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帝都一の下宿屋
時は明治──銀座は南紺屋町に、「静修館」という古いけれど居心地のいい下宿屋がある。大家の梨木桃介はまだ若いが無類の世話好きで、料理をはじめ家事万端を見事にこなす界隈の名物男だった。その働きぶりの前では、下宿人のひとりである小説家の仙道湧水も我が儘を封印し、規則正しく生活するほどだ。そんな静修館には、なにかと謎が持ち込まれる。桃介も愛用する醤油にかけられた偽装疑惑、好条件にもかかわらず借り手が決まらない貸家。「先生なら助けてあげられるかもしれないね」という桃介の一言に促され、湧水は謎解きに奔走するが……。/【目次】永遠の市/障子張り替えの名手/怪しの家/妖怪白湯気 -
卯月の雪のレター・レター
読書好きだが八歳年上の姉へのコンプレックスを抱える、おとなしい高校生・小袖。母方の祖母の七回忌で、祖父のもとを訪ねた際に、今春から同じ高校に通うことになる従妹から奇妙な質問をされる。「死んだ人から、手紙って来ると思う?」祖父宛に最近届いたという手紙は不可解な内容だったが、亡くなった祖母が昔に書いたもののようだ。それがなぜ今頃になって? 誰かの悪戯なの? 思い悩んだ小袖は、その手紙の謎をある人物に話すことに……。美しい情景描写が魅力の表題作をはじめ、揺れ動く少女たちの心理を巧みに描いた五編を収録する短編集。/【目次】小生意気リゲット/こそどろストレイ/チョコレートに、躍る指/狼少女の帰還/卯月の雪のレター・レター/解説=紅玉いづき/*本電子書籍は『卯月の雪のレター・レター』(創元推理文庫 新装版 2026年9月30日初版発行)を底本としています。 -
ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
2115年開設のサイト「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」が紹介するのは、不幸にも低評価の烙印を負うこととなった未来のゲームたち。ゲーム依存症の治療のために生まれた「遊べば遊ぶほどつまらなくなる」FPS、コールドスリープ中の宇宙飛行士の退屈しのぎに作られた「夢の中でも遊べるゲーム」……。歴史的珍作・奇作の数々を、ゲーマーたちはどう遊んだのか? 100年にわたる架空のゲーム史を、圧倒的リアリティと軽快な筆致で描きだし、各界から絶賛を浴びた唯一無二の奇書が、単行本未収録エピソード1編を増補しついに文庫化。 -
名探偵の有害性
かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気チャンネルで突如、名探偵の弾劾が始まった。槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風(ごこたいかぜ)だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者とは? かつて彼の助手だった鳴宮夕暮(なるみやゆうぐれ)は、風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。/解説=青柳美帆子 -
世界が終わるわけではなく
嵐の夜に出会った子猫を連れ帰り、育てていたら、気がつくとソファの隣で背もたれに寄りかかりアイスクリームの容器を抱え、脚を組んでテレビを観ているではないか!(「猫の愛人」)、真面目な青年と、悪さをしながら面白おかしく暮らす彼のドッペルゲンガーの物語(「ドッペルゲンガー」)、事故死した女性が、死後もこの世にとどまり家族を見守ることになる(「時空の亀裂」)等々、12篇のゆるやかに連関した物語集。千夜一夜物語のようでいて、現実世界の不確実性を見せつけてくれる、ウイットブレッド賞受賞作家による、奇妙で魅力的な短篇集。/【目次】1 シャーリーンとトゥルーディのお買い物/2 魚のトンネル/3 テロメア/4 不協和音/5 大いなる無駄/6 予期せぬ旅/7 ドッペルゲンガー/8 猫の愛人/9 忘れ形見/10 時空の亀裂/11 結婚記念品/12 プレジャーランド/訳者あとがき/解説=佐久間文子 -
あの魔女を殺せ
グロテスクな生(いき)人形の作り手として、賛辞を集める常世三姉妹。彼女たちの人形にはまるで人の魂が宿っているかのような迫力があり、世界中の好事家を魅了していたが、一方でその人形作りについて黒い噂が囁かれていた。三姉妹の新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、六歳の娘とともに群馬の山中にある彼女たちの拠点である館に向かう。ところが新作発表会の夜、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。館も孤立状態となり、残された姉妹は、館中を捜索し始めるが――。ある魔術を受け継ぐ一族を巡る驚愕の事件を巧みに描いた、鮎川哲也賞作家の意欲作。 -
人質交渉人
ニューヨーク市警の人質交渉人アビー・マレンに、30年以上会っていなかった知人のイーデンから電話がかかってくる。彼女の携帯に、8歳の息子を誘拐したと連絡があったという。犯人は500万ドルを要求。一般人には払えそうもない異様に高額な身代金に疑問を抱きつつ、アビーはイーデンに寄り添い、指示を出して犯人との交渉に乗り出すが――。人質交渉人は、犯罪者の心理を深く考察し、適切な言葉で相手の心を変えて、事件解決へと導くプロフェッショナル。圧巻の交渉術と緻密なサスペンスを堪能できる、一気読み必至のミステリ3部作が開幕!/解説=若林踏 -
魔法の国のベイキング大会
両親を早くに失い、市場で手作りの菓子を売って生計をたてているアルレタのもとに、エルフ主催のベイキング大会の招待状が届く。親代わりのオークが内緒で申し込んでいたのだ。“魔法なきところに敬意なし(ノー・マジック、ノー・リスペクト)”があたりまえの世界で自分など参加できるわけがないとしりごみするアルレタだったが、招待状を届けてくれたエルフの(なぜか)熱心な説得もあって出場を決意する。だが、魔法が使えない彼女にあるのは、亡き母から受け継いだレシピと腕、これまで培ってきた経験のみ。ベイキング大会を舞台にした、スイーツと友情のコージーファンタジイ。 -
クジラに落ちた男
2026年10月16日より全国公開! ピュリッツァー賞作家の傑作海洋小説が映画化! 映画「クジラに落ちた男」原作。巨大クジラに丸呑みされ、酸素残量は1時間。生還する唯一の鍵は、憎んでいた父に叩き込まれた教え──卓越したダイバーだが不器用な生き方しかできなかった父が、海で自ら命を絶った。17歳の息子ジェイはその遺骨を求め、海に潜るが……。ピュリッツァー賞作家が放つ傑作海洋小説。全米図書館協会アレックス賞受賞、2023年ニューヨーク・タイムズ年間ベストブック選出。/解説=渡邊利道 -
少し長めの一瞬
切り絵世界で“ばらばら”に入り乱れた人間関係の顛末、雪山に踏み込んだ人の足跡を消して道に迷わせるものと過ごしたある冬の想い出、正体を隠して社会に溶け込みながら嵐の夜に出かけていく鵺たちの記録、火車と生活を共にした死ぬまでの444日間、気が強いせいで離ればなれになった二人のそれから──。彼・彼女らは少し長めの一瞬の中で、何度も別れ、何度でも出会い直す。『ブランクスペース』で注目を集める気鋭による、暮らしと隣り合わせのワンダーを描いた待望の最新短編集!/【目次】いさなとり/空中楼閣/レーザービーム・ステッチ/倍々の冒険/鵺の記録/日常生活殺人事件/左利きの帝国/切り絵宇宙の人々/アシアトカクシ、オオユキフラシ/口口口口口/強い地球人と靴/煩悩と甘味/火車が来た/結婚を前提に/少し長めの一瞬/ケシュカヒュンヒョン -
古典アメリカ幽霊譚傑作集
