戦場のコックたち

戦場のコックたち

小説・文芸
1,018円 (税込)

5pt

1944年6月、ノルマンディー降下作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエドら同年代の兵士たちとともに過酷なヨーロッパ戦線を戦い抜く中、たびたび戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件、塹壕戦の最中に聞こえる謎の怪音――常に死と隣あわせの状況で、若き兵士たちは気晴らしのため謎解きに興じるが。戦場の「日常の謎」を連作形式で描き、読書人の絶賛を浴びた著者初の長編ミステリ。【目次】プロローグ/第一章 ノルマンディー降下作戦/第二章 軍隊は胃袋で行進する/第三章 ミソサザイと鷲/第四章 幽霊たち/第五章 戦いの終わり/エピローグ/主要参考文献ほか/解説=杉江松恋

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戦場のコックたち のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    戦場でもコックさんはのほほんとご飯作るのよ、って話じゃなかった。当たり前だけど、題名になんか微妙な救いを求めてしまった…5話仕立て。下手な初陣のキョロキョロ感から、だんだん練れてきて、仲間も壊れていく人も多い中、よく頑張ったとは思う反面、どうしてもやっぱりメルヘンだよねとも思う。

    ティモシーとディアゴはコック兵。ノルマンディー上陸作戦のパラシュート部隊に配属されている。なんとか降下して上陸したが、陸上は大混乱。シャトーに臨時野戦病院を、その隣に野外調理器を設営。負傷者以外はレーションを食べる。ライナスはなぜか予備のパラシュートを集めている。

    カランタンに進軍して、前線を交代、後方の基地に入る。身体を鍛えたり、ティモシーはコックなのでご飯を作る。食材は全てアメリカから送られるので、生卵やミルクなどにもお目にかかれない。乾燥玉ねぎに乾燥人参に粉末卵。そこに事件が起きる。3トン、600箱の粉末卵が紛失したのだ。

    ノルマンディーに上陸して三ヶ月。フランス国内での兵站が伸び切ってしまい、今度はオランダのアイントホーフェンに降下することになった。戦車隊を通さねばならないのだ。今回はコックとしての出番はない。そして苦戦続きだ。

    ベルギーのバストーニュを死守するようにとの作戦を命じられる。最初からかなり厳しい作戦だ。前線で孤立し、苦労して掘ったタコツボから出るに出られない。ディアゴが戦争神経症になってしまい、謎の足音が聞こえるとタコツボから出られなくなってしまう。エドがやられてしまう。

    アルザス地方で追い込みをかけていた。どんどん進む。ルール地方に入る。そしてダンヒルの秘密に気づく。彼は最後の仕事をする。もう戦争も終わりだ。ユダヤ人収容所を発見する。低栄養すぎてコックの出る幕はない。

    0
    2026年06月18日

    Posted by ブクログ

    情景描写が細いから、主人公と一緒に戦場に立って戦況の変化を辿れる。日本人以外の目線で第二次世界大戦を考える機会にもなった。

    0
    2026年02月06日

    Posted by ブクログ

    アメリカ軍の若い兵士の視点から見た第二次世界大戦。
    第二次世界大戦の話というと、日本の視点からの話を目にすることが多いので、アメリカの視点、しかもヨーロッパ戦線というのが新鮮でした。
    アメリカ軍の後方基地様子では、こりゃ日本は負けるわと思うほど余裕のある設備や物資の数々がありました。
    ヨーロッパにも焼夷弾を使った空襲があったのだということを知りました…あたり前だけど、焼け野原になった街は日本だけではなかったのだと改めて意識しました。一般人同士の疑心暗鬼や飢餓…国が違っても戦争中の様子はあまり変わらないのだと思いました。
    軍の最前線で戦っているのは20歳前後の若い兵士ばかり…やっぱり戦争は嫌ですね…

    ティム達が心に傷を負いながらも身近な仲間や戦争で傷ついた人々を大事にするための行動が素敵でした。
    敵兵に対する葛藤もきっと末端兵士はどこの国もこんな感じなのだろうなとリアルに感じました。

