昔ながらのピュアな本格ミステリー、密室での毒殺事件! 電報で犯行予告が届く謎… #電報予告殺人事件
■あらすじ
ヴィクトリア朝のイギリス、女性ながらも電信士として仕事を得ていたローラ。誇りをもって職務についている彼女であったが、両親からは結婚を急かされ、自身も家庭を持つ幸せに憧れていた。
ある日、局長から出世の打診がされ、身の振り方を考えるように依頼される。しかし悩んでいた彼女は、局長に相談するために執務室に行くのだが… 局長は密室で毒殺されていたのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
今や通信手段と言えば、スマホでLINEが主流ですよね。メッセージも会話もいとも簡単にできちゃう。むかしテレビ電話ってのもありましたね。今やZOOMやGoogleMeetを使って、会議もネットが当たり前の時代です。
本作は通信手段がモールス信号という時代背景の物語。ツーツーツートントントンという音を組み合わせ、それを文字に変換しながら伝達していくという、150年以上前の技術ですね。
まずこの素材をつかってミステリーを書こうって心意気が好きっすね。誰が目を付けるんだってところだし、良く調べてますよ。当時の電信士がどんな仕事をしていたかなど、とっても勉強になりました。
もちろんミステリーだけに電信が謎解きにも関わってくるんですよ、しかもなんと… おっと、これ以上は言えません。
また本作で推したいところは、作品全体から漂ってくる「ピュア」な感じ。ストーリーも、登場人物も、その人間関係や会話も、謎解きも、もちろん筆致に至るまで、何から何まで純粋なんすよね。このシンプルさと純朴さで、読んでるとほっこりしちゃうんです。いつまでも読んでいたくなる。
そして主人公のローラが、前向きで元気いっぱいなのはいいんだけど、危なっかしくてしょうがないのよ。両親がいつも心配してるんだけど、確かにこんな娘ならソワソワしちゃうよね。
でもでもそれが彼女の魅力、私立探偵よろしく捜査や調査に奔走していく。またネイトって彼氏といい関係になるところも読みどころで、バチェラーばりに展開が目が離せない(言いすぎ)。
謎解きもしっかりと本格ミステリーです。局長の密室殺人をはじめ、その後も様々な事件が発生する。その中でも、電報で犯行予告が届くのが一番の謎なんです。これは唸りましたねー、びっくりでした。
19世紀のイギリスのお話なのでわかんないかもなーと思ってる方はご安心を、めっちゃ読みやすいです。むしろ読み応え抜群の本格ミステリーです、面白かった!
■ぜっさん推しポイント
女性ながらも社会の最先端で活躍しているローラが魅力的に描けてるんです。ま、確かにじゃじゃ馬娘ではあるんですが、いろんな失敗を経て少しずつ大人になっていくところがカワイイ。
特に人間の裏側を知ってしまうなんてことは、令和の私たちにも頻繁にあることですよね。彼女がこれからも前向きに生きていけるよう、応援したくなりました。