英国ヴィクトリア朝期と同時代のアメリカではいかなる怪談や恐怖譚が嗜まれていたのか。19世紀を代表するゴシック・ロマンの大家N・ホーソーン、アメリカ独自の習俗を短編小説へと昇華したW・アーヴィング、近代怪奇幻想小説の父祖たるE・A・ポオの古典的傑作の新訳のほか、友人への強い恋情と関係の破綻から度重なる怪現象に見舞われた少女時代の想い出を綴る異色作「訪れ」、敬虔なカトリック信仰者の身に起きた悲劇と凄絶な神秘体験を描く「カスバート尼僧の試練」など、ラヴクラフト登場以前、パルプ・マガジン隆盛前にあたる19世紀から20世紀初頭にかけて書かれた滋味豊かな幽霊譚13編。本邦初訳作多数。/【目次】ナサニエル・ホーソーン「灰色の戦士」/ワシントン・アーヴィング「首吊り島からの客」/エドガー・アラン・ポオ「悪魔に首を賭けるな――教訓(モラル)のある物語」/ローズ・テリー・クック「訪れ」/ジェーン・グッドウィン・オースティン「無人の小屋――ある幽霊譚」/ジョン・ウィリアム・デ・フォレスト「太鼓叩きの幽霊」/クララ・レクラーク「水車小屋の幽霊――テキサスの逸話」/サラ・オーン・ジューエット「灰色の男」/ヘンリー・ヴァン・ダイク「白い染み――ある絵の話」/ヘゼカイア・バターワース「ロムニー沼地の古屋敷」/フランク・R・ストックトン「老アップルジョイの幽霊」/マリー・ヴァン・ヴォースト「吹雪の道」/エリザベス・ガーヴァー・ジョーダン「カスバート尼僧の試練」/編者あとがき――幽霊譚から見るアメリカとその歴史 -
ロンドン、ドッグパーク探偵団
ルイーズは愛犬のミニチュア・ダックスフンドのクラウスを連れて友人といつもの公園を散歩中、よりによって人間の死体を見つけてしまう。すぐに警察に通報して事態は彼女の手を離れた……はずだった。ところが死んでいた男性は、かつての犬の散歩仲間で、彼の犬が亡くなってからは疎遠になってしまっていた人物と判明。良心のとがめも手伝って、ルイーズはドッグランの仲間と一緒に彼の死の真相を探りはじめるが……。犬飼いあるある満載。イースト・ロンドンを舞台に、愛すべき犬たちとその飼い主が大活躍のコージーミステリ・シリーズ開幕。 -
〈金庫破りときどきスパイ〉シリーズ
第二次世界大戦下のロンドン。金庫破りのエリーは、ラムゼイ少佐とともにドイツのスパイ活動を妨害する任務についてきた。だが亡き父の恐るべき秘密を知ってしまい、ショックから立ち直れずにいた。そんなある日、エリーは新聞に載っていた強盗事件の記事に違和感を覚え、ラムゼイ少佐を訪ねる。どうやら裏にもっと大きな陰謀があるらしいとわかり、ふたりはタッグを組んで調査にあたることに。しかし聞き込みの最中に、ホテルの一室で女性の遺体を発見して……。凄腕の金庫破りと堅物の青年少佐の謎解きを描く人気シリーズ、急展開の第4弾!/解説=大津波悦子 -
すべての夢、果てる地で
記憶を失った少年・Kの前に現れた、霧の体を持つ“図書館”の遣いたち。彼らにいざなわれ始まったのは、“世界の中心”をめぐる現代の冒険だった――。きわめて野心的な着想と、グレッグ・イーガンを思わせる華麗なサスペンスによって絶賛を浴びた第三回創元SF短編賞受賞作「〈すべての夢|果てる地で〉」をはじめ、外界から孤絶した宇宙施設を舞台に、五分後の未来を見せるキューブの奪い合いをスリリングに描く「ディセロス」など、驚くべきアイデアを凝縮した全六編を収録。日本SF界が登場を待ちわびた俊英によるデビュー短編集。/【目次】折り紙衛星の伝説/〈すべての夢 │ 果てる地で〉/四元数の悪魔/ディセロス/キャプテン・セニョール・ビッグマウス/黒い星の伝説/解説=堀晃 -
フレドリック・ブラウンSF短編全集
奇抜な着想、軽快なプロット、巧妙な話術で、短編を書かせては随一の名手、フレドリック・ブラウン。SFや推理小説はもとより、怪奇小説や寓話などその多岐にわたる活躍の中から、111編のSF短編すべてを新訳で収めた決定版全集を待望の文庫化。第一巻では、1963年9月に創元SF文庫の記念すべき第一弾を飾った『未来世界から来た男』を、原書に準じた本来の収録作・収録順とし、解題と新版解説を付してお送りする。タイムマシンで20世紀半ばのアメリカを訪れた未来の歴史研究者を待つ数奇な運命を描いた表題作をはじめ、47編を収録。/【目次】序文=バリー・N・マルツバーグ/意地悪/雪男/こだま/灰色の悪夢/緑の悪夢/白の悪夢/青の悪夢/黄色の悪夢/赤の悪夢/不運続き/ばあばの誕生日/猫泥棒/家/起死回生/失われた大発見その1──透明人間/失われた大発見その2──不死身/失われた大発見その3──不死/脅迫状/退場/趣味と実益/報復の艦隊/ロープ魔術/致命的な失敗/ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福(1)/ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福(2)/ユースタス・ウィーヴァーのつかのまの幸福(3)/遠征隊/輝くひげ/ジェイシー/ファースト・コンタクト/馬かしあい/山上に死す/ハンス・カルヴェルの指輪/クマんにひとつの/いまだ終末にあらず/魚の流儀/三羽のふくろうの子/最後の恐竜/やさしい殺人講座全十回/未来世界から来た男/存在の檻/愛しのラム/おれとフラップジャックと火星人/悪ふざけ/漫画家/ギーゼンスタック一家/ジ・エンド/収録作品解題=牧眞司/ノート(旧版解説)=厚木淳/新版解説=勝山海百合 -
紙魚の手帖
「ミステリーズ!」の後継誌ついに創刊。コンセプトは、国内外のミステリ、SF、ファンタジイ、ホラーを刊行してきた東京創元社による「総合文芸誌」。『蝉かえる』で第74回日本推理作家協会賞、第21回本格ミステリ大賞W受賞の櫻田智也が贈るシリーズ最新作。第21回本格ミステリ大賞の全選評も一挙掲載。さらに、第18回ミステリーズ!新人賞受賞作「三人書房」ほか、充実の創刊号。/【目次】『紙魚の手帖』創刊にあたって/【創刊記念特別エッセイ】投げ込みマガジン〈紙魚の手帖〉戸川安宣/【受賞作決定!】第31回鮎川哲也賞 選評 辻 真先・東川篤哉・麻耶雄嵩/第18回ミステリーズ!新人賞 選評 大倉崇裕・大崎 梢・米澤穂信/【第18回ミステリーズ!新人賞受賞作】三人書房 柳川 一●第18回ミステリーズ!新人賞受賞作。若き日の江戸川乱歩を描く、流麗な謎解き譚/【第21回本格ミステリ大賞全選評】第21回本格ミステリ大賞受賞作決定!/第21回本格ミステリ大賞選考経過/受賞の言葉 [小説部門] 櫻田智也 [評論・研究部門] 飯城勇三/選評 小説部門/選評 評論・研究部門/【日本推理作家協会賞&本格ミステリ大賞受賞第一作】白が揺れた 櫻田智也●ハンターたちが狩りをしていた山で起きた、悲劇の真相は?〈エリ沢泉〉シリーズ最新作!/【読切】ゼロ 加納朋子●私の元にやってきたのは、カフェオレ色の天使だった。少女と犬の絆を描く最新ミステリ!/スフレとタジン 近藤史恵●コロナ禍の影響で志村さんが講師で始めた〈パ・マル〉の料理教室。タジン鍋を使うモロッコ料理を……。/フォトジェニック 秋永真琴●カメラを構える彼女の目に、この世界は、僕は、どんなふうにうつっているんだろう? 気鋭が贈る傑作掌編。/108の妻 石川宗生●点描の妻、夢見る妻、革命家の妻、お品書きの妻……様々な「妻」をお楽しみください。/セリアス 乾石智子●ひっそりと暮らす魔道師夫婦、彼らの秘密とは……/魚泥棒は誰だ? ピーター・トレメイン 田村美佐子 訳●修道院の厨房で起きた二件の事件をフィデルマが解き明かす/【INTERVIEW 期待の新人】千田理緒『五色の殺人者』/大島清昭『影踏亭の怪談』/【BOOKREVIEW】[文芸全般]瀧井朝世/[国内ミステリ]宇田川拓也/[翻訳ミステリ]村上貴史/[SF]渡邊利道/[ファンタジイ]三村美衣/『紙魚の手帖』創刊記念読者プレゼントキャンペーン/執筆者紹介/編集後記・次号予告 -
帆船軍艦の殺人
靴職人のネビルにとって、日々の仕事と家族、これから生まれてくる子供が世界のすべてだった。だがある日、パブで英国海軍の強制徴募に遭遇し、軍艦ハルバート号に水兵見習いとして徴用されてしまう。逃げ場のない環境での危険な労働、高圧的な士官による暴力に晒されながらも、船員仲間に支えられ、ネビルは徐々に環境に馴染んでゆく。しかし新月の晩、衆人環視下で起きた水兵殺人事件によって事態は一変し――18世紀末、絶海の英国海軍戦列艦上で立て続く不可能犯罪を描き、大胆不敵なトリックで喝采を浴びた本格ミステリ×冒険小説の快作が待望の文庫化。第33回鮎川哲也賞受賞作。/解説=若林踏 -
藍色時刻の君たちは
2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽、航平、凜子は家族の介護と家事に忙殺され、鬱屈を抱えていた。だが、町にやって来た女性・青葉が、小羽たちの孤独に理解を示す。彼女との交流で3人が前向きになっていった矢先、2011年3月の震災により全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある時、彼女は旧友たちと再会。それを機に、過去や青葉が抱えていた秘密と向き合うことに……。第14回山田風太郎賞を受賞した感動長編を、書き下ろし掌編などを加えて文庫化。/解説=瀧井朝世 -