    0
    2025年05月03日

    Posted by ブクログ

    タイトルから、戦火をくぐり抜け壮絶な環境で料理をする主人公の想像をしていたが、裏表紙および本文扉で「日常ミステリ」を描いたものだと知り、一体どんな話になるのだろうと期待半分、怖さ半分で読み始めた。
    一章ごとにひとつの謎が提示されそれを解いていく形となるが、なるほど確かに戦場という非日常にありながらも、戦場という独自の環境ゆえの「日常の謎」が描かれており興味深く読み進めることができた。
    一方で塹壕などの過酷な環境や次々といなくなっていく友人たちなど、戦場の悲惨さも、しかし読者の心の負担になりすぎない形ではありながらしっかりと描写されており、エピローグでは終戦後に残った友人たちで集まり過去を振り返る描写から平和の重さも噛みしめることができ、大変厚みのある作品であった。
    途中で「これからどうなってしまうんだ」と思わされるストーリー展開もありハラハラさせられもし、内容が内容だけに「楽しい」というと語弊があるのだが、読み応えのある書籍であった。

    0
    2025年03月21日

    Posted by ブクログ


    17歳の少年が志願して戦争に行く
    なぜ? と思いながら
    彼の傍で共に進んでいた
    戦場で 後方で
    多くの仲間と 数人の友と

    彼の想いに共感し反発もしながら
    悔しいときは怒り 悲しいときは泣きながら
    なぜ? そんなふうに思えるの?
    そう思うのが彼なのだから とも思う

    やっぱり 戦争は いやだね !

    0
    2025年03月04日

    Posted by ブクログ

    第二次世界大戦中、アメリカ軍の志願兵で特技兵(コック)となったティムのお話

    以下、公式のあらすじ
    ---------------------
    1944年6月、ノルマンディー上陸作戦が僕らの初陣だった。特技兵(コック)でも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだ。新兵ティムは、冷静沈着なリーダーのエド、お調子者のディエゴ、調達の名人ライナスらとともに、度々戦場や基地で奇妙な事件に遭遇する。不思議な謎を見事に解き明かすのは、普段はおとなしいエドだった。忽然と消え失せた600箱の粉末卵の謎、オランダの民家で起きた夫婦怪死事件など、戦場の「日常の謎」を連作形式で描く、青春ミステリ長編。 
    ---------------------

    あらすじには日常の謎とあるし、実際に最初は「同僚が何故もう不要なはずのパラシュートを集めているのか?」という謎だけれども
    戦地を転々としていく中でどんどんきな臭くなってくる
    そして、最後に伏線回収される謎と、その解決法

    冒頭からしてノルマンディー上陸作戦なので危ういと思ったけど
    悲惨さが有名な方ではないビーチだった
    そして最初の謎は前述の通り「同僚が何故もう不要なはずのパラシュートを集めているのか?」という謎
    いきなり死体が出てくるし、決して安穏としていられる状況ではないにの何故か牧歌的な雰囲気も感じてしまう

    しかし、物語が進むにつれて謎の深刻度が増していき
    戦争があらゆる人の心を蝕むものだと思い知らされる

    パラシュートの謎の他、大量の糧食が消えた謎、自殺した夫婦の手が組まれていた謎、戦場で聞こえる刺すような音の謎、そしてとある人物の来歴の謎


    序盤はあれほど呑気だったティムも、終盤には敵国に対する見方が変わってくる
    人の死だけではない、戦争が起こす悲惨さ
    そりゃぁ荒みもするわなぁ

    元々はアメリカの雑貨店の息子で、気の優しいむしろ気の弱い方だったであろうにね

    あらすじを読んで、日常の謎と安易に考えてしまっていた自分が情けなく思う
    確かに謎解きの部分は面白いのだけれども、その背景には戦場の悲惨さや理不尽などだし
    そして謎が解決されたとしても爽快感を得られるものではない

