」を優先させる執筆というのはある。より労力をかけないため、収集がつかなくなることを恐れるため、枠内に収めるというかたちで保険をかけてしまう。自分がどこまでやれるかわからない初心者は、制限を設けず、血なまぐさい描写も行き過ぎた性描写も恐れることなく手をだしてみるといいのだ。整えていくのはそれから。失敗から学ぶことだ。閉じないこと。……というような考え事にもつながる作品だった。
Posted by ブクログ
【オーブランの少女】
大人たちの都合で少女たちは集められ
大人たちの都合で先行きを決められる
抗った二人の少女は……
人間 このおぞましい生き物
他者の命を奪った者には厳罰を与えるのに
戦で敵の命を奪う者は褒められる
何という矛盾
【仮面】
人は皆仮面を付けているのかもしれない
【大雨とトマト】
外は嵐、日曜日のレストランでの出来事
店主である父親の千々に乱れる想いがちょっと痛々しい
少女はどうするのだろう
【片想い】
高等女学校の寄宿舎、同室の二人の少女の想いと想いが若くて青くて良いなあ
【氷の皇国】
小さな漁村、網にかかったのは人の亡骸
二人の少女におきた出来事が
とても とても 悲しい……
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸
小説・文芸