乱菊物語
戦乱の室町時代、瀬戸内の美しい海と島々を背景に、羅綾の蚊帳の由縁とともに絢爛たる伝奇絵巻が開かれる。播州の太守赤松家と代官浦上家の確執に端を発し、両家の侍が京を駆け巡る狂騒の美女捜し。御家騒動には室の港に君臨する遊女かげろう御前、幻術を駆使して民を翻弄する幻阿彌法師、果ては一切を謎に包みし海龍王までが運命の糸を縺れさせる――史実や伝説をまじえ文豪が悠揚たる筆致で読者を誘う、永遠に終わることなき物語の愉楽。奔放な想像力が築く谷崎文学の隠れた山嶺が、ここに姿を現す。/解説=東雅夫 -
孤独な夜
クリスマス間近のノース・ヨークシャー。郊外に停められていた車の中で、女性の刺殺体が発見された。事件前、アナ・カーターはその車に男が乗り込むところを目撃していた。ただ、勇気がなく、そのまま通り過ぎてしまったのだった。アナはパートナー仲介エージェントの料理講座担当者で、殺された女性は講座の参加者だった。ケイト・リンヴィル巡査部長も実はこの講座に登録したばかりだった。同じ頃、老婦人が自宅で死亡し介護士の女性が姿を消すという事件が起きていた。ケイトは着任したばかりの女性警部補パメラの下、事件に取り組むことに……。 -
終着駅で待ち合わせ
仕事のストレスから過食に悩む大野由佳は、かつての同級生に紹介された向井という男性から、明晰夢を操作する方法を学ぶことになった。疑いつつも教えを実践した由佳は、夢の中で思い切り食べることで、食欲を抑えることに成功する。数ヶ月後、向井の教え子たちが集まって勉強会を開催中、滞在先のコテージで殺人事件が発生。その晩に由佳が夢の中で見た本には、犯人の名前が書いてあり…… (「夢落ち」)。日常を出発し、思いもよらぬ結末に行き着く全五編を収録した、新鋭による独立作品集。/【目次】各停十三駅分の帰り道/非運の死/天森町は今日も雨/夢落ち/写真には写らない -
劇場の子 イーディス・ハラー
わたしは十二歳の女の子、イーディス・ハラー。このハラー劇場で生まれ育った。ある呪いのせいで、わたしは一歩も劇場から出ることができない。でも、本や町の資料を読んで、このノリッジの町を、世界を旅している。やがて、町の古今の資料を片っ端から読んでいくうちに、わたしはこの町の恐ろしい秘密に気がつき、町の人々に知らせるため芝居に書くことにする。その頃、大好きなお父さんがある女性と再婚すると聞かされるが……。『堆塵館』で読者を魅了した著者が再びおくる、少女と劇場と町の奇怪な物語。 -
恐竜発見 巨大な骨の化石の謎に挑んだ人々の物語
太古の昔、地球を巨大な爬虫類が闊歩していたなどとは夢にも思わず、“恐竜”という単語どころか、絶滅という概念すら持たなかったヴィクトリア朝の人々。断片的な骨の化石というわずかな手掛かりをもとに、彼らはどのようにして未知の“恐竜”を発見し、数億年前の世界を想像し、そして、世界は6,000年前に神が人間のために創造したという当時の常識と恐竜の存在との折り合いをつけたのか? 貧しい女性化石ハンター、風変わりな地質学者、最も尊敬かつ軽蔑された科学者などの物語を軸に、その過程をスリリングに描く、『ヒエログリフを解け』の著者による傑作ノンフィクション! -
斜陽館殺人事件
伯父、転落死。見えざる手により、投げ落とさる――。ロンドンの紳士倶楽部で余暇を過ごしていたアンティ・ブジュレーは、英国貴族の末裔である友人から電報を受け取り、一族の城館へとやってきた。事件が起きたのは館の一角にそびえる塔の書斎。友人の伯父は奇妙な状況下でその窓から転落したのだという。転落の直前、書斎からは争うような物音が聞こえたにもかかわらず、鍵のかかったドアを打ち破ると、室内には誰もいなかった。さらに被害者の最期の言葉を聞いた三人が、三通りばらばらの証言をし……。斜陽の途をたどる英国貴族の館で名探偵の推理がきらめく密室謎解きミステリ! -
あの日のつづきを生きている
あの夏、私たちは甲子園にたどり着けなかった──。投打二刀流の東城真央を擁する徳志館高校野球部は、東東京代表として夏の甲子園に出場するものの、台風の影響で学校の応援団が甲子園に到着できぬまま、無念の一回戦敗退を余儀なくされた。 七年後、それぞれの道に進んだ彼らは、真央の甲子園でのプロ一軍初登板の情報を知る。真央の元恋人、いまもチアリーダーとして活動を続ける同級生、かつてのチームメイト、そして離れて暮らす妹と家族。それぞれの思いを乗せて、新幹線は大阪を目指す。試合は快調に進み、旧友たちが見守る中ゲーム終盤を迎えようとしたとき……。『あめつちのうた』『あの冬の流星』でスマッシュヒットを飛ばす著者による、“あの日のつづき”を描いた連作集。/【登場人物】遠藤七緒……徳志館高校吹奏楽部出身。東城真央の元恋人。偶然、真央のプロ一軍初登板の情報を知り、甲子園に向かう。/齋藤いづみ……徳志館高校チアリーディング部出身。現在は横浜DeNAベイスターズの公式チア「ディアーナ」で活躍。/御園尾啓輔……徳志館高校野球部出身。中学時代から真央とチームメイト。現在はスポーツ新聞の記者。/木谷美知……真央の実の妹。両親の離婚により母親に引き取られる。元徳志館高校野球部のマネージャー。/東城真央……高校3年生のとき夏の甲子園に出場し、大学野球を経て阪神タイガースに入団。プロ一軍初登板を迎える。 -
夜の喜劇 東川篤哉短編集
うっかり恋人を殺してしまった青年がみずからも被害者を演じるべく始める深夜の会話劇――「鳥越さんは立派な被害者」。容疑者は四人、あなたは真相を(完全に)見抜けるか? 著者初の正統派犯人当て小説――「アリバイのある容疑者たち」。密室、アリバイ崩し、倒叙、犯人当て――ミステリの醍醐味が堪能できる粒揃いの五編。脱力を誘うユーモアに騙されるうちに、意外なトリックと明解なロジックが冴え渡る、本屋大賞作家初のオリジナル短編集。/【目次】「鳥越さんは立派な被害者」うっかり恋人を殺してしまった青年が被害者を演じる、夜の会話劇/「アリバイのある容疑者たち」容疑者は四人、あなたは真相を見抜けるか? 正統派犯人当て(フーダニット)小説/「どうか僕を占ってください」冴えない青年の恋愛が、占い師の予言で思いがけぬ展開を辿る異色短編/「暮林紅子の誤算」雪積もる屋敷で計画された殺人、そのために密室をつくらなければ/「陽奇館(仮)の密室」天才奇術師の死を巡って、幾度も覆される推理の果てに待つ仕掛け/あとがき(仮) -
消えるヒッチハイカー アメリカの都市伝説とその意味
いつのまにか車内から消えているヒッチハイカー。カップルの車に忍び寄る鉤手の男。乾かすために電子レンジに放り込まれた猫の末路。ファストフードのフライドチキンを食べた夫婦を襲う衝撃。ニューヨークの下水に棲みついた元ペットの恐怖――「これは実際にあったことなんだけどね……」という前置きで語られ、時にはメディアによって流布される噂話は、人々の不安や願望を映し出す“現代の民間伝承”として変容を繰り返して受け継がれてきた。20世紀以降に北米で流布した〈都市伝説〉を項目別に網羅し、その起源や変容の過程を追いながら、なぜそれらが信じられ、語り継がれるのかを考察する。真偽不明の情報が瞬時に世界を駆け巡り多大な影響を及ぼすようになった、フェイクニュースの時代にこそ読まれるべき〈都市伝説〉研究の古典的名著が新訳にて復活。