あらすじ
数十年に一度の日食が起きた日、名門大学の学生寮で女子学生が亡くなった。密室状態の現場から自殺と考えられたが、小説家としても活躍し、自信と才気に溢れた彼女がはたして死を選ぶだろうか? 三年間をともに過ごしながら、孤高の存在だった彼女の内心を何も知らないまま二度と会えなくなったことに思い至った四人の寮生たちは、独自に事件を調べ始める。第十九回ミステリーズ!新人賞受賞作「ルナティック・レトリーバー」を含む全五編を収録。大胆なトリックと繊細な心理描写で注目を集め、新人賞二冠を達成した新鋭による、鮮烈な作品集。/【目次】街頭インタビュー/カエル殺し/追想の家/速水士郎を追いかけて/ルナティック・レトリーバー/解説=法月綸太郎
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Posted by ブクログ
ニュース番組で流れた街頭インタビューをきっかけに、SNSで起こった炎上。そのインタビューを受けていたのはクラスメートの姉だった。身内が理不尽な悪評の的になっている状況を救うために白羽の矢が立ったのは、人間観察眼が優れていることでちょっとした噂になっている伊達桐人だった。伊達はそのインタビュー映像に違和感を覚えるが。――「街頭インタビュー」
結成五年目のお笑いコンビ「井の中のかわズ」。篠原美紀はその片割れであるボケの古井省吾に恋をする。うまくいきそうもない恋だったが、「井の中のかわズ」のお笑いコンテストでの受賞、省吾の気持ちの変化もあり、ふたりは付き合うことに。だけど付き合ったことで、今度は美紀に心境の変化(蛙化現象)が起こり、ふたりは疎遠になってしまう。それが悲劇の幕開けだった。――「カエル殺し」
一作目を読んだ時、『日常の謎』でまとまった連作短編集かと勝手に勘違いしてしまったのですが、そんなことはなく、それぞれが世界観のまったく異なる独立した短編になっていて、そのどれもが切れ味鋭く、扱われる事件も『日常の謎』だけではなく殺人なども扱っていてバラエティに富んでいます。一面的な部分だけで他者を断ずることをよしとしないまなざしに貫かれているのがとても魅力的です。その視点があるからこそ、謎を解いた先に浮かび上がる光景が、時にビターで、時に読む側の心に波紋を作っても、心地良く胸に響くのではないでしょうか。素敵な作品集でした。