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1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4ヵ国統治下におかれたベルリン。ソ連と西側諸国が対立しつつある状況下で、ドイツ人少女アウグステの恩人にあたる男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に含まれた毒により不審な死を遂げる。米国の兵員食堂で働くアウグステは疑いの目を向けられつつ、彼の甥に訃報を伝えるべく旅立つ。しかしなぜか陽気な泥棒を道連れにする羽目になり――ふたりはそれぞれの思惑を胸に、荒廃した街を歩きはじめる。
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Posted by ブクログ
読中読後、頭や心の中に衝撃を受けてそれが尾を引く。ナチス台頭と敗戦を迎えたドイツをドイツ人少女の目線で描く大作。ミステリとかエンタメのジャンルで括れる作品ではなく、深く重い。 フェイクニュースの発信や大衆煽動の怖さは、遠い昔の遠い国の話ではない。自分は正しく生きられるのか、子供に正しい行動をとるよう...続きを読むに教えられるか。色々と考えさせられた。
平和というものは死に物狂いで維持しなければ維持できない。選民思想はこころえぐられるけど、いまアメリカファーストとか言って選民思想やろうとしてると思うと嘆かわしいわ。障害を持った人たちまで連れ去られて、殺されてしまう世界。日本の経済ってまだまだ豊かだからSDGだか、DEIとか言ってられるけど、瀕してき...続きを読むたらそんなこと言ってられないし、平和はやっぱり一人ひとりが全力で守らなければと思った。
夏の今この時に読めた事がとても良かったと思っています。 面白いと言う言い方をしていい物語の内容か分かりませんがとても面白いです。そして素敵です。 翻訳の作品と思ってしまう空気感でした。 深緑野分さんの他の作品も手にしたくなりました。
「ベルリンは晴れているか」(深緑 野分)を読んだ。 人間という生き物の際限のない愚かな行いを真正面から描く衝撃の怪作。 ヒットラー時代の幕開けから、終戦後の東をソ連、西を米・英・仏に分割統治されたベルリンを舞台に繰り広げられる物語の中で、驚くべきひとつの真実が明かされるミステリー小説でもある。 ...続きを読む 見事! 『次は誰を船頭にすればいい? 誰に舵取りを任せればいい? 誰が誰を裁き、自分たちはこれからどんな国旗を掲げればいいんだ?』(本文より) (ネタニヤフやプーチンにこの本読ませたいぞ)
名作や 出会えてよかった この夏、ソ連 ドイツ 日本 それぞれが舞台の戦争小説を読んでみて、これまで小中高の授業で学んだ歴史の知識だけではなにひとつ戦時中のことを想像できなかったてことに今さら気付いた 新しい小説や映画に触れたりニュースで世界情勢を知ったりするたび、自分の知識の足りなさに絶望する
1945年7月のベルリンを舞台に、主人公の17歳の女性が、ソヴィエト側の命令を受け恩人の男性が毒殺された犯人を探す旅に出るというストーリーです。 章の合間に主人公の過去が振り返られ、徐々にナチスドイツの勢いによって一般人の主人公やその家族周辺の人たちが生き方や考え方を変えないと生きていけなくなって...続きを読むいく過程が描かれていきます。 一人ひとりの思想が統制される時代を経て、敗戦によって立場が逆転したり自分のしてしまったことに後悔を抱える人など、それぞれの生き方が戦争によって左右されていく様が、読んでいて辛く感じる場面もありました。 本編の流れは中盤以降一気に動いていきます。 それも私は驚きながら読み進めることができ、ミステリー的な面白さもあって読めて良かったと感じました。
日本の戦中、戦後の話は、この身におびただしく浴びている。 そして、まずはアメリカのベトナム戦争、ソ連側の戦中、戦後の話も読んできた。 しかし、ドイツの物語は、どれもユダヤ人の側から見た話しばかりだった。”アーリア人種”からの物語は初めてだった。どの人にも戦争はあったのだ。 そして、本作。圧倒的なリ...続きを読むアリティと謎解きを駆動力として、物語は進む。 最後に作者が書いたのは、良心? オチが着いたとは思えないが、説得力はある。
1944年、ナチスが崩壊した直後のベルリンが舞台の小説。日本人が日本語で書いたからというだけではない力があるんじゃないだろうか。ぐんぐん引き込まれて最後まで面白く読んだ。 たぶんジャンル的にはミステリーになるんだろうけど、ミステリーとしてよりは、書かれている描写に引き込まれた。ナチスが崩壊した後の貧...続きを読むしく荒んだ様子の臨場感がすごい。ベルリンに西側勢と東側勢がそれぞれ入ってきて、明日をも知れない感じ。考えもしなかった一時期がベルリンにあったんだなあ。
占領された国で生活する、という圧迫感笑とてもリアルに感じた。 今までドイツの歴史は知っていても、その時の生活がどんなに恐ろしいものであったか、想像力が足りていなかったことを知った。 そしてソ連軍の体質、今のウクライナでも同じことが起こっているのだろうかと思った。 お父さんが話してくれた、薔薇見学...続きを読む禁止の立て札を引っこ抜く話、絶対に忘れない。
映像の世紀
読了したのは、もうずいぶん前の事ですが、数年後テレビ放送を見ていて、ある種の既視感を覚えました。 それは「NHKスペシャル映像の世紀」という番組でした。 ヒトラーやナチスドイツをフィーチャーした再放送でしたが、以前に観た記憶は無く不思議でした。 しかし番組が進むにつれ、それが漸く本書「ベルリンは晴れ...続きを読むているか」の幾多の文章が紡ぎ出した舞台だという事に気づきました。 白黒フィルムが映し出す、ベルリンの悲惨な光景…… それは、本書を読んでいた時に頭の中で描いた世界と寸分違わぬ物でした。 おそらく深緑野分さんは、この映像をご覧になっていくつかの場面を執筆されたのでしょう。巻末の主要参考文献一覧に、この番組名がありました。 観たものを忠実に言葉に表すという事が、どれだけ難しいかは人それぞれかもしれませんが、深緑野分さんは見事にそれをやり遂げています。 脱帽です。 もちろん、ストーリーも素晴らしいので是非ご一読ください。 「オーブランの少女」、「戦場のコックたち」も併せてお勧めします。
#アツい #感動する #深い
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