/【目次】はじめに/■第一章 古い伝説から新しい伝説へ/民間伝承としての都市伝説/都市伝説の実演/“ボーイフレンドの死”/文化的シンボルとしての都市伝説/都市伝説の解釈/■第二章 自動車にまつわる都市伝説/“死の車”/“浮気男のポルシェ”/路上の幽霊──“消えるヒッチハイカー”/■第三章 ティーンの怪談──“ザ・フック”ほか/怖い話とともに育つ子供たち/“ザ・フック”/“後部座席の殺人者”/“ベビーシッターと二階の男”/“ルームメイトの死”/“電子レンジに入れられたペット(あるいは赤ん坊)”/■第四章 混入の恐怖/“ぞっとする発見”のテーマ/“髪にクモ”/“ケンタッキー・フライド・ラット”ほか/“下水道のワニ”/■第五章 盗まれた死体と死者への恐怖/“包みの猫の死骸”/“逃げたおばあちゃん”/■第六章 情事、裸、そして悪夢/“セメント漬けのキャデラック”/“RV車の裸の男”/“切り離された車両”/裸また裸/“裸のサプライズパーティ”/さらに裸/“暗闇でおなら”/■第七章 あくどい企業──メディアお気に入りの二つの都市伝説/“レッド・ヴェルヴェット・ケーキ”/“毛布の中のヘビ”/■第八章 できかけの都市伝説/“経済的な車”/新品同様のヴィンテージ車/幽霊のトラック運転手と“幽霊旅客機”/“ダンスホールの悪魔”/笑える事故/誘拐/おわりに/都市伝説研究の用語集/補遺 都市伝説の採集と研究/解説 飯倉義之はじめに/■第一章 古い伝説から新しい伝説へ/民間伝承としての都市伝説/都市伝説の実演/“ボーイフレンドの死”/文化的シンボルとしての都市伝説/都市伝説の解釈/■第二章 自動車にまつわる都市伝説/“死の車”/“浮気男のポルシェ”/路上の幽霊──“消えるヒッチハイカー”/■第三章 ティーンの怪談──“ザ・フック”ほか/怖い話とともに育つ子供たち/“ザ・フック”/“後部座席の殺人者”/“ベビーシッターと二階の男”/“ルームメイトの死”/“電子レンジに入れられたペット(あるいは赤ん坊)”/■第四章 混入の恐怖/“ぞっとする発見”のテーマ/“髪にクモ”/“ケンタッキー・フライド・ラット”ほか/“下水道のワニ”/■第五章 盗まれた死体と死者への恐怖/“包みの猫の死骸”/“逃げたおばあちゃん”/■第六章 情事、裸、そして悪夢/“セメント漬けのキャデラック”/“RV車の裸の男”/“切り離された車両”/裸また裸/“裸のサプライズパーティ”/さらに裸/“暗闇でおなら”/■第七章 あくどい企業──メディアお気に入りの二つの都市伝説/“レッド・ヴェルヴェット・ケーキ”/“毛布の中のヘビ”/■第八章 できかけの都市伝説/“経済的な車”/新品同様のヴィンテージ車/幽霊のトラック運転手と“幽霊旅客機”/“ダンスホールの悪魔”/笑える事故/誘拐/おわりに/都市伝説研究の用語集/補遺 都市伝説の採集と研究/解説 飯倉義之 -
余命一週間の探偵として
ハロウィーンの晩。27歳のジェットは、何者かに殴打されて意識不明となってしまう。緊急手術を行い2日後に目覚めたものの、医師によると、彼女の脳内には確実に動脈瘤が形成されると考えられ、いずれ破裂して死に至るという。手術はほぼ不可能。余命1週間を宣告されたジェットは死ぬまでに自分を襲った犯人を見つけると誓い、幼なじみのビリーと調査を始める。だが、容疑者は身近な人物ばかりで……。究極のタイムリミットに挑む探偵役が、必死で謎を解き明かしていく。『自由研究には向かない殺人』の著者が放つ、圧巻の犯人当てミステリ!/解説=上條ひろみ -
射手座の香る夏
タイムトラベル技術を応用することで、「自分が生まれてこなかった世界」を選ぶ〈巻き戻し〉の権利が認められた日本。30年前の夏、輝かしい未来が約束されていたはずの兄を〈巻き戻し〉で失った「ぼく」は、消失の謎に導かれるように再び故郷の島を訪れる──緻密な構成と読了後に押しよせる余韻から、「忘れられない一作」と注目を集めた「十五までは神のうち」をはじめ、第12回創元SF短編賞受賞作を含む全4編を収録。青春のきらめきと痛みのすべてを、“夏”を舞台とする物語群に閉じ込めた、珠玉のデビュー短編集が文庫化。/【目次】「射手座の香る夏」意識転送を濫用し、若者たちは危険な〈動物乗り〉に興じる/「十五までは神のうち」完璧だったはずの兄はなぜ、自らの出生を〈巻き戻し〉たか?/「さよなら、スチールヘッド」VR世界での永遠の夏×ゾンビに覆われたアメリカ大陸/「影たちのいたところ」9つの影をつれて彼は現れ、少女の憂鬱な夏休みを変えた/解説=飛浩隆 -
案山子の村の殺人
楠谷佑のペンネームで活動する僕ら合作推理作家の、次の新作は山奥の寒村を舞台にした本格ミステリになる予定だ。しかし真舟のプロットは仕上がったものの、執筆担当の僕の作業が捗らない。田舎の村に行ったことがないからだ。だったら、と大学の友人に勧められ、旅館を営む彼の実家がある宵待村に、僕と真舟は旅行に出掛けたが、そこで本物の事件に巻き込まれることになるとは、僕たちはまったく想像していなかった。案山子だらけの宵待村で、案山子に毒の矢が射込まれ、別の案山子が消失し、ついに殺人事件が勃発する。現場はいわゆる雪の密室の様相を呈していた。推理作家の大学生コンビ、篠倉真舟と宇月理久が謎解きに挑む。 -
黄昏の銃声
猟区管理官ジョー・ピケットは、ガイドがグリズリーに襲われた山中へ向かっていた。しかし現場到着の前に、すぐ戻れという連絡が入る。ヒューイット判事が自宅で何者かに狙撃されたのだ。だが弾は妻のスーに当たり、彼女は瀕死の重傷を負ってしまった。判事は自分が有罪を宣告した者の中に犯人がいるはずだと断定し、ジョーを含む法執行官たちに捜査を命じる。ジョーは射撃のプロである盟友、鷹匠のネイトに協力を仰ぐが、ネイト自身と彼の家族にも予想外の窮地が待ち受けていた……。『群狼』に続く、大人気冒険サスペンス・シリーズ!/解説=霜月蒼 -
エミリー・ワイルドの妖精事典
樹木妖精学研究者エミリー・ワイルドは、北極圏に近いリョースランド島を訪れていた。農夫に借りた小屋に滞在し、妖精に関する話(と証拠)を集めるのだ。ところが初日から族長アウドの不興を買ってしまい、前途多難な様相。そこに現れたのは同僚兼ライバルのバンブルビー。調査に協力しに来たという。美形で人当たりがいいバンブルビーはすぐに村人に溶け込むが……。研究オタクでコミュ障のエミリーと傍若無人だが面倒見のいいバンブルビーの妖精フィールドワークの顛末は。ミソピーイク賞最終候補のロマンティック&コージー・ファンタジイ。 -
ゴシックタウン
自身が切り盛りするニューヨークの一流料理店を閉店し、母とも仲違いして落ち込んでいたビリーの元に、ジュリアナという南部の町への移住勧誘メールが舞い込んだ。たった百ドルでヴィクトリア朝様式の邸宅を提供し、しかも起業の資金援助もするという内容に、疑いつつも好奇心に駆られ返信して以降、ジュリアナの魅力に惹かれたビリーは夫と幼い娘と猫とともに移住を決断する。穏やかな気候、豪華な館、親切な住民、理想の仕事……だがジュリアナを支配する奇妙なルールが徐々に家族の生活を侵食してゆく。シャーリイ・ジャクスンを彷彿とさせるアメリカン・ゴシック・ホラーの新機軸。 -
遠近法
ルネサンス期のフィレンツェ、10年以上もかけて描き続けているサン・ロレンツォ聖堂のフレスコ画の前でマニエリスムの画家ヤコポ・ダ・ポントルモが槌で殴打され、鑽で胸を刺されて殺害され、彼のアトリエにはフィレンツェ公コジモ・デ・メディチの長女マリアの顔をしたヴィーナスとキューピッドの猥褻な絵が残されていた。ポントルモを殺したのは誰か? いかがわしい絵を描いたのは彼なのか? コジモは信を置く画家で建築家で美術史家のヴァザーリに事件の解明を依頼する。ヴァザーリは、ローマでサン・ピエトロ大聖堂の建設に携わっているミケランジェロに書状を送り事件を知らせ、助言を求めた。ヴァザーリとミケランジェロ、マリアと遠縁のフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシス、カトリーヌ・ド・メディシスとコジモの敵であるフランス軍元帥ピエロ・ストロッツィ……火薬庫のような当時のヨーロッパを舞台に繰り広げられた陰謀劇、恋愛劇・・・・・・。目もくらむような人物たちの書簡が全176通。事件は書簡で語られ、書簡で捜査され、書簡で解明される。『HHhH──プラハ、1942年』、『言語の七番目の機能』、『文明交錯』と次々に読者を驚嘆させてきた著者による、傑作書簡体歴史ミステリ。 -
夢見る言葉
手話通訳士・荒井尚人は、NPO法人「フェロウシップ」からの依頼を受けて訪れた障害者作業所で、盲ろう者の通訳の現場に立ち会う。 人と人との接触が制限されたコロナ禍、視覚と聴覚の両方に障害を持つ彼らのコミュニケーションの場が失われていたことに気づき、 尚人はその境遇に愕然とする。一方、長女・ 美和は、猛勉強の末に幼馴染みの漆原英知とともに、埼玉県内の私立の進学校に進む。部活に力を注ぎながら進路と英知との関係に悩む日々。そして妹の瞳美は、日本手話での授業が実施されている公立の特別支援学校に通い始めた。母親のみゆきも刑事として忙しい日々を送る。そんなある日、瞳美の通う特別支援学校で、大事件が巻き起こり、前代未聞の裁判に荒井家は巻き込まれてゆく──。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ堂々の完結編。 -
竜の医師団