    最後の謎に関しては、すべてではないにしろ違和感を持っていたので何となく予感はしていた
    そして、その解決のために、これまでに築き上げた友たちやその功績によって成し遂げられる様は、戦場でも捨てたものではない人間の営みが感じられる

    エピローグでは戦場からの帰還が描かれているけれども
    そこには生き延びた喜びではなく、生き延びてしまったという若干の罪悪感や、元々暮らしていた土地と変わってしまった自分との乖離
    家族との再会を喜びながらも、心の底からのものではないものがある

    そして、さらに後年のエピソード
    亡くなった人はもう帰ってこないけれども、救いがあるとすれば、生き残った人たちはまた出会う事ができるという事でしょうねぇ

    途中で悲惨な描写や展開がある戦勝小説だけれども
    読後感はそんなに悪いものではない
    まぁ、何のしこりもないとは言わないけど、悪くはない結末だと思う

    0
    2024年09月26日

    Posted by ブクログ

     子供のころからレシピ帖を眺めるのが大好きで、自宅の雑貨屋の店先で売るお惣菜が大人気の祖母の手料理で育ったティモシー。だけど、世界恐慌になると、食材は貧しくなり、父親は店を畳まざるを得なくなった。
     第二次世界大戦にアメリカが参戦し、募兵ポスターが貼られるとティモシーは多くの若者と同様「給与」ともし自分が戦死した場合の「家族への見舞金」に惹かれて志願した。
     しかし、訓練期間に早くも自分が軍人に向いていないことを悟ったティモシーは「コック兵増員」の貼紙を見て、志願した。コック兵、衛生兵、主計兵、通信兵など後方支援担当の「特技兵」は一般の兵から疎んじられ、軽んじられたが、彼らは気の合う仲間となった。
     コックと言っても戦闘になれば銃を取り、普通の兵と一緒に前線で戦わねばならなかった。長い訓練を終えて、待ち侘びた戦場に赴いた。
     最初の赴任地はフランスのノルマンディー地方。パラシュートにより、なんとか無事にエド達は上陸した(ノルマンディー降下作戦)が、敵襲に合って上陸に失敗した仲間は何千人もいた。そして、上陸したそのフランスの村もナチスにより凄惨な姿になっていた。それでも、連合軍の居留地として屋敷を貸してくれたフランス人がいて、そこにキッチンや野戦病院を設営していたが、敵襲に会い、収容されていた負傷者もティモシーの仲間も地元の住民も沢山死んだ。
    オランダの国道とライン川を渡る橋を確保し、ドイツ入りするという「マーケット作戦」でも上層部の目論見は外れて苦戦を強いられた。そして陣地として家を貸してくれた家族の周辺にも密告されてナチスに捕まったユダヤ人や反ナチ宣言をして殺されたオランダ人がいたこと、更には「密告者」に対して住民たちは見せしめのように丸坊主にして罰を与えたという悲しい状況を知ることになった。
     ベルギーのバストーニュでは雪の中何日と補給が途絶え、飢えと寒さの中での攻防だった。敵陣を全滅させる戦闘に加わった仲間は精神を病んでしまった。
     ティモシーは分からなくなった。何のために命を賭し、心をすり減らして戦っているのか。「ドイツ兵を倒し、世界の平和を取り戻すため」という模範解答は心の中に用意できていたが、仲間や現地の市民が次々と虚しく命を落とす中で戦い続けているのは「一度呑まれた流れが速すぎて逆らえない」というだけだった。
    敵も味方も区別がつきにくい真っ白な雪景色の中、そして生者が限りなく死者に近寄っていく極限状態の中、ティモシーは「早く家に帰って祖母の美味しいご飯が食べたい」と思った。仲間にも待っている家族がいるだろうと思い、話を聞いてみると、アル中の父親が亡くなってから家族はいない者や私生児として生まれて以来「家族」として認めてもらってない者など、そもそも帰るところさえない戦友がいてショックを受けた。人種(黒人、プエルトリコ人、ユダヤ人など)によっても背景も軍隊の中での扱いも違っていたのが現実だった。そういう、平時なら友達になれていたかどうかも分からない仲間と「家族」のような絆で結ばれていた。それはかけがえのないことだったが、戦争という状況はその友情で結ばれた「家族」をも引き裂いていった。
     他のブク友さんも書かれていたが、私も初めは「南極料理人」のような料理中心の小説だと思っていたが、「料理」といえるものを作れるような状況ではない中で、何とか自分の団の仲間たちの胃袋を少しでも満たす策を考えながら敵と戦い、仲間を助けて生き延びる過酷な小説だった。そんな中で、ちょっとしたミステリーが起こり…例えば、使った後のパラシュートを大量に回収している仲間がいたり、粉末卵が大量に無くなったり、幽霊騒ぎが起こったり…それをコック仲間のリーダーのエドを中心に解決していく。そこからその頃の社会情勢や人種差別や戦争が人間に与えた影響など深い問題が見えてきた。
     第二次世界大戦のことは日本が関わった太平洋戦争のことも殆ど知らない。ヨーロッパ側のことはホロコーストのことを少し知っているくらいだったが、フランスでもオランダでもベルギーでもドイツでも多数の住民を巻き込んだ悲惨な戦争であったと今さら知った。そしてドイツ側、連合国側それぞれの兵士が「軍人」になったのも必ずしも愛国心からばかりではない複雑な事情があったということも知った。
    ジャーナリストかと思うくらい当時の戦争や社会状況のことを調べて、本当にその当時のティモシーの目でその時体験していた戦争を実況中継しているような(過去形ではあったが)臨場感のある小説だった。時代も国も自分とは異なる設定をここまで書き尽くせる筆力に感服!
    チラッと出てきた「ドクター・ブロッコリー」の話。「この戦争は食糧をめぐる戦いだ。ドイツ第三帝国を広めるための生存圏拡大。肥沃な国土を持つウクライナへ侵攻し、略奪したのは食糧事情によるものだという」に全ての悲劇の元が語られている。元は「飢え」を防ぐための生存圏拡大に人種だとか正義だとかの大義名分がくっつき、何のための争いか分からない悲劇が拡大した。戦争をせずに、食べて生きていく努力が本当はとても大切なのだと思った。


