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数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、自信と才気に溢れた彼女がはたして死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女の内心を何も知らないまま二度と会えなくなったことに思い至った四人の寮生たちは、独自に事件を調べ始める。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む全五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー/解説=法月綸太郎
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Posted by ブクログ
いきなりですが、ワタシが昨今の流行りでどうにも苦手なモノが2つありまして。
1つめが、言語化です。
流行ってますなー、言語化。しっかし、なんでもかんでも言葉にしてしまう今の風潮…、流石に野暮っていうか、下品くないですか?
言語化出来る能力は素晴らしいとは思いますが、そこは余白を残して良いのではと多々感じます。すべてを言葉にするのは野暮ってもんです。シンプルに冷めます。
2つめが、伏線回収です。
これもよく見かけますなあ、アニメや小説などで伏線をばら撒けるだけばら撒いて、ドヤ顔で回収してる作品を…。
そら自分で撒いた伏線なんだから回収できるに決まっとるやろ…。阿呆かいな。
そもそも人生において感じたコトを、回収できるほうが稀ですよね。だからこそ回収できたときの感動はひとしおなのにね…。
で、本題の本書ですよ。そう、タイトルで言っちゃってます、ぼくらは回収しないと。
キター!!回収しないでー!!
いやー、回収への美学が炸裂してます。ワタシと同じ想いの方いるのねー!シンパシー!
前フリが長くなりましたが、結論メチャ面白かったです。
日常ミステリー主体の短編集ですが、新人さんのそれとは思えないレベルの作品でした。
そもそも文章が上手です、綺麗な日本語を使われるのでストレスを全く感じません。
また知識の幅の広さも感じました、若いのに大したものです。
肝心のトリックなどのミステリー要素も素晴らしいです。最後のルナティック・レトリーバーは短編とは思えない出来です。あのネタで長編書けたのでわ…。
あくまで個人的な感想を云わせて戴くと米澤穂信の初期の日常ミステリーよりレベル高くないか?です。
真門浩平さん、覚えておいて損はないかと。いや、近い将来とんでもない作品書きますよ、カレは。
と、伏線張っとくので、頼むから良い作品書いて回収させてくれー。おねがいします。
とにかく良作、期待も込めて星5です。
Posted by ブクログ
ニュース番組で流れた街頭インタビューをきっかけに、SNSで起こった炎上。そのインタビューを受けていたのはクラスメートの姉だった。身内が理不尽な悪評の的になっている状況を救うために白羽の矢が立ったのは、人間観察眼が優れていることでちょっとした噂になっている伊達桐人だった。伊達はそのインタビュー映像に違和感を覚えるが。――「街頭インタビュー」
結成五年目のお笑いコンビ「井の中のかわズ」。篠原美紀はその片割れであるボケの古井省吾に恋をする。うまくいきそうもない恋だったが、「井の中のかわズ」のお笑いコンテストでの受賞、省吾の気持ちの変化もあり、ふたりは付き合うことに。だけど付き合ったことで、今度は美紀に心境の変化(蛙化現象)が起こり、ふたりは疎遠になってしまう。それが悲劇の幕開けだった。――「カエル殺し」
一作目を読んだ時、『日常の謎』でまとまった連作短編集かと勝手に勘違いしてしまったのですが、そんなことはなく、それぞれが世界観のまったく異なる独立した短編になっていて、そのどれもが切れ味鋭く、扱われる事件も『日常の謎』だけではなく殺人なども扱っていてバラエティに富んでいます。一面的な部分だけで他者を断ずることをよしとしないまなざしに貫かれているのがとても魅力的です。その視点があるからこそ、謎を解いた先に浮かび上がる光景が、時にビターで、時に読む側の心に波紋を作っても、心地良く胸に響くのではないでしょうか。素敵な作品集でした。
Posted by ブクログ
ミステリーといえば、やっぱり人が死なないとそれを解明しなければならないという必然性が弱くなると言ったのが誰だったのかは忘れたけれど、必ずしも人が死ななくたってミステリーは成立するということを教えられる短編集。
もちろん個人的には殺人が起こるからこそのドキドキ感やらスリル、そして謎やトリックが解き明かされた時のカタルシスは大好物である。しかし、本作品には殺人も描かれてはいるが、日常の中に潜む謎にも魅力があふれている。
『街頭インタビュー』ではいきなり助走もつけずにぶん殴られたような感じの先制パンチを喰らわされる。「わかるわかるぅ」と読み進めていけば、最後に手のひらを返される。個人的にはこの物語が一番インパクトがあり、心に突き刺さってきた。
『追想の家』は、ややこの中には異色の味わいとなっているが、こちらはほっこりできる作品である。
『ルナティック・レトリーバー』は題名が含むところの意味と、本作の『ぼくらは回収しない』が対をなしてつけられていることに、舞城王太郎の解説を読んで気付かされる。というわけで、解説までしっかり読むとより味わい深い
Posted by ブクログ
一話一話が独立した形式のミステリ短編集。
同級生の姉が炎上したという街頭インタビューに隠された謎に高校生が挑む「街頭インタビュー」や、日食の日に大学の学生寮で起きた密室殺人事件を調査する大学生たちを描いた「ルナティック・レトリーバー」など、全五篇が収録されています。
個人的に特に推したいのは、「街頭インタビュー」。
「SNSでの炎上」という現代的なテーマとミステリとしての謎が見事に融合し、互いの魅力を引き立て合っているからです。
また、事件解決だけでは終わらない意外性のある展開も用意されており、読者自身の日頃の行いについても考えさせられる、ほろ苦さが印象的な一篇です。
青春ミステリや短編ミステリが好きな方は、ぜひ!
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