この世は竜の創りしもの。竜のあるところに豊穣あり。だが竜が病む時、彼らは破壊をもたらす。〈竜ノ医師団〉とは竜の病を退ける者。極北の国カランバス。虐げられし民ヤポネ人の少年リョウは、憲兵から逃れ必死で飛空船の発着場を目指していた。〈竜ノ医師団〉は治外法権、飛空船で辿り着き入団できれば、ヤポネ人でも道が開ける。発着場に向かう途中リョウは、上流階級のお坊ちゃんレオニートに出会う。彼も医師団に入団したいというのだ。二人は協力して船に乗りこむが……。『水使いの森』で第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の著者が贈る、竜の医師を目指す少年たちの物語。/【目次】プロローグ/カルテ1 咽喉(のど)の痛みと、竜の爆炎/カルテ2 全身の痒(かゆ)みと、竜の爪/カルテ3 もの忘れ、ふらつき、そして竜巻(たつまき)/解説=小出和代 -
あなたには、殺せません
「犯人だって、好きで犯罪に走ろうとしているわけではありません。必ず迷いがあります。その段階でうちに来てもらえれば、犯罪の発生を未然に防ぐことができます」──そのNPO法人には、罪を犯すか悩む人が相談にやってくる。相談員はそんな犯罪者予備軍たる人々から聞き出した犯行計画の穴を次々と指摘していく。相棒の剽窃に怒るミュージシャン、夫の罪が露見することを恐れる妻、想い人の死に復讐を決意した大学生……。不備を突かれた者たちの殺意は、果たして本懐を遂げるのか。犯罪発生を未然に防ぐ!? 新しい形の倒叙ミステリ短編集!/【目次】五線紙上の殺意/夫の罪と妻の罪/ねじれの位置の殺人/かなり具体的な提案/完璧な計画/解説=若林踏 -
猟犬の誇り
FBI捜査官のガードナーは、他殺体の身元確認のためにテキサスを訪れていた。殺された男はロス・ティグノン。7年前、ガードナーが担当した連続殺人事件で犯人と目されたが、逮捕寸前に自宅で焼死したはずの男だ。死んだ男が、なぜまた死体となって現われたのか? 黙考するガードナーのもとへ新たに一報が入る。80年代に連続殺人事件を起こし、長い服役を経て仮釈放された男が殺されたのだ。かくして事件は「連続殺人犯だけを狙う連続殺人」の様相を帯び――。奇妙な手掛かり、深まる謎、執念の捜査行。ハリウッドで6社競合を経て映像化決定、俊英が放つ最高密度の警察ミステリ!/解説=古山裕樹 -
〈刑事トム・バビロン〉シリーズ
ロックスター、ブラッド・ギャロウェイのライブがベルリンで開催された。2万人以上の観客が熱狂するなか、女性がステージでブラッドに謎の封筒を手渡した。その中のアルミケースには、凝固した血の上に載せた白い羽根が入っていた……。翌日、警察のゲストハウスで、ブラッドの血だらけの死体が発見される。死体は損壊され、胸には黒いペンで“愛する者の命は大事か?”というメッセージが残されていた。刑事トム・バビロンは、臨床心理士のジータ・ヨハンスと共に捜査を始めるが……。トップスピードで駆け抜ける、ドイツミステリ4部作第3弾!/解説=村上貴史 -
精霊を統べる者シリーズ
19世紀後半、ジン(精霊)の世界の扉が開かれ、世界は一変。魔法と科学の融合により急速な発展を遂げたエジプトの世界都市カイロで、錬金術・魔術・超自然的存在省の敏腕女性エージェント・ファトマが難事件に立ち向かう……ファトマと恋人の女性シティの出会いを描く前日譚の表題作など3編を収録。ネビュラ賞、ローカス賞など4冠&『SFが読みたい!』ベストSF2024海外篇第1位に輝いた『精霊を統べる者』シリーズ最新刊!/【目次】カイロの死せる精霊(ジン)/ハーン・アル=ハリーリの天使/空中ケーブル〇一五号憑依事件/解説=勝山海百合 -
ぼくらは回収しない
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、自信と才気に溢れた彼女がはたして死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女の内心を何も知らないまま二度と会えなくなったことに思い至った四人の寮生たちは、独自に事件を調べ始める。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む全五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー/解説=法月綸太郎 -
水面の弔花
イングランド北東部、ノーサンバーランド州。ある夏の夜、楽しい外出から帰宅したジュリーが見つけたのは、死体となった息子ルークだった。絞殺された彼の亡骸は浴槽の中に沈められ、水面には野の花々が浮かべられていた。友人を水難事故で喪って心を病み、数週間前に退院したばかりの少年がなぜ? 頑固で偏屈だが有能な地元署の名物警部ヴェラ・スタンホープが捜査を進めるうち、海辺で新たな他殺死体が発見される――大人気ドラマ「ヴェラ~信念の女警部~」原作にして、著者クリーヴスの名を一躍高めた傑作ミステリ・シリーズ、ついに邦訳。/解説=三橋曉 -
半永久の花束
丁寧に手入れされた美しい庭で、高校生の航大(こうだい)と大学生の拓海(たくみ)はいつものように、植物にまつわる些細な違和感について言葉を交わす。存在しない鉢植えを求める老婦人、 コスモスが咲く道で起こった人間消失、 葉っぱと数字でできた暗号の解読──。植物が絡むささやかな謎はやがて周囲の人の記憶や感情へと繋がっていく。読み終えたあなたの心のなかで温かな思いが芽吹く。 デビュー作にして入試問題に多数採用され注目を集めた『勿忘草(わすれなぐさ)をさがして』に続く、 優しさに満ちた連作短編集。/【目次】赤い葉/透明少女/失敗作の暗号/風吹けば謎/半永久の花束 -
小説教室 忘れられない小説を書く
テーマ探しは時間の無駄。アイデアのストックも無駄。キャラクターの紹介文は不要……。「着想」「文章」「人物造型」「ストーリー」「演出」という、小説を書くにあたって不可欠な要素を項目別に語り尽くした講義録に加え、自身の代表作である「五色の舟」の徹底解題を併録する。並ぶ者なき巧手が、小説を書くこと、読むこと、そして語ることに興味のあるすべての人びとに贈る、小説講座の新しいスタンダード!/【目次】■着想について語る■Ⅰ テーマ探しは時間の無駄/Ⅱ 『ベルばら』は『リボンの騎士』である/Ⅲ 書き方を律して得られるもの/Ⅳ ピーマンと延長コード/Ⅴ 筆を置くべき瞬間/Ⅵ オセロ・ゲームとして振り返る/■文章について語る■Ⅰ 手法のガラパゴス化/Ⅱ 反復がリーダビリティを妨げる/Ⅲ 省略美と符号/Ⅳ 仮名交じりの背景/Ⅴ 文体は作家の美貌/Ⅵ 主観の幻灯/Ⅶ なぜ鏡花は偉大か/■人物造型について語る■Ⅰ「作らねばならない」は思い込み/Ⅱ 人物の背景は台詞に書く/Ⅲ 複数の役割を兼ねさせる効果/Ⅳ のらくろにはのらくろのリアリティ/Ⅴ ピンチの作り方でキャラクターが決まる/■ストーリーについて語る■Ⅰ ストーリーの終わり方とは何か/Ⅱ ストーリーは場面である/Ⅲ ストーリーは前から書く/Ⅳ 短編小説は「パラダイムシフト」以前である/Ⅴ「書くのが面倒な因果関係」を書く/Ⅵ 無意識にこそ美貌が隠れている/■演出について語る■Ⅰ 演出とは驚きである/Ⅱ 邪魔者という存在を作る/Ⅲ 描写の演出法/Ⅳ モチーフの復活/Ⅴ 象徴するアートを念頭に置く効果/Ⅵ 短編を長編に成長させるこつ/■「五色の舟」を語る■/作家を目指す人たちのための恋愛論/ジョナサン・キャロル『パニックの手』解説/佐々木丸美『水に描かれた館』解説/ブログ全盛の時代にこそ 三島由紀夫『文章読本』/『屍者の帝国』(伊藤計劃、円城塔)書評/津原泰水 著作一覧 -
〈歌人探偵定家〉シリーズ
1187年。平家一門の生き残り・平保盛は、前年鎌倉から帰ってきた静御前の乗った牛車と、都で行き逢う。愛する源義経が兄・頼朝との確執から行方をくらまし、彼との子を失った現状を冷静に語る彼女の姿は、保盛に深い印象を残した。一方、後白河院の命を受け、藤原俊成が編纂している勅撰和歌集の完成がいよいよ迫っており、新進気鋭の歌人・定家も父の手伝いに駆り出されていた。ある日保盛は俊成邸にいる定家を訪れるが、門前で若者の屍を発見してしまう。屍には、なぜか清少納言の和歌が書かれた卒塔婆が刺さっていた。和歌が汚されたと激昂した定家は、下手人を探すべく探索に乗り出すが……。/【目次】一「よにあふさかの せきはゆるさじ」なぜ屍には、清少納言の和歌が書かれた卒塔婆が刺さっていたのか?/二「わがみよにふる ながめせしまに」空から降ってきたとしか思えない、小野小町の和歌が留められた屍はどこから来たのか?/三「わがころもでに ゆきはふりつつ」定家の父・俊成の邸の庭に、大量の人の手がばらまかれた理由とは?/四「わがたつそまに すみぞめのそで」高僧でもある歌人・慈円の秘密の隠れ家を突き止め、荒らしたのは誰か?/五「やまのおくにも しかぞなくなる」定家と俊成の周りで起きた怪事件。その裏に隠された秘密とは?/あとがき/参考文献・史料 -