    0
    2024年09月22日

    Posted by ブクログ

    南極料理人みたいな感じで戦場で供給される物資をなんとか算段つけてお料理するユーモア系の小説かと思ったら全然違った。

    戦場にふとあらわれる小さな謎を解きながら、軽快なおしゃべりとユーモアも交えながら、深まりゆく戦況につれこのお話のテーマがゆっくりと姿を表す。
    戦争というものについて。
    失われた者は2度と戻らないということ。
    人生について。
    失われた信頼は2度と元通りにはならないということ。


    読み始めてみて、どうみても翻訳小説なんだけど、あれ?作者の名前日本人じゃなかった?翻訳者の名前だっけ?と表紙を二度見しました。
    ちょっとこの重厚さと背景描写の丁寧さは日本人の書いた小説とは信じられない。

    0
    2024年09月17日

    Posted by ブクログ

    タイトルとカバーからは想像できないレベルでゲキ重な小説だった。
    グロテスクな描写が苦手な方はにはお勧めできません。

    0
    2024年06月02日

    Posted by ブクログ

    主人公は米軍兵士。味覚にすぐれ料理の得意なティムは戦場でコックとして働く。仲間たちとともに戦場を生き延び、日常の中で起こる小さな謎を解いていく。

    冒頭はノルマンディー上陸作戦。読み始めてすぐにこれ難しい!となり、まずはwikipediaを開いて、いつ、誰が、どこで、何をして⋯を把握するところからスタート。おかげでだいぶ楽に読むことができた。

    0
    2026年08月04日

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