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Posted by ブクログ
1. 物語
1945年7月、第二次世界大戦直後のベルリン。街は瓦礫の山と化し、米ソ英仏の4カ国による分割占領下で緊張が走っていた。
米軍の食堂で働く17歳の孤児・アウグステは、かつての恩人・クリストフが青酸カリ入りの歯磨き粉で毒殺された事件で参考人として疑いをかけられる。
クリストフは幼いアウグステを匿ってくれた命の恩人だったが、彼女は終戦直前、彼が長年にわたり子供たちを毒殺してきた連続殺人鬼であった事実を知り、密かに憎悪を募らせていた。
アウグステは疑いを晴らすため、ソ連側に利用されて放たれた陽気な泥棒・カフカとともに、事件の鍵を握る人物を探す2日間の旅に出る。
旅路のなかで浮き彫りになるのは、米ソの対立、ナチス体制下の密告や裏切り、そして戦禍を生き延びた人々が抱える深い「罪と傷痕」だった。
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2. テーマ
「戦争が遺したトラウマと、極限状態における人間の尊厳と再生」
本作が掘り下げるのは、国家の暴走や不条理な暴力によって個人の心がどのように破壊されるかという点である。
戦時中、人々は生き延びるために誰かを裏切り、加害者にも被害者にもなった。戦争が終わっても心の中の戦いは終わらない。
そうした過酷な極限状態を経た人間が、自らの過ちや後悔とどう向き合い、人間の尊厳を取り戻して再生していくのかが重厚に描かれている。
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3. 学び
「不条理な世界の中でも、自分の手が届く範囲の日常に誠実であること」
巨大な歴史の波や解決不能な絶望を前にすると、人は無力感に苛まれ、思考を放棄したくなる。
しかし、どれほど過去や世界が暗くとも、自らの傷を誤魔化さずに向き合い、「自分の手が届く範囲の日常」において誠実な選択を重ねること。
完璧な正解がない世界だからこそ、自らの意思で一歩を踏み出し、目の前の人を大切にすることこそが、絶望の中で心の平穏と希望を取り戻す道であると教えてくれる。
Posted by ブクログ
1945年7月のベルリンを舞台に、主人公の17歳の女性が、ソヴィエト側の命令を受け恩人の男性が毒殺された犯人を探す旅に出るというストーリーです。
章の合間に主人公の過去が振り返られ、徐々にナチスドイツの勢いによって一般人の主人公やその家族周辺の人たちが生き方や考え方を変えないと生きていけなくなっていく過程が描かれていきます。
一人ひとりの思想が統制される時代を経て、敗戦によって立場が逆転したり自分のしてしまったことに後悔を抱える人など、それぞれの生き方が戦争によって左右されていく様が、読んでいて辛く感じる場面もありました。
本編の流れは中盤以降一気に動いていきます。
それも私は驚きながら読み進めることができ、ミステリー的な面白さもあって読めて良かったと感じました。
映像の世紀
読了したのは、もうずいぶん前の事ですが、数年後テレビ放送を見ていて、ある種の既視感を覚えました。
それは「NHKスペシャル映像の世紀」という番組でした。
ヒトラーやナチスドイツをフィーチャーした再放送でしたが、以前に観た記憶は無く不思議でした。
しかし番組が進むにつれ、それが漸く本書「ベルリンは晴れているか」の幾多の文章が紡ぎ出した舞台だという事に気づきました。
白黒フィルムが映し出す、ベルリンの悲惨な光景……
それは、本書を読んでいた時に頭の中で描いた世界と寸分違わぬ物でした。
おそらく深緑野分さんは、この映像をご覧になっていくつかの場面を執筆されたのでしょう。巻末の主要参考文献一覧に、この番組名がありました。
観たものを忠実に言葉に表すという事が、どれだけ難しいかは人それぞれかもしれませんが、深緑野分さんは見事にそれをやり遂げています。
脱帽です。
もちろん、ストーリーも素晴らしいので是非ご一読ください。
「オーブランの少女」、「戦場のコックたち」も併せてお勧めします。
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小説・文芸
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