シャーロック・ホームズは引退しました
名探偵シャーロック・ホームズの物語が人気を博する1932年、こちらロンドンはベイカー街。ホームズの作中住所に建つアビー・ロード住宅金融組合には、かの探偵の実在を信じる人々から依頼の手紙が届き続ける。組合で働くハリエットは、そんな手紙にひたすら「シャーロック・ホームズは引退しました」と断りの返事をタイプする日々を送っていた。しかしあるとき、メイドの失踪にまつわる切実な依頼を読んだ彼女は、ホームズの秘書を名乗り自ら調査に乗り出すことに……。名探偵に代わり挑む、変装、尾行、推理。清新なミステリシリーズ、堂々封切り!/解説=北原尚彦 -
君が描きかえた名探偵と青い春
新潟県の進学校に入学し生徒会に加わった刑部歩は、ゴールデンウィーク明けという中途半端な時期に転校してきた姫路叶音と出会う。積極的で好奇心旺盛な叶音は、学内で巻き起こる事件やトラブルを一緒に解決しようと、しきりに歩を促す。叶音は「名探偵歩君」とあだ名されていた小学校時代の同級生らしく、平穏に過ごしたい歩を頼ってくるのだ。生徒会目安箱からの投書消失、学校旗への不可解な落書き、体育祭への妨害工作……。謎解きの先で二人が見つけた、かけがえのない真実とは? 「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」受賞作でデビューを飾った著者の、心揺さぶる連作学園ミステリ。 -
ジェームズ・ボンド・シリーズ
イギリスが誇る秘密情報部のスパイ、007のコードをもつ男――ジェームズ・ボンド。祖国の平和と安寧のため、さまざまな国を飛びまわり危険な任務を遂行する。パリ郊外の森で、最高機密の入った書類ケースを運んでいたイギリス陸軍通信部隊の伝令係が殺害された。秘密情報部の責任者Mの指令でボンドが犯人を追う表題作のほか、Mの友人であるジャマイカのハヴロック夫妻が無惨に殺され、ボンドが実力行使の正義をくだす「読後焼却すべし(フォー・ユア・アイズ・オンリー)」、イタリアで麻薬密売ルートを探る「危険」など全5編を収録。名手による新訳で贈る傑作短編集!/【目次】薔薇と拳銃/読後焼却すべし(フォー・ユア・アイズ・オンリー)/慰藉の定量/危険/稀少種ヒルデブラント/解説=吉野仁 -
倫敦スコーンの謎
「なあ常悟朗。お前に頼んでいいことなのかどうかわからないんだが……小佐内を紹介してくれないか?」堂島健吾曰く、かつて絵の謎を解いた(ことになっている)小佐内さんに、もう一度知恵を借りたいのだという。──美術家の縞大我が、サンフランシスコ・ビエンナーレの黒熊賞を受賞した。健吾は地元のテレビ局に頼まれ学内を捜索、彼の在校時代の作品を発見するが、その作品は模写でありながら展覧会に出品された事実も掘り起こしてしまったのだ。果たしてこの作品は盗作か否か? 小市民を目指す小鳩君と小佐内さんの謎解きの日々。大人気シリーズ、待望の第二作品集。四編を収録。/【目次】桑港クッキーの謎/羅馬ジェラートの謎/倫敦スコーンの謎/維納ザッハトルテの謎 -
ウェルズSF傑作集
19世紀末の英国に颯爽と登場したハーバート・ジョージ・ウェルズこそは、現代SFの礎を築いた巨人であり、また卓越した文明批評家であった。20世紀になって陸続と書かれる数多のSFのテーマとアイデアのほとんどは、彼によって創出されたといっても過言ではない。本集には、80万年未来の地球と人類の衝撃的な姿を描破し、第1作ながら後世に多大な影響を及ぼした時間旅行譚「タイム・マシン」をはじめとして、「塀についたドア」「奇跡を起こせる男」「水晶の卵」など、必読の傑作6編を収めた。/【目次】塀についたドア/奇跡を起こせる男/ダイヤモンド製造家/イーピヨルニスの島/水晶の卵/タイム・マシン/訳者あとがき -
イザベラ・バード、日出ずる国で妖怪に出会う
明治11年夏、奥州を縦断して蝦夷地を目指す英国人女性がいた。その名はイザベラ・バード。お供は通訳兼従者の若者伊藤鶴吉と英国からついてきた小妖精ディル&ジンジャーだ。一行は行く先々で妖怪に出くわし、思わぬ事件に巻きこまれる。本当に恐ろしいのははたして妖怪か人間か。旅を続けるうち、好奇心旺盛なイザベラと無口な鶴吉は少しずつ心を通わせていくが、鶴吉はある秘密を抱えていた。ヴィクトリア朝の英国を飛び出した実在の女性旅行家(レディ・トラベラー)が、日常と非日常のあわいをたゆたう謎に挑む、レトロで新鮮な正統派歴史冒険ファンタジイ!/解説=小出和代 -
祖国なき者たちへ
1937年。空のオリンピック――平和推進を目的とした青少年エアレースが開催される。パイロット12人が英国から飛行機で出発し、ヨーロッパのさまざまな国を経てパリへ向かい、タイムを競い合う。唯一の女性パイロットで英国代表のステラは、レース初日に恐るべき光景を目撃する。前方を飛んでいた二機の飛行機のうち、上の飛行機が下に向かって意図的に接近したように見えた。そして片方は海に墜落。勝利のために、誰かが殺人を犯したのか? ステラは身の危険を感じて、犯人探しをはじめるが……。国際スリラー作家協会賞YA部門受賞作!/解説=深緑野分 -
森島章子は人を撮らない
アマチュア写真家が集う社会人サークル〈札幌フォトジェニック〉に所属する大学生の森島章子。彼女の撮るものは、日常の何気ない景色ばかりなのに、どこか人を惹きつける不思議な魅力を具えていた。章子に撮ってもらいたいという人は多く、周囲もポートレイトを撮ることを勧めるのだが、 彼女はかたくなに誰にもレンズを向けようとせず……。元恋人、サークルの知人、小説家志望の歳上の女友だち、家庭教師として勉強を教えている中学生。周りの人々の目に映る章子の横顔と、章子がファインダー越しに覗く世界を描いた、心揺さぶる青春群像劇。/【目次】フォトジェニック/ファインダー越しの、/単焦点トランスレーション/ぼくのポートレイト/露光 -
前崎中央高校科学部の事件ファイル
2年生に進級のタイミングで、東京の男子校から群馬県立前崎中央高校に転校してきた安井良。特別教室で活動している部活でも見学に、と思った放課後、化学室で奇妙な女子生徒を見かける。着崩した制服の上に白衣を羽織った金髪ギャルは、何と牛タンを焼いていた!? その女子生徒は、理系クラスのトップで科学部の2年生・木暮珠理だった。こんな強烈な出会いから科学部の面々と交流することになった良は、図書室の呪いの忌書事件、黄泉からの手紙事件、トンネルの悪霊事件に巻き込まれていく――。「東京創元社×カクヨム 学園ミステリ大賞」優秀賞を受賞した、学園化学ミステリ!/【目次】#33 図書室の忌書事件……図書室である本を手に取ると呪われる!?/#34 黄泉からの手紙事件……下駄箱に届く白紙の手紙は黄泉からのメッセージ?/#35 トンネルの悪霊事件……丑三つ時にトンネルのまん中で手を叩くと悪霊に憑かれる!? -
ゲノム・トーカー
2034年。木星圏へ投入された探査機「さいせい」は、ミッションの途上で奇妙な電波源に遭遇する。カメラに映り込んだ巨大な黒い影──直径100メートル、全長500メートルの円筒は、現生人類がはじめて接触する異星種族の宇宙船だった。彼らは1万6000年前に放たれた人類の全遺伝情報(ゲノムデータ)を受信し、発信源を辿って太陽系を訪れたのだという。だがあらためて言うまでもなく、当時の地球上には高度な文明など存在しなかったはずだ。ゲノムを他星系に送信したのは、未知の超古代文明なのか? それとも……。圧倒的な知的興奮を喚ぶ、人類史×宇宙SF。 -
〈エステリエンの殺人シリーズ〉
スウェーデン南部スコーネ地方の風光明媚なエステリエンで、不動産開発を目論んでいた不動産ブローカーでテレビタレントの女性が死亡した。開発に反対する地元住民を懐柔するために購入した彫刻の上に転落したのだ。事故かはたまた殺人か。事件を担当するのは、原因不明の失神発作の療養のために現地に滞在していたストックホルムの国家殺人班の敏腕捜査官と地元警察署の駆け出し女性刑事。お洒落な都会のエリート刑事と、やる気はあるが経験の足りない田舎の刑事。馬は合わないのに意見は合ってしまう二人は、容疑者だらけの事件を解決できるか。 -
メインキャラクター
ベストセラー作家、ジネヴラ・Exからプレゼントされた、オリエント急行での三日間の旅。ジネヴラは実在の人物をモデルとして小説を執筆しており、最新作の主人公(メインキヤラクター)に選ばれたローリィは、報酬として豪華列車の旅を贈られたのだ。しかしローリィが列車に乗りこむと、そこには兄、親友、元恋人など、彼女と浅からぬ関係をもつ人々の姿が。さらに列車内では件(くだん)の最新作『湖畔のキャビン』の製本原稿が手渡される。ローリィたちの人生が描かれたはずの本書はミステリで、作中で誰かが死ぬらしい……。盗まれた本、姿なき作家、そして客室の死体。絢爛たる謎に彩られた極上のミステリ。/解説=大矢博子 -
