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Posted by ブクログ
冒頭から、81歳の老女グデリアが土の上に横たわり、追想している。現代において、どうしたらこんな状況になるというのか。不可解さ全開で始まる。しかし読み進めるうちに、ドイツ版『熟柿』ともいうべき、救いのない世界が広がっていく。
グデリアは、それまで親子3人、仲睦まじく暮らしていた。ところが、突如ひとり息子を失い、その喪失のあまり、人生が大きく狂いはじめる。
物語は、グデリアが81歳である2024年、息子を失うこととなった1984年、そして人生を見失っていく1998年が行き交い、読み進めるほどに絡まった糸が徐々に解けていく。だが、真相が明らかになればなるほど、事態は悪化していく。
時代が交錯するからこそ、「グデリア、どこで間違えた? これ以外の選択肢はなかったの?」と、何度も問いかけたくなる。
終盤、冒頭のグデリアが横たわる場面につながったときには、胸が締め付けられる思いがした。そして、不器用で頑ななグデリアには、こういう選択をするしかなかったのだろうなと、どこか納得してしまった。
Posted by ブクログ
2024年6月、ウンターリンゲンの村に洪水が押し寄せる
村人が必死に避難するなか、81歳のグデリアはただ一人家に残り、窓からその様子を見ている
上流から流されてくる車や家畜…
さらには男女の死体を…
なぜ彼女は避難しようとせず、家に固執するのか?
彼女は何を隠しているのか?
・洪水の起きた2024年
・彼女の息子が殺された1984年
・息子の死により深刻化していく夫との関係が語られる1998年
この三つの時代をグデリア視点で行き来しながら、やがて彼女の秘密と罪が明かされていく
中盤辺りでそれは想像はつくのだが、そもそも警察官の捜査や探偵の調査を描いている訳ではない
あるのはグデリア、彼女自身!
これはグデリアの物語なのだ
女として妻として、そして母として異常なまでの強い意志
しかし大洪水は、彼女が40年間守り続けた秘密と罪を容赦なく暴いていく
罪は浮かびあがり、そしてまた次へと繋がれていく…
自然災害の恐怖と人間の業が重なり合う見事な作品でした
Posted by ブクログ
2024年、ドイツの小村。未曽有の洪水が81歳グデリアの住む家の前を流れる。上流からは豚が、流木が、そして男女も流れてくる。圧倒的な水はグデリアの家をえぐり、そして露わにする。グデリアは一人想う、1967年の夫との結婚、息子ニコが生まれ、この家を買った日。そして1984年、15歳のニコは死んだ。それから40年、グデリアは「グデリアの死んだ家」で家を守った・・
息子ニコの死は殺人とされ、その犯人を追う刑事もの、という様相ではない。グデリアの1984年、1998年、2024年が平行して語られるなかで明かされる事実。事件に捉われてしまった、グデリア、夫、ニコ、その周辺がずっしりと重い。
グデリアは家を守ろうと家を夫名義から自分名義にする、などという所がある。
解説では、作者のクヌーヴェアは1983年生、ドイツ西部・ミンスターラント地方にある人口千人にも満たない村で育ち、近くの農家にミルクを買いに行くと、苦労の多い人生を送ってきた年配の女性たちがいて、グデリアはそういう女性たちのイメージからつくりあげた、とある。
舞台の村は架空らしいが、西ドイツ地区。東ドイツでは社会主義で1968年統計では80%の女性が働いていたが、西ドイツでは36.6%。自由経済ではあるが、女性は家に、という旧来の価値観が続いていた、とある。新たな婚姻法が施行され、既婚女性が自由に就労できるようになったのは1977年のことで、それまでは既婚女性が働くには夫の許可が必要だった、などとある。
トーマス・クヌーヴェア:1983年、ドイツ西部ミュンスターラント地方生まれ。2024年にこの「グデリアの死んだ家」で商業デビューする。大学ではグラフィックデザインを専攻し、広告やデザインの分野でも数々の賞を受賞。現在は世界的大手のデジタルエージェンシーで最高クリエイティブ責任者の職に就いている。
2024発表
2026.7.17初版
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