警官レイチェル&看護師サラの事件簿
婚約者に裏切られ、深く傷ついた警察官のレイチェルは、豪華客船で看護師として働く親友のサラに誘われて、2週間の地中海クルーズに参加した。素敵なディナーや美術品オークションなどで船旅を楽しんでいたが、寄港したリスボンで、同じ船の乗客が何者かに突き飛ばされ、トラックの下敷きになるという事件が発生。レイチェルは船で親しくなった男性が現場から走り去っていく姿を見て不審に思い、サラと協力しつつ、事件を調べ始める。――でも船内で、どうやって捜査すればいいの? 警察官と豪華客船つきの看護師、親友同士の女性たちが謎に挑むコージーミステリ・シリーズ開幕! -
精霊を統べる者シリーズ
19世紀後半、伝説の魔術師アル=ジャーヒズがジン(精霊)の世界の扉を開き、世界は一変した。ジンの魔法と科学の融合によりエジプトは急速な発展を遂げるが、アル=ジャーヒズはなぜか姿を消す。それから40年後、世界都市となったカイロに彼の名を名のる謎の男が現れ、彼を崇拝する人々を焼きつくした。エジプト魔術省の敏腕女性エージェント・ファトマは、恋人の女性シティ、新人パートナーのハディアと捜査に乗り出す。ネビュラ賞、ローカス賞など4冠に輝き、『SFが読みたい!』ベストSF2024海外篇第1位に選ばれた、新鋭の第一長編! -
作家と編集者
ひとことで作家と編集者といっても、その関係は千差万別です。良きビジネスパートナーとして、あるいは助言者として一つの作品に向き合うこともあれば、友人のような距離感で接することもあるでしょう。その一方で、どの作家と編集者にも共通して言えるのは、面白い作品を読者に届けるために働いているということではないでしょうか。読書好きの皆さまにとって身近なようでいて見えないことも多い「作家と編集者」をテーマに、4名の著者に作品をご寄稿いただきました。時代もジャンルも越えた、物語を作り出す現場の熱気をお楽しみください。/【目次】錦見映理子「邪悪な香り」/蝉谷めぐ実「餅屋の言うこと」/藤野恵美「行きて帰りし物語」/乗代雄介「金城氏」/解説=杉江松恋 -
〈魔法治療師のティーショップ〉シリーズ
無実の罪で逃亡中の治療師エルウィンがたどり着いたのは、ある村外れの一軒の家。無人のようだが、彼女を歓迎するかのように、目に見えない何者かの手で料理が振る舞われ、寝台まで整えられていた。ここは主を迎えたがっている治療師の家なのだ。もう治療師の仕事をするつもりはなかったが、しばし身を隠すつもりで滞在して村の女性たちの心配事を聞いているうちに、さまざまな症状に効くハーブティーを出すティーショップを開くことになってしまう……。〈(株) 魔法製作所〉の著者が贈る、不思議な村を舞台にしたお茶と謎のコージーファンタジイ。 -
流星と桜
女子高時代に孤独な桜子に寄り添ってくれた、憧れの先輩で歌舞伎役者の娘・清香。真昼でもなお輝きを失わない流星のようだったその人は、八年後に浅草で偶然再会した時、探偵となっていた。清香は、親に薦められるまま見合い結婚をしようとしていた桜子の鬱屈を見抜き、自分の探偵事務所で働かないかと誘う。探偵助手となった桜子と清香は、依頼人の相談に真摯に対応する。やがて彼女たちは、どこか歌舞伎の演目を連想させる奇妙な謎を通し、自分たちの過去や秘めた想いにも向き合うことになる……。新境地を開いた実力派作家が、人の心の謎解きを描き、女性私立探偵の系譜に新たな風を吹き込む傑作ミステリ。/【目次】第一話 傘の陰/第二話 人形の目/第三話 微笑み一つ/第四話 花の名前/参考文献 -
勿忘草をさがして
一年前、偶然出会ったお婆さんに会いたい。しかし手掛かりは、庭に沈丁花が咲いていたことと、お婆さんが発した不可解な言葉だけ――。思わぬトラブルでサッカー部を辞め鬱屈した日々を送る航大。春を告げる沈丁花の香りに、あのときのお婆さんを思い出し、記憶を頼りにその家を探していたところ、美しい庭を手入れする無愛想な大学生拓海に出会った。拓海は植物への深い造詣と誠実な心で、航大と共に謎に向き合う。植物が絡む細やかな“事件”を通して周囲の人間関係を見つめなおす、彩りと優しさに満ちた連作ミステリ。鮎川哲也賞優秀賞受賞作。/【目次】春の匂い/鉢植えの消失/呪われた花壇/ツタと密室/勿忘草をさがして -
ポテトとスーパー
銀座の高級クラブに潜入して記事をという文英社の依頼を実行中の可能キリコは、常連客に誘われて沖縄の恩納村のリゾートホテルへと向かう。到着後さあ、夕日を見ながらのディナーをという段階で、同行したクラブの同僚・朱美の他殺体が発見される。高所恐怖症だと話していた朱美は、14階のホテルのベランダで殺害されていた――。一方、牧薩次は長野県の別荘地でリゾート計画にまつわる殺人事件に巻き込まれる。バブル末期、日本全国でリゾート計画が雨後の竹の子のように乱立していた時代をトリッキーに描く、〈ポテトとスーパー〉幻の長編。/解説=新保博久 -
平凡すぎて殺される
28歳のポールの特徴は“平凡すぎる”顔だ。わけあって無職のまま、ボランティアで病院を訪れて、彼を自分の息子や甥と思いこんだ老人たちを癒す日々を送っている。ある日、末期ガンの老人を見舞うと、錯乱した彼に誰かと間違われてナイフで肩を刺されてしまう。老人は亡くなり、警察は恐ろしい事実に気がついた。彼は悪名高いギャングで、有名な誘拐事件の関係者だったのだ。警察に衝撃が走る一方、ポールは爆弾で命を狙われ、さらに……。身を守るには逃げながら誘拐事件の真相を探るしかない!? 巧みな構成が光るノンストップ・ミステリ! -
瞬きすら許さない
警視正のキャット・フランクは昔気質の刑事だ。事件現場を歩き、容疑者の眼を見ることが捜査の核心だと信じている。新設の捜査チームを率いることになった彼女は、ロックという名の人工知能に出合う。この新世代の「捜査官」は、ホログラムの体をもち、統計データに基づいて事件解決を支援するのだという。刑事の直感を信じるキャットと、刑事の直感など根拠のない思い込みにすぎないと切り捨てるロック。相反するふたつの頭脳が火花を散らし挑むのは、ありふれているようで、どこか異様な未解決失踪事件……。英国推理作家協会賞受賞、二十一世紀の最前線をゆく傑作警察捜査小説!/解説=村上貴史 -
星の海を駆ける 新世代スペース・オペラ傑作選
20万年がかりの銀河周回の完了を祝うイベントで知らされる、驚愕の真実(ベラドンナの夜)、小惑星帯に隠れ住む巨大知的マシンのきょうだいはある日、謎のドローンに捕らわれ……(金属は暗闇の血のごとく)。19世紀末に原型となる作品群が現れてから130年あまり、ダイナミックな変化と進化をつづけるスペース・オペラをテーマに、アン・レッキー、アレステア・レナルズ、アーカディ・マーティーン、T・キングフィッシャーなど、近年のヒューゴー賞やネビュラ賞の受賞作家ら錚々たる面々が集結した、ローカス賞最終候補の傑作アンソロジー!/【目次】序文 「ニュー・スペース・オペラ」からここへ…… ジョナサン・ストラーン(編集部訳)/トバイアス・S・バッケル「禅と宇宙船修理技術」(金子浩訳)/ユーン・ハ・リー「課外活動」(赤尾秀子訳)/アーカディ・マーティーン「あなたが王だと思っていたすべての色」(内田昌之訳)/アレステア・レナルズ「ベラドンナの夜」(中原尚哉訳)/T・キングフィッシャー「金属は暗闇の血のごとく」(原島文世訳)/チャーリー・ジェーン・アンダーズ「時空の一時的困惑」(市田泉訳)/アリエット・ド・ボダール「包囊」(大島豊訳)/セス・ディキンソン「モリガン、光へと落ちる」(山﨑美紀訳)/ラヴィ・ティドハー「背教者たち」(茂木健訳)/ベッキー・チェンバーズ「善き異端者」(細美遙子訳)/アーニャ・ジョアンナ・デニーロ「クイーンズスロートへの旅路」(小路真木子訳)/アン・レッキー「審判」(赤尾秀子訳)/サム・J・ミラー「惑星執着者」(中村融訳)/カリン・ティドベック「スキーズブラズニルの最後の旅」(市田泉訳)/謝辞 ジョナサン・ストラーン(編集部訳)/解説 渡邊利道 -
そして物語のおわりに
医学生・張田雅之は、アルバイト先の店長の招きで、友人の久郷一と共にとある離島を訪れる。店長の父・柏谷高視は大手ゼネコンの会長でもあり、自身が所有するこの島で、親類や知人を招いて年末を過ごすのを習慣にしていた。集まった人々の前で高視が病気で余命幾ばくもないと明かされた翌朝、彼は四肢を切断され、池に浮かべられた死体となって発見される。高視の部下の男も同様に惨殺されていた。屋敷内のすべての通信設備は壊され、船も二日後まではやって来ない。出入り不能の孤島と化した中、猟奇的な事件を調べるために、張田は医学生としての知識を活かしたある提案をする──。『そして誰もいなくなるのか』でセンセーショナルなデビューを飾った著者による、第二長編。 -
ねむりねずみ
「ことばが、頭から消えて行くんだ」若手歌舞伎役者の中村銀弥は、役者生命を奪いかねない症状に苦しんでいた。妻の一子は文芸誌記者の男性に惹かれている後ろめたさを抱えつつ、夫を気遣うことしかできない。その約二カ月前、銀弥の亭主役を務める花形役者・小川半四郎の婚約者・河島栄が、「絵本太功記」を上演中の劇場内で殺された。衆人環視の状況で胸元を刺されたはずが、犯行を目撃した者は名乗り出ないという。梨園を巻き込む事件を調べ始めた大部屋役者の瀬川小菊とその友人である私立探偵の今泉文吾は、いかなる真相に辿り着くのか。/解説=西上心太 -
犯人当て小説傑作選
ミステリ作家たちが工夫を凝らし、読者と頭脳戦を繰り広げる犯人当て小説。その傑作の数々から“読者への挑戦”ものを中心に精選し、全3巻のアンソロジーに集成した。第1巻には名探偵・神津恭介がホテルの密室殺人に遭遇する高木彬光「妖婦の宿」、チーム移籍を控えたプロ野球投手が殺される坂口安吾「投手(ピッチヤー)殺人事件」、黄色い窓の部屋で起きた変死事件を描く陳舜臣「新・黄色い部屋」など全10篇を収録。謎を解く手掛かりは、本文中のあちこちに隠されています。あなたは巧妙な罠に騙されずに推理力を働かせ、真相を見抜くことができますか?/【目次】序文=福井健太/「妖婦の宿」高木彬光/「投手(ピッチヤー)殺人事件」坂口安吾/「民主主義殺人事件」土屋隆夫/「文学クイズ「探偵小説」」江戸川乱歩/「車中の人」飛鳥 高/「土曜日に死んだ女」佐野 洋/「追悼パーティ」菊村 到/「高原荘事件」山村正夫/「新・黄色い部屋」陳 舜臣/「愚かなる殺人者」笹沢左保 -
怪物を捕らえる者は
聖母マリアの祠の裏、雪の下から16歳の少女の遺体が発見された。遺体や服からアフガニスタン人移民の青年のDNAが見つかるが、刑事オリヴァーとピアが事情聴取をする前に彼は消えてしまった。有力な手がかりが見つからず捜査が難航するなか、数日後の夜に、田舎道で男が車にはねられて死亡する。男は裸足で、体には動物の咬傷や拷問の痕があった。彼はどこから逃げ、誰にこんな目に遭わされたのか――。ふたつの事件の捜査から導き出される、ドイツ警察を揺るがす史上最悪の真相。とてつもない急展開を見せる、大人気警察小説シリーズ。/解説=上條ひろみ -
都筑道夫エッセー集成
ミステリ、SF、時代説など幅広いジャンルで傑作をものした不世出の作家・都筑道夫は、日本版〈エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン〉の初代編集長にして稀代の論客でもあった。その膨大な論考・随筆から入手困難なものをテーマ別にセレクトし全三巻に集成。ミステリ論集となる第一巻には評論集『死体を無事に消すまで』の第一部に加え、日本版EQMMに連載した海外ミステリ紹介コーナー「望遠レンズ」、全「編集ノート」、〈ハードボイルドミステリイ・マガジン〉に連載された「このあいだのツヅキです」などを収録する。/【目次】[PART1 死体を無事に消すまで]推理小説の背景としての都市/気になる言葉/PUZZLER小論/わがミステリーことはじめ/自作を語る/本の話/推理小説について/怪奇小説の三つの顔/なまけもののレポート/[PART2 都筑道夫・イン・EQMM]編集ノート/巻頭言/望遠レンズ/MYSTERY GUIDE みすてり・がいど/探偵小説不作法講座/ふたりで犯罪を/[PART3 辛味亭辞苑]このあいだのツヅキです/辛味亭辞苑/『エラリイ・クイーンズ・ミステリ・マガジン』編集の弁/三年半/千五百のうしろに/彼らは殴りあうだけではない/孤立のハードボイルド/裏返しのロマンティシズム/名探偵の変貌/ホームズとワトスンの行方/推理小説と犯罪小説/晶文社版『死体を無事に消すまで』あとがき/編者解題 -
千の目が光る森
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ※この商品は、作品の内容を鑑み、固定レイアウト型で制作した電子書籍です。文字だけを拡大することができませんので、タブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できませんので、ご注意ください。また、お読みになる端末で無料サンプルをお試しいただいた上でのご購入をお願いいたします。※〈森〉に侵食され〈壁〉のなかだけに人が暮らしている世界。〈壁〉の一角〈灰色男の門〉集落に住むフェザーは、冒険心にあふれた少女だった。だが集落のはずれで出会って外の話をしてくれた〈よそ者〉に手ひどく裏切られ、望遠鏡を盗まれたうえに崖から突き落とされてしまった。望遠鏡は〈灰色男の門〉にとってかけがえのないものだ、このままではみんなのもとに戻れない。フェザーはペットのフェレットだけを連れ、〈よそ者〉を追ってひとり危険でいっぱいの森に踏み入った。『嘘の木』の著者がケイト・グリーナウェイ賞受賞の挿絵画家とタッグを組んだ豪華なYAファンタジイ第2弾。 -
言語の七番目の機能
記号学者・哲学者のロラン・バルトが大統領候補ミッテランとの会食直後の交通事故がもとで死亡。そして彼が所持していたはずのある重要な文書が消えていた。これは事故ではない! 捜査にあたるのはジャック・バイヤール警視と若き記号学者シモン・エルゾグ。二人以外の登場人物は、フーコー、エーコ、ドゥルーズ、ガタリ……といった綺羅星の如き面々。そして舞台はパリ、ボローニャ、イサカ、ヴェネツィア、ナポリへと……。言語の七番目の機能とは何か? 『HHhH』の著者による驚愕の記号学的ミステリ。アンテラリエ賞、Fnac小説大賞受賞作!/解説=吉川浩満 -
冷蔵庫婆の怪談
地方に住む小学生の間でかつて流行していた“冷蔵庫婆(れいぞうこばばあ)”の怪談。それを模倣したような、連続児童殺害事件が発生する。被害者たちの遺体は異様な状態で冷蔵庫の中に遺棄されていた。民俗学のフィールドワークの手法を用いて怪談を執筆する作家・呻木叫子(うめききょうこ)は警察から捜査協力を要請されるが……表題作のほか、大足様(おおあしさま)と呼ばれる神の祟りで、娘が二十五歳になると必ず自殺してしまう蘆野(あしの)家のおぞましい秘密に迫る「蘆野家の怪談」など、四編の本格ミステリ×怪異譚を収録する。/【目次】ハザコ男の怪談/蘆野家の怪談/冷蔵庫婆の怪談/満月館の怪談 -
タンポポ時計
キャリアの絶頂にある画家のアレックスはこれまでの集大成となるロンドンでの展覧会を前に、幼少期を過ごした自宅を売却するため、数十年ぶりにイタリアの小さな町を再訪する。彼は幼き日に、この自然豊かな田園地帯を親友のジェイミーと年上の少女アンナとともに探検した。アレックスの記憶の断片は、三人を理解不能なまでに深く結びつけた輝かしい日々をよみがえらせる──そしてすべてを決定づけた、廃教会で傷ついた“隠者”と出会った運命の日のことも。追憶と現在が交錯し、そのあわいに息を呑むほど美しく残酷な物語が浮かびあがる。きらめくような愛惜と心震わせる郷愁が描き出す、早熟の天才と謳われた著者が小説の構造美を磨きあげて贈る円熟の傑作。/解説=川出正樹 -
〈歌人探偵定家〉シリーズ
一一八六年。平家一門の生き残りである、亡き平頼盛の長男・保盛はある日、都の松木立で女のバラバラ死体が発見された現場に遭遇する。生首には紫式部の和歌「めぐりあひて 見しやそれとも わかぬまに 雲隠れにし 夜半(よは)の月かな」が書かれた札が針で留められていた。そこに現れた、保盛の友人で和歌を愛してやまない青年歌人・藤原定家は「屍に添えて和歌を汚す者は許せん」と憤慨。死体を検分する能力のある保盛を巻きこみ、事件解決に乗り出す! 後に『小倉百人一首』に選出された和歌の絡む五つの謎を、異色のバディが解く連作ミステリ。/【目次】一 くもがくれにし よはのつきかな/二 かこちがほなる わがなみだかな/三 からくれなゐに みづくくるとは/四 もみぢのにしき かみのまにまに/五 しのぶることの よわりもぞする/単行本版あとがき/参考文献・史料/解説